宮応かつゆきの日本改革ブログ

●日本共産党
総選挙で市民と野党の共闘で政権交代を、共産党の躍進をめざします。

「軽減税率」を大宣伝。 実態は庶民に増税、大企業には破格の減税

2015年12月11日 | 経済・財政

 自民・公明両党は10日、消費税を10%に引き上げる際の消費税率据え置き制度の取り扱いを除いて、法人実行税率を引き下げることなどを盛り込んだ2016年度「税制改正大綱」を了承しました。

 この間、メディアは連日、大々的に「軽減税率」の報道を競い合っています。 何か、増税ではなく、”減税の恩恵”を国民が受けられるような錯覚させ起こさせられる事態が、意図的につくり出されているように感じます。

 元静岡大学教授・税理士の湖東 京至さんの解説記事を「全国商工新聞」(12月14日付)で読みました。 以下、湖東氏の「解説」の1部を紹介します。

【価格が下がる保証なし】

 「軽減税率をめぐって肝心なことは、消費者にとって軽減税率対象品目がどのように線引きされようと、物価は全く下がらず、消費税は公平な税制にならないということです。 『せめて飲食料品は軽減税率にしてほしい』という消費者の切実な声を聞きますが、軽減税率の適用となった物の値段が下がる保証はありません」

 「例えばペットボトルを見てみましょう。 中の水は8%でもボトルやラベルの印刷費、自販機や電気代、運送費は10%に上がりますから、キリンやアサヒ、コカ・コーラなどのペットボトル飲料販売業者はその分の値上げをしかねません。 価格を決めるのは企業ですから、便乗値上げも可能なのです。 消費税法はそれを禁止していません」

 「野菜や魚など、生鮮食料品の価格は需要と供給の関係で決まります。 天候にも左右されます。 軽減税率が適用されたからといって安くなる保証はありません」

【大企業ほど負担軽く】    

 「軽減税率によって得をするのは消費者ではなく、軽減税率適用物品を販売する企業です。 政府は飲食料品(加工食品を含む)の軽減税率を採用すると、1%で6600億円の税収が減ると試算しています。 2%なら1兆3200億円です。 消費税を税務署に納めるのは事業者(企業)ですから、軽減税率適用物品を販売する事業者の納税額が1兆3200億円減るわけです」

 「これらの製品を大量に販売できるデパートや量販店ほど納税額が減るのです。 ですから、軽減税率は価格決定権を持つ、力の強い企業に対する実質的な補助金になるのです」  

 「じんぶん赤旗」12月5日付は、試算結果を示し、「どこが『軽減税率』?」の記事を掲載しています。 

 同紙の試算によれば、据え置き(8%)の場合、1世帯(2人以上)平均で2%による年間負担増は5万7900円となります。 生鮮食品への支出は年間26万6000円なので、負担増は5300円程度となります。 生鮮食品への税率据え置きが実施されたとしても、5万7900円との差額5万2600円が負担増となります。 公明党が主張してる加工食品を対象に加えても4万6400円の負担増です」

 同紙11日「主張」は、「国民や中小企業を犠牲にする消費税増税も大企業減税もやめ、社会保障に必要な財源は消費税に頼らず確保する、税制・財政の抜本的な見直しが不可欠です」と訴えています。


ギリシャ債務問題、ピケティ氏ら、緊縮策を避難「ギリシャに大恐慌をもたらした」

2015年07月10日 | 経済・財政

 世界中で議論されている「ギリシャの債務問題」について、「しんぶん赤旗」9日付に、次のような記事が紹介されていました。 ギリシャの債務問題を考える注目される「よびかけ」ではないだいろうかと感じました。 以下、紹介させていただきます。

 「フランスのトマ・ピケティ氏ら欧米の経済学者5人が7日、ギリシャの債務問題で強硬な姿勢を示すドイツのメルケル首相に連名で公開書簡を出し、次世代の欧州のために緊縮政策をやめ、債務を減免すべきだと呼びかけました」

 「ピケティ氏らは、『現在、ギリシャ政府は頭に銃をつきつけ、引き金をひくよう求められている』と欧州連合(EU)がギリシャに強いている緊縮政策を厳しく非難しました。 『弾丸は欧州におけるギリシャの未来を殺すだけでなく、希望と民主主義、繁栄の標識であるユーロ圏を殺し、世界中に影響を及ぼしかねない』とギリシャが破綻した場合の世界的影響に強い懸念を表明しました」

 「ギリシャでは40%の子どもが貧困状態にあり、乳児死亡が急増しているなど、『人道に対す衝撃は計り知れない』と指摘。 『賃金引き下げや政府支出と年金の削減、民営化、増税などメルケル首相の求める大半にギリシャは従った」

 「『しかし、1929年~33年以来、見たこともなかった大恐慌をもたらしただけだった』と批判しました」

 「そして、メルケル首相やEU、国際通貨基金(IMF)に対し、『さらなる破綻を回避し、ギリシャをユーロ圏にとどめるために路線を正すべきだ』と提言しました」

 「『1950年代、欧州は、過去の債務、特にドイツの債務の免除の上に築かれた』と述べ、第2次世界大戦で負ったドイツの巨額の債務を免除したことが、『戦後の成長と平和に著しく貢献した』と歴史の教訓を説きました」

 「現在のギリシャについては『懲罰的で失敗した緊縮政策を人道的に見直すべきだ』と強調。 『債務を再編、減免し、経済回復のための息継ぎを与え、削減された債務を長期間かけて返済させるべきだ』とメルケル首相に方針転換を迫りました」

 「書簡は次のように結ばれています」

 「メルケル首相に伝えたいことは明瞭だ。 ギリシャとドイツ、そして世界のために、死活的に重要な指導的行動をとるべきだ。 歴史はあなたが今週とる行動を忘れないだろう。 ギリシャに向かって大胆かつ寛大な歩み寄りを期待する。 それは来るべき世代の欧州に貢献するだろう」

 「書簡にはほかに米コロンビア大学地球研究所のジェフリー・サックス所長、元ドイツ財務次官のハイナー・フランベク氏、トルコ出身経済学者、ダニ・ロドリックス氏、英オックスフォード大学のサイモン・レンルイス教授が名を連ねました」


”月11万円超賃上げ可”の衝撃的提言=「労働総研2015年春闘提言」

2015年01月10日 | 経済・財政

 8日及び9日付「しんぶん赤旗」は、連続して、全労連と共同して研究・政策活動をしている労働運動総合研究所(労働総研)が7日に発表した2015年春闘提言「目先の利益ばかりを追求する経営を改めさせ大幅賃上げ実現を」報道しました。

 早速、労働運動総合研究所のホームページを開き内容をお読んでみました。 どんな提言をしているのか、紹介してみたいと思います。

 [提言要旨]「目先の利益ばかり追求する経営を改めさせ大幅賃上げをー内部留保をこれ以上増やさないだけで月11万円以上の賃上げが可能ー

◆ 当研究所(労働総研)は、かねてから溜まりすぎた内部留保を賃金・労働条件の改善に活用することが日本経済発展のカギであると主張してきた。 近年、その主張が広く理解るようになり、安倍政権も国会で「しっかり(内部留保を)人材に充ててもらいたい」と答弁するに至った。 しかし、内部留保の活用はいっこうに進まず、2013年度末には、GDPを27.8兆円も上回る509.2兆円に達した。

◆ 現在も内部留保は依然増え続けており、1年間に42.8兆円も増加した。 過去に蓄積された内部留保を取り崩さなくても、この原資を活用すれば、役員給与および株主配当を同率に引き上げたとして、1ヵ月11万円以上の賃上げが可能である。

◆ 内部留保は、税金、株主配当、役員給与等を全て支払った後の利益の蓄積であるが、本来、株主や従業員に配分されるべきものであり、多額の積み上がりは、資本主義であっても正常な経済の姿とは言えない。

◆ 2014年の賃金上昇率は1.4%であり、消費税増税分3%の影響(日銀推計によると2.0%)がカバーされていない。 物価上昇と税・社会保険等の負担増から生活を防衛するためには、2015年春闘において、少なくとも6.0%、1万8千円以上の賃上げが必要である。

◆ 日本には、残念ながらサービス残業や過密・長時間労働、低い年休取得率など、先進国と言えない恥ずかしい労働の実態がある。 また、近年の非正規社員の増大がさらなる労働条件の悪化を招いている。 これらの改善を目指すたたかいは、いま、とりわけ重要になっている。

◆ 賃上げ、労働条件の改善は企業に負担増をもたらすが、家計消費需要の拡大によって国内生産が誘発され、回りまわって企業の生産活動を活発にする。 また、GDPや税収を増やす。 産業連関分析により、その大きさを計測したところ、生活防衛に必要な最低限のベースアップと最低賃金の引き上げ、働くルールの確立および非正規の正規化によって、GDPが24.3兆円、税収が4.2兆円増えることが分かった。

◆ いくら首相が要請しても、経営者が率先して自社の賃金を上げることはない。 鍵を握るのは労働者のたたかいである。 2015年春闘は、生活改善だけでなく、本格的なデフレ脱却、経済成長をめざすたたかいであり、労働組合の責任が問われる春闘と言える。

 同提言は、資本金別内部留保について、次のように報告しています。

 「過去1年間(2013年7~9月期から2014年7~9月期まで)に内部留保は、42.8兆円も増加した。 資本金規模別にみると、10億円以上の大企業は14.3兆円、1~10億円未満は7.7兆円、5千万~1億円未満は11.1兆円、1~5千万円未満は9.6兆円と売上高および経常利益がマイナスであった1~5千万円を含む全ての規模で内部留保が増加している」

 「当研究所(労働総研)は、大企業が膨大な内部留保の一部を取り崩して、従業員の賃金ならびに下請け中小企業との取引価格を引き上げることがデフレ不況からの脱却にかかせないと主張してきたが、実は、過去に積み上げた内部留保を取り崩すまでもなく、これ以上内部留保を増やすことをやめ、当期の純益を従業員と役員および株主に還元するように経営を改めるだけで、月11.7万円以上の賃上げが可能になる」

 「この要求を実現することは、目先の利益ばかり追求し、結果としてデフレ不況を長引かせている大企業の経営を、社会的責任を自覚した経営に転換させ、日本経済の本格的なデフレ脱却を可能にすることでもある」

 労働者のみなさんはもとより、多くの方々に読んでいただきたい「提言」だと思います。

 

 

 

 


日銀の追加金融緩和は消費税再増税に道。 被害は国民・中小企業に、増税ストップの1点で共同を

2014年11月08日 | 経済・財政

 「日本共産党の志位和夫委員長は6日、来年10月からの消費税10%増税の可否について、『中止する決断をするべきです。 増税中止論にしても、先送り論にしても、来年10月から10%にするのは良くない』という接点があります。 10%ストップの1点で、国会内外で力をあわせることが大事です」

 「志位氏はこの中で、9月の毎月勤労統計調査で物価の変動を反映した賃金水準を示す実質賃金指数(現金給与総額)が前年同月比で2・9%低下、15カ月連続マイナスになっている事態に言及し、『アベノミクスの二重苦』-①『異次元の金融緩和による円安・物価上昇②消費税大増税ーが家計と経済を破壊し、深刻な政治不況をつくっていると厳しく批判」

 「『どの世論調査をみても7割以上の国民が来年10月からの10%は反対です。 それに応えた決断が必要です」

 「そのうえで、『国会内外でいろいろな意見があると思います。 私たちは増税を中止し、増税に頼らない別の道で財源を確保するという立場です。 一方で増税は容認するが、いま増税するのはよくないという凍結・先送り論もあります。 そうした違いはあっても、来年10月からの10%の増税はストップの1点で力を合わせる立場でのぞんでいきたい」(以上、「しんぶん赤旗」7日付)

 「しんぶん赤旗」8日付は、「ニュースを解く 追加金融緩和」の解説記事(山田俊英氏)を掲載しました。 その一部を紹介します。

 「追加緩和は、日銀が買い入れる長期国債やリスク性金融資産を増やすことで、金融の安定に責任を持つ中央銀行としての信認を危うくします。 決定に9人の日銀政策委員のうち4人が反対し、わずか1票差での決定だったことからも、危うさがわかります」

 「国債は国の借金証書です。 昨年の『異次元の金融緩和』で、長期国債など日銀が保有する金融資産はすでに名目国内総生産(2013年)比40%に達しています。 政策開始当初と比べると2倍に増えています。 国債を買い入れるペースを加速し、国債の満期まで引き延ばすことで、日銀が引き受ける国の借金はさらに膨らみます」

 「国債を日銀が直接引き受けることは、国家財政を破綻に導きかねないため、財政法で禁止されています。 日銀は市場で購入するから直接引き受けではなく、財政赤字の穴埋めではないと釈明していますが、これだけ膨大な国債を買い入れて、その言い訳は通用しません」

 「GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は株式による年金資金の運用を増やす一方、国債での運用を減らします。 市場で大量の国債購入を進める日銀は、GPIFが手放す国債も購入するとみられます。 株による運用は常に損失を出す可能性があり、年金資金の運用失敗は直接国民に被害をもたらします」

 「それに手を貸すという意味でも、追加緩和は大きな問題を抱えています。 しかも『異次元の金融緩和』は、どう終了させるのかの、『出口戦略』がありません。 日銀が買い入れた大量の国債をどうするのか。 エコノミストも『技術的にどうやって長期国債の買い入れから足抜けしていくかという展望が描けていない問題がある』(第一生命経済研究所・熊野英生氏のレポート)と指摘しています」

 「もともと、『異次元の金融緩和』は株価をつり上げて支持率向上を狙った安倍政権の意を受けて始められたものです。 株価上昇は、見かけの上で景気向上を演出します。 追加緩和には再増税に向けた地ならしとしての意味が込められています」

 

 


実質賃金15カ月連続前年割れ。 一方、黒田日銀総裁は、2%物価上昇に「できることは何でもやる」

2014年11月06日 | 経済・財政

 「厚生労働省が5日発表した9月の毎月勤労統計調査(速報)によると、物価の変動を反映した賃金水準を示す実質賃金指数(現金給与総額)は前年同月比2・9%低下しました。 前年割れは15カ月連続」(「しんぶん赤旗」6日付)

 一方、黒田日銀総裁は、5日、都内で講演し、「『2%の物価目標』について、『2年程度を念頭にできるだけ早期に実現する方針に変わりはない』と語りました。 その上、目標の早期実現のために『できることは何でもやる』と強調しました」(同紙)

 日銀が昨年4月から実施している「異次元の金融緩和」は、どんな実態になっているのでしょうか。 10月31日に決めた追加金融緩和などで、株価の上昇や円安を一段と加速させています。

 「しんぶん赤旗」6日付、「データは語る」が、日銀の「異次元の金融緩和」政策の問題点を分かりやすく解説しているように思います。

 「日本銀行が昨年4月から実施している『異次元の金融緩和』で日銀当座預金が膨らんでいます。 10月末時点の残高は168兆円。 2013年3月末のほぼ3倍です。 日銀当座預金は民間銀行など金融機関が日銀に預けるお金です」

 「日銀は『異次元の金融緩和』で年間50兆円もの長期国債を民間銀行から買い入れるなどして、年60兆~70兆円ものお金を供給してきました。 日銀が買い取った国債の代金は各銀行が日銀に持っている当座預金口座に振り込まれます。 銀行がそのお金を企業に貸し出せば投資が増えて、経済活動が活発になるという触れ込みでした」

 「しかし、銀行の貸出金はこの1年半で2%程度増えただけ。 実体経済に与えた効果はほとんどありません。 賃金は上がらず、経済の中心をなす個人消費が増えないので、企業の資金需要も増えないからです」

 「大企業は285兆円もの内部留保をため込んでいるので、銀行から新たな借金をしようとしません。  結局、日銀が供給したお金は日銀当座預金に積み上がっただけでした」

 「日銀は11月から長期国債の買い入れを年80兆円に増やします。 すでに失敗が明らかになった政策をさらに大規模に進めることになります」「(山田俊英)」

 


”変貌する経済-データでみる” 「しんぶん赤旗」連載記事に注目

2014年10月12日 | 経済・財政

 「しんぶん赤旗」は10日、11日付で、「変貌する経済」を連載しました。 日本の生産、雇用、税制、財政を考える際の欠かせないデータが示されているように感じました。

 同記事は、冒頭、「日本企業の多国籍化が進んでいます。 特に製造業企業の海外進出で国内の産業空洞化がますます深刻になっています。 それが、輸出不振、雇用喪失などの主要な要因をなしています」と書いています。

 10日付は、製造業の海外進出の拡大状況と国内の雇用状況について、データで追跡しています。

 「経済産業省の『企業活動基本調査」によると、『日本企業の海外子会社数は2012年度末(13年3月末)現在、3万9154社に達しました。 2000年度の1万8710社から12年間に2倍に増加しました。 製造業が約6~7割を占めています。 製造業をみると、海外子会社数は00年度の1万1117社から12年度の2万6771社へ、同じ期間に全体の伸びを超える2・4倍に増えました」

 「産業別では、自動車など輸送用機械器具が4529社(製造業全体の16・9%)、化学が3104社(同11・6%)電子部品・デバイス・電子回路が2906社(同10・9%)などとなっています」

 「地域別では、中国を含むアジアが1万5537社(同58・0%)、欧州が4792社(同17・9社)、北米が4499社(同16・8%)などとなっています」

 「国際協力銀行の『わが国製造業の海外事業展開に関する調査』によると、海外子会社を持つ製造業企業の海外生産比率は、12年度に全産業で、32・9%を占めました。 産業別では、電気・電子が43%、自動車が39・4%などとなっています。 各社の中期的計画に基づく推計によると、16年度には、海外生産比率が全産業で38・9%に達する見込みです。 産業別では、電気・電子、自動車が顕著でそれぞれ5割に迫る勢いです」

 「この傾向に伴い、海外子会社の従業員が増え、国内での雇用が失われています。 経産省の『海外事業活動基本調査』によると、製造業の海外現地法人(子会社)従業員数は、00年度の281万人から12年度の436万人へ、12年間に約1・6倍に増えました。 一方、厚生労働省の『毎月勤労統計調査』によると、国内従業員数は、00年度の1005万人から13年度の801万人へ2割も減少しました」

 11日付同紙では、こうした傾向を後押ししている大銀行の状況が書かれています。

 「大企業の海外進出を支えているのが、三菱UFJ、みづほ、三井住友の3メガバンクによる融資です。 海外向け貸出残高を3メガ体制が発足した直後の05年9月末と比べると、直近の14年3月末は2・4倍に増え、51兆6000億円に上りました。 3メガの海外貸出金は08年9月のりーマン・ショックでいったん落ち込みましたが、10年9月末以降回復に転じ、その後急速に増加しました。 各行とも利ざやの大きい海外貸し出しを重視してきました」

 「これに対し、3メガの中小企業等向け貸出残高は同期間、116兆6000億円から104兆3000億円へ1割以上減少しました。 国内貸し出しに占める中小企業等向け貸出比率は、14年3月末、59・8%。 3メガ発足後、初めて60%を下回り、最低です。 銀行本来の役割は国内の中小企業に融資して経済を活性化させることですが、大銀行は海外市場で稼ぐことほどには力を入れていません」

 「大企業の海外進出には税制上の特典があります。 外国子会社から受ける配当などの額の95%を、非課税とする『海外子会社配当益金不算入』という制度です。 海外に多くの子会社を展開する多国籍企業が恩恵を受けています」

 「国税庁の2012年度『会社標本調査』によると、この制度によって、益金不算入となる金額は合計3兆4765億円にのぼります。 その95・2%が資本金10億円超の大企業と連結法人のものです。 連結法人は子会社をいくつも抱える大企業です。 同年度、国税の法人税率が25・5%なので単純に計算すれば9000億円近い減税になります」

 安倍政権のもとで、米軍と一体となって、自衛隊が地球の裏側まで出かけて「戦争する国づくり」が進められる大きな動機がこうした大企業の海外進出の拡大とその利権を守るところにあることも浮かび上がってきているのではないでしょうか。


「消費落ち込みの原因は実質賃金低下」、 ”最賃引き上げを” 共産党大門議員 安倍首相に迫る

2014年10月09日 | 経済・財政

 「読売」9日付「政治」面の、「衆参予算委基本的質疑終了」記事は、景気問題について焦点を当てていました。 同紙は「経済再生を再優先課題に掲げる首相はアベノミクスの成果を強調して対抗する構図となったが、景気の先行きへの不安をぬぐいきれなかったとの見方が多い」と」指摘しています。

 同記事の冒頭部分で、一昨日の大門質問が紹介されています。

 「共産党の大門実紀史参院議員は8日の参院予算委員会で、4~6月期の国内総生産(GDP)が下がったことについて、『単なる(駆け込み需要の)反動減でなく、実質賃金の減少が根底にあるのではないか』と政府の認識をただした。 実際、厚生労働省の調査では、名目賃金を示す現金給与総額は上昇する一方、物価上昇率を勘案した実質賃金は、前年割れが14カ月続いている。 首相は答弁で、『実質賃金は確かにマイナスだが、マイナス幅は縮小してきている』と反論した」

 「各種経済指標が弱含みであるには事実で、財務省の国際収支統計では、円安にもかかわらず、輸入の伸びに対して輸出が伸び悩んでいる。 野党側はこうしたマイナス指標を使って、政府を揺さぶった。 首相は、『円安だった2007年~11年に国民所得は42兆円減少したが、政権を取って円安に変わって以降は11兆円プラスだ』と述べるなど、アベノミクス効果を強調したが、輸出の伸び悩みに関しては『予想を下回ったのは事実だ』と認めざるを得なかった」と指摘しました。

 「しんぶん赤旗」9日付「論戦ハイライト」が大門議員の「対案」のポイントを紹介しています。

 「大門氏は、2012年12月の安倍内閣発足時と比べ、『年収300万円世帯だと可処分所得で(年間)7、8万円の負担増だ』と指摘。 『生活を切り詰めるしかないところに追い込まれている。この層の底上げなしに消費全体が上向くことはあり得ない』と強調して、『消費税の再増税は中止すべきだ』と主張しました」

 「大門氏は、所得の低い層の賃金を底上げするために、最低賃金の大幅な引き上げが重要だと提起。 今夏の最低賃金改定は2%程度の引き上げにとどまり、消費税増税分にも追いつかないと指摘しました。 改訂された最低賃金は、全国で最も高い東京都の場合でも時給888円、月(160時間労働)に14万2000円です。 最も低い時給677円の地域では同10万8000円(同)にしかなりません。

 大門 これで、家賃、光熱費、税金、社会保険料を払い、残ったお金で生活できるか。

 首相 できることであれば、最低賃金がもっともっと上がる経済状況をつくっていきたい。」

 同記事は、大門質問で取り上げられた米国の最低賃金の引き上げに取り組んでいる実態を紹介しています。

 「日本と対照的に最低賃金引き上げを経済対策として取り組んだのが米国です。 2007年から5年間で中小企業支援8800億円とセットで取り組み41%も引き上げました。 大門氏は、こうした取り組みにより540万人の賃上げになって消費も拡大し、当初は心配した米国経済界、中小企業団体も歓迎したことを紹介。 経済効果があるとわかって次の段階の引き上げもすすめられている動きを示し、米国の最低賃金の伸びが06年に比べ2倍近い96・1%、日本は同年比で15・9%の引き上げにとどまっていると述べました」

 「大門 フランス、イギリス、ドイツ、アジアでも経済対策として(最低賃金の引き上げは)有効ということで広がり、取り組み始めている。 本気で大きな規模で考えてほしい。

 首相 今は2けたの伸びを続けている。 これを維持したい。

 首相は米国はじめ、諸外国のような大規模な引き上げには背を向けました」

 ☆ 神奈川県の地域最低賃金は、10月1日から、時給887円です。


”円安でも輸出減””谷底削る再増税”=「危険水域日本経済」(下)、女性の賃金引き上げが急務

2014年10月08日 | 経済・財政

 「しんぶん赤旗」8日付、「危険水域日本経済」(下)を掲載しました。 内容は以下の通りです

 「個人消費など内需の低迷は企業の生産の弱さにも直結しています。 内閣府が9月8日に発表した4~6月期国内総生産(GDP)改定値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比1・8%減、年率換算7・1%減を記録しました。 東日本大震災時の2011年1~3月期を超える大幅な落ち込みでした」

 「個人消費の大幅な減少に加え、経済をけん引する設備投資((前期比5・1%減)や輸出(同0・5%減)の低迷が成長率を引き下げました。 大企業優遇の『アベノミクス』で大企業は空前の利益をあげています。 しかしその利益は労働者の賃金や設備投資に回っていません。 円安になれば、輸出が増え、国内生産が増えるという環境にはなっていません。 背景には、大企業製造業を中心に生産を海外移転が進んでいることがあります」

 -(中略)-

 「企業の景況感からも日本経済の停滞が見て取れます。 日本銀行が1日に発表した9月の全国企業短期経済観測調査(短観)は、大企業非製造業や中小企業の景況感が6月の前回調査時に比べ悪化しました。 大企業の小売など個人消費関連の業績の悪化が目立ちました」

 「エコノミストからも景気は『底ばい状態』『後退局面入りが疑われる状況』との見方も出されています。 安倍晋三首相は景気の現状について、『山が高ければ谷も低いが谷が削られているのも事実』と述べました。 しかし、政府が行おうとしていることは、消費税率10%への再増税など景気回復に逆行しいっそう深く谷底を削るものです」 

 「 安倍政権は経済の状況を見ながら、12月にも消費税増税の決断を行うとしています。 世論調査でも来年10月からの消費税増税に反対が6~7割を占めています。 国民の所得が減り続けるもとでさらなる増税で所得を奪い去ることは、日本経済の土台を崩壊させることになります。 暮らしと経済に大打撃を与える消費税増税は中止すべきです」

 昨日の低賃金の実態(国税庁の「平成25年民間給与統計調査」=9月26日発表)について、ネットで調べてみました。

 特に、知りたかったことは、男女差の実態です。

 「100万円以下、 男性 88万4千人(3・2%)、女性 333万1千人(17・6%)」です。 「100万円超~200万円以下、男性 205万1千人(7・5%)、女性 493万円3千人(26・1%=給与構造で最大)」

 200万円以下の給与所得者1119万9千人のうち、女性は826万4千人であり、73・8%に及んでいます。

 安倍首相は、所信表明で「女性が輝く社会」を強調しましたが、女性のこうした低賃金構造を打開する政策は何ら示していません。

 逆に、低賃金の根源になっている、非正規労働を拡大し、「生涯ハケン」の「異常な社会」をめざしています。

 


年収200万円以下ー1100万人超、年収100万円以下―421万人=「危険水域日本経済」(上)

2014年10月07日 | 経済・財政

 「しんぶん赤旗」7日付、「経済」欄で、「危険水域 日本経済」(上)が掲載されています。(2回連載 担当記者は、矢守一英氏です)

 「9月30日に発表された8月の経済指標は、消費税増税が個人消費に及ぼした影響の大きさを鮮明に示しました。 総務省の8月の家計調査によると、1世帯(2人以上)当たりの消費支出は、実質で前年同月比4・7%減少しました。 住宅リフォームやエアコンの不振が目立ちました。 マイナス幅は7月(5・9%)より縮小したものの、消費税増税が実施された4月以降5カ月連続のマイナス。 前回増税後の1997年8月(0・5%減)と比較しても、消費の回復はずっと弱くなっています」

 「甘利経済財政担当相も『(駆け込み需要の)反動減の収束に手間取っている』(9月30日の記者会見で)と景気の停滞を認めざるを得ませんでした。 家計消費が低迷する根本には、国民の所得が減り続けていることがあります。 8月の毎月勤労統計調査によると、物価の変動を反映した賃金水準を示す実質賃金指数(現金給与総額)は、前年同月比2・6%低下し、14カ月連続で前年割れとなりました 」

 「一方で8月の消費者物価指数は、価格変動の大きな生鮮食料品を除く総合指数が前年同月比で3・1%上昇。 物価の上昇に賃金が追い付いていない状況が続いています。 急激な円安の進行に伴う原材料価格の上昇で食料品などの値上げが相次ぎ、家計を圧迫しています」

 「民間企業で働く会社員やパート従業員らが2013年の1年間に受け取った給与の平均は3年ぶりに増加したものの、ピーク時の1997年からは53万7000円も減っています」 (9月26日発表の国税庁「民間給与実態統計調査」)

 「同調査によると、13年に民間企業で働いた労働者のうち年収200万円以下のワーキングプア(働く貧困層)が1100万人を超えたことが明らかになりました。 安倍政権発足の1年で30万人増えました。 全体に占める割合は24・1%。 年収100万円以下の労働者も421万人に達しています」

 「非正規雇用の増大も問題です。 総務省の労働力調査によると、非正規で働く人は前年同月比で42万人増えました。 正規は4万人減っています。 低賃金で不安定な雇用が広がったことが、労働者全体の賃金を引き下げました。 ところが安倍政権は『働き方改革』と称して、『限定正社員』など非正規雇用をさらに拡大する政策を打ち出しています」


 志位委員長、暮らしと経済立て直しの4つの緊急提案ー衆院本会議代表質問で(10月1日)

2014年10月02日 | 経済・財政

 日本共産党の志位委員長は1日、衆議院本会議の代表質問で、国政の焦点となっている4つの問題について質問しました。 ①集団的自衛権②消費税大増税③福島復興・原発問題④沖縄新基地建設についてです。 特に、「外交と経済の新しい政策展望を示しました」(「しんぶん赤旗」2日付) 志位委員長の「暮らしと経済緊急提案」に関わる部分を紹介します。

 「日本経済は『好循環』どころか、悪循環の危険水域に入っています。 日本共産党は、暮らしと経済を立て直すために、4つの緊急提案を行うものです」

 「第一は、消費税10%への増税をきっぱり中止することであります。 国民の実質所得が減り続けるもとで、さらなる増税で所得を奪い取ることは、日本経済にとって自殺行為となると考えますが、いかかがですか」

 「第二は、285兆円にまで膨れ上がった大企業の内部留保の一部を活用して、大幅賃上げと安定した雇用を増やすことです。 そのために政治がなすべきことは何か。 非正規から正社員への流れをつくる雇用のルール強化、『サービス残業』の根絶と長時間過労労働の是正、『ブラック企業』の規制、中小企業への抜本的支援と一体での最低賃金の大幅引き上げなど、国民の所得を増やす政策をとるべきではありませんか」

 「『生涯ハケン』『正社員ゼロ』に道を開く労働者派遣法の抜本改悪、『残業代ゼロ』の労働時間規制緩和は、『使い捨て労働』『過労死』をひどくし、賃下げを促進するものであり、きっぱり中止することを強く求めるものです」

 「第三は、社会保障の切り捨てから充実へ、抜本的転換をはかることです。 安倍政権が、6月に決定した『骨太の方針』では、社会保障給付の『自然増』を聖域なく見直すことが明記されてました。 いまの給付水準をさらに引き下げることになります」

 「かつて小泉内閣が進めた社会保障費の『自然増』を毎年2200億円削減する方針は、『医療崩壊』『介護難民』をつくりだし、日本の社会保障をボロボロにしてしまいました。 自民党もこれを『諸悪の根源』と反省し、麻生内閣のもとでこの方針を撤回したではありませんか。 それを臆面もなく復活させるつもりですか。 無反省・無責任な社会保障切り捨て政策を中止し、充実へと舵を切るべきではありませんか」

 「第四は、税金は負担能力に応じてという、『応能負担』の原則に立って税制改革によって財源をつくりだすことです。 富裕層への優遇税制のために、所得1億円を超えると税負担が軽くなるという逆転現象が生じています。 法人税の実質負担増は大企業が13.9%。中小企業が24.7%とここでも逆転現象が生じています。 この不公平を正す税制改革こそ、最優先の課題ではありませんか」

 「国民に大増税を押しつけながら、大企業に減税をばらまき、その財源との口実で外形標準課税の拡大など赤字で苦しむ中小企業にも増税を強いるというのは、税のゆがみを二重三重にひどくするものであり断じて認められません。 企業から家計へと軸足を移す経済政策の転換が必要です。 わが党の緊急提案に対する総理の見解を問うものです」

  安倍首相は、次のように「トリクルダウン理論」を披歴しました。

 「消費税率の引き上げは、社会保障制度をしっかりと次世代に引き渡し、子育て支援を充実していくためのものであり、その増収分は全額社会保障の充実・安定化に充てられ、国民に還元される。 所得税や相続税の最高税率を見直すなど、再分配機能の回復にも取り組んでいる」

 「法人税改革については、日本の競争力を高める観点から、法人税を成長志向型に変革していくことで、経済の好循環を通じ国民生活の向上につながっていくものと考えている。 また、地方経済を支える中小企業、小規模事業者への配慮の観点も含め検討していくこととしており、大企業に減税をばらまき、中小企業に増税を強いるとの指摘は当たらない」

 


安倍首相「経済の好循環」を強調、志位委員長「日本経済の病理はきわめて深刻」と訴えた

2014年10月01日 | 経済・財政

 阿部首相は、10月29日の所信表明演説で経済問題に関して次のように述べました。

 「有効求人倍率は、22年ぶりの高水準となり、就業地別では、35の都府県で仕事の数が求職者の数を上回っています。 この春、多くの企業で、賃金がアップしました。 頑張れば、報われる。 日本は、その自信を取り戻そうとしています」

 「成長戦略を確実に実行し、経済再生と財政再建を両立させながら、『経済の好循環』を確かなものとする。 そして、景気回復の実感を、全国津々浦々にまで届けることが、安倍内閣の使命であります」

 日本共産党の志位和夫委員長は同日、同党の国会議員団総会のあいさつで次のように述べました。

 「『異常な財界中心の政治』を続けてきた結果、日本は、長期にわたって働く人の所得が減り続け、経済全体が停滞・縮小するという、世界でも特異な国に落ち込んでいます。 この間の経済指標をみてみましても、大企業が空前の利益をあげても、賃金には回らず、巨額の内部留保が積み上がり、経済全体は停滞・縮小していく。 日本経済の病理はきわめて深刻であります」

 「その時に、政府は何をしているかといえば、破綻した『トリクルダウン理論』(おこぼれ経済学)にしがみつき、『成長戦略』『企業の稼ぐ力』という掛け声で、大企業の目先の利益を増やすことを、ひたすら応援するだけです。 国民の暮らしはおよそ眼中にありません。 彼らなりに日本経済をどうするかの見通しすら持っていません。 自民党政治は、もはや日本経済のかじ取りをする資格も能力もなくなったと言わなければなりません」

 志位委員長は今日、午後4時頃、衆議院本会議で代表質問に立ちます。

 どのような論戦になるか、大いに期待しています。 

 


安倍政権の「地方創生」と財界と一体になった「賃下げ」政策、明日から臨時国会

2014年09月28日 | 経済・財政

 臨時国会が明日29日に開会します(11月30日までの63日間)。安倍首相は「女性の活躍」とともに「地方の創生」を焦点にすえようとしています。

 「朝日」27日付に次のような記事が紹介されていました。

 「26日に発表された8月の消費者物価指数では、身の周りの品の値上がり幅が、地方で都市部より大きい傾向が続いていた。 円安で光熱費や食品価格が上がり、ガソリン価格も高止まりする。 賃金の水準が都市部より低いこともあり、日々の暮らしにかかる負担感は重い」

 また、次のような表も掲載されていました。

    物価                  生鮮食品を除くいた消費者物価

 (8月前年比)    2.7%上昇(東京23区)  3.1%上昇(人口5万~15万未満の市

    消費                       百貨店の売上高

 (8月前年比)    0.5%増(10大都市※)  1.9%減(10大都市以外)

    賃金                     全国平均(100)と比べて

   (6月)      144.9(東京都)       87.6(37県※※)

 ※ 札幌、仙台、東京、横浜、名古屋、京都、大阪、神戸、広島、福岡

 ※※ 北海道、宮城、東京、神奈川、愛知、京都、大阪、兵庫、広島、福岡を除く

 「政府と財界、労働界の代表による「政労使会議」が29日に再開されます。 「企業収益の拡大を賃金上昇につなげてく」として賃上げを打ち出した前回の合意(2013年12月20日)とは一変し、安倍内閣と財界は「賃下げ」を押し付ける姿勢をあらわにしています」(「しんぶん赤旗」28日付)

 「榊原氏(経団連会長)らは、『成果を重視した働き方を労使合意の下で実現すべきである』と主張。 労働時間規制をなくす、『残業代ゼロ』制度や低賃金で解雇しやすい『多様な正社員』の導入や、大企業などのリストラを支援する『労働移動支援』について議題とする考えを示しました」(同紙)

 こうしたことが押し付けられる可能性が高い「地方」。 地方と都市が一体となった日本経済の再生の道が求められているように思います。


 GDP年率7.1%減、個人消費年率19.0%減 過去20年間で最大の落ち込み=4~6月期

2014年09月09日 | 経済・財政

 8日内閣府が発表した4~6月期の国内総生産(GDP、季節調整済み)改定値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比1.8%減、年率換算で7.1%減となりなした。

 「東日本大震災の影響で6.9%減となった2011年1~3月期を超え、リーマン・ショック後の09年1~3月期(年率15.0%減)以来のマイナス幅になりました」(「しんぶん赤旗」9日付)

 以下、同紙の解説記事を紹介します。

 「改定値を需要項目ごとに見ると、軒並み下方修正されています。 最も大きいのは設備投資の落ち込みです。 速報値の前期比マイナス2.5%から改定値はマイナス5.1%へとさらに悪化しました。 安倍首相は、企業の『稼ぐ力』をつけることが経済の『好循環』につながると強調しています。 しかし、『アベノミクス』で大企業が空前の利益をあげる一方、消費税増税や賃金抑制で国民の生活はますます深刻化しています」

 「大企業優遇政治によって、個人消費も日本経済も冷え込ませる悪循環に陥っているのです。 資本金10億円以上の大企業が2013年度にあげた経常利益は34兆8000億円(法人企業統計)と、過去最高でした。 利益の使い方で最も多いのが内部f留保です。 中心を成す利益剰余金は13年度157兆円2000億円。 前年度より14兆5000億円増えました」

 「大企業が保有する現金・預金・有価証券は15兆5000億円増。 設備投資に使わないのは、個人消費が減り、生産拠点の海外移転で輸出も増えないので国内生産が低迷しているからです」 

 「大企業の利益は賃金にも回っていません。 実質雇用者報酬を前年と比べると、今年1~3月期、4~6月期と2期連続でマイナスです。消費税率を3%から5%に上げた1997年4月前後と比較しても今の落ち込みは際立っています」

 「物価が上昇している分、実質賃金は減っています。 それに消費税増税と社会保障の負担増が追い打ちをかけています。 年金支給額を連続して引き下げ、医療の患者負担や介護保険の利用料、各種保険料は引き上げます。 7月の家計調査(総務省)によれば、世帯の実収入から税や社会保険料などを引いた可処分所得は前年同期比で12カ月連続減少しました」

 「この上、消費税率を10%に引き上げれば、日本経済がさらに落ち込むことは必至です。 安倍政権は『社会保障のため』といって増税を強行しながら、小泉政権時代に行っていた社会保障給付の『自然増削減』を復活させました。 来年以降も社会保障の負担増が目白押しです」

 「また、『財政再建』をいいながら、大企業には減税です。 来年度からは法人実効税率を現行の約35%から20%台に引き下げることに着手します。 法人税減税の財源として安倍政権が狙うのが、『外形標準課税』の拡大などです。 赤字に苦しむ中小企業への課税強化を狙っています。 大企業減税の財源を赤字の中小企業に求める逆立ちぶりです」

 「安倍首相は『企業が世界一活動しやすい国』をつくると宣言していますが、その犠牲になっているのは国民です。 消費税増税ほど道理の立たないものはありません」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 「GDP年7%超す減」4~6月期 民間調査、”設備投資が下振れ”

2014年09月03日 | 経済・財政

 前期比1・7%減、年率換算6・8%減と大幅なマイナスとなった4~6月期のGDP(国内総生産速報値、先月13日内閣府発表)が各方面から大きな反響が起こっています。

 そうした中、「しんぶん赤旗」3日付は、民間シンクタンクの予測記事を掲載しました。

 「内閣府が8日公表する4~6月期の国内総生産(GDP)改定値に関する民間シンクタンクの予測が1日出そろいました。 8社平均の予測値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比1・9%減。 年率換算7・4%減。 消費税増税に伴う駆け込み需要の反動減などで大幅なマイナス成長となった速報値が下方修正されるとの見方が多数です」

 「財務省が1日発表した4~6月期の法人企業統計で弱さが確認された設備投資の下振れが主因。 8社全てがGDPの)設備投資(速報値は前期比2・5%減)を下方修正し、平均で3・9%減となりました」

 「実質GDP成長率はみずほ総合研究所(年率換算8・6%減)など6社が下方修正を予想。 わずかな上方修正を予想した大和総研と農林中金総合研究所(ともに同6・4%減)は、在庫の寄与度が速報値から上振れ、成長率にはプラスに働くと予測しました」

 どのような改定値が示されるのでしょうか。

 

 


4月の消費税増税は”無謀だったかもしれない” 英経済紙フィナンシャル・タイムズ(アジア版)社説

2014年08月30日 | 経済・財政

「しんぶん赤旗」30日付は、様々な経済関連情報を掲載しています。

 そうした中で私の目にとまったのが、次の記事でした。 以下、紹介させていただきます。

 「29日付の英経済紙フィナンシャル・タイムズ(アジア版)社説は、消費税増税後の日本経済の落ち込みについて、取り上げ、『アベノミクスは失敗しつつあるのか』と疑問の目を向けました。 経済政策に集中するよう安倍晋三首相に求め、『平和憲法の解釈変更のようなお気に入りの計画に費やす政治的力は減らすべきだ』と警告しました」

 「社説は『4月の消費税増税を前にした消費者の駆け込み支出で経済は上向いたが、その後の四半期でたちまち現実に引き戻された』と、4~6月期国内総生産(GDP)の落ち込みを指摘しました」

 「雇用統計は改善しているものの、『創出された雇用の多くは低賃金だ』と述べました。 『輸出は失速している。 円は18カ月前より20%も下がっているのに、輸出数量は増えていない。 多くの企業が生産を海外に移転しているからだ』と指摘しました」

 「その上で、『安倍首相は消費税10%への増税を延期すべきだ』と主張。 4月の消費税増税は『無謀だったかもしれない』と述べました。 正社員と非正規雇用との格差を縮めるために、『パート労働者の賃金を引き上げなければならない。 最低賃金の引き上げも選択肢の一つだ』と強調しました」

 「総務省が29日発表した7月の家計調査によると、1世帯(2人以上)当たりの消費支出は28万293円となり、物価変動を除いた実質で前年同月比5・9%減少しました。 4カ月連続のマイナスで、減少幅は6月(3・0%減)から拡大しました。 物価上昇の影響を加味した名目の消費支出も2・0%減少しました」(「しんぶん赤旗」30日付)

 「前回の消費税増税時の1997年は7月に3・2%増まで回復していました。 安倍内閣が8%に消費税率を引き上げて4カ月。 増税の影響が鮮明になっています」(同紙)