緊急事態宣言やまんえん防止等重点措置を政府が連休明けにどのように判断するのか。そして、その根拠と今後の対策について、国民が注目しています。
「しんぶん赤旗」の5日付に、「ワクチン・検査・英に学ぶ」の見出しで、中祖寅一編集委員の渋谷健司教授のインタビュー記事が掲載されました。今後の日本政府の対策に参考になるだけでなく、国民の間でも大いに議論し提言していくことが求められているのではないかと感じさせられました。以下、同記事の一部を紹介させていただきます。
「— イギリス型・N501Y変異株の脅威についてお聞かせください」
「(渋谷教授)N501Yは重症化率が従来型より60%以上高いというデータもありまが、何よりも恐ろしいのは感染力が強く、感染者数が急激に増えることです。そのために医療機関が逼迫し、十分な治療体制が確保しきれず、結局、死亡者数も重症者数も増えてしまう。『感染者数をできるだけ抑えることが肝心だ』と何度も警告してきましたが、イギリスでも日本でも対応が後手に回り、悪い状況を引き起こしてしまいました」
「また、変異株は若い人や子どもにも感染が広がります。そこで飲食から過程という流れだけでなく、職場や学校で広がり、そこで地域・家庭に持ち込まれるというパターンになります。クラスターも飲食だけではありません」
「— イギリスでの対策はどのようになされてきたのでしょうか」=「略」
「— 『人の行動のコントロールは難しい』という認識で、早くからワクチン開発にかけてきたと聞きます」
「(渋谷教授)アストラゼネカ社にワクチン開発を急がせ、オックスフォード大学のパンデミック・チームにはMERS(中東呼吸器症候群)ワクチンの技術をコロナに使う準備を昨年1月に開始させ、6月にはファイザー、アストラゼネカとのワクチン供給を早々に契約しました」
「ワクチン供給体制についてのタクスフォースを昨年5月に立ち上げました。ワクチンの確保に加え、接種の情報システムやロジスティックス(実行体制の確保)が極めて重要なため、医療のほかデータサイエンスティックスやロジの専門家が集められています。また医療施室以外にも、薬局、スポーツセンター、教会、大きオヒィスなどで打てるように規制を解除し、もともと薬剤師が打てるうえに、法律を改正して訓練を受ければボランティアでもワクチンを打てるようにしました」
「— ワクチンの効果が出てくるまで、さらに検査・隔離が不可欠ですね」
「(渋谷教授) ジョンソン政権は、すでに昨年9月には『国民全員検査』の方針を出しています。ワクチンが供給されるまでに検査を拡大することが社会を回すために必要だと言っていました。その後10月末までに1日50万件の体制をつくり、今は1日100万件以上。3月8日からはイングランドでは無料で誰でも週に2回の検査ができるようになっています。
― 中略 ―
「イギリスにも南アフリカ型変異朱が南ロンドンの一定の地域に広がりつつあり、そこでは全員検査をやるために一戸一戸ドアをたたきながら検査に回っています。また子どもにも感染が広がることから、学校に定期的に検査が行われています」
「— ワクチン、検査をメインとした対策に治療薬の開発を加えた出口戦略=『正常化への道程』が示されたことは大きいですね」
「(渋谷教授) イギリスでは日本より強力なロックダウンができ、その影響は大きく単純な比較はできません。逆に、制限を緩めるとすぐに人が密集し、マスクをしないなど、行動のコントロールは難しい。『国民の我慢』のみに頼る対策は限界があります」
「日本ではロックダウンはできないが、行動制限やマスク、手指消毒など公衆衛生観念の強さでこれまで対応してきていますが、そればかりに頼っていると効果は限定的で、国民の側にも不安と不満が強まります。何よりも、自粛と緊急事態宣言を繰り返すことで社会経済が疲弊します。『ローマップ』のような形で先の展望を示すことが重要だし、ワクチンや検査など、国民の自主的努力のみに頼らない積極的な政策を柱にするべきです」