日本共産党は、綱領で、「現在、日本社会が必要としている民主的改革の主要な内容」を3つの分野にわてって明らかにしています。 一つは、「国の独立と安全保障の分野」です。 2つは、「憲法と民主主義の分野」。 そして3つ目に、「経済的民主主義の分野」です。
「経済的民主主義の分野」の第1項は、「『ルールなき資本主義」 の現状を打破し、労働者の長時間労働や一方的解雇の規制を含め、ヨーロッパの主要資本主義諸国や国際条約などの到達点を踏まえつつ、国民の生活と権利を守る『ルールある経済社会』をつくる」ことを掲げています。
今、国会で審議されている「働き方改革一括法案」に対しても、この立場で国会議員のみなさんは「法案」の立法根拠の異常性、デタラメ性を徹底的に告発するとともに、労働者の命と健康、安全を守る提案を示し野党各党とも連携しながら政府と論戦し、同法案の廃案を目指しています。
今月4日、参院本会議で日本共産党の山下芳生副委員長が、「働き方改革一括法案」の質問のなかで、「ILO(国際労働機関)は労働時間に関し、18本も条約を採択しています。 一本も批准していない先進国は日米だけです。 長時間労働をなくすというなら、条約を批准し国内法を整備すべきです」と指摘しました。
日本が未批准のILO条約にはどんなものがあるのでしょうか。 次の「回答」は、2001年3月24日付「しんぶん赤旗」に掲載されたものです。
「これまで結ばれたILO条約は183あるますが、そのうち日本が批准した条約は44条約です。 ヨーロッパ諸国のフランス(115)、イタリア(101)、イギリス(81)、ドイツ(76)などに比べて著しく低い水準にとどまっています(ヨーロッパの数字は99年末現在)」
「とりわけ日本は、1号条約(一日8時間・週48時間制)をはじめ、47号(週40時間制)、132号(年次有給休暇)、140号(有給教育休暇)など、18本ある労働時間・休暇関係の条約を一本も批准していません。 また日本は、1998年のILO新宣言(「労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言」)で『最優先条約』とされた8条約のうち、105号(強制労働の廃止)、111号(雇用及び職業における差別待遇)、182号(最悪の形態の児童労働禁止)の3条約も批准していません」
日本共産党は、昨年1月開催した第27回大会の決議で、憲法13条について、次のようにその意義を明確にしました。
「憲法13条が保障した『個人の尊重』『個人の尊厳』は、立憲主義による権力制限の究極の目標である。 『個人の尊厳』が政治、経済、教育、文化、市民生活など、あらゆる分野で貫かれる社会をめざす」
この憲法上の目標を実現する上でも、大資本の横暴を厳格に規制する労働法制の確立こそが、いま強く求められているのではないでしょうか。