「しんぶん赤旗」23日付「気流」欄に「株価3万円突破」「熱狂なき『バブル』」を記者の座談会形式で報道しました。以下、紹介させていただきます。
「A 先週15日の東京株式市場で、日経平均株価が心理的な節目になる3万円を突破した。しかし、市場関係者からは『熱狂』は感じられない」
「B コロナ禍で外食、観光、運輸業界などは深刻な業績悪化が続いている。昨年1年間の国内総生産(GDP)の実質成長率はマイナス4.8%。リーマン・ショック後の2009年以来、11年ぶりの大きな落ち込みとなった」
「A コロナの影響による経営破たんは、昨年2月以来1000件を超えている。コロナ禍による雇用への影響も深刻で、雇い止めの人数は8万7000人以上だ。しかも、この数字は、厚生労働省が各地のハローワークや労働局で把握した数字の集計したものでしかなく、実態はさらに厳しい」
「C 実態経済との乖離が激しいね。熱狂なき『バブル』ってことか」
「A そもそも日経平均株価は、日本経済新聞社が算出しているもので、東京証券取引所第1部に上場しているうちの225銘柄の平均株価指数だ。大企業の業績は反映しても、直接、国民の暮らしや経済の実態を示しているわけではない」
「B 今回、株価を押し上げている背景には、コロナ危機に対応してとられている財政・金融政策だ。国際通貨基金(IMF)によれば、昨年12末時点で世界全体の財政支援額は14兆㌦(1500兆円)。金融支援も巨額だ」
「C 市場ではお金が『じゃぶじゃぶ』となり、その行き場が株式市場という構図だね」
「A 日経が報道した市場関係者へのアンケート調査(17日付)によると、『バブル』または『ややバブル』とみる人が5割強だった」
「B ある市場関係者は『バブルそのものだよ。しかも、その主役は外資』といっていた」
「A 株式市場では、顧客の委託に基づく取引の7割近くを海外投資家が占めている。個人はわずか2割強にすぎない」
「C 株価が上昇してもうかるのは、外資ってわけか」
「A もちろん、国内の大株主たちにも大きな恩恵がある。日本のビリオネア(10憶㌦以上の資産を有する大富豪)の資産は、コロナ禍で国民が苦しんできた間、12兆円から24兆円に倍増した」
「C コロナウイルスは、人間の健康を破棄するだけでなく、格差も拡大するんだね」
「A 一部の大富豪が『棚ぼた式』に株価の恩恵を受け、大多数の人々が生活苦を強いられるのは、人間界の経済システムの問題だ」
「B 先の市場関係者は、『コロナ禍の中で大もうけしている連中には、コロナ税をかけて、苦しんでいる人々に分配すべきだ』といっていた」
「C 国際NGOのオックスファムも、巨大企業が、コロナの下で増加させている利益に対し課税を求めている。経済と社会をよりよくするために富裕層たちの貢献が求められているね」