被爆76周年の記念式典が6日に広島市で、9日長崎市で開催されました。今年も直接被爆地を訪問することはできませんでした。2人の市長の「平和宣言」はテレビで視聴しました。
広島市の松井一実市長は、「日本政府には、一刻も早く核兵器禁止条約の締約国となるとともに、第1回締約国会議に参加していただきたい」と訴えました。
「しんぶん赤旗」5日付に「東京五輪ー異議あり」コーナーに、坂上康博一橋大学大学院教授(スポーツ社会学)のの発言が紹介されてぎます。一部を紹介させていただきます。
「200以上の国」と地域の人々が一堂に会する文化イベントは五輪しかありません。その目的は、五輪憲章にある『人間の尊厳の保持に重きを置く平和な社会』をつくることです。競技大会はそのための手段です」~中略~
「今回の五輪では、『多様性と調和』が前面に出て、その一方で平和運動としての自覚が後退しているように思います。たとえば、開会式で100歳の最年長金メダリスト・ハンガリー女子体操のアグネシュ・ケレティさんにスポットをあてながら、五輪の100年を振り返る動画が流れました」
「ケレティさんはナチスの迫害を受けて、父親がアウシュビッツ強制収容所で殺され、大戦による中断で五輪の金メダル獲得は31歳でした。戦争の大きな被害者なのです。しかし、動画はこの点に全く触れず、黒人選手や女性の活躍のシーンを『多様性』を示すものとしてひたすら強調するものとなっています。そもそもコロナ禍での開催自体が『人間の尊厳の保持に重きを置く』という五輪の理念に反しています」~中略~
「日本国民の圧倒的多数も今このタイミングで五輪を開催することに批判的です。開催地でこれだけ反対された例は過去にありません。コロナの感染拡大が終息しておらず、ワクチン接種も十分になされてないからです。コロナは人の命を奪います。まずはその対策に集中する。その後に五輪開催という当然の手順をふまえないで国民の合意を得られるはずなどありません」~中略~
「『人間の尊厳』を保証するうえで重要なのは、日本国憲法の第13条だと思います。自民党はそれに制限を加えるような改正をめざしていますね。五輪の理念や原則の無視や不祥事の続出も当然だと思います。招致からここまで、ばく大なお金と労力を使って最後の最後がこれか、というのが率直な思いです」
国内の新型コロナウイルス感染者は7月31日、1万2341人が新たに確認されました。以下、「しんぶん赤旗」8月1日付の報道から紹介させていただきます。
「1日当たりの感染者数が1万人を超えたのは3日連続で、4日続けて過去最多を更新しました。死者は9人。重症者数は667人で、前日から41人増えました」
「神奈川県(1580人)では4日連続で最多を更新。大阪府(1040人)は5月8日以来、埼玉県(1036人)は初めて1000人を超えました。この他、千葉(792人)、沖縄(439人)、京都(199人)、静岡(168人)、群馬(136人)、新潟(58人)の各府県も最多でした」
「東京都では4058人の感染が確認されました。1日当たりの新規感染者は初めて4000人を超えました。新規感染者の直近」1週間平均」は前週比217%の2920人。新規感染者を年代別に見ると、20代が1484人で最多。30代887人、40代583人、50代398人と続きました。65歳以上は106人」
コロナの感染が急増している中で、五輪は続いています。あらためて、7月22日の志位委員長の「声明」を紹介させていただきます。
「(一)「五輪より命が大切」―この立場から、日本共産党は、今年一月以来、五輪を中止し、コロナ対策にあらゆる力を集中することを求めてきた。五輪の開催が強行さるもとでも、わが党は、命を守ることを最優先にする立場を揺るがず貫き、開会途中でも中止を決断することを求め続ける」
「(二)開催都市東京の感染が、過去最悪ペースで増えるなど、国内の感染はきわめて深刻であり、すでに病床が逼迫し、医療崩壊の危機も差し迫っている。緊急事態宣言を出しながら、それとまったく矛盾する五輪開催に突き進めんだことが、国民への誤ったメッセージとなり、感染を拡大するうえでの重大な障害となっている」
「たとえ『無観客』であっても、選手、大会関係者、警備や輸送、ボランティア、報道関係者など、数十万人にのぼる巨大イベントは、さまざまな場面で感染拡大のリスクを大きく増大させている。すでに選手村内でのアスリートの感染が連日明らかになるなど、『バブル』は穴だらけとなり、『安心・安全の大会』という日本政府、東京都、IOCの言い分は完全に崩壊している」
「世界を見ても、パンデミックは、デルタ株のまん延など深刻化している。そのもとで『世界最大のスポーツの祭典』を開催することが、世界にウイルスを拡散させる一大契機になるとの警告が発せられている」
「(3)『多くの人々の命にリスクをもたらしながら、なぜ五輪を開催しなければならないのか』この根本的な問いに、菅首相は、いまだに答えられないままである」
「(4)以上の諸点にてらして、今回の五輪開催が間違いであることはあまりにも明らかである。この間違いは、開会を強行することで、決してあいまいにしたり、なし崩し的に容認したりすることをしてはならないものである。『五輪より命が大切』の立場にたち、中止の決断を」
「思想・信条の違いをこえ、この一点で、力をあわせよう。日本共産党は、命を守ることを最優先にする立場を貫き、国内外の多くの人々と手をたずさえて奮闘する決意である」
「しんぶん赤旗」日曜版8月1日号に、「五輪考え直す機会」のコーナーに、元ラクビー日本代表、神戸親和女子大学平尾剛教授の発言が掲載されました。私も拝読し、興味を感じました。紹介させていただきます。
「『スポーツウォッシング』という言葉をご存じでしょうか。政府や権力者が、自分たちに都合の悪いことをスポーツの喧騒で洗い流すという意味です。サッカーの元米国五輪代表で米パシフィック大学のジュール・ボイコフ教授の言葉です」
「東京五輪の開催をめぐり、国際オリンピック委員会(IOC)も日本政府も狙いはここにあると思います。現実に彼らがやっていることは社会における『倫理の破壊』です。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)禍で、人々の命や暮らしが脅かされる中、そこに目をつぶり、うそにうそを重ねて五輪を強行するー。社会のあるべき姿、倫理的な価値観を狂わせている罪はあまりに重い」
「マスメディアの加担ぶりも目に余ります。大会直前まで五輪を批判、コロナの危機を叫びながら手のひらを反しています。感染拡大の現状すら十分に知らされていないのは深刻です」
「今大会は競技としてもいびつです。スポーツで最も大事なのはフェアネス(公平、公正)です。しかし、コロナ禍で選手をとりまく環境はさまざま。万全な態勢で練習できた選手もいれば、そうでない選手もいる。公平な競争がないのに、優位な状況にある選手はメダルに駆り立てられ、目をつむらされています。相手への敬意は後景においやられ、弱肉強食という資本主義の倫理が前面に出ている気がしてなりません」
「ある日本の競泳選手が大会に選ばれなかったことで、『正直ほっとしている』と語っていました。五輪と社会の板挟みで、選手にそう思わせる五輪とは一体なんなのか。救いは、行き過ぎた商業主義と政治利用でゆがんだ五輪を、みなが認識したことです。スポーツを五輪から救いだすことが必要ではないか」
「いま、選手の頑張りを評価しつつ、東京五輪に反対し、異議を唱えることとは両立できると私は思います。五輪を見ながらも社会と五輪のあり方を変えるために力を尽くす。スポーツウォッシングを許さないために」
予想された通り、五輪報道にメディアが占領される事態となっています。しかし、新型コロナの感染は続いています。「しんぶん赤旗」は、「五輪より、命が大事」の立場で報道を続けています。 今日は、スポーツジャーナリストの谷口源太郎さんの発言が掲載されました。紹介させていただきます。
「開会式を見て、この東京五輪がいかに理念なき大会なのかということを改めて実感しています。その最たるものが、国際オリンピック委員会バッハ会長のスピーチだったと思います。バッハ氏は予定時間をオーバーしてまで長々とスピーチし、『オリンピックコミニュ二ティー』『連帯』などの言葉を多用しました。しかし、何も心に響いてくるものがありませんでした」
「おそらく大義なき東京五輪の空虚さを埋めるため、必死に考えたスピーチだったのでしょう。しかし、そもそもこのコロナ禍で『なぜオリンピックが必要なのか』。政府や組織委員会から説得力ある説明はありませんでした。『復興五輪』『人類がコロナに打ち勝った証としての五輪』『安心安全な大会』・・・。 いずれも国民の心に届くスローガンではありませんでした」
「むしろ、五輪ありきでコロナ対策が中途半端になり、感染は広まるばかり。国民の不安はさらに広がるばかりでした。東京五輪が強行され、国民の中にはあきらめの気持ちを持つ人も多いかもしれません。しかし、バブル方式も機能しておらず、ここまで100以上の五輪関係者の感染者が出てしまっています。人の命を危機にさらすこの大会がうまくいくはずはありません」
「日本政府は、五輪が始まってしまえば、国民は盛り上がると信じきっています。命を犠牲にし、コロナ禍で開催する五輪の意義すら説明できない。この国民への誠実さを欠き、愚弄する政治を許さず、中止を求め続けなければなりません」
「メディアはすでにあの手この手で、こぞって五輪を盛り上げようとしています。背景には、スポンサーの存在があり、世界50億人の視聴者を対象に動く巨額マネーがあります。その商業主義のため、命が脅かされる状況下でも開催を強行する、オリンピックの本質が明らかになりました」
「五輪の存在意義を喪失させた商業主義、国家主義を否定し、スポーツに人間性を取り戻すために、スポーツのあり方を根本から問いなおす必要があるのではないでしょうか」
東京五輪の一部種目の競技が始まりました。「しんぶん赤旗」日曜版7月18日付に新書「カード師」でギャンブルや権力にのめり込む人間心理を描き出した意欲作を刊行した作家・中村文則さんのインタビュー記事が掲載されました。 東京五輪に関する部分を紹介します。
「これほどの規模のパンデミック(大規模感染)での五輪開催は、人類史上経験はありません。いくら感染対策をしても、この規模ならどうしても”イチカバチカ”の要素だ出てくる。つまり”賭け”であって、賭けられるのは国民の命です。五輪をどうしてもやるなら来年に延期し、かつ1年をかけて各競技ごとに小出ししてやるべきです」
「さらに海外の関係者もマスコミも入れない形でやれば、1度に日本に来る人数を制限でき、何とかやれるかもしれない。でもそうしないのは、海外での放映権の問題などがあるからで、利権のためとしか思えない。つまり、これは五輪利権のために国民の命を賭けた大ギャンブルで、人類史上初の愚行です」
「もう五輪関係者は大勢来日している。『五輪をやるなら自粛なんてしない』という人も多い。それらの要素による感染増も既に五輪の影響で、全てはひどい政治の結果です。でも、どんなひどい状況でも僕はそれに染まりたくない」
「『カード師』でも、何とか前向きな言葉を選んでラストには自分なりの(祈り)や(光)を書きました。絶望的な状況ではあるけれども絶望せず、自分を鼓舞して発信し続けようと思っています」
日本共産党はきょう創立99周年を迎えました。「しんぶん赤旗」には各界の著名人の方々のコメントが掲載されました。大変激励されました。15日付「主張」は「コロナ感染拡大と政府の失政によって国民が重大な苦難を強いられる中、日本共産党は『命を最優先』の政治の実現に向け全力を挙げています。日本の未来を開くため、役割を果たす決意です」と「決意」を表明しました。
私は、戦前の党活動の経験はありません。この間、地区党学校で「党史」を担当しました。組み尽くせない戦前の先輩たちの活動と教訓が日本共産党の原点だということを改めて学びました。そいした思いから、「綱領」の第1章の一部を紹介させていただきます。
日本共産党の綱領の第1章「戦前の日本社会と日本共産党」の冒頭部分には、次のように記述されています。
「日本共産党は、わが国の進歩と変革の伝統を受けつぎ、日本と世界の人民の解放闘争の高まりのなかでに、1922年7月15日、科学的社会主義を理論的な基礎とする政党として創立された」
「侵略戦争は、2千万人をこえるアジア諸国民と3百万人をこえる日本国民の生命を奪った。この戦争のなかで、沖縄は地上戦の戦場となり、日本本土も全土にわたる空襲で多くの地方が焦土となった。1945年8月には、アメリカ軍によって広島、長崎に世界最初の原爆が投下され、その犠牲者は2十数万人にのぼり(同年末までの人数)、日本国民は、核兵器の惨害をその歴史に刻み込んだ被爆国民となった」
「ファシズムと軍国主義の日独伊三国同盟が世界的に敗退するなかで、1945年8月、日本帝国主義は敗北し、日本政府はポツダム宣言を受諾した」
「反ファッショ連合国によるこの宣言は、軍国主義の除去と民主主義の確立を基本的な内容としたもので、日本の国民が進むべき道は、平和と民主的な日本の実現にこそあることを示した。これは、党が不屈に掲げてきた方針が基本的に正しかったことを、証明したものであった」
「しんぶん赤旗」日曜版11日付で作家の北原みのりさんが紹介していた女性の外国特派員協会での記者会見が12日開かれました。同記者会見の内容の一部がいくつかのメディアが13日付で報道されました。
「しんぶん赤旗」13日付から、紹介させていただきます。
「女性の権利を求めるフラワーデモの主催者の松尾亜紀子さんや看護師で随筆家の宮子あずささんら各分野の女性が12日、東京五輪、パラリンピック中止を求め、外国特派員協会で記者会見を開きました」
「五輪が行われようとする中で、日本の女性の権利が侵害されており、人命も危機にさらされていると訴えました。松尾さんは、日本では、医療従事者の多くが女性だとした上で、コロナ対応に必要な医療従事者が五輪に動員され人員不足が深刻化し、より過酷な労働環境に追い込まれていると説明しました」
「日本女医会理事の青木正美さんは『無観客にしようが、選手や関係者が大量に集まることは絶対にしてはならない』と述べ、五輪を実施すれば東京が感染源になると警告しました」
「国際婦人年連絡会CEOの前田佳子さんは、病院に収容できず、PCR検査すら受けられない在宅患者が増えており、五輪開催で事態が深刻化すると報告しました」
「宮子さんは、看護師は自ら感染を出さぬように、友人や家族とすら接触を避けており、気分転換もできずに追い詰めらていると語りました」
「教育関係者は、『子どもたちは給食での会話すら許されず、さまざまな行事が中止になっているが、なぜ五輪が特別扱いか』と批判しました」
新型コロナウイルスの感染拡大が続く東京都に4回目の緊急事態宣言の発令が決定されたことについて、8日国会内で記者会見し、「五輪中止を決断することこそ、最良のコロナ対策になる」と強く主張しました。以下、「しんぶん赤旗」9日付から、一部を紹介させていただきます。
「志位氏は国民に対して、”自粛せよ” ”酒を出すな ” ”運動会、夏祭り、花火大会ををやるな”と求めながら、人類最大のお祭りである五輪だけは開催となれば、矛盾したメッセージとなる。それでは国民の協力は得られない、厳しく批判しました」
「(五輪について)無観客がどうかを議論しているが、無観客かどうかが焦点ではない、と指摘。無観客でも五輪・パラリンピックを開催すれば、海外から6万8000人の外国人が来日し、ウイルスが持ち込まれる危険が生まれるとともに、矛盾したメッセージを発することで国民の感染抑止の協力を得られなくなるとして、『無観客でも、二重の意味で問題は解決しない。五輪の中止を強く求めたい」
【菅政権の3つの致命的欠陥を大本からただせ】
「志位氏は、菅政権のコロナ対応には、五輪の問題にくわえて、三つの致命的な欠陥、責任放棄がある。それを大本からただすことこそ必要だ」として、次の諸点を強調しました。
「第1は、ワクチンの安定供給の責任を果たしていないことです。ワクチンの供給不足で多くの自治体で新規予約が停止に追い込まれ、職域接種も中止に追い込まれる事態になっていることを指摘。政府が供給責任を果たすとともに、正確な情報を正直に国民と自治体に伝えることを強く求める」
「第2は、PCR検査拡大の責任の放棄です。直近の1日あたりの検査件数(1週間平均)は、約5万4000件で、ピーク時(5月13日)の約9万4000件から半減している。1日約21万6000件とされる検査能力の4分の1しか使っておらず、1日1万件と約束したモニタリング検査も直近の数字で5000件だけだと指摘。ワクチン接種によって集団免疫をつくるには一定の時間がかかる。基本的な感染対策、とくに大規模検査をセットでやってこそ、封じ込めができる」
「第3は、補償の責任の放棄です。政府が持続化加給金、家賃支援給付金を1回だけで打ち切ったことを批判。4回目の宣言で自業者に厳しい自粛を強いながら、支援金が1回きりというのはあまりに冷酷で無責任だ。持続化給付金の第2弾をただちに支給し、コロナが収束するまで持続的に支給することを強く求めたい。生活が困窮している人への給付金の支給も急務だ」