宮応かつゆきの日本改革ブログ

●日本共産党
総選挙で市民と野党の共闘で政権交代を、共産党の躍進をめざします。

「ルールなき資本主義」から「ルールある経済社会」へ

2018年06月10日 | 「働き方改革」と「生存権」

 日本共産党は、綱領で、「現在、日本社会が必要としている民主的改革の主要な内容」を3つの分野にわてって明らかにしています。 一つは、「国の独立と安全保障の分野」です。 2つは、「憲法と民主主義の分野」。 そして3つ目に、「経済的民主主義の分野」です。

 「経済的民主主義の分野」の第1項は、「『ルールなき資本主義」 の現状を打破し、労働者の長時間労働や一方的解雇の規制を含め、ヨーロッパの主要資本主義諸国や国際条約などの到達点を踏まえつつ、国民の生活と権利を守る『ルールある経済社会』をつくる」ことを掲げています。

 今、国会で審議されている「働き方改革一括法案」に対しても、この立場で国会議員のみなさんは「法案」の立法根拠の異常性、デタラメ性を徹底的に告発するとともに、労働者の命と健康、安全を守る提案を示し野党各党とも連携しながら政府と論戦し、同法案の廃案を目指しています。

 今月4日、参院本会議で日本共産党の山下芳生副委員長が、「働き方改革一括法案」の質問のなかで、「ILO(国際労働機関)は労働時間に関し、18本も条約を採択しています。 一本も批准していない先進国は日米だけです。 長時間労働をなくすというなら、条約を批准し国内法を整備すべきです」と指摘しました。

 日本が未批准のILO条約にはどんなものがあるのでしょうか。 次の「回答」は、2001年3月24日付「しんぶん赤旗」に掲載されたものです。

 「これまで結ばれたILO条約は183あるますが、そのうち日本が批准した条約は44条約です。 ヨーロッパ諸国のフランス(115)、イタリア(101)、イギリス(81)、ドイツ(76)などに比べて著しく低い水準にとどまっています(ヨーロッパの数字は99年末現在)」

 「とりわけ日本は、1号条約(一日8時間・週48時間制)をはじめ、47号(週40時間制)、132号(年次有給休暇)、140号(有給教育休暇)など、18本ある労働時間・休暇関係の条約を一本も批准していません。 また日本は、1998年のILO新宣言(「労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言」)で『最優先条約』とされた8条約のうち、105号(強制労働の廃止)、111号(雇用及び職業における差別待遇)、182号(最悪の形態の児童労働禁止)の3条約も批准していません」

 日本共産党は、昨年1月開催した第27回大会の決議で、憲法13条について、次のようにその意義を明確にしました。

 「憲法13条が保障した『個人の尊重』『個人の尊厳』は、立憲主義による権力制限の究極の目標である。 『個人の尊厳』が政治、経済、教育、文化、市民生活など、あらゆる分野で貫かれる社会をめざす」

 この憲法上の目標を実現する上でも、大資本の横暴を厳格に規制する労働法制の確立こそが、いま強く求められているのではないでしょうか。


"ママ、頑張って” 故佐戸未和さんから、母恵美子さんへ

2018年06月09日 | 「働き方改革」と「生存権」

 「1カ月の残業時間の上限を100時間未満として過労死ラインを合法化する同法案(「働き方改革一括法案」)」「未和が背中を押してくれる気がするの。 『私と同じように無念のまま死んでいく人を増やさないで。 ママ、頑張って』と。 だから、私は『過労死促進法』といわれるこの法案を成立させるわけにはいかない」(「しんぶん赤旗」日曜版6月10日付)

 「未和さん(NHK記者)が過労死したのは、2013年7月。 同年6月の東京都議選、翌7月の参院選の取材で多忙を極め、亡くなる直前1カ月の残業は209時間にのぼりました。 連日、朝から深夜まで働き、まともに睡眠をとっていませんでした」(同紙)

 「最愛の娘を失い、毎日、遺骨を抱きながら、後を追って死ぬことばかり考えていた佐戸さん」 「転機となったのは、『遺族の沈黙は次の犠牲者を生む』という別の遺族の言葉でした」「いまでさえ労災認定されない人がいます。 その現実を無視し、より労災認定が困難になる法律をつくろうとしている。 いてもたってもいられません」(同紙)

 「過労死」の根源について、マルクスの意見を聞いて見たいと思います。

 「『資本は、剰余労働を求めるその無制限な盲目的衝動、その人狼的な渇望のなかで、労働日の精神的な最大限度のみでなく、その純粋に肉体的な最大限度』(これ以上働かせたら肉体がこわれてしまうという限度のことです)『をも突破していく。 資本は、身体の成長、発達、および健康維持のための時間を強奪する』」

 「外気や日光にあたる時間を奪い、食事の時間も削り、眠る時間さえ動物的生存が必要とするようなものしてしまう、等々。 『資本は労働力の寿命を問題にしない。 それが関心をもつのは、ただ一つ、一労働日中に流動化させられうる労働力の最大限のみである」

 「資本は、労働力の寿命を短縮することによってこの目的を達成するのであって、それは、貧欲な農業経営者が土地の豊度の略奪によって収穫を増大させるのと同じである」(「資本論全3部を読む」第2冊 不破哲三書 128頁)

 安倍政権の「働き方改革」法案の正体は、巨大企業のこうした「要求」を法律化して保障しようとするものであり、労働者と家族にとっては生存権そのものが問われている事態ではないでしょうか。

 

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「異次元の大改悪」=働き方改悪法案は参院で廃案に

2018年06月03日 | 「働き方改革」と「生存権」

 5月31日衆院本会議で強行採決された、「働き方改革」一括法案に対して、高橋千鶴子議員は、「歴史を70年後戻りさせる大改悪だ」と批判しました。

 志位和夫委員長は同日の記者会見で、「労働時間の規制は19世紀半ばのイギリスの工場法から始まっており、労働時間の規制を取り払う今回の法案は、19世紀前半まで歴史を逆行させてします”異次元の大改悪”だ」と批判しました。

 年収1075万円以上の「高度専門職」への「高度プロフェッショナル制度」(残業代ゼロ制度)の導入には、野党が一致して反対しています。 同制度では、使用者は労働時間を管理せず、残業代も払いません。 労働者は際限のない長時間労働を強いられ、過労死しても自己責任とされる欠陥法案です。

 安倍首相は、「自律的に働ける」「成果で評価される」と美化していますが、労働者に裁量を与える規定はありません。 また、成果主義賃金を義務付ける規定もありません。 そして、日本経団連は将来的には年収基準を400万円まで引き下げることを主張しています。

 その他にも、「過労死を招く残業の容認」「非正規格差の固定化」「生産性の向上を目的」した雇用対策法を「労働施策総合推進法」への改悪など、”異次元の大改悪”が「働き方改革」一括法案です。

 6月2日付「しんぶん赤旗」は、財務省が1日発表した2018年1月~3月期の法人企業統計を報じています。金融・保険業を含む資本金10億円以上の大企業の内部留保は423兆5000億円と、前年同期と比べ、23兆1000億円増え、史上最高に。 第2次安倍政権成立以前の12年の同期と比べると、1.34倍に急増しました。

 6月3日付、朝日」は、「平成30年間 働く世帯の家計」(大和総研の是枝俊悟研究員の試算)を掲載しました。

 「平成の約30年間で、一般的な働く世帯の税と社会保険料の負担が月に約3万4千円、率にして36%ふえたことが分かった。 この間物価は1割上がったが、消費に回した額は逆に約4千円減少。 年金や医療などの負担で、働く世代の暮らしが先細った姿が浮き彫りになった」

 「膨れ上がったのは企業部門が持つ現金だ。 法人企業統計によると、企業の現預金(金融・保険除く)は16年度末、過去最高の211兆円で、88年度末より4割以上増えた」

 「法人税率が42%から23.2%に引き下げられたこともあり、平成に生まれた富が企業に流れ込む構図になっている」

 「ロバート・オーウェンは、1817年には1日8時間労働を新たな目標とし『仕事に8時間を、休息に8時間を、やりたいことに8時間を」のスローガンを作り出した」「オーウェンらの運動の結果、イギリス政府は1833年に工場法を制定したが、その内容は不十分であり、1847年の改正でようやく若年労働者と女性労働者に対する10時間労働の制限が実現している」(ウイキペデイア)

 安倍政権に、労働者と国民の未来を託すことができるだろうか。

 


所得格差の要因=不安定・低収入雇用の拡大、生涯賃金1億円の格差

2018年02月25日 | 「働き方改革」と「生存権」

「国際労働機関(ILO)の最新のデータによると、非公式経済(注:1)の下で働く人々(農業分野を除く)は南アジアで雇用全体の82%、サハラ以南のアフリカで66%、中国を除く東・東南アジアで65%、ラテンアメリカで51%を占めるなど、途上国で多くなっています」(「しんぶん赤旗」24日付)

「経済強力開発機構(OECD)諸国では、1990年代半ば以降に創出された雇用の半分以上が非典型労働(注:2)で雇用全体の約3分の1を占めています。 日本でも90年以降倍増しており、2017年末には非正規雇用が37.4%に達しています。 非正規雇用で働き続けた場合、生涯賃金が正規雇用に比べて1億円以上少なくなるなど、深刻な格差と貧困をもたらしています」(同紙)

 (注:1)「非公式経済=全ての労働者や経済単位による経済活動のうち、法または実務上、公式の取り決めの対象となっていないか公式の取り決めが十分に適用されていないものをさす。 家庭内労働や在宅勤務、路上販売などを含みます」

(注:2)「非典型労働=自営業や臨時フルタイム労働、パートタイム労働などをさします。 どちらも労働法制の保護がない、もしくは不十分なため不安定で、収入が少なく低所得層の間にさらなる貧困化をもたらしています」

 「国際通貨基金(IMF)は『世界経済見通し」(17年4月)で労働分配率低下の要因を分析しました。 世界経済のグローバル的統合が進む中、労働組合組織率の低下が団体交渉での労働者の立場を弱め、労働分配率の低下の要因となっています。 その結果格差が拡大しているのです」

 そして、「格差の拡大は、社会の団結に影響を及ぼすだけでなく、長期的な経済成長にとっても有害であ<る」と強調。 次の政策パ―ケ―ジを提起しています。

 ①経済社会への女性の参加、②雇用の促進と改善、 ③技能と教育、④効率的な再配分のための税・給付制度です。

 日本にとって、OECDの提起は待ったなしの政策ではないかと思います。 しかし、安倍政権の対策はまったく逆行している政策ばかりではないでしょうか。

 特に、日本にとって深刻なのは、労働組合の組織率の低下です。

 「2018年 国民春闘白書」では、1970年の労働組合の組織員数は、1,161万人、35.4%でした。

 2016年では、雇用者数5,381万人、非正規雇用者は2,016万人(うち、パート、アルバイト1,398万人)組合員数994万人、17.3%となっています。 

 非正規雇用者数が1,000万人を超えたのが1995年、組織率は23.8%でした。 その後、組織率が20%を割り込んだのが2003年19.2%です。 

 労働組合が、労働者の要求を掲げて労使交渉を行う、要求の解決、前進のために宣伝し、ストライキを含めて行動することがヨーロッパのような当たり前の日本社会をめざすことの重要性を痛感しています。


”国民の命を奪う法律をつくる権限は誰にもない” 「働き方改革法案」は断念せよ

2018年02月24日 | 「働き方改革」と「生存権」

「全国過労死を考える家族の会」代表世話人の寺西 笑子さんが23日の「裁量労働制再調査と佐川国税庁長官らの証人喚問を求める野党合同院内集会」でのあいさつ(要旨)が、「しんぶん赤旗」24日付に掲載されました。 寺西さんの思い、決意が伝わる内容です。

 寺西さんは「裁量労働制は年収要件がないことで、若い人がターゲットになります。  本当に大変な仕事の中、成果だけ求められ、その成果をこなすために長時間労働を余儀なくされる。 政府側は『自由な時間で働ける』などと言いますが、そんなことは実際の職場でさらさらありません」

 「職場で『うちはこうだ』と言われたら一言の反論もなく命令を受けて、それを前提にこなすことしかできないんです。 その果てに死人がでるんです。 私たちはその現実を目の当たりにしているからこそ、これ以上働くことで死人を出してほしくないと意見を申し上げてきました」

 「私たちは、命が奪われることが明らかな法律を黙って見過ごすことはできません。 これ以上、働くことで死ぬ人を出してはいけません。 悲しむ遺族をつくってはいけません」。 心から同感します。 同法案の国会提出を断念させるために、力を尽くしたいと思います。

 安倍首相の「裁量労働制に関する国会答弁」の経緯が同紙で紹介されています。

[1月29日] 「裁量労働制で働く方の労働時間は、平均的な方と比べれば、一般労働者よりも短いというデータもある」

[2月13日] 「指摘もあったので、もう一度精査する」

[2月14日] 「精査が必要なデータをもとに行った私の答弁は、撤回するとともに、おわびを申し上げたい」

 厚労省がデータの検証結果を公表。 ねつ造が明らかに(2月19日)

[2月20日] 「撤回したのは、データを撤回すると申し上げたのではなく、精査が必要なデータに基づいて行った答弁だ」

 ねつ造データで誤り新たに117件が判明。 加藤厚労相が「なくなっている」と答弁した1万件超のデータの調査原票が存在していることも判明(2月21日)

[2月22日] 「(調査)原票と打ち込んだデータを突合し、1万件以上を厚労省としてしっかり精査する」

 ねつ造データの誤りが237件以上にのぼることが判明(2月22日)

法案の根拠となる、基本データがねつ造され、隠蔽され、その結果、制定された法律で労働者の命が奪われる。 一体誰のために、何のためにこのような政治が行われるのでしょうか。 権力者による恐るべき民主主義破壊政治として憲法と労働者、国民の声と運動、野党との共同の力で断罪されなければならないでしょう。


労働時間は労働者の生存権に関わる重大課題ー安倍政権の労働政策の根本が問われている

2018年02月23日 | 「働き方改革」と「生存権」

 「裁量労働制問題」が国会で審議されています。 審議のなかで労働時間データのねつ造問題が重大化しています。 加藤勝信厚生労働大臣は22日の衆院予算委員会で、新たに117件ものデータの誤りが見つかったことを明らかにし、今後さらに増える可能性も示唆しました。

 安倍政権は、なぜ「働き方改革法案」を持ち出し、データを捏造してまで、強行成立を図ろうとしているのでしょうか。 安倍首相は「労政審でご議論いただき、労働時間等の資料も含めて審議したと了解している」とのべ、問題はないとしています。

「厚労省は、政府系の労働政策研究・研修機構(JILPT)が2014年に行った最良労働制に関する調査結果のうち、肝心の労働時間の実態に関する部分だけを報告しませんでした」(「しんぶん赤旗」23日付)

 以下、同紙の報道を紹介します。

 「この調査では、1カ月の平均労働時間が、専門型裁量労働で203・8時間、企画業務型で194・4時間に対し、一般労働者は186・7時間で裁量労働制の方が長くなっていました。 政府がねらう裁量労働制の拡大が否定される根拠となるデータであり、それを隠ぺいするために報告しなかったいわれても仕方ない実態です」

 22日、衆院予算委で日本共産党の高橋千鶴子議員は、2014年に事故死し、8日に横浜地裁で過労との因果関係を認めて和解した会社員・渡辺航太さん=当時(24)=の事例を紹介し、政府を質しました。

 高橋議員、「事故発生直前の労働時間は拘束21時間42分、事故前10日間は拘束1日平均13時間51分、最長23時間。 ひと月の残業時間は91時間49分でした」 高橋議員は、「月単位で見れば100時間に収まっている。 『法律の範囲内だから』と企業を免罪することになる」とただしました。

 高橋氏は、「航太さんの母・淳子さんの『人間の限界を試すような働き方で生産性をあげていくという考え方は間違っています』という言葉を紹介し、『上限規制はひと月単位や1年単位ではなく、1日、1周を大切に生きる基準にすべきだ』と求めました。

 安倍首相は、上限規制について「ぎりぎり実現可能な水準として労使が合意に達した内容」だと釈明しました。 高橋議員は、「過労死ラインに引っ張られて何が『働き方改革』かと批判。長時間労働とともにパワーハラスメントが過労自殺につながっているとして、「時間の長さだけでは分からない過重労働の実態がある。 法案を取り下げ、質の問題を含めた見直しを」強調しました。