宮応かつゆきの日本改革ブログ

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エンゲルスの苦闘と功績、残された課題解明ー新刊「資本論」 不破氏の講演から (2)

2019年09月24日 | 「資本論探究」

 新刊「資本論」刊行記念講演会の不破さんの講演(詳報)が、「しんぶん赤旗」23日付に掲載されました。 「詳報」には掲載しきれない部分は、日本共産党中央委員会のホームページで視聴できます。 不破さんは「資本論」研究過程の様々なエピソードも紹介しています。

 不破さんは、まず、マルクス経済学の2つの要について、語りました。

 「第一は、なぜ資本主義が封建社会にかわって生まれ、発展したのかを解明した部分で、マルクスはこれを資本主義の『肯定的理解』と呼びました」

 「第二は、資本主義がなぜ矛盾が大きくなって次の社会に交代するのかを解明した部分で、マルクスはそれを資本主義の『必然的没落の理解』と呼びました」

 そして、志位さんも紹介したことですが、不破さんは、マルクスの「必然的没落論」の「発見」とエンゲルスの「その見落とし」による資本論第3部の編集の問題を語りました。

資本論2部、3部は、マルクスの死後エンゲルスによって編集されたことは知られていることです。 不破さんは、第3部の編集だけでも10年の歳月を要したこと、エンゲルス自身が病気とのたたかいを続け、なを様々な活動を行いながら、「最後の2編を印刷所に送ったのが(18)94年5月でした」 と紹介ました

 不破さんは「10年近い歳月をかけて生み出されたのが現行の第3部で、これで、『資本論』全3部を世界が手にすることができるようになったのです。 その10カ月後、1895年8月、エンゲルスは死去しました。 まさに『資本論」』に命をささげたといっていいと思います」と感慨深く語りました。

 私が、不破さんの講演を視聴して心に残った一つは、エンゲルス研究への新たな「挑戦」宣言とも言うべき話でした。

 「不破氏は、『こういう困難を極めた歴史的条件のもとでエンゲルスは最善を尽くしたと思います。 その努力があったからこそ、『資本論』の全体像が後世に伝わることができました。 これはエンゲルスならではの歴史的功績だったと思います」

 「私は今回、改めてその全過程を振り返って、その意義を痛感しました。 後の機会に、エンゲルスの苦闘の経過をまとめて紹介する仕事を自分の課題にしたい気になりました」

 不破講演の最後の部分を紹介します。

 「今年は、エンゲルスが『資本論』第2部を刊行してから134年、第3部を刊行してから125年にあたる年です。 この間、日本でも世界でも『資本論』の多くの諸版が発行されてきました。 しかし、エンゲルスによる編集の内容そのものに検討を加え、残された問題点を解決して、マルクスの到達した理論的立場をより鮮明にする、こういう立場で翻訳・編集した『資本論』の新刊の刊行は、これまで世界に例がないものです」

 「それだけに、私たちは当事者としてその責任の重さを痛切に感じています」


「新版『資本論』」発刊-新しい恐慌論の全文を掲載、世界で初めての解明 (1)

2019年09月22日 | 「資本論探究」

 新版「資本論」第1分冊が、今日手元に届きました。 今後、隔月毎に発行され、全12分冊が手元に届くには約2年かかるこtになります。

 9月20日、東京都内で新刊「資本論」刊行記念講演会が開かれました。 私も、「志位委員長あいさつ」「荻原伸次郎・横浜国大名誉教授のはなし」「山口富男・社研副所長の新版の内容紹介」、そして、1時間近い不破哲三氏の講演をインターネットで視聴しました。

 「しんぶん赤旗」では、22日(本日)志位委員長のあいさつが掲載されました。 今後連続して、当日の内容が掲載される予定とのことです。

 志位さんはあいさつでのなかで、綱領の「ルールある経済社会」の基礎になる諸命題について「マルクスが到達した理論的立場」がいかされていることを説明しました。

 そして、次のことを最後に強調しました。

 「それは、マルクスが、1865年前半の時期に、恐慌論にかかわって大きな発見を行ったということです。 ~すなわちマルクスは、65年前半の時期に、それまでの恐慌が引き金となって資本主義を変革する革命が起こるー『恐慌=革命』説とよぶべき立場を乗り越えて、不破さんが『恐慌の運動論』とよんでいる恐慌論を発見しました」

 「それは、資本の再生産過程に商人が入り込むことによって、再生産過程が商品の現実の需要から独立した形で、『架空の需要』を相手にした架空の軌道を走りはじめ、それが累積し、破綻することによって恐慌が起こるというものです」

 「この新しい見方に立ちますと、恐慌というのは、資本主義が『没落』の過程に入ったことの現れではなく、資本主義に固有の産業循環の一つの局面にすぎず、資本主義は、この循環を繰り返しながら発展をとげていくことになります。歴史を見れば、事実そうなっていったわけであります」

 「この『恐慌の運動論』の発見は、マルクスの資本主義観を大きく変え、革命論も大きく変えるものとなりました。 すなわち、あれこれの契機から始まる破局的な危機を待つのではなく、資本主義的生産の発展のなかで、社会変革の客観的条件と主体的条件がどのように準備されていくかを全面的に探究し、労働者階級のたたかい、成長、発展によって革命を根本的に準備していく」

 「これが革命論の大きな主題となりました。 『資本論第1部完成稿』には、こうした立場にたった資本主義の『必然的没落』論が全面的に展開されることになりました」

 志位さんは、「ぜひマルクスを学び、研究し、社会進歩の事業に役立てていこうと志す多くの方々が、新版『資本論』を手にとって、活用していただくことを強く願い、あいさつといたします」と述べました。


「資本論」新版刊行ー30年ぶり、日本共産党綱領改定にかかわって

2019年09月01日 | 「資本論探究」

 「資本論」新版刊行について、不破氏(日本共産党社会科学研究所長)は、8月18日付、「しんぶん赤旗」掲載の討論(不破氏、萩原氏、山口氏)で、不破氏は次のように語っています。

 不破 「『資本論』の親書版は1982年から89年に刊行しましたが、それ以来30年たちます。 この間に『資本論』の諸草稿がすべて刊行され、日本語訳の刊行もすすみました。 また、エンゲルスの編集上の問題点も明らかになり、その解決を含め、新しい内容をもった新たな版を準備する条件が整ったのです」

 「新版では、これらの問題点の解明とマルクスの学説の到達点を明確にすることに特別の力を入れました」

 大変、興味深い対談が紹介されていますが、2003~2004年の党綱領改定に関わる、不破氏の発言を紹介します。

 不破 「諸草稿を読むと、ここでの未来社会論は、マルクスが最初の経済学草稿『1857~58年草稿』にとりかかった最初のときから、すべての人間が自分の意のままに活用できる『自由』な時間をもつことに、未来社会の根本問題があるとして、その展望を発展的に展開してきたことがわかります」

 「第三部第七篇には、その到達点が、『自由の国』と『必然性の国』という印象的な言葉を使って展開されています。 この一節は、現行版では、『三位一体的定式』という俗流経済学の滑稽な図式批判の文書のなかに埋め込まれていて、未来社会論がそこにあるとは、多くの方が気がつかなかったのではないか」

 「草稿では、[  ](角カッコ)つきで書かれた一節ですが、これは、マルクスが、文賞を書いている地点の主題とは別個の問題をそこに書き込むときに使う方式なのです。 エンゲルスも、この文章の意義を読み取っていたら、第七篇の冒頭の角カッコつきで書かれた未来社会論を、俗流経済学批判のなかに埋没させることはしなかったと思います」

 「私たちは、2003~04年の党綱領改定のさいに、マルクスのこの解明に注目し、人間の全面的な発達をはかる『自由な時間』をつくりだすことを、未来社会における人間生活の変化の最大のものと意義づけました」

 新判「資本論」刊行記念講演会が、9月20日(金)午後5時半開場、午後7時~9時、東京・四谷区民ホールで開かれます。

 第1分冊の到着を楽しみにしています。

 


「マルクス弁証法観の進化を探る」-不破氏が雑誌「経済」に連載開始

2019年04月19日 | 「資本論探究」

 不破氏が「『資本論』のなかの未来社会論」の初版を刊行したのは今年の3月でした。 この中には、「『資本論』のなかの未来社会論」第一篇に「資本主義の『必然的没落』の法則性をつかむ」が記述されています。

 今回の不破氏の新連載の冒頭で不破氏は、次のように今回の連載への意気込みを語っています。

 「この20年あまり、諸草稿を読みながらの『資本論』研究を続けてきましたが、その中で、経済学に取り組むマルクスの方法論そのものにも進化の重要な過程があることを痛感してきました」

 「方法論といえば、いうまでもなく、その中心は弁証法です。 しかし、マルクスには、弁証法についてのまとまった記述がありません。 そして、注目する必要があるのは、弁証法についてのマルクスの見方には、沈黙の時期を含む、進化と発展の歴史があることです」

 「連載」の第1回は、「序章 マルクスの弁証法探究の歴史」ですが、この章の最後で不破氏は次のように記述しています。

 「私は、現存するものの、『肯定的理解』のうちに、『その必然的没落の理解』を含むことを、前面におしだしたこの文章を、マルクスの弁証法観の到達点を特徴づける『第二の命題』(発展と没落の弁証法)と呼びたいと思います」

 ★「この文章」は「経済」誌をご覧ください。

 「そして、『叙述の仕方』と『研究の仕方』の区別を指摘したさきの『第一の命題』(研究過程の弁証法)と、『肯定的理解』のうちに、『必然的没落の理解』を含むとした『第二の命題』(発展と没落の弁証法)と、この二つの角度からの探究に、もう一つ、他の角度(使価値と交換価値の弁証法)からの探究もくわえて、『資本論』および諸草稿の執筆の過程で、マルクスの弁証法がどのような進化を遂げ、それが、現在私たちが呼んでいる『資本論』全三巻にどのように結実しているかを、見てゆきたいと思います」

 不破氏の尽きることのないマルクス探究に心から敬意を表します。 そして、その探究と解明に少しでも近づけるように努力していきたいと考えています。

 (統一地方選最終版の大激戦の合間をぬって)

 


"週28時間労働制” 賃金減額なし、ドイツ金属労組が獲得。育児・介護保障で

2018年02月07日 | 「資本論探究」

 ドイツ金属労組(自動車、機械、金属、電機産業などを結集。組合員390万人)の”週28時間労働制”要求交渉の行方が気になっていました。 ドイツ金属労組(IGメタル)の活動は、私も現役時代から良く聞いていた名前です。 IGメタルが1984年7週間に及ぶストを実施し、週40時間から35時間労働制を獲得したことは日本でもよく知られています。

 「しんぶん赤旗」2月7日付によれば、同労組の南西地区(バーデン・ビュルテンベルク州)と使用者側が6日、6回目の労働協約交渉で、「最大2年間の条件付きで週28時間労働制を導入することで合意した」とのことです。

合意内容については、「8歳未満の子どもの世話や老親などの介護で必要な場合、通常の週35時間労働から週28時間労働に移行できる」というものです。

 同紙は、さらに「これまで、小さな子ども抱え、保育園にも預けられなかった労働者はパート労働に変わらざるを得ず、収入も大幅に減っていました。 今回、給与は減額されることはなく、画期的な内容、2019年から実施」 ドイツ・メディアは、「他の地区もこれをモデルに合意にむかう」と報道していることを伝えています。

 日本の国会では、安倍政権が準備している「働き方改革」法案が審議されています。 日本共産党は、1月25日、同26日の衆参代表質問で、志位、小池氏が取り上げ安倍首相を質しました。

 小池氏は、「日本の財界はこの20年間、ホワイトカラー・エグゼンプションなど、労働基準法の労働時間の適用を除外することを、繰り返し政府に求めてきました。 今回の『高度プロフェッショナル制度』、いわゆる『残業代ゼロ法案』も、まさに財界の要求そのものです」

 「これまで日本の労働団体が『労働時間の適用から除外してほしい』と要望したことが1度でもありますか。 逆に一貫して反対し続けてきたではありませんか」と主張しました。 その上で、残業時間規制について、次のように具体的な質問をしました。

 「電通の高橋まつりさんの過労自死の後も、過労死の例が後を絶たず、上限規制は待ったなしです。 しかし、なぜ、残業時間の上限を月100時間までにするのですか」

 「トヨタ自動車の系列子会社で働き、2011年に37歳で突然死した三輪敏博さんは、亡くなる直前に月85時間の残業をし、名古屋高裁は昨年『過重な労働だった』と認定。 政府も受け入れ、判決は確定しました」

 「厚労省の報告では、安倍政権の4年間、三輪さんと同様に月の残業時間が100時間未満で過労死認定された方は、毎年、全体の52%から59%で過半数です。 残業を月100時間まで可能にする政府案は『過労死の合法化』ではありませんか」

 「『過労死をなくす』というなら、大臣告示の週15時間、月45時間、年間360時間を例外のない残業時間の上限として法令化すべきです」

 小池質問に対する安倍首相の答弁は、次のようなものでした。

 「時間外労働の上限は、月45時間、かつ年360時間と法律で明記する。 その上で、労使が合意した場合でも上回ることができない上限を年720時間とし、その範囲内において、複数月の平均では80時間以内、単月では100時間未満と定めている」

 これでは、前段の大臣告示の法令化は、なんの意味も、実効性もないでしょう。

 安倍首相の答弁どおりに法令化され、施行される職場を想定した時、現場の労働者は、「怒りに震える」でしょう。  財界いいなりの安倍政権には、「労働者は生きて、生活している人間だ」ということが全くわかっていません。

 同じ、資本主義国のドイツと日本。 マルクスの「資本論」の告発の的確性を痛感させられています。

 


マルクスの”労働賛歌”。 「資本論探究」より

2018年02月04日 | 「資本論探究」

「資本論探究」(不破哲三 著)で不破さんは、マルクスの”労働賛歌”について、次のように書いています。

「マルクスの視野には、当面の研究対象である資本主義社会だけでなく、人間社会の全歴史が収められているのです。 そこでは、人間が他人の労働を搾取する搾取社会は、たいへん短い一時期のことで、それ以前には、労働は、すべての人間にとって、自分と社会に役立つもっとも有益で人間的活動でした」

「そして、資本主義を乗り越えたその先に開かれる未来社会でも、労働は、ふたたび本来の人間的な性格をより高度な形態で取り戻すはずです」

「このことを、マルクスは、インターナショナルの『創立宣言』に、労働者階級がめざす未来社会について、『賃労働は、奴隷労働と同じように、また農奴の労働とも同じように、一時的な、下級の社会的形態にすぎず、やがては、自発的な手、いそいそとした精神、喜びにみちた心で勤労にしたがう結合的労働に席をゆずって、消滅すべき運命にある』という文章で表現していました。 解放運動がめざすものは、労働からの解放ではなく、抑圧的・非人間的形態からの労働の解放なのでした」

「こういう視野で、マルクスは、労働の搾取の問題を論じるまえに、人間社会の根本問題として人間の労働とは、本来どういうものであるか、労働は、人間とその社会の発達にどういう役割を果たし、人間生活にとってどういう意義をもつかを、全面的に描きだしたのでした」(「資本論探究」76~77頁)

 こうした、マルクスの提起、指摘は今日の日本の労働者の実態を解明し、労働者の運動を発展させ、日本社会の根本問題を解決する大道・大義を示してくれていように思います。

 


日本資本主義告発ー”これでも同じ人間なのか”。「週刊現代」が特集

2018年02月02日 | 「資本論探究」

 今週発売の「週刊現代」”新・階級社会-日本の不都合な真実”を読まれた方もおられるのではないでしょうか。 私も、「貧困」問題に関心を持って活動している一人として購読しました。

 「週刊現代」の記事を読み、第1に富裕層の生活実態の一端を知ることができたように感じました。 記事に登場するW氏は元々サラリーマン。 投資で財を成した、とうことです。 新興超富裕層の一人でしょうか。

 40代男性のW氏「資産がいくらあるのかーー正直、自分でも正確に把握できていないんですよ。 数百億円といったところでしょうか。 複数のフライベートバンカ―に運用を任せていて、株や債券、外貨、資源、ゴールドなど、ありとあらゆる金融商品に分散投資しています。 何かで損が出たとしても他が補ってくれますから、資産は安定的に増えていく。 年収五億円? それぐらいは優にありますね」-「トマ・ピケティ氏が『21世紀の資本』で喝破した現実は、現代の日本でも着実に進行している」と紹介しています。

 「特集」では、2つの図・表を掲載しています。(出典:「新・日本の階級社会」より作成)このなかで、「アンダークラス(非正規労働者)」に分類されている雇用形態は、「パート」「アルバイト」「派遣社員」とされ、平均年収:186万円、未婚率(男性):66・4%、貧困率:38・7%であり、928万人、全体の14・9%とされています。 パート主婦785万人(12・6%)は含まれていません。

 一方、資本家階級は、254万人(4・1%)。 平均年収(個人):861万人(従業員30人以上)、未婚率(男性):12・9%、貧困率:4・2%と分類しています。 冒頭の超富裕層のイメージとは実態が違うように感じてしまいます。

 私が、普段見慣れていない「表」が、同誌41頁の一覧表「階級ごとの健康状態とストレス、人間関係」でした。 その中で、次の正社員とアンダークラスの比較に注目させられました。 

 「健康状態のよくない人の比率」、「正規労働者 15・0%」「アンダークラス(非正規労働者ー以下同じ)23・2%。

 「うつ病やその他の心の病気の診断や治療を受けたことのある人」「正規労働者 7・2%」「非正規労働者 20・0%」

 「絶望的な感じになることのある人の比率」「正規労働者 14・7%」「非正規労働者 26・8%」

 「親しくし、また頼りにしている家族・親族の人数」「正規労働者 7・7人」「非正規労働者 4・8人」

 「将来の生活に『とても不安を感じる』人の比率」「正規労働者29・0%」「非正規労働者 50・4%」

 そして、記事は、次の文章で締めくくっています。

 「非正規労働者はいくら努力しようと、資本家どころか、正規労働者にすらなれず、一方、資本家たちは肥え太っていく。 新旧中間階級はアンダークラスに転落しないよう、自己保身に汲々とする。 『失われた20年』で、こうした日本社会の構造は揺るぎないものになった。 ぶち壊すには革命しかない。 それは歴史が証明しているのだが・・・・。」


マルクス生誕二〇〇年「『資本論』探究 全三部を歴史的に読む」不破哲三著 刊行

2018年01月29日 | 「資本論探究」

 今年は、マルクスがうまれて二〇〇年。 各地域で、「資本論」の学習会が開かれる計画が伝えられています。

 そのような中、不破さんの「『資本論』探究 全三部を歴史的に読む」(上)が25日発売され、「下巻」も近く発売される予定です。 不破さんの「この書」にかけた思いと内容については、支部のみなさんや若い世代の方々と一緒に学習していきたいと思っています。

 本書に入る前に、私の問題意識を整理するために参考になっているのが、「しんぶん赤旗」日曜版の「経済 これって何?」欄の各論者の解説です。

 今月21日号では、萩原伸次郎横浜国大名誉教授が「社会主義に注目する若者たち」をについて、アメリカとイギリスの世論調査の結果を紹介しています。

 アメリカについては、「ユーガブ」の2017年10月の調査です。 質問事項は「もし選べるなら住みたいのは・・・」「社会主義国 44%」「資本主義国 42%」。 イギリスは、2016年2月調査(調査会社は同じ「ユーガブ」)「社会主義 好き 36%」「同 嫌い 32%」「資本主義 好き 33%」「同 嫌い 39%」

 28日号の同欄では、松本朗立命館大教授の記事を掲載しています。同教授は、「大学でよく使われる教科書ランキング」について米コロンビア大学の調査結果を紹介しています。 同大学の調査は、アメリカ、イギリス、カナダ、など約93万件の大学授業の調査。 それによると、第3位に、「『共産党宣言』 マルクス、エンゲルス」、第44位「『資本論』 マルクス」。となっています。

 同教授は、自ら東アジア、中央アジア、アフリカなどからの留学生に、英語で「Polltical Economy(政治経済学)の講義を担当しています。

 同記事では、「資本論」第1巻の文章「・・・6月の最後の週、・・・すべての日刊新聞は『単なる過度労働からの死』という『センセーショナル』な見出しをつけた一文を掲載した。 ・・・20歳の婦人服仕立女工の死亡のことであった。 ・・・これらの娘たちは平均して16時間半、しかし社交季節にはしばしば30時間も休みなしに労働し『労働力』が思うように動かなくと、ときおりシェリー酒やポートワインやコーヒーを与えて動くようにしておくというのである。・・・(そして、彼女は)金曜日に病気になり、・・・日曜日に死んだ」。

 そして、もう一つは次の文章です。 「クリスマスの日、日本の広告代理店・・・の24歳の女性社員が飛び降りて亡くなった。 亡くなる直前の1カ月間に100時間を超える超過労働で、ほとんど寝ていなかったことが明らかになった」

 バングラディシュからの留学生は、「私の国でも同じ問題がある」と感想を述べ、「『資本論』を学ぶ動機も労働・貧困問題への関心からである」ことを語ってくれています、と松本教授は書いています。

 最初に、「資本論」に接した若い時代を思い起こしています。