内閣府が13日に発表した4~6月期の国内総生産(GDP)速報では、家計消費が戦後最大級の落ち込みとなりました。
「しんぶん赤旗日曜版」24日付は、この問題を取り上げています。
「GDPは国内の経済活動の大きさを金額で示します。 それが減るということは、それだけ経済活動が縮小するということです。 特にGDPの6割を占める家計消費は、実質19・2%(年率)も減少しました。 下落率は前回消費税増税時(1997年4~6月期、13・3%減)を大きく上回り、過去20年で最悪。 戦後最悪を記録した第1次石油ショック時(74年1~3月期、20%超の消費減少)に匹敵する戦後最大級の落ち込みです」
元三菱総合研究所研究理事・顧問の高橋乗宣さんが、同紙に次のようなコメントを寄せています。
「実質GDP、特に個人消費の減少は、実質賃金の大幅減の反映です。 駆け込み需要の反動というのには落ち込みが大きすぎます。 今の日本経済は、人間でいえば『息が止まりそうな』状況です。 企業の設備投資は海外向けが主流です。 いまや、海外の生産拠点から商品を供給する構造になっており、日本からの輸出が増える見込みはありません。 つまり、消費だけでなく、従来の成長のエンジンが一つもなくなってしまった状況です」
「アベノミクスは、『異次元の金融緩和』と称し、為替を円安誘導しました。 その結果は、ガソリンなどの価格高騰で国民生活を痛めつけただけです。 新たな法人税減税を打ち出していますが、法人税を支払える黒字企業は日本全体の3割。 ごく一部の大企業が恩恵を受けるにすぎません」
「こんな状況で消費税を10%にしたら、あの『リーマン・ショック』より影響がは大きくなるおそれがあります。 今回は成長力がみな奪われてしまっているわけで、一時的な『ショック』とは違う。 アベノミクスでは、経済が立ち直る見通しは立たないということです」
「英経済紙フィナンシャル・タイムズ社説(14日付)は『GDP収縮の最大の理由は消費税増税だ』と指摘。 消費税10%への増税をめぐり『安倍首相は、資金力のある企業にもっと財政負担をさせ、家族の負担を軽くする方が賢明かもしれない』とのべています」
「多くの被用者の実質賃金がインフレに追いついていないことが需要を抑えている』問題にも言及。『実質賃金低下を逆転させることが重要だ』としています」
また、米経済誌ウォール・ストリート・ジャーナル社説(13日電子版)の記事も紹介しています。
「『日本経済は4~6月期に崖から突き落とされた』と指摘しました。 『突き落とされた』と表現したのは、『4月に消費税を5%から8%に引き上げたことがGDPの落ち込みにつながったからだ』と述べています」
小池 晃日本共産党副委員長は、「賃金と雇用を緊急に立て直すことです。 270兆円もの大企業の内部留保を今こそ活用し、抜本的な賃上げとともに、労働者派遣法改悪などを撤回し、正規雇用に転換することが必要です」と指摘しています。