宮応かつゆきの日本改革ブログ

●日本共産党
総選挙で市民と野党の共闘で政権交代を、共産党の躍進をめざします。

「中国の問題ー米国は、本質的な批判が出来ない。日本共産党の果たすべき国際的役割は大きい」

2021年04月14日 | 綱領関連

「しんぶん赤旗」14日付に、7日の「総選挙躍進オンライン全党決起集会」の「幹部会委員長のまとめ」が掲載されました。志位委員長の中国問題に関する発言部分を紹介させていただきます。

【中国の問題ー日本共産党の果たすべき国際的役割は大きい】

「報告では、『中国の問題点に対応するうえで、何よりも大切なのは、国際法に基づく批判であり、『国連憲章と国際法を順守せよ』と中国に迫っていく国際世論による外交的包囲である。と強調したのですが、覇権主義の問題でも、人権侵害の問題でも、この点こそが一番大切なことだということを、強調したいと思います」

「実は、日本政府はもとよりですが、米国政府も『国際法を守れ』と言えない弱点があるからです。いま米中が、東・南シナ海の問題や人権侵害で対立している。いかにもバイデン米政権が正義の主張をしているという見方が多いのですが、米国政府の主張をよく見てみると、国際法にもとづく中国批判ができないのです」

「米国政府は、中国海警法に対しても、『国際法違反』と断じることを避けています。だいたいアメリカは世界最大の覇権主義国ですから、中国を覇権主義と批判すると自分に跳ね返ってくることになる。だから本質的な批判ができないのです」

「人権問題も同じです。米国政府は、香港やウイグルなどでの人権侵害を批判するわけですが、国際法に照らした批判は見られないのです。日本共産党は、これらの問題が国際法に照らしてどこが問題かを、世界人権宣言、国際人権規約ウィーン宣言など、中国自身が賛成した人権保障の国際的取り決めに照らして、『これは内政問題ではない。国際問題なのだ』と批判していますが、米国政府にはそうした論理だてがありません」

「米国務省が毎年発行している人権問題に関する報告書は、最新版で、中国の人権問題について154㌻もさいていますが、国際法との関係を論じた部分はありません。なぜかというと、『米国の外交政策目的に適合する場合にしか国連の人権システムに従わない』これが米国政府の公式の立場だからです。人権問題でダブルスタンダード(二重基準)をやっているものですから、これは本質的批判ができないのです」

「そういうもとで、日本共産党が国際法にもとづいて冷静な批判を貫いていることは、報告でも強調したように、『実はこの点が、国際的にも弱いもとで、私たち日本共産党が果たすべき役割は、大きいものがある』ということを、重ねて強調しておきたいと思います」


「綱領改定の意義ー中国とどう向き合うか」ー改めて、第28回党大会中央委員会報告から

2021年04月09日 | 綱領関連

 菅政権下での初めての国政選挙、参議院長野補欠、広島再選挙が8日告示され、北海道2区の衆院補欠選挙も25日に投開票されます。日本共産党は3選挙区での野党統一候補の勝利をめざして、市民、野党のみなさんと協力、連携し全力を尽くしています。総選挙の日程は流動的ですが、改定綱領下でのはじめての日本の未来に大きく関わる総選挙になると思います。志位委員長が第28回大会で行った「綱領改定案についての中央委員会報告」の次の部分を紹介させていただきます。

【今回の綱領改定の意義ーー半世紀余のたたかいの歴史的経験を踏まえたもの】

「日本共産党が行ってきた、『社会主義』を名乗る国の大国主義・覇権主義との闘争は、半世紀を超える歴史がありまます。そのなかに今回の綱領一部改定案をみると、ここには新しい踏み込みがあることを強調したいと思います」

「わが党は、1960年代以降、ソ連と中国という『社会主義』を名乗る二つの国から激しい覇権主義的干渉攻撃を受け、それを断固として拒否し、自主独立の路線を守り発展させてきました。ソ連によるチェコスロバキアやアフガニスタン侵略などを厳しく批判するたたかいを展開しました」

「中国指導部による『文化大革命』や『天安門事件』などの民主主義抑圧の暴政に対しても、もっとも厳しい批判を行ってきました。同時に、それらの批判はどれも、『社会主義国』の中に生まれた大国主義・覇権主義との闘争、専制主義への批判としてとりくんだものでした」

「それに対して、今回の綱領一部改定案は、中国にあらわれた大国主義・覇権主義、人権侵害を深く分析し、『社会主義をめざす新しい探求が開始』された国とみなす根拠はもはやないという判断を行いました。そうした判断をしたのは、『社会主義』を名乗る国の大国主義・覇権主義との闘争を始めて以降、今回が初めてのことであり、ここには新しい歴史的な踏み込みがあります」

「そして、そうした新しい踏み込みを可能にした根本には、『社会主義』を名乗る国の大国主義・覇権主義との半世紀余にわたる闘争の歴史があるということを強調したいと思います。今回の判断は、自主独立の党としてのたたかいの歴史的経験と蓄積を踏まえたものであるということを、勇気と理性をもってこのたたかいにとりくんだ先輩の同志たちへの敬意をこめた、報告しておきたいと思います」

「この一[部改定案は、日本共産党に対する誤解・偏見をとりのぞくうえで大きな力を発揮するでしょう。中国の党は、『社会主義』『共産党』を名乗っていますが、その大国主義・覇権主義、人権侵害の行動は、『社会主義』とは無縁であり、『共産党』の名に値しません。このことを綱領上も誤解の余地なく明瞭にすることは、日本共産党のめざす社会主義・共産主義の魅力を語り広げるうえでも、霧が晴れたような見晴らしを保障するでしょう」

 

 

 


「改定綱領は、中国の覇権主義・人権侵害に対するうえで、確固たる理論的立脚点」志位委員長

2021年04月08日 | 綱領関連

 しばらく、ブログ投稿を休ませていだだきました。今日から、ブログを再開させていただきます。よろしくお願いいたします。昨日、日本共産党は、「総選挙躍進オンライン全党決起集会」を開催し、志位和夫委員長が報告ました。私も視聴しました。主題は「コロナから命と暮らし守り総選挙勝利へ党活動の前進を」です。志位委員長の報告の全文が今日、4月8日付「しんぶん赤旗」に掲載されました。私は、志位報告の次の部分を紹介させていただきたいと思います。

「改定綱領ー激動の情勢のもとで大きな生命力を発揮」の項で「中国に対する綱領上の規定の見直しーーいま中国にどう向き合うか」と題して、次のように述べました。

「中国に対する綱領上の規定の見直しがどんなに重要だったかは、今年に入っての中国自身の行動によっても証明されています。中国は2月1日、海警法を施行しましたが、これは中国周辺のきわめて広い海域を『管轄海域』と一括し、強制措置などの幅広い権限を与えるものであり、国際海洋法条約など国際法に違反し、覇権主義的行動を法制的にもエスカレートさせるものです」

「また、中国による香港に対する人権抑圧の一層の強化とともに、新疆ウイグルにおける人権抑圧が重大な国際問題となっています。改定綱領は、こうした中国の覇権主義・人権侵害に対応するうで確固たる理論的立脚点となっています」として、次の3点を強調しました。

一つは、中国の問題点に対応するうえで、何よりも大切なのは、国際法に基づく批判であり、『国連憲章と国際法を順守せよ』と中国に迫っていく国際世論による外交的包囲であるとということです。実はこの点が、国際的にも全体として弱いもとで、私たち日本共産党が果たすべき国際的役割は、大きいものがあります」

「二つは、中国の行動に対して、軍事的対応の強化でこたえることは、軍事対軍事の危険な悪循環をもたらすものであり、厳しく退けられるべきものであるということです。日本政府も米国政府も、中国の問題点に対する国際法に基づく冷静な批判を欠いたまま、軍事的強化で対応しようとしていますが、わが党はこうした動きに強く反対します」

「三つは、改定綱領に明記した通り、どんな国であれ覇権主義を許さない立場が大切であるということです。いま、米中が『覇権争い』を繰り広げるもとで、どちらの覇権も許さないーーこの立場を日本の外交政策に位置づけることは、いいよ急務となっています」

 


「綱領一部改定の重要性は、中国自身のこの1年間の行動で証明された」ー2中総志位報告から

2021年03月14日 | 綱領関連

 中国の全人代の報告・決定内容が日本のメディアや中国の人民日報日本語版などで紹介されています。一方、米国のバイデン政権が新たな中国戦略の構築に向けて活発に動いています。今週には、日米(防衛、外務)、米韓2プラス2会談が開かれます。12日には、日米印豪首脳会談が「中国」を念頭に開かれました。また、18日には、米中高官会談がアラスカのアンカレジで開かれることも注目されています。改めて、日本共産党の中国論を 紹介させていただきます。

 日本共産党は、昨年12月15日、第28回党大会期第2回中央委員会総会を開催しました。志位委員長は幹部会報告の「4、改定綱領ーー1年間で発揮された生命力に確信をもって」の中で、「綱領一部改定の重要性は、中国自身のこの1年間の行動によって証明された」と題して次のように述べました。

「綱領改定がいかに重要であったかは、中国自身のこの1年間の行動によって、証明されることになりました。この1年間を見ても、中国による、東シナ海、南シナ海での覇権主義的行動がエスカレートしています。この海域での力による現状変更の動きが激化しています。大規模な軍事演習が繰り返し行われていることも、重大であります」

「今年に入って、香港に対する『国家安全維持法』の強行、民主化を求める勢力への弾圧強化など、人権侵害が一段とエスカレートしました。この問題は、中国がいうような内政問題では決してありません。『一国二制度』という国際約束に反し、中国が賛成・支持してきた一連の国際条約・国際的取り決めにも反する、重大な国際問題であります」

「ウイグル自治区での少数民族への抑圧、強制収容などの人権侵害も、国連をはじめ国際社会で『国際法の義務への違反』として批判が強まっています」

「日本共産党は、中国指導部による覇権主義、人権侵害のあらわれの一つひとつに対して、事実と道理に立ち、きっぱりとした批判を行ってきました。中国によるこれらの行動が、『社会主義』と全く無縁のものであり、『共産党』の名に値しないものであることを、この場でも重ねて表明しておきたいと思います」

「改定綱領が、わが党が毅然とした態度を貫く理論的土台となり、中国問題を利用した反共攻撃を打ち破るうえでも決定的な力を発揮してきたことは、全党のみなさんが強く実感されていることではないでしょうか」

【『国連憲章と国際法を順守せよ』と中国に迫っていく外交的包囲こそ重要】

「それでは、中国による覇権主義、人権侵害を、どうやって抑えていくか。これは今日の国際社会にとっての大きな問題であります。軍事的対応の強化でこたえるという動きは、”軍事対軍事”の危険な悪循環をつくりだすものであり、わが党は、これには厳しく反対します」

「『国連憲章と国際法を順守せよ』と中国に迫っていく国際世論による外交的包囲こそが重要だということを私は、強く訴えたいと思います」

「この点での国際社会での批判の強まりは注目すべきであります。中国のコロナ対応の初動の遅れは、人権の欠如という体制の問題点とも深く結びついたものでしたが、中国はその失敗を隠蔽・糊塗し、自国体制の『優位性』を宣伝し、対外支援に対する『感謝』の強要を行いました」

「さらに、中国のコロナ対応に対して調査を求めたり、批判をしたりする国を敵視し、威嚇、制裁を行ってきました。こうした『どう喝的外交』は、世界の前に覇権主義の姿をあらわにし、中国に対する批判を強める結果となりました」

国連総会第3委員会で、ドイツなど39カ国は、10月、『新疆ウイグル自治区の人権状況と香港の最近の動向に重大な懸念』を表明する共同声明を発表し、ウイグルとチベットでの人権の尊重と調査を要求し、香港での事態について国際人権規約など国際法に合致しないとして即時是正を求めました。この声明には、最近まで中国と良好な関係をもっていたEU加盟国のほとんだが加わりました」~ 中略 ~

「日本共産党は、旧ソ連でれ、中国であれ、どんな大国の覇権主義に対しても堂々とたたかいぬいてきた歴史をもつ党として、世界の平和と進歩のための責任を果たしていく決意であります」ー以下、省略させていただきます。


「中国とどう向き合うかー世界、日本の対応がいよいよ現実的課題に」(1)

2021年03月09日 | 綱領関連

 「しんぶん赤旗」9日付は、北京支局の小林拓也記者の記事を掲載しました。以下、紹介させていただきます。

【国民弾圧続くミャンマー、中国外相 軍批判せず】

「中国の王毅国務委員兼外相は7日の記者会見で、軍による人民への弾圧が続くミャンマー情勢について、軍当局を批判せず、『ミャンマーの各方面が冷静さを保ち、対話を堅持して、憲法の枠組みのもとで矛盾と食い違いを解決してほしい』と述べました」

「その上で、『当面の急務は新たな流血の事態を避けることだ』とし、『中国は緊張緩和のための建設的役割を果たす用意がある』と呼びかけました」

「王外相は、南シナ海問題で、米国などが『南シナ海で騒ぎを起こしている』などと指摘。『彼らの目的は、南シナ海の平和を壊し、この地域の安定を乱すことにある』と主張しました」

台湾問題でも、王氏は、『中国は台湾問題で妥協の余地はない』と強調。トランプ前政権は台湾問題で『火遊びをした』とし、バイデン米政権に『慎重に適切に台湾問題を処理すべきだ』と求めました」

「王氏は、ウイグルなどの人権問題は『中国の核心的利益を侵犯することは絶対に許さない』などと米国をけん制するなど、強硬な姿勢を随所で見せました」


「社会が発展するとともに、人間の考え方、価値観も大きく変わる」 志位委員長の講義から

2021年03月07日 | 綱領関連

 志位委員長の特別講義⑧が、「しんぶん赤旗」2月28日付に掲載されました。テーマは「共産主義、天皇制」でした。 この講義のなかで生徒の質問に答えた、「社会が発展するとともに、人間の考え方、価値観も大きく変わる」と述べた部分を紹介させていただきます。

生徒 共産主義にもしなったとして、人間というのは差があって、怠けてしまう人と、しっかり頑張る人がいると思うのです。その時に怠けてしまう人が、働かずに何かを得てしまったり、怠けて人と頑張った人との差が出てしまったりというのは、社会の発展を止めてしまうのではないかと思うのですが、その点についてはどう思いますか」

志位 社会主義・共産主義の社会になったとしても、自分自身と、その家族、社会全体の生活を維持し、再生産するための労働が必要となることに変わりありません。ただし、そうした労働の性格は大きく変わるだろうという展望を、マルクスはのべています」

「資本主義のもとでは、少なくない場合、労働自身が苦痛で、多くの人々が苦しみながら働いているけれども、社会主義・共産主義では、搾取がなくなり、労働者が、自発的に協力して働くようになるもとで、労働自身が喜びにみちた、楽しいものに変わる。マルクスはそのことを、『自発的な手、いそいそとした精神、喜びにみちた心で勤労にしたがう結合労働』と言っています」

「つまり、社会が発展するとともに、労働に対する人間の見方、考え方が大きく変わるだろう。あまり、『怠ける』ということを心配する必要がなくなるのではないでしょうか。さらに、さきほどお話ししたように、労働時間そのものが短縮されるもとで、誰もが自由な時間を手にすることになります。そうした自由な時間ができたら、その時間を遊んで暮らそうという人もいるでしょし、それもいいんです。自由な時間ですから、何に使ったって自由です。ただやはり、そういう自由な時間ができたら、多くの人たちは、自分の能力を自由に全面的に伸ばすことに使うのではないでしょうか」

「さきほど、マルクス・エンゲルスの『各人の自由な発展が万人の自由な発展の条件になる結合社会』という言葉を紹介しましたが、一人ひとりがその能力」自由に全面的に発展させることは、社会全体をうんと豊かにして、社会全体の力を大きく増すことになります」

「そして、そのことは、一人ひとりの自由な発展の条件をますます豊かにする。こういう好循環が生まれてくることを、私たちは展望しています。こうしたなかで、人間の考え方、人間の価値観も大きく変わってくるのではないでしょうか」

「人類の歴史を考えてみても、原始共同体の時代があった、奴隷制の時代があった、封建制の時代があった、そしていまは資本主義の時代です。それぞれの時代ごとに、人間の価値観も大きく変わってきているでしょう。奴隷制や封建制の時代には、人間の『自由』や『平等』はおよそ問題になりませんでした。しかし、今日の時代では、それが世界の大きな流れになってきているのではないですか」

「人類が、いまの資本主義社会の『利潤第一主義』の仕組み、搾取の仕組みを乗り越えて、新しい社会に進んだら、新しい価値観、考え方、新しい生き方を人間はもつことになる。私はそう考えています」


「共産主義の革命を実現したら、人権弾圧が行われるかー歴史の大逆転は日本では起こり得ない」

2021年03月06日 | 綱領関連

 志位委員長と高校生の交流が続きます。未来社会である社会主義・共産主義についても意見交換が行われました。以下、「特別講義④しんぶん赤旗2月24日付から、紹介させいただきます。

生徒 さきほど、選挙で革命をしていくという発言がありましたが、ドイツのナチ党は過半数を勝利した後にいろいろ人権弾圧を行いました。日本が共産主義の国を選挙の革命で実現した場合、思想弾圧とか人権弾圧が行われるのでしょうか」

志位 そんなことは絶対にしません。私たちは党の綱領で、社会発展のあらゆる段階で、民主的な選挙で多数を得て、一歩一歩進んでいくと明記しています。そして、私たちが多数を得て政権についたとしても、自由や民主主義の制度を守り、充実し、発展させるということは、党の綱領で国民にかたく約束していることです。ですから、そういうことは絶対にやらないということは、ここでもはっきりお約束したいと思います」

「ではなぜつぶれてしまったソ連や今の中国で、人権抑圧などが起こったのかということですが、そこには、まず歴史的な条件の大きな違いがあることを見てほしいと思います。ロシア革命も中国革命も、自由や民主主義の制度が存在しないもとで、武力革命で始まりました」

「問題は、そのあと、自由や民主主義の制度をつくるという努力をやらなかった。逆に指導者が『社会主義』とは無縁の間違った政策をすすめ、ひどい人権弾圧をやってきた。こういう歴史的事情があるのです」

「日本では、戦後75年にわたって、憲法にもとづいてつくられた自由と民主主義の制度を多くの国民のたたかいで守ってきたという歴史的伝統があります。これはナチ党が政権を握った第一次世界大戦後のドイツとも違う。私たちが参画する政権は、それを引き継いで先にすすむわけですから、その政権が弾圧を行うなどということは絶対にありえません」

「これは私たちの党の綱領で約束しているだけでなく、日本の国民が築いてきた伝統にてらしても、歴史の大逆転はおこりえない。また、絶対におこさせない。そこはどうか、心配しないでください」


「中国の経済分野での覇権主義にどう対応したらいいのかー国際的ルールを守れの外交を」③

2021年03月05日 | 綱領関連

 志位委員長の特別講義の最終回が「しんぶん赤旗」1日付に掲載されました。このなかで、生徒の質問の答えて、「中国の経済分野での覇権主義にどう対応したらいいのか」について次のように話しました。以下、紹介させていただきます。

生徒 さきほど中国の脅威に関するお話がありましたが、軍事的な脅威以外にも近頃『静かな侵略』と呼ばれる、中国資本が他国の土地を大量に買収したり、メディアに圧力をかけたり、そういった問題も日本を含め海外で問題視されていると思います。そいった問題にはどのように対処したらいいとお考えですか」

志位 いま中国の覇権主義は、領土拡張という形だけでなくて、経済的にもいろいろな形で表れています。事実上、経済主権を奪ってしまうような形での国際的な関与もあります。途上国でいろいろな乱開発をやり、生態系を破壊するなども問題になっています。メディアへの圧力が外国メディアに及んでいることも看過できません。それらに対してはやはり、『国際的な民主主義のルールを守れ』ということを国際社会がきちんと言っていく必要があると思います」

中国との向き合い方は、たいへん大きな問題です。おそらく近い将来、経済力の規模では、中国はアメリカを追い抜くことになるでしょう。世界最大の『経済大国』になった時に、その国が覇権主義と人権侵害をふるっていたとしたら、世界にとってなかなか大変な問題となるでしょう。もちろん中国が、今後、どのような政治・社会体制を選んでいくのかというのは、中国の国民が決めていくことです。同時に、国際的なルールにてらして、それを逸脱する行動に対しては、正面から理をつくして批判していくことが、とても大切です」

「その努力をやらないで、軍事で対応するのは、軍事対軍事の悪循環におちいり、私たちは、反対です。外交の力で、理をつくして問題点をただす努力を、粘り強く続けることが何よりも大切だと思います」

「さきほども少しお話しましたが、私が、中国と話し合った体験では、中国は理詰めの批判を気にします。『日本共産党の大会決議案から中国批判の部分を削ってくれ』というのは、批判が気になるから言うのです。中国は理詰めの批判を気にしているわけですから、気にしていることをきちんと言わなければいけません。そうして理性の力で間違いをただしてくことが大事です。そうしてこそ、日中両国、両国民の本当の友好関係をつくることができると、私は信じています」

「経済関係についていえば、中国との経済関係をなくすなどということは、世界のどの国もできません。これはかつての米ソ対立とは違います。かつての米ソ対立というのは、どちらかが倒れるまでたたかうという関係だったのですが、今の中国との関係は、どちらかがつぶれたらお互いに困ってしまうわけです。経済的には深い相互依存の関係になっているわけですから、そうした関係であることをよく考慮しながら、国際的なルールを守れということを求めていくことが大事ではないでしょうか」


「中国とどう向き合うかー『国際法を守れ』という外交の力が大切」志位委員長講義 ②

2021年03月03日 | 綱領関連

 志位委員長の「高校生」への「日本共産党の紹介」講義の感想の中に、「中国の脅威に対する志位さんの力強さに感激しました」ということが紹介されていました。中国の香港市民への人権弾圧、中国海警局の船が尖閣諸島周辺で領海侵犯を繰り返す事態が起こっています。「中国とどう向き合うか」は、日本の最大の外交課題の一つとなっています。

 志位さんは、次のように語りました。以下、「しんぶん赤旗」2月22日付「特別講義」②」から紹介させていただきます。

志位 まず中国の現状についてですが、とくにこの10年来、非常に大きな変質が顕著になってきたと考えています。二つの問題が起こってきました。一つは、いま言われた、力ずくで現状を変えていこうという動きです。私たちは覇権主義と呼んでいますが、これが南シナ海、東シナ海、両方で顕著になっています。私たちは、絶対にこれに反対です。もう一つは、香港、ウイグルなどでの重大な人権侵害です。これが非常に深刻な事態になっています。これはもう内政問題とは言えません。重大な国際問題になっています」

「覇権主義と人権抑圧。こういう行動は『社会主義』とは無縁です。私たちは、こうした行動を認めませんし、こういう行動は『共産党』の名に価しないということもはっきり言っています。この前の大会では、党の綱領もそういう方向で改定しました」

「中国に対してそういう厳しい批判をやっています。それでは、どうやって向き合っていくのかということですが、私は、いま一番大事なのは、まず中国に対して面と向かって『国際法を守りなさい』ということにあると強調したいのです。そうした発信を国際社会できちんとおこなうことです」

「私は、いまお話したような批判を、駐日中国大使に1時間半ほどかけて詳しく話し、本国に伝えることを求めました。中国共産党というのは、たいへん大きな党ですが、正論を言われるのが嫌なんです。私たちの党の大会の決議案に、いまお話したような批判を書いたところ、中国大使がやってきて、私に『批判の部分を削ってくれませんんか』というわけです。私は、『それはできません』と中国の行動のどこが間違っているかを事実と道理に立って話したのですが、こうした正論がとても嫌なんです」

「ところが、正論で、中国にきちんとものをいう外交が、実は日本政府は弱いのです。正面切って、どこが問題なのか、国際法にてらして何が問題なのかを言わないといけない。たとへば中国政府は、今度、海警法というのをつくりましたが、これは自分で『管轄区域』と決めたところでは武器の使用までできるとした国際法違反の法律です。私たちは、これは、法律そのものが国際法違反だから撤回すべきだという声明をだしました」

「こういうふうに正面から、『中国は国際法を守れ』という外交の力で、国際社会が強力して、無法なことをやめさていくということが一番大事なことです」


「75.7%の衝撃、そして大きな希望ー志位委員長の高校生向け ” 日本共産党論 ”」①

2021年03月02日 | 綱領関連

「日本共産党の志位和夫委員長は17日(2月)インターネット通信制を活用した私立高校『N高等学校』の『政治部』特別講義で、生徒からの質問に答えて、資本主義への疑問点や共産党がめざす社会主義・共産主義、『アメリカ言いなり』『財界中心』をただす民主主義革命、憲法9条と自衛隊、天皇の制度などについて語りました。1万4602人がリアルタイムで視聴しました」(「しんぶん赤旗」2月21日付)

 志位さんの講義内容(最終回の一問一答を含む)は「しんぶん赤旗」に2月21日付から3月1日まで9日間にわたって連載されました。3月1日付の視聴者からのアンケ―ト結果の一部が掲載されました。まず、その内容から紹介させていただきます。

「特別講義の最後に多くの視聴者からアンケートへの回答が寄せられ、『とても良かった』が55.4%、『良かった』が20.3%にのぼりました。(合計で、75、7%)講義後に参加した高校生らから寄せられた感想をし紹介します」

〇私たちの質問にわかりやすく丁寧に答えてくださりうれしかった。これからも共産党の主張や政策に注目していきたいと思います。

〇コロナ禍で資本主義が大きな岐路に立たされていることは事実です。日本を含め、お金をたくさん持っている人カネ余りなどでさらにもうけた一方で、不安定な職に就かれている方や経済的に厳しい状況にある方などがさらに厳しくなっているということは紛れも事実で、仕方ないで済まされてはならないと思っています。日本共産党の方々にはこうしたことについて、声をさらに大にして取り組んでいただけたらと思います。

〇共産党への理解が深まりました。志位さんご自身の優しいお人柄も好感をもてました。

〇ASEANのように、紛争問題を話し合いで解決できるようにしたいというお話が印象的でした。このような動きが少しでも多くの国で行われることを願っています。

〇中国の脅威に対する志位さんの言葉の力強さに感激しました。

〇日本共産党というと少し怖いイメージがありましたが、今回の講義で少しだけ印象が変わりました。まだまだ、社会主義・共産主義には抵抗がありますが、今回は本当に良い機会だったと思います。少しずつ勉強を重ねて、政治について自分の頭で考えられるようにないりたいと思います。

 


「宮本百合子没後70年ージェンダー問題を先駆的に提起した文学者」ー北田幸恵さん

2021年01月29日 | 綱領関連

 北田幸恵さんの「しんぶん赤旗」への寄稿文が掲載されたのは、1月20日です。宮本百合子が51歳で急逝したのは1951年1月21日でした。今年は宮本百合子(1899年~1951年)没後70周年にあたります。

 北田さんは、日本近代文学研究者。元城西国際大学教授の経歴を持つ方です。著書には、「書く女たち 江戸から明治のメディア・文学・ジェンダーを読む」などがあります。

 北田さんの思いは、「時空を超えて語りかける理知と情感の言葉」の見出しに表現されているように思います。以下、「ジェンダー問題の提起」の部分を紹介させていただきます。

「百合子はまた、現在、注目を集めているジェンダー問題を先駆的に提起した文学者でもある。ほぼ100年前の『伸子』では、女が個人としてではなく家父長制と性役割に縛られて生きることからの解放を追及した。『二つの庭』『道標』に描かれ、往復書簡に示されたロシア文学者湯浅芳子との愛と友情の葛藤の過程は、今日のLGBT問題を考えるうえでも重要なt意味を持つ」

「革命運動の中で出会った9歳年下の宮本顕治との恋愛と結婚は、顕治の投獄によって隔てられるが、獄内外をつなぐ往復書簡『12年の手紙』は凶暴な治安維持法さえ破壊することができなかった戦時下の愛を語る珠玉の人間ドキュメントとして結晶している」

「このような百合子の姿勢は、性、階級、人種を複合的に捉えるフェミニズムを提起して注目されているポスト・コロニアル批評のガヤトリ・スピヴァクの到達点に通じている」

「絶筆「『道標』を書き終えて」には、3千枚の『道標』の次に、続編『春のある冬』『12年』が予定され、創作方法においても模索の途上にあり、さらなる発展を試みようとしていたことが語られている。これらの課題は後世に託されたといってよいだろう」

「半世紀にわたって百合子が紡いだ理知と情感が融合した豊かな言葉は、時空を超えて私たちに語りかけてやまない。誰しもが自分らしく幸福に生きる権利を持ち、それを阻む力に対しては取り除く努力を怠らず、願いの実現のために協同すること、それこそがよりよい未来への扉を開く最高の魔法の鍵であるのだと」

 


「日本共産党がめざす社会主義・共産主義をイメージ豊かに語ること」-憲法学者 小林節さん

2020年08月11日 | 綱領関連

 憲法学者の小林節さんが、「しんぶん赤旗=日曜版9日・16日合併号」で発言しています。私も元気をいただきました。一部を紹介させていただきます。テーマは、「日本共産党創立98周年での志位和夫委員長の講演のどこに注目したのか」です。

「国内問題で言うと、新型コロナで苦しんでいることは、日本でここ十数年にわたり猛威を振るっている、新自由主義ー弱肉強食資本主義にすべて起因しています。私はいつも不思議に思ってきたことがあります。日本国憲法29条は『財産権』『私有財産』を規定し、それが資本主義の根幹となっています。私たちはそう教えられ、学生たちにも教えてきました」

「同時に憲法は25条(生存権)、26条(教育を受ける権利、教育の義務)、28条(勤労者の団結権等)を定めています。この面をみれば、福祉主義的な修正資本主義だと言えます。だから日本国憲法は社会主義的な条件付きの資本主義を規定しているのです。これは『歴史の進歩』と言っていいものです」

~中略~

「新自由主義だけでなく資本主義体制そのものの矛盾についても指摘しました。資本主義は、『資本の自己増殖』が『正義』であるため、物欲が抑制されず自然環境が破壊され、そこから新型コロナが発生しました。貧富の格差が広まったために被害が拡大しました。資本主義の限界が誰の目にも見えてきたと思います」

「社会主義・共産主義では、資本は公のものになり、その目的はみんなを豊かにすることにあります。つまり、『国民の幸福』が資本の存在理由になります。そこには現在の問題を根本的に解決できる希望があります」

「記念講演会に寄せたメッセージで私は『まさにいまこそ、共産主義が正当に評価される時が来ている』とのべましたが、そういう思いを込めました」

~中略~

「いまの『中国共産党』は覇権主義を振りかざし、香港などでの人権侵害を進めています。共産党の名に値しません。そのことを日本の政党でもっとも強く批判しているのは日本共産党です」

「中国、ソ連の専制主義は、マルクスが目指していたものではありません。いわばエセ『共産主義』です。だからこそ、日本共産党がめざす社会主義・共産主義をイメージ豊かに国民に語っていくことが大切だと思っています」

 

 


「米空母コロナ感染乗組員、厚木・横田基地に隔離」 米軍・日本政府は地元自治体に具体的な説明拒否

2020年05月10日 | 綱領関連

 米海軍が唯一、海外に空母を配備している基地は、横須賀基地しかありません。

米海軍横須賀基地(神奈川県)所属の原子力空母ロナルド・レーガンの出港に向けて、乗組員を3グループに分けて近隣の横田(東京都)、厚木(神奈川県)両基地に隔離している最中、新型コロナウイルスへの感染者が確認されていたことが分かりました」(「しんぶん赤旗」10日付)

「横田基地の第374空輸航空団司令部が周辺自治体に提供した情報によると、コロナ感染防止のため、2グループが同基地内に滞在。第1グループが任務派遣前で隔離措置を受けており、第2グループがその支援スタッフだとしています。このうち、第1グループの『少数名』で感染が確認されたとしています」(同前)

また、第3グループが厚木基地内に滞在。同基地司令官は4月28日付メッセージで、この中から感染者が確認されたことを明らかにしています。米軍準機関紙『星条旗』7日付によれば、3つのグループはいずれもレーガンの乗組員です。レーガンではこれまでに16人の感染が確認されています。一連の情報から、その後も確実に感染が広がっていることが浮き彫りになりました」(同前)

「ただ、厚木基地を抱える大和市が防衛相に事実関係を照会したのに対し、同省は『米軍の運用に関わる』として説明を拒みました。政府の説明責任が問われています」(同前)

 新型コロナに関する情報は、最大限公開される必要があります。感染乗組員の感染経路、病症の状態と治療状況、基地内での感染拡大防止対策さらに基地周辺住民への影響と対策等は最低限の公開ではないでしょうか。

 横須賀も横田も厚木基地も日本国内にある基地です。アメリカ本土にある基地ではありません。米軍基地には、日本の憲法も法律もいっさい摘要されません。アメリカの占領統治地なのです。

 日本共産党の綱領は、日米関係について、次ぎのように述べています。

「日本とアメリカとの関係は、対等・平等の同盟関係では決してない。日本の現状は、発達した資本主義諸国のあいだではもちろん、植民地支配が過去のものとなった今日の世界の国際関係のなかで、きわめて異常な国家的な対米従属の状態にある。アメリカの対日支配は、明らかに、アメリカの世界戦略とアメリカ独占資本主義の利益のために、日本の主権と独立を踏みにじる帝国主義的な性格のもである」

 


「マルクスの描いた大展望ーー人間と自然の交流、人間性にもっともふさわしい条件で」-改定綱領講座(3)

2020年04月16日 | 綱領関連

【エンゲルスの「自然の弁証法」に関する部分は、省略させていただきます】

 志位さんは、「第3の文書」で次のように紹介しています。

「利潤第1主義による『物質代謝』とその前提となる『永久的自然条件』の攪乱・破壊は、どうすれば克服することができるのか。マルクスは、その根本的展望を、『資本論』第3部での未来社会論のなかで、次ぎのようにのべています。『この領域(物質的生産の領域、必然性の国のことーー引用者)における自由は、ただ社会化された人間、結合した生産者たちが、自分たちと自然との物質代謝によってーー盲目的な支配力としてのそれによってーー支配されるのではなく、この自然との物質代謝を合理的に規制し、自分たちの共同の管理のもとにおくこと、すなわち最小の力の支出で、みずからの人間性にもっともふさわしい、もっとも適合した諸条件のもとでこの物質代謝を行うこと、この点にだけありうる」(「資本論」第3部第7編第48章「三位一体的定式」、新書版⑬1435㌻、上製版Ⅲb1441㌻)

「マルクスがここで、『この領域』と呼んでいるのは、物質的生産の領域のことです」

~中略~

「『資本論』から3つの文章を紹介しましたが、いまのべてきたことをまとめると次ぎのようなことになります」

「人間は、この地球上で、自然と交流しながらーー物質代謝をしながら生きてきた。しかし、資本主義的生産の利潤第1主義は、物質代謝を攪乱し、その前提である自然条件を破壊する。その攪乱・破壊は、現在では、地球規模での気候変動まで引き起こし、人類の生存条件を破壊しかねないところまできている」

「未来社会ーー社会主義・共産主義社会は、この攪乱・破壊を規制し、人間と自然との交流ーー物質代謝を、合理的に、最小の力の支出で、人間性にもっともふさわしい条件のもとで進めることを可能にする。これがマルクスの描いた大展望でした」

「マルクスの『資本論』でのこの解明は、気候変動の問題の解決の根本的な道を明らかにしていると言えるのではないでしょうか。すなわち、資本主義を乗り越えて社会主義にすすむことが、地球的規模での環境破壊ーー気候変動の根本的解決の道だということを示しているのではないでしょうか」

「マルクスの生きた時代には、地球的規模の環境破壊はおよそ問題になりませんでした。しかし、その時代に、マルクスは、資本主義的生産による自然環境の破壊の最初の現れに着目して、『物質代謝』の『攪乱』という分析を行い、それを根本的に解決する道は未来社会への変革のなかにある。ここまでのべていたのです」

「その論理の深さ、洞察力の深さには驚くべきものがあるのではないでしょうか」

「地球的規模の気候変動についても、マルクスは『資本論』のなかに解決の手がかりになる太い論理を示している。このことに注目して『資本論』を読んでいきたいと思います」

 

 


「気候変動の問題ー『資本論』のなかに問題解決への手がかりがある」-「改定綱領講座」 (2)

2020年04月14日 | 綱領関連

 志位さんの「改定綱領」講義内容を引き続き紹介させていただきます

「もちろんこの課題は待ったなしであり、資本主義のもとでも、そうした『システムの移行』を実現するための最大の努力を緊急に行なっていく必要があります。ただ少なくとも、資本主義に特有な利潤第1主義を。かなりの程度まで規制、抑制する社会システムが必要になることは間違いないのではなでしょうか」

 そして、次ぎのように、語りました。

【気候変動の問題ーー『資本論』のなかに問題解決への手がかりがある】

「マルクスが生きた時代は、18~19世紀初頭に起きた『産業革命』から間もない時代であり、地球的規模の環境破壊は問題にならなかった時代です。それでも『資本論』のなかには、この問題の解決の手がかりになる論理があります。マルクス『資本論』から3つの文章を抜き書きしてみました」

第1の文書。マルクスは『資本論』のなかで、人間の生産活動、経済活動を、自然と人間との『物質代謝』のなかに位置づけました。『労働は、使用価値の形成者としては、あらゆる社会形態から独立した、人間の一生存条件であり、人間と自然との物質代謝を、したがって人間生活を媒介する永遠の自然必然性である』」(「資本論」第1部第1編第1章「商品」、新版①79㌻)

「ここでマルクスが使っている『物質代謝』とは、もともと生物学の言葉です。すべての生命体は、外界から栄養物資などを取り込んで、体のなかで変化させて、自分に必要な構成物質につくりかえ、エネルギー源としたうえで、不要な部分を対外に排出しています。どんな生命体でもやっていることです」

「これを生物学で『物質代謝』と呼びますが、マルクスは、この言葉を使って、人間が労働によって、自然からさまざまな物質を取り込み、それを加工して自分の生活手段に変えることを、生命体になぞらえて、『自然との物質代謝』と呼んだわけです」

第2の文章。資本主義的生産は、利潤第1主義による産業活動によって、人間と自然との物質代謝の前提になっている自然の環境を破壊していきます。『資本主義的生産は、それが大中心地に堆積させる都市人口がますます優勢になるに従って、一方では、社会の歴史的原動力を蓄積するが、他方では、人間と土地とのあいだの物質代謝を、すなわち、人間により食料および衣料の形態で消費された土地成分の土地への回帰を、したがって持続的な土地豊土の永久的自然条件を攪乱する」(「資本論」第1部第4編第13章「機械と大工業」新版③880~881㌻)

「ここでは、『物質代謝』の『攪乱』という分析が現れます。『持続的な土地豊土の永久的自然条件を攪乱する』とは、資本主義的な利潤第1主義の農業生産によって、土地の栄養分がなくなってしまい、荒れ地になってしまうことを言ってす。当時、自然環境の破壊は、こうした農地の破壊という形で問題になっていました」

~中略~

「現代の資本主義的生産は、まさに利潤第1主義が猛威を振るうことで、地球規模での環境を『攪乱』=破壊し、気候変動を引き起こすまでにいたっていますが、その最初の現れの一つを、マルクスはこういう言葉でのべていたのであります」

(つづく)