「読売」紙の10日付に、米国の人類生態学者ジャレド・ダイアモンドさんのインタビュー記事が掲載されました。同氏の近著「危機と人類」は日本でも評判になっているとのことです。私はまだ、読んでいません。同記事でジャレドさんが語っている「人類の4つの脅威」には、共感するところがありました。
インタビュー記事は、「新型コロナ」問題から始まっていますが、後半部分の「4つの脅威」について紹介させていただきたいと思います。(一部、略)
「-『危機と人類』で21世紀の4つの脅威を挙げていますね」
「(ジャレド・ダイアモンド氏)-第1は、核の脅威。日本は1945年の被爆体験に加え、中国と北朝鮮という核を持つ隣国があるので特に敏感でしょう。核を持つ2つの国が敵対する場合、相手の報復を封じ得ると確信すれば、核攻撃を仕掛ける恐れはある」
「第2は、気候変動。短期的地域的な寒冷化はありますが、長期的総体的に地球は温暖化している。氷山が解けて海面が上昇し、国土の大半が低地のバングラデシュなど存亡の危機に直面している国があります」
「第3は、資源の枯渇。石油・天然ガスなどエネルギー資源は無論ですが、再生可能な資源の魚介類、木材、表土、真水も乱獲や乱開発で減少、衰弱している。資源を消費する世界人口は今、1900年までに生存した全人類の総和よりも多いとの学説もある。昔に比べて1人あたりの資源消費も増えている。資源の再生は難しくなっています」
「第4は先進国とそれ以外の国々との経済格差。私の見立てでは、先進諸国の計12億人の生活水準は、残る65億人の30倍以上。この不平等は先進諸国にとって脅威でもある。豊かさを求める移民の大量流入はその一つ。また、先進諸国に対する不満が全く意図しない形で表れることもある。中国発の新型コロナが米欧で猛威を振るっている現象に私はそうした不満の影を見てしまう」「4つの脅威は喫緊の課題で、今世紀半ばまでに解決する必要があります」
「-自身を楽観主義者と称していますが」
「(ジャレド・ダイアモンド氏)ー人類の直面する脅威が地球に衝突する大惑星であるのであれば、人類は対処できない。私は悲観主義に陥ります。しかし、地球の最大の脅威は人類です。4つの脅威は全て人間の作為です。人類が本気になれば、解決できるはずです」
「私は環境保護活動に長らく取り組んできました。石油大手など大企業は敵でした。ところが、この15年来、資源に限りがあることに正対し、自然環境に配慮する大企業が現れてきた。米国で言えば、石油大手のシェブロンや小売り大手のウォルマートなどです」
「危機を危機と認める誠実さは、克服に向かう一歩です。私は今、人類が脅威の排除に成功するか確率を52%、失敗する確率48%と見なしている。慎重な楽観主義者であるゆえんです」