新型コロナウイルスの感染が拡大するなか、新型コロナに感染していたタレント・コメディアンの志村けん(70)さん入院先の都内の病院で亡くなりました。心からお悔やみ申し上げます。
「新型コロナ」とのたたかいは、今、人類にとっての最大の緊急課題になっています。各国政府、国連、WHO等が協力、一体となった取り組みがはじまっています。しかし、「終息」の見通しはまだ見えていません。
こうした中、「コロナ」問題に対して、人類史的観点からの議論が始まっていることに注目しています。2人の方の発言を紹介させていただきます。今回は、長崎大熱帯医学研究所 山本太郎教授(56)の発言の一部です。(「読売」3月29日付)
「人類が感染症を本格的に体験するのは約1万年前です。農耕生活が始まり、人間が野生動物を家畜化したことが引き金になりました。野生動物の持つウイルスが人間と社会に持ち込まれ、病気を発生させます。ウシからは天然痘、アヒルからはインフルエンザ、という具合です」
「ウイルスや感染症のふるまいは謎に満ちています。その様子は、地球規模のミステリーのようです。ウイルスは動物や人間に寄生しないと生きられません。寄生先の細胞を利用して、自分を複製します。その時に性質が変わったり強毒化したりします」
「ここ50年から100年ぐらいの間に新しいウイルスがどんどん見つかっています。人間がものすごい勢いで地球のあらゆる場所へ進出し、熱帯雨林などを破壊しているためでしょう」
「野生動物とウイルスが調和的に過ごしていたところに人間が侵入し、調和を壊す。すると今度はそのウイルスが人間の社会に入り込もうとする。人間とウイルスは作用し合っています」
「人間は様々なウイルスに感染してきました。自然界の中でも感染症のレパートリーをたくさん持つ動物です。そのことが我々を生態系から守ってくれています。いかにウイルスと共存していくか。多様性の確保が重要です」
「今回、感染症防止のために、在宅勤務をお取り入れたり、店舗を閉じたりするなどの方策が取られています。社会はますますその方向に加速されるかもしれません」
「気をつけないといけないのは、フェスクニュースという『感染症』がすごい勢いで流行することです。今回、WHOもその状況を『インフォデミック』と呼びました。広がり方はパンデミックと一緒です。誰と誰がつながっているか、人と人の関わりを映します」
「これからはウイルスとの戦いであると同時に情報との戦いです。まさに文明は、感染症の『揺りかご』なのだと思います」