「独立宣言」は、「前文」の最後の部分で、次のように記述しています。(「国務省出版物ーアメリカンセンター」より引用、以下、同じ)
「現在の英国王の治世の歴史は、度重なる不正と権利侵害の歴史であり、そのすべてがこれらの諸邦に対する絶対専制の確立を目的としている。 このことを例証するために、以下の事実をあえて公正に判断する世界の人々に向けて提示することとする」
そして、28カ条にわたって、例証が書き連ねられています。 紹介します。(「数字」は、みやすくするために、引用者が付けました)
1、国王は、公共の利益にとって最も有益かつ必要である法律の承認を拒否してきた。
2、国王は、国王自らの承認が得られるまで執行を保留するとうたわれていない法律の場合は、緊急かつ切迫した重要性を持つ法律であってたとしても、植民地の総督に対し、そのような法律を通過させることを禁止した。 また、保留条項のある法律については、まったく注意を払わず、放置した。
3、国王は、人民の英国議会における代表権を放棄しなければ、広大な地域の人民のためとなるその他の法律を通過させることを拒否すると威嚇した。 こうした権利は、人民にとって計り知れないほど貴重なものであり、それを恐れるのは専制君主のみである。
4、国王は、立法府を疲弊させ、国王の政策に忍従させることを唯一の目的として、定例の会議とは違う不便な場所、また議会の公文書の保管所から離れた場所で議会を召集した。
5、国王は、植民地の代議院が国王による人民の権利侵害に対し、果敢に断固として反対したという理由で、各代議院を何度も解散させた。
6、国王は、そのような解散を行なった後、新たに各代議院を選出することを長期わたって拒否してきた。 それにより、消滅させることのできない立法権の行使は、人民全体に戻されるところとなり、その他、諸邦は外からの侵略および動乱のあらゆる危険にさらされた。
7、国王は、諸邦への人口増加を防止しようと努めた。 その目的のために外国人帰化法を妨げ、この地への移住を奨励するその他の法律の通過を拒み、新たな土地取得の条件を厳しくした。
8、国王は、司法権を確立する承認することを拒むことによって、司法の執行を妨げてきた。
9、国王は、判事の任期およびその給与の額と支払方法を、国王の一存で左右できるようにした。
10、国王は、あびただしい数の官職を新たに設け、この植民地の住民を困らせ、その財産を消耗させるために、多数の役人を派遣してきた。
11、国王は、われわれの立法府の同意をえることなく、平時においてもこの地に常備軍を駐留させている。
12、国王は、軍隊を文民統制から独立させ、かつそれよりも優位にたたせるような措置をとってきた。
13、国王は、他者と共謀し、われわれの政体とは相容れない、またわれわれの法律によって認められていない司法権にわれわれを従わせようとしてきた。 そして、見せかけの立法行為による以下のような法律を承認してきたーー
14、われわれの間に大規模な軍隊を宿営させる法律
15、その軍隊が諸邦の住民に対して、殺人を犯すようなことがあった場合でも、見せかけばかりの裁判によって彼らを処罰から免れさせる法律
16、われわれの世界各地との貿易を遮断する法律
17、われわれの同意なしにわれわれに課税をする法律
18、多くの裁判において、陪審による裁判の恩恵を奪う法律
19、われわれを偽りの罪で裁くために海を超えて移送する法律
20、隣接した王領植民地で英国法の自由な制度を廃止し、そこに専制的な政府を樹立し、しかもその境界を拡張することによって、その政府を、われわれの植民地に同様の専制統治を導入するための先例とし、また恰好の手段とする法律
21、植民地の設立特許状を剥奪し、われわれの最も貴重な法律を廃止し、われわれの政府の形態を根本的に変える法律
22、植民地の立法機関を一時停止させ、いかなる事項においてもわれわれに代わって英国議会が立法を行なう権限を与えられていると宣言する法律
23、国王は、われわれを国王による保護の対象外であると宣言し、われわれに対し、戦争を仕掛けることによって、植民地での統治権を放棄した。
24、国王は、われわれの領海で略奪行為を行い、沿岸地域を蹂躙し、町を焼き払い、人民の命を奪った。
25、国王は、最も野蛮な時代にもほとんど例を見ない、およそ文明国家の長として全くふさわしくない残忍さと背信行為の数々で、すでに始められている死と荒廃と専制の事業を完遂するために、現に外国人傭兵の大軍を輸送している。
26、国王は、公海で捕虜となったわれわれの同胞に、祖国に対して武器を取らせ、友人・兄弟に対する処刑人になるよう、あるいは自らの手で自ら命を落とすよう、強要してきた。
27、国王は、われわれの間に内乱を引き起こそうと扇動し、また、年齢・性別・身分を問わない無差別の破壊を戦いの規則とすることで知られる、情け容赦のない野蛮なインディアンを、辺境地域の住人に対してけしかけようとした。
28、こうした弾圧のあらゆる段階で、われわれは最も謙虚な言辞で是正を嘆願してきた。 われわれの度重なる嘆願に対しては、度重なる権利侵害で応えたに過ぎない。 このように、専制君主の定義となる得る行為を特徴とする人格を持つ君主は、自由な人民の統治者として不適任である。
こうした、二百数十年前の「独立宣言」を読み、今の日本を重ね合わせて考えた時、日本の主権を回復し政治を自立させる活動と同時に、対米関係を根本的打開する対話と交渉をまず市民社会のレベルで、そして、政府間のレベルで本格的に進めることが可能ではないかと考えています。