日本共産党は昨年1月の第28回党大会で、綱領の一部を改訂しました。いま、米中の間で緊迫した情勢が続いています。改めて、志位和夫委員長の「綱領の一部改定」についての報告の「帝国主義と覇権主義」に関する部分を紹介させていただきたいと思います。
「綱領は、『いま、アメリカ帝国主義は、世界の平和と安全、諸国民の主権と独立にとって最大の脅威となっている』と告発してます」
そのうえで、「トランプ政権の下で帝国主義の特徴はどうあらわれているか」について報告し、次のように述べました。
「アメリカの先制攻撃戦略は、すでに深刻な大破綻に直面しています。2001年、アメリカが、『対テロ戦争』の名でアフガニスタンへの先制攻撃の戦争を開始してから18年が経過しましたが、アフガニスタンでは今なをテロや戦闘が続き、市民の犠牲者は4万人を超えています」
「アメリカ・ブラウン大学ワシントン国際公共問題研究所員の調査によれば、米国は、現在6大陸の80カ国で対テロ作戦を展開しています。40カ国の海外米軍基地が動員され、14カ国で米軍が実戦作戦に関与し、7カ国で米軍が直接、空爆およびドローン攻撃を実施しています。先制攻撃から始まった『対テロ戦争』は終結していないだけでなく世界中の国の40%以上に広がっているのであります。これは、テロは戦争ではなくせないことを、動かせない事実をもって証明しているではありませんか」
「トランプ大統領は、日本、韓国、NATO(北大西洋条約機構)加盟国など、『同盟国』に対して、『負担のあり方が不公平だ』と不満をつのらせ、負担増を要求していますが、これは決して軍事同盟から撤退するものでなく、『同盟国』により大きな負担増を強要しながら、あくまで軍事同盟網を強化していく立場からのものにほかなりません」
「こうしてトランプ大統領のもとで、アメリカ帝国主義の侵略性は、『アメリカ・ファースト』という自国中心主義とあわさって、きわめて危険な姿を示しています。日本共産党は、その軍事的覇権主義、とりわけ日本をより深い従属と収奪のもとに置こうという企てに、断固として反対してたたかうものであります」
【アメリカと他の大国との覇権争いーどんな国であれ覇権主義を許さない、平和の国際秩序を築く】
「一部改定案では、『アメリカと他の台頭する大国との覇権争いが激化し、世界と地域に新たな緊張をつくりだしていることは、重大である。覇権主義という点で、アメリカ帝国主義が世界にとって最大の脅威であることをふまえつつ、中国、ロシアなどの覇権主義が強まり、『覇権争い』の激化があらわれていることを直視する必要があります」
「米国と、中国、ロシアは、核兵器禁止条約への敵対で協力しながら、激しい核軍拡競争を宇宙まで拡大しています。インド太平洋地域での米国と中国の覇権争いは、アジアに新たな緊張をもたらしています。NATOの東方への拡張、ロシアの覇権主義の台頭が、ヨーロッパに新たな緊張をもたらしています」
「こうした全体を視野に入れて、一部改定案は『国連憲章にもとづく平和の国際秩序か、独立と主権を侵害する覇権主義的な国際秩序かの選択が、問われている』と強調し、『どんな国であれ覇権主義的な干渉、戦争、抑圧、支配を許さず、平和の国際秩序を築く』ことを明記しました」
「覇権主義に決して未来がないことは、すでに人類の歴史によって繰り返し審判がくだっていることです。日本共産党は、相手がアメリカであれ、旧ソ連であれ、中国であれ、あらゆる覇権主義と正面からたたかいつづけた自主独立の党として、覇権主義に反対し、平和の国際秩序を築くために、全力をあげて奮闘するものです」