【AFP=時事】31日朝の配信ネットニュースは、「世界保健機関(WHO)から脱退する意向を表明したトランプ大統領に30日、各方面から批判が殺到した。欧州連合(EU)は、『いまは協力と共通の解決策を強化すべきだ時だ』『国際的な成果を弱める行動は避けなければならない』とする声明を発表し、米政府に新型コロナウイルスへの対応に問題があったとしてWHOへの資金拠出を恒久的に停止するとした決定を見直すよう求めた』」
「英医学誌ランセットの編集者、リチャード・ホートン氏は、『狂気と恐怖が同時に来た』米政府は人道上の緊急時にならず者になった』と述べた」
「米ジョ―ジタウン大学教授(国際医療法)でWHOにも協力してるローレンス・ゴスティン氏は、トランプ大統領のWHO脱退表明は『違法で無謀かつ危険だ』と述べ、トランプ大統領が議会の承認なく脱退することが可能なのか疑問を呈した」
日本共産党の志位和夫委員長は30日、ツイッターで「脱退表明は新型コロナ収束にむけた国際協調に新たな困難をもたらす重大な誤りだ。WHO総会では、WHOの対応の検証を米国を含む全会一致で決議している。WHOの活動に批判があるなら、WHOの一員として行うべきだ。トランプ大統領に脱退表明の撤回を求める」というコメントを表明しました。
トランプ政権は、米国第1主義を掲げ、これまでも、国際教育科学文化機関(ユネスコ)、国連人権理事会、地球温暖化防止対策のパリ協定、イラン核合意など国際機関や国際的な合意から離脱し、批判を受けています。
新型コロナウイルスとのたたかいは、一国、一地域の問題ではありません。今朝の報道では全世界の感染者は600万人を超え、死者は36万人を超えています。アメリカでは感染者が170万人を超え、死者は10万人を超えています。
EU声明にあるように、「いまは協力と共通の解決策を強化すべき時」ではないでしょうか。
昨日の「ブログ」で省略させていただきましたが、デニス・キャロル元米国際開発局新興感染症室長の次の発言を紹介させていただきます。(「朝日」紙5月28日付掲載)
「ー-トランプ米政権の対応をどう評価していますか」
「(デニス・キャロル氏)『国家安全保障会議(NSC)』にパンデミック担当チームができていましたが18年に解体してしまいました。中国での感染の初動情報もあったのに、政権内でうまく共有されず、本格的な対応をとるのが大幅に遅れました」
「米国と中国は、保健や科学分野で強い協力関係があり、感染症対策でも効果的な情報共有や緊密な連携を可能にしていました。しかし、トランプ政権はこの協力関係を損ねています」
「パンデミックの最中に、世界保健機関(WHO)への拠出金見直しを表明したことも不幸でした。WHOは組織として改善の余地があるでしょうが、現在拠出金を止めるのは人々の助けになりません」