宮応かつゆきの日本改革ブログ

●日本共産党
総選挙で市民と野党の共闘で政権交代を、共産党の躍進をめざします。

”息が止まりそうな状況” ”日本経済は4~6月期に崖から突き落とされた”

2014年08月22日 | 経済・財政

 内閣府が13日に発表した4~6月期の国内総生産(GDP)速報では、家計消費が戦後最大級の落ち込みとなりました。

 「しんぶん赤旗日曜版」24日付は、この問題を取り上げています。

 「GDPは国内の経済活動の大きさを金額で示します。 それが減るということは、それだけ経済活動が縮小するということです。 特にGDPの6割を占める家計消費は、実質19・2%(年率)も減少しました。 下落率は前回消費税増税時(1997年4~6月期、13・3%減)を大きく上回り、過去20年で最悪。 戦後最悪を記録した第1次石油ショック時(74年1~3月期、20%超の消費減少)に匹敵する戦後最大級の落ち込みです」

 元三菱総合研究所研究理事・顧問の高橋乗宣さんが、同紙に次のようなコメントを寄せています。

 「実質GDP、特に個人消費の減少は、実質賃金の大幅減の反映です。 駆け込み需要の反動というのには落ち込みが大きすぎます。 今の日本経済は、人間でいえば『息が止まりそうな』状況です。 企業の設備投資は海外向けが主流です。 いまや、海外の生産拠点から商品を供給する構造になっており、日本からの輸出が増える見込みはありません。 つまり、消費だけでなく、従来の成長のエンジンが一つもなくなってしまった状況です」

 「アベノミクスは、『異次元の金融緩和』と称し、為替を円安誘導しました。 その結果は、ガソリンなどの価格高騰で国民生活を痛めつけただけです。 新たな法人税減税を打ち出していますが、法人税を支払える黒字企業は日本全体の3割。 ごく一部の大企業が恩恵を受けるにすぎません」

 「こんな状況で消費税を10%にしたら、あの『リーマン・ショック』より影響がは大きくなるおそれがあります。 今回は成長力がみな奪われてしまっているわけで、一時的な『ショック』とは違う。 アベノミクスでは、経済が立ち直る見通しは立たないということです」

 「英経済紙フィナンシャル・タイムズ社説(14日付)は『GDP収縮の最大の理由は消費税増税だ』と指摘。 消費税10%への増税をめぐり『安倍首相は、資金力のある企業にもっと財政負担をさせ、家族の負担を軽くする方が賢明かもしれない』とのべています」

 「多くの被用者の実質賃金がインフレに追いついていないことが需要を抑えている』問題にも言及。『実質賃金低下を逆転させることが重要だ』としています」

 また、米経済誌ウォール・ストリート・ジャーナル社説(13日電子版)の記事も紹介しています。

 「『日本経済は4~6月期に崖から突き落とされた』と指摘しました。 『突き落とされた』と表現したのは、『4月に消費税を5%から8%に引き上げたことがGDPの落ち込みにつながったからだ』と述べています」

 小池 晃日本共産党副委員長は、「賃金と雇用を緊急に立て直すことです。 270兆円もの大企業の内部留保を今こそ活用し、抜本的な賃上げとともに、労働者派遣法改悪などを撤回し、正規雇用に転換することが必要です」と指摘しています。

 


GDP年率6.8%減(4~6月期)個人消費20年来最大の悪化―今宮謙二中央大学名誉教授に聞く

2014年08月14日 | 経済・財政

 「内閣j府が13日発表した2014年4~6月期の国内総生産(GDP、季節調整済み)速報値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比1・7%減、年間換算で6・8%減の大幅な落ち込みとなりました。 特に個人消費は統計上で比較可能な1994年以来20年間で最大の悪化。 4月の消費税増税が国民の暮らしも日本の経済も破壊したことが示されました。 増税の影響を『想定内』と言い続けてきた安倍晋三政権の主張は崩れさりました」(「そんぶん赤旗」14日付)

 この問題について、今宮謙二中央大学名誉教授は、次のように語っています。 以下、「しんぶん赤旗」14日付から紹介します。

 「今回の特徴は、個人消費と民間住宅の落ち込みが大変大きいことです。 個人消費はこの20年で最大のマイナスです。 企業の設備投資も低迷したままです。 輸出も伸びていません。 日本経済の基盤に大きな打撃を与えかねない数字がでています。 政府は『景気は緩やかな回復基調』といい、民間予測より悪くなかったことで、楽観的な見方を示していますが、実態はそうではありません」 

 「GDPの大きな落ち込みは、日本経済の基盤の弱体化が進行していることを鮮明にしています。 大多数の国民の生活水準は低下しています。 消費税増税により実質所得は下がっています。 国民への大増税・負担増路線が続く限り、この状態は今後も続くでしょう」

 「不安定な非正規雇用の増加など労働条件の悪化も深刻さを増しています。 日本経済を支える中小企業や地方経済の衰退、農林水産業の弱体化も進んでいます」

 「安倍晋三政権のアベノミクスの限界はいよいよ明らかになっています。 異次元の金融緩和と財政出動の効果も薄れてきました。 結局、株価を引き上げ、大企業の利益を拡大させただけでした。 国民の暮らしには効果がありませんでした」

 「安倍政権の成長戦略をみても公的年金積立金の株式運用や法人税減税、医療、労働、農業分野の規制緩和と財界・大企業のためではあっても、国民生活へのプラスは期待できません」

 「輸出依存型の経済構造にも限界がみえてきました。 貿易赤字が連続し、経常収支も昨年下期から赤字となりました。 安倍政権はこのような状況を打開するために、軍事産業を育成し、部器輸出三原則を大幅に緩和して輸出を拡大することを狙っています。 原発輸出も企んでいます」

 「アベノミクスのもとで、経済の危機は激化し、国民生活が破壊され、憲法で保障された最低限の権利すら空洞化させられる恐れがあります。 そうなれば、社会不安もひろがります」

 「安倍政権は、経済危機を逆手にとり、偏狭な国家主義をあおって、日本を軍事国家の方向にもっていこうとしています。 集団的自衛権の行使容認など亡国の道を進む危険な政策を一刻も早くやめさせる国民的な運動を強めることが重要です」

 「同時に大企業に社会的責任を果たさせることを徹底的に追求していくことも大切になってきています」

 今宮さんの指摘している、個人消費は、「前期比で5・0%減」、また、「住宅投資は10・3%減」となりました。

 消費税10%は中止させるしかありません。


日本経済の構造的変化進む。 国際収支ー14年上期経常赤字が過去最大5075億円赤字

2014年08月11日 | 経済・財政

 「財務省が発表した2014年上期(1月~6月)の国際収支速報によると、海外とのモノやサービスの取引、投資収益などの状況を示す経常収支は5075億円の赤字でした。 現行統計で比較可能な1985年以降では初めて半期ベースで赤字に転落した13年下期(788億円の赤字)を大きく上回り、過去最大となりました」(「しんぶん赤旗」9日付、以下同じ)

 「13年上期は3兆3131億円の黒字でした。 液化天然ガス(LNG)の輸入増などを背景に貿易収支の赤字が拡大。 海外子会社や証券投資からの配当・利子収入などを示す第1次所得収支の黒字も減り、貿易赤字を補えませんでした。 モノの輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は6兆1124億円の赤字。 前年同期から78.4%拡大しました。 赤字額は現行統計で比較可能な96年以降では過去最大」

 「円安による輸入品の価格上昇や、消費税や環境税(石油石炭税)の税率引き上げを前にした駆け込みでLNGや原粗油を中心に輸入額が大きく伸びました」

 「サービス収支も1兆5780億円の赤字。 知的財産権等使用料の収支は7855億円の過去最大の黒字を確保しましたが、企業の海外での研究開発投資が増え、全体では赤字となりました」

 「第1次所得収支の黒字は8兆3226億円で、4.2%縮小しました。 トヨタ自動車がリコール問題で米司法省に和解金として12億㌦(約1200億円)を支払うなど、日本企業による巨額の賠償金・和解金が相次いだことも経常収支の赤字拡大要因となりました」

 「同時に発表された6月の経常収支は3991億円の赤字。 5カ月ぶりの赤字となりました」

 【海外生産増で輸出不振】(「しんぶん赤旗」9日付)

  「円安にもかかわらず輸出が伸びない原因について、経済財政白書は、日本企業の海外生産の拡大が原因との見方を示しました。 製造業の海外現地法人売上高と日本からの輸出金額は、2008年のリーマン・ショックを受けて急減。 その後、自動車など輸送用機器の海外現地法人売上高は12年度に急回復し、現地生産も増加しました」

 「白書は、海外生産の拡大により、『輸出数量が伸びにくくなった可能性は否定できない』と指摘。 『構造変化』のなかで輸出数量が10%程度減少していると試算しました」

 「自動車などの海外生産は拡大しています。 6月の自動車生産実績によると、トヨタ、日産、ホンダなど大手はアジアなどでの海外生産を増やし6月として過去最高を更新しました。 海外生産比率(1~6月期)も日産が8割を超え、ホンダ77%、トヨタ63%、スズキ65%と上昇傾向を示しています」

 「白書は輸出で、『稼ぐ』力を高めるには、製品の高級化で輸出額の減少を抑えることが重要としています。 しかし海外展開を強める企業がそれで『稼ぐ』力をつけることになっても、輸出増にはつながらず、国内の空洞化と雇用の減少に拍車がかかるだけです」


「4~6月期 GDP年率7.4%減」民間シンクタンク11社予測平均、増税の影響予想以上

2014年08月02日 | 経済・財政

 心配されていた消費税増税後の日本経済が、安倍首相の強気の見通しに反して、「予想以上の深刻な事態」になりつつあるように思われます。

 「しんぶん赤旗」2日付の経済欄には、「GDP年率7.4%減」の見出しで、民間シンクタンク11社の4~6月期の予測記事が掲載されていました。

 「内閣府が13日に公表する2014年4~6月期の国内総生産(GDP)速報値に関し、民間シンクタンク11社の最新予測が1日出そろいました。 実質GDP成長率は平均で前記比年率7.4%減となり、消費税増税前の駆け込み需要が押し上げた1~3月期需要の6.7%から急減速」

 「1997年の前回増税時(1~3月期3.0%増、4~6月期3.7%減)に比べ、『山』も『谷』も大きくなる見通しです。 6月末時点では、4~6月期は駆け込み需要の反動減で平均マイナス5%程度の落ち込みが予想されていました。 その後、家計調査など今週発表された統計を踏まえ、各社が下方修正しました」

 「11社中最も低い9.3%減と予測した大和総研は『自動車など耐久消費財の回復ペースが鈍く、食料など非耐久財も低調』(久後翔太郎エコノミスト)と、個人消費の減速が想定を上回ったと指摘。 消費に加え住宅投資、設備投資、輸出も、全社がマイナスを見込みました」

 9%台の減少を予測した会社は、大和総研、三菱UFJリサーチ&コンサルティング9.2%です。 6%台の減少を予測した会社は、野村証券6.9%、第一生命経済研究所6.8%、三菱総合研究所6.1%、みずほ総合研究所6.0%となっています。

 また、同日の同紙「主張」は、「最近の労働統計」を踏まえ、”実質賃金低下は軽視できない”と述べています。

 「今年の春は春闘での賃上げを求める労働者のたたかいもあり、毎勤統計(毎月勤統計調査=厚生労働省)で見た現金給与は、基本給を示す『所定内給与』でも、残業代などを含めた『決まって支給する給与』でも、春以降増加に転じているのに、実質賃金の低下が続き、さらに拡大していることです」

 「その原因は、賃上げがまだまだ不十分なためと、消費税増税の破壊的影響によることは明らかです。 厚生労働省の集計でも、今年の春の民間企業の賃上げ率は2.19%で、昨年よりは0.39㌽高いものの、消費税率引き上げの3%(ポイント)にはおよびません。 消費者物価は待ったなしで上がりますから、実質賃金が下がるのは避けられません。 賃上げと同時にこれ以上の消費税増税を絶対に許さないことが重要です」

 「日本の実質賃金は、長期的にも伸び悩んできました。 ~ 大企業が売る上げやもうけを増やしているのに、労働者に配分する労働分配率が下がっているため、実質賃金が低下していることを政府も認めざるをえません。 大企業のもうけと内部留保を賃上げに回させることが、実質賃金引き上げのために不可欠です」

 


”亡国の安倍経済政策” 「家計支出3カ月連続減」「非正規雇用36万人増」=6月納計

2014年07月30日 | 経済・財政

 「総務省が29日発表した6月の家計調査によると、1世帯(2人以上)当たりの消費支出は27万2791円と物価変動を除いた実質で前年同月比3・0%減少しました。消費税増税前の駆け込み需要の反動減で3カ月連続のマイナスとなりました。 減少幅は5月(8・0%減)に比べ縮小したものの、1989年4月の消費税導入時、97年4月の税率引き上げ時と比べ、5~6㌽大きくなっています」(「しんぶん赤旗」30日付)

 「6月時点の実質消費支出指数は、消費税が導入された1989年99・7、消費税率を3%から5%へ引き上げた97年は99・1でした。 それに対し、今年は93・9でした。 89年に対しては5・8㌽、97年比では5・2㌽も低くなっています。 とりわけ、光熱・水道代や教養・娯楽代で減少が目立ちます。 実質消費支出指数とは、前年平均を100とする消費支出の季節調整指数です」(同紙)

 「消費支出の落ち込みが大きい背景には、所得の伸び悩みがあります。 勤労者世帯の6月の実収入は前年同月に比べて1万8303円減少し、名目でマイナス2・5%、物価変動を考慮に入れた実質で6・6%の大幅減少でした。 実収入から税や社会保険料を除き、家計が自由に使えるお金とされる可処分所得は、実質8・0%の減少です」(同紙)

 「賃金が伸びないもとで、物価ばかりが上昇しています。 この家計の苦しさをかえりみず、来年10月に消費税増税をねらう安倍晋三内閣は退陣に追い込むしかありません」(同紙)

 「総務省が29日発表した労働力調査によると、6月の全国の完全失業率(季節調整値)は前月比0・2㌽悪化し、3・7%となりました。 悪化は10カ月ぶりです。 完全失業者数は244万人で同11万人増加しました。 完全失業率を年齢別にみると15~24歳の若年層で7・2%と、前月比0・9㌽悪化しました。 とりわけ男性では、1・1㌽悪化の8・6%と深刻な水準です」(同紙)

 「役員を除く雇用者数(原数値)は5260万人と前年同月比34万人増加しました。 しかし、正規雇用は同2万人の減少です。 とりわけ男性の正社員は同15万人も減少しました。 一方、非正規雇用は同36万人増加し、1936万人となりました。 雇用者に占める非正規雇用の割合は36・8%となりました」(同紙、以下同じ)

 「雇用者数を従業上の地位別にみると、『常雇い』のうち『有期の契約』は1054万人。 『臨時雇い』の345万人、『日雇い』67万人と合わせ、有期雇用労働者は1466万人でした」

 「正社員の有効求人倍率は0・68倍と前月比0・01㌽上昇したものの、いまだに求職者3人に対し2人分程度の求人しかない状況です」

 安倍首相は、通常国会閉会後の記者会見で、「この国会は、まさしく好循環実現国会でありました。企業の収益が雇用の拡大や所得の上昇につながり、まさに経済の好循環が生まれようとしています」と自画自賛しました。

 日本共産党の志位和夫委員長は、15日の記念講演会で「経済の好循環なるものは現実にはどこにも存在しておりません。 首相の頭のなかにだけ存在する、『幻』にすぎません」と厳しく指摘しました。


安倍政権「株価のためなら何でもあり」ー”後は野となれ山となれ”。 志位委員長の記念講演から

2014年07月18日 | 経済・財政

 経済評論家の内橋克人さんが、「しんぶん赤旗」日曜版7月20日号に登場し、「安倍政権の統治の特徴」について次のように語っています。

 「メディア・マネー・マインドの三つのMのコントロールです。 メディアではNHKの籾井勝人会長などのトップを抱き込み、政権寄りの報道をさせようとはかる。 一例にすぎません。 マネーは株価です。 株高の主たる原因は海外の投機資金ですが、その株高を利用して国民のマインドをコントロールする。 三つのMにだまされず、国民のみなさんには本当のことを見抜いてほしい。 今こそ日本人は鋭い洞察力を持つことが必要です」

 志位和夫委員長は、15日の党創立92周年記念講演で、「株価のためなら何でもありー『後は野となれ山となれ』の政治でいいのか」として、安倍政権が「株価連動政権」になっている実態を告発しました。

 「安倍政権が『成長戦略』の名でやろうとしていることは何でしょうか。 これはおよそ経済政策の名に値するものではありません。 一言でいって、政権を維持するために、株価を引き上げることの一点を目的とし、そのためならば何でもありーこれが中身です。 官邸の安倍首相の執務室には『株価ボード』なるものが設置されているといいます。 日々の株価に一喜一憂する『株価連動政権』。 これが『アベノミクス』なるものの正体であります」

 「安倍首相は、今年2月、イギリス・ロンドンの金融センター、シティで行ったスピーチで、外国人投資家を前に、次の三つのことを約束し、『日本株を買って下さい』と訴えました」

 「一つは、『法人税の改革を、一層進めます』。 ”法人税を引き下げます、そうすれば企業の利益が増え、株主への配当が増え、株価が上がります。 どうか日本株を買ってください”というわけです。  財政危機だと国民には消費税増税を強いながら、さらに中小企業に新たな増税計画を押し付けながら、法人税大減税を世界に約束したのです。 それによって税収に穴があき、財税危機がさらにひどくなっても構わないというわけです」

 「二つは、『世界最大の年金基金の改革を進めていきます』。 ”日本の公的年金の積立金は130兆円にのぼりますが、この巨額の資金を使って日本株を買い増します。 政府が買うのですから確実に株価は上がります。 どうか日本株を買ってください”というわけです。 しかし、国民の虎の子の年金積立金を株に投じるというのは、それを大きなリスクにさらすことにほかなりません。 金融大国アメリカでさえ公的年金の積立金で株を買うことはしていません。 文字通りの禁じ手を使ってまで株価を引き上げようというのは許すわけにはいかないということを、私は訴えたいのであります」

 「三つは、『労働の制度は、新しい時代の新しい働き方に合わせ、見直しを進めます』。”残業代はゼロにしましょう、派遣労働への規制はすべて取り払いましょう、そうすれば企業の利益は確実に上がり、株価は上がります。 どうか日本株を買ってください”というわけです。 そのことによる長時間労働で、『過労死』が増えようと、『生涯ハケン』『正社員ゼロ』社会になろうと、知ったことではないというわけであります。 どんでもないではありませんか」

 「株価のためなら、庶民や中小企業が重税で苦しもうと、国の財政がどうなろうと、年金がどうなろうと、雇用がどうなろうと、『後はのとなれ山となれ』。 さらに株価引き上げ以外のメニューを見ますと、日本の食と農を破壊するTPP(環太平洋連携協定)の推進、原発再稼働、原発輸出、武器輸出、そしてカジノ賭博解禁です。 これが『成長戦略』というのですから聞いてあきれるではありませんか。 ここには、まっとうなものは一つもありません。 国民の命と暮らしを守るという立場はかけらもないではありませんか」

 「暮らし破壊の『逆立ち』経済、文字通りの『亡国の政治』とうほかないではありませんか。 安倍政権に、もはや日本経済のかじ取りする資格なしということを、私はいいたいと思います」

 


”トヨタ 法人税(国税分) ゼロ”(08~12年度)、 どうしてこんなことが可能なのか

2014年06月01日 | 経済・財政

 「トヨタ自動車(豊田章男社長)は、2008年度から12年度の5年間という長きにわたり法人税(国税分)を1円も払わない一方、株主には1兆円を超える配当をしたうえ、内部留保も増やしています」(「しんぶん赤旗」6月1日付)

 どうしてこんなことが可能なのか。

 同紙の記事は、「トヨタ自動車が『法人税ゼロ』となったきっかけは、08年のリーマン・ショックによる業績の落ち込みでした。 企業の利益にかかる法人税は赤字企業には課されません。 しかし、その後業績は回復し、この5年間に連結で、2.1兆円、単体でも0.9兆円の税引き前利益をあげています」

 「それにもかかわらず、法人税ゼロとなったのは、生産の海外移転にともなう収益構造の変化によって、大企業優遇税制の恩恵をふんだんに使える体質をつくり出したからです」

 「同社は、海外生産を08年度の285万台から12年度には442万台に増やし、428万台の国内生産を上回る状況になっています。 この結果、『国内で生産し、輸出で稼ぐ』という従来の姿ではなく、『海外で生産し、稼いだもうけを国内に配当する』という収益構造に変化してきました」

 「そのうえ、09年度からは、海外子会社からの配当を非課税にする制度がつくられ、同社はこの制度の恩恵を受けたものと思われます。 さらに、同社は研究開発減税などの特例措置を受けています」

 「一方、同社は株主には5年間で総額1兆542億円もの配当を行い、内部留保の主要部分である利益剰余金(連結)も2807億円上積みしています」

 同紙4面の解説記事では、「12年度は税引き前利益が8562億円となり、配当益金不算入を考慮しても法人所得は黒字だったと思われますが、過去の法人所得の赤字分を差し引くことができる『欠損金の繰越控除制度』研究開発減税などによって、法人税がゼロになったものとみられます」とふんだんな「恩恵」制度を指摘しています。

 「消費税の引き上げ強行が国民生活を苦しめています。 しかし、トヨタは消費税をすべて価格転嫁でき、転嫁できない輸出分については、『輸出戻し税』で消費税を返してもらえるため、企業自身として消費税を負担することはありません。 さらに法人税ゼロで済んでいます」

 「しんぶん赤旗」5月29日付では、「トヨタ取締役報酬19%増」「21人に15億2200万円」と2014年3月期の報酬額を報道しています。

 トヨタの新聞広告が「有名」になっています。

 4月23日に日本経済新聞に掲載された広告で、「(消費税が上がって)家計のやりくりは大変だが、これを機会に生活を見直せば、ムダはいくらでも見つかるはず」「節約は実は生活を豊かにするのだと気づけば、増税もまた楽しからずやだ」などと言っています。

 政府が5月30日に発表した全国消費者物価指数(生鮮食品を除く)によると、消費税が増税された4月は前年同月比で3.2%上昇。 バブル崩壊後、最大の上げ幅に。 一方、1世帯の家計支出(2人以上世帯)は、同4.6%減少しています。

 なにが、「増税が楽しからずや」だ。

 


 「検証 異次元緩和1年」 消費税増税と日本の実態経済を考える上で参考にしたい

2014年04月09日 | 経済・財政

 ベースアップが消費税の増税分に追いつかない日本の状況、こんな中で、日銀は8日、消費税増税後では初めての金融政策決定会合が開かれ、声明が発表しました。 声明文は景気の先行きについて、「基調的には緩やかな回復を続けていく」との見通しを示しました。 果たして、「緩やかな回復」は期待できるのでしょうか。

 「しんぶん赤旗」は昨日付から、「検証 異次元緩和1年」を連載(4回連載)しはじめました。 

 第1回の見出しは、「投機あおる 国民には物価高」です。 

 「『バズーカ砲』にたとえられた異次元緩和も実態経済の回復に効果をあげられませんでした。 国内総生産(GDP)成長率は安倍政権発足以来、下がる一方です。 岩田規久男日銀副総裁自身、実体経済について、『効果を発揮するのはいよいよこれから』(2月6日宮崎県での講演)と現状で効果があがっていないことを認めています」

 「労働者の基本賃金(所定内給与)は今年2月まで前年同月比で23カ月連続減。 賃金が下がる中で物価が上がっています。~その上、4月1日には消費税率が8%に引き上げられました。 異次元緩和は富裕層や大企業、投機筋に多大な恩恵をもたらす一方、庶民に与えられたのは負担増だけでした」

 今日の見出しは、「円安、大企業に為替差益」です。 日本の貿易構造が大きく変わりつつあることを明らかにしています。

 「日本の輸出をけん引してきた自動車産業をみると、13年の輸出額は10兆4150億円で、前年比12.9%増でした。 しかし輸出台数は12年の584万3807台から581万7773台へと2万6034台も減りました」

 「3月31日に経済産業省が発表した『海外事業活動基本調査』によると、1992年度に26兆円だった海外現地法人(製造業)の売上高は、2012年度には98.4兆円と3.8倍に増えました。 同時に、海外現地法人(同)から日本への逆輸入は12年度、11兆3508億円で、日本の輸入総額の17%にもなります」

 「輸出大企業は、輸出量を増やさず、為替差益で大もうけしています。 トヨタ自動車の場合、対ドルで為替レートが1円下がると、営業利益は為替差益で年間約400億円増えるといわれています。 14年3月期、トヨタの営業利益は6年ぶりに過去最高を更新する見通しです」

 「結局、『異次元の金融緩和』による円安は、輸入物価の高騰を通じて国民に被害をもたらす一方、実体経済を活性化させる役割をまったく果たしていません。 大もうけするのは多国籍企業だけです」

 


「1カ月 2万1355円、9、4%の賃上げ可能」「内部留保481兆2000億円」=労働総研試算発表

2014年02月19日 | 経済・財政

 今朝は、桜ケ丘駅西口で07時前から地元支部のみなさんと宣伝行動を行いました。 駅前の道路の一部には残雪が氷ついているところもあり、出勤者に注意を呼びかけながらの宣伝でした。 特に、力を込めて訴えたことは、4月に迫って来た消費税の増税中止と暮らし、景気回復の決め手としての賃上げの実現でした。 寒い朝にもかかわらず、120名以上の方々に中央委員会発行のビラを受け取っていただきました。

 19日付「しんぶん赤旗」は賃金関連の記事を掲載しています。  その一つは、厚生労働省の毎月勤労統計調査(速報)です。

 「厚生労働省が18日発表した2013年12月の毎月勤労統計調査(速報)によると、基本給と残業代を合わせた『きまって支給する給与』は前年同月比0.2%減の26万739円となりました。 前年同月を下回るのは2012年6月以来19カ月連続です。 基本給を指す所定内給与も前年同月比19カ月連続減となる24万484円(0.2%減)でした。 ボーナスなどを合わせた現金給与総額は同0.5%増の54万3597円でした」

 「同日発表された13年平均の現金給与総額(月額)は前年とほぼ同額水準の31万4054円(73円減)でした。 きまって支給する給与は前年比0.5%減の26万353円、所定内給与は同0.6%減の24万1250円でした」

 「安倍晋三首相は『企業が最も活動しやすい国』を目指すとして、大企業に利益をあげさせるアベノミクスを推進してきました。 『異次元の金融緩和』による円安誘導で輸出製造業を中心に決算が改善。 SMBC日興証券のまとめによると、東証一部上場企業の2013年4月~12月期の純利益の合計額は、リーマン・ショック前の07年4月~12月期を上回りました。 それのもかかわらず、賃金が上昇してこなかったことが明らかになりました」

 もう一つは、労働運動総合研究所(労働総研)の春闘提言(13日発表)です。 以下、記事の内容を紹介します。

 「内部留保の積み上げをやめ、大幅賃上げをとする春闘提言」です。 同提言は、

 「内部留保を取り崩さなくとも1カ月2万1355円、9.4%の賃上げが可能だとしています」

 「提言は、3%の消費税増税(税率8%)が強行された場合、9416円、約2%の賃上げが必要だと指摘。 これに社会保険料の引き上げなどを加えると、4%の賃上げが必要だとしています。 消費税率が10%に増税された場合では、社会保険料などの引き上げを加味すると、6%の賃上げが必要だと試算しています」

 「内部留保は2012年度末で481兆2000億円(全企業、うち資本金10億円以上の大企業では272兆円)であり、2000~12年度では、単年度あたり平均15兆4000億円増加していると指摘。 売上高に対する内部留保の割合では、1960年代の3%前後から75~85年で9~10%、91~98年に14~15%へと増加。 これが99年以降急増し、2012年で35%に達したと指摘しています」

 「そのうえで、今後、経営を改め、内部留保に回る資金を賃上げに当てれば、断続的に1カ月2万1355円、9.4%の賃上げが可能としています。 企業規模で見ると、資本金10億円以上の大企業では5万9648円、20%、1億~10億円の企業では2万9051円、11.9%、1億円未満の企業でも9088円、4.4%の賃上げが、それぞれ可能だとしています」

 「都内で記者会見した木地孝之研究員は、『内部f留保がこれほど積み上がっているのは、世界から見ても異常です。 経済を正常な姿に戻すためにも、これ以上、増やす必要はまったくありません』 と語りました」

 


4月消費税増税ま直か。 GDP(国内総生産)が低迷、消費税増税中止・賃上げが景気回復の決め手

2014年02月18日 | 経済・財政

 今朝は、定例の大和駅宣伝行動を後援会のみなさんと一緒に行いました。 雪がまだ残る駅周辺ですが、出勤者に、「ベースアップこそが日本経済立て直しの決め手」と連帯を訴えました。 

 内閣府が17日発表した2013年10月~12月の国内総生産(GDP)1次速報値は、経済成長率で前期比0.3%(年率1.0%)にとどまりました。 

 「朝日」18日付は、「政権は強気崩さず」という見出しで次のように報じました。

 「民間の予測では、駆け込み需要がピークを迎える1~3月は年率換算で4%程度の高い実質成長率を達成するが、4~6月期には反動減で逆に4%程度のマイナスに落ち込むとされる。物価上昇とのダブルパンチに家計や企業が耐え、そこからどれだけ回復するかが今後の経済のカギを握る。 安倍政権は、プラスの経済成長が続いているとして強気の構えを崩していない」

 「菅義偉官房長官は17日の記者会見で、『民需を中心に景気は着実に上向いていることが確認できた。 海外景気全体が底堅さを増していることや、円安を背景に次第に持ち直していくだろう』との見方を示した」

 「ただ、街角の景況感には、陰りもでてぎる。 一般家庭の暮らし向きや収入などを聞く『消費動向調査』は12月、1月と2カ月連続で指標が悪化。 街角の商店主らの実感を聞く、『景気ウオッチャー調査』も1月の指標が3カ月ぶりに前月比マイナスとなった」

 「回復基調にある企業の設備投資の機会受注統計(船舶・電力を除く民需)は12月に前月比15.7%減と過去最大の下落幅を記録し、1~3月の見通しも2.9%減。 専門家からは『明確な牽引役が見当たらず、夏場以降もV字形の回復は期待できないだろう』(明治安田生命保険の小玉祐一チーフエコノミスト)との声も出始めている。 政権は15年10月から消費税10%に上げるスケジュールについて、今年7~9月のGDP統計などで景気回復を確認し、今年末までに実施するかどうかを決める方針。景気回復が遅れれば、その判断にも影響がでかねない」

  しかし、個人消費が0.5%と伸びないことが最大の原因であることが明らかになったなかで、このまま4月に消費税の増税を強行すればどうなるでしょう。

 「しんぶん赤旗」18日付は、「物価があがり、可処分所得が減少することで国民生活は苦境に立たされます。 『毎日新聞』(17日付)の世論調査でも4月に消費税が引き上げられた場合、65%が『家計の支出を抑えようと思う』と答えています。 今、必要なのは4月に迫った消費税増税を中止し、国民生活の悪化を食い止めることです。 中小企業への支援を行いながら最低賃金を大幅に引き上げることや、労働法制の改悪を中止することが政府に求められています」と指摘しています。

 安倍政権の経済政策の転換が避けられない事態となってきました。 


”4%から5%の賃上げがないと所得(可処分)は下がる” ”7割(中小企業)が身銭を切る”ことに

2014年02月06日 | 経済・財政

 「厚生労働省が5日発表した2013年の実質賃金指数は前年比0.5%減となりました。 賃金が上がらないまま物価だけが上がる実態が浮き彫りになっています。 日本銀行の『大胆な金融緩和』を背景にエネルギーや食品を中心に価格が上がり消費者物価が上昇しています。 物価上昇と裏腹に賃金があがらないまま、安倍晋三政権が4月に消費税の引き上げを強行すれば、家計の負担が、一段と大きくなり、日本経済の底がぬけかねません」(「しんぶん赤旗」6日付)

 3日の衆院予算委員会の佐々木憲昭議員の「基本的質疑の大要」が、5日付「しんぶん赤旗」に掲載されました。 今後の運動にとっても大変参考になるのではないかと感じました。 以下、消費税増税と賃上げ問題に関する質疑の一部を紹介させていただきます。

 「佐々木 安倍内閣は、『2年間で物価上昇目標を2%にする』ということでありますが、最近このサラリーマンの賃金が物価上昇に追いつかない、生活が苦しくなったという嘆きが聞こえてきます。 日銀に確認したいのですが、来年度の物価上昇の見通し、最近のデータで特に物価上昇率の高い品目を示していただきたいと思います」

 「木下信行日本銀行理事 電気代、ガソリン、テレビ、健康保険料、外国パック旅行、ルームエアコンなどとなっておりす。 物価上昇見通しですが、2014年度は消費税引き上げの影響を除きまして、1.3%、 2015年度につきましては1.9%となっています」

 「佐々木 公共料金が上がり、物価全体を押し上げているわけです。 日銀の『生活意識に関するアンケート調査』では、『物価上昇は困ったことだ』とお答えになっている方が8割。 給与総額が18カ月連続して対前年比マイナスになっております。 そのうえ安倍内閣になって、実質賃金がずっと下がってきているんです。 実質賃金は昨年6月まで上がっていたんですが、物価が上がるもんですから実質賃金はそれにつれて低下して7月以降マイナスになっている。 これは大変な事態なんです。 しかもそれだけではない。 4月から消費税率を8%にあげるでしょ」

 「ただでさ、賃上げがおいつかないといっているところに消費税が上乗せされて、いっそう大変なことになる。 税率が8%になりましたら、物価が約2%上がりますね。 来年度は物価上昇と消費税増税を合わせると、何%の上昇と想定していますか」

 「経済財政担当相 来年度の物価上昇率は消費税込みで3.2%。 消費税の分を外しますと1.2%です」

 「佐々木 3%を超えるわけですね。 しかも、そのうえ社会保険料の負担も増える。 ざっと見ますと、4~5%程度の賃上げがないとサラリーマンの可処分所得は低下するんです。 そのうえ、なかなか賃金が上がらない。実質賃金が低下していくことになりますと、消費が停滞する。 これが実態なんです」

 「佐々木 政府が2011年に中小企業4団体に依頼して行った調査で、売上高3000万円以下の業者のうち消費税を『転化できない』と回答したのは何割ありますか」

 「茂木敏充経済産業相 現在の消費税5%分を『全部転化できている』が39.6%、『一部転化できている』が26.2%、『ほとんど転化できていない』と回答された事業者が34.3%。 さらに今後、消費税が引き上げられた場合の転化の見込みは、『全て転化できるも込み見込み』と回答する方が27.5%、『一部転化できる】と回答された方が31.6%、『ほとんど転化できないと思う』と回答された方が40.9%おります」

 「佐々木 一部しか転化できない。 転化できないというのも含めるとだいたい7割ぐらいあるわけですすね。 転化できない場合、消費者から消費税を預かっていないわけなんです。 しかし、業者は納税の義務があります。 お金はいったいどこから出すのか。 だれが負担するんでしょうか」

  この質問に対して、安倍首相は、「万全の転化対策を講じていきたい」などと答弁しましたが、まったくその保障はありません。

 労働者の賃金引き上げ、雇用の改善をすすめること。 4月からの消費税増税中止。 大企業応援の異常な政治から大企業の社会的責任を堂々と求める政治への転換がまったなしの課題となってきていると感じています。

 


昨日、東証610円安、円100円台に上昇。 ”消費税増税すれば景気の底が抜ける”

2014年02月05日 | 経済・財政

 「世界で株価が下がる『世界同時株安』がとまらない。 なかでも日本の株安は突出している。 日経平均株価4日までの4営業日で1300円超(9%)下げ、昨年末の高値からは2200円(約14%)を超す急落になった。 アベノミクスの『円安・株高にブレーキがかかり、景気を冷やすおそれも出てきた」(「朝日」5日付)

 「朝日」5日付は、アメリカからの次のような記事も報道されています。

 「日本をはじめとした世界的な株安は、しばらく続く可能性がある。 投資マネーの流出が止まらない新興国で景気悪化の兆しが出始めたからだ。 3日には米国の景気減速を示す指標が出て米国主導の景気回復への懸念も広がり、投資家の不安はいっそう強まった」

 「世界市場の変調の原因は、米連邦準備制度理事会(FRB)が今年初めから、量的緩和の縮小を始めたことである。 市場にお金を流すペースを緩めたため、投資家が世界の株式や新興国の通貨を買っていたお金を引き揚げている。 トルコや南アフリカなどは先週、通貨安を止めるため、金利を引き上げて投資家を引き留める『通貨防衛』に動いた。 だが、大した効果は上がっていない」

 「米国自身の景気減速への懸念も出てきたかなで何も手を打たなければ、株安の出口は見えない。 22日に豪シドニーで開幕する主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で打開策が話し合われるとみられている」

 問題は、日本の経済の先行きです。「しんぶん赤旗」(5日付)の山田俊英記者は次のように指摘しています。

 「安倍政権が言う『景気回復』は、異常な金融緩和や公共事業の積み増しの結果にすぎません。 自賛してきた株高も昨年5月以降は停滞しています。 労働者の賃金は18カ月連続で減少。 所得の減少に歯止めがかからず、物価だけが上昇しています。 こうした中で4月の消費税増税を強行すれば、景気の底が抜けてしまいます」

 「政府は消費税増税を中止し、賃上げや雇用の創出で国民の暮らしを向上させる政策に転換すべきです」 


復興税、呆れるばかりの不公平。 大企業減税20兆円、国民は8兆円増税、佐々木憲昭議員が追求

2014年02月04日 | 経済・財政

 ここまでやるか、余りの不公平に怒りを通り越して、呆れかえりました。 昨日の日本共産党の佐々木憲昭議員の衆院予算委員会の質問で明らかにされた税額です。 佐々木議員は安倍政権が東日本大震災の復興財源を確保する企業向けの復興特別法人税を4月から1年前倒しで廃止します。

 その一方、個人への復興特別所得税は継続されます。 国民には25年間で8兆円の増税なのに対し、企業向けには年8000億円、25年間で20兆円の減税が恒久的に実行されるということです。

 佐々木議員は、「復興のためにみんなで分かち合うといいながら、国民には増税、大企業には減税というのは、公平・公正とは言えない」と指摘しました。 安倍首相は、「法人税と所得税・住民税は別の種類の税金」なとど答弁しましたが、佐々木議員は、「復興のためという目的は同じなのに、国民だけが負担するのを当たり前のようにいう。 誰にそんなことを言われたのか」と反論ました。 

 そして、日本経団連が、「大企業には増税にならないように」とか、その期間をできるだけ短く「3年以内にすべき」と要望していた事実を指摘しました。 その上で、日本の法人税が、「基本税率が30%でも実質負担率は21、3%」しかないことを明らかにし、「復興特別法人税の前倒し廃止で基本税率がさらに下げられたら実質負担率は10数%になる」と税の不公平を批判しました。

 経団連など財界は、法人税の減税を絶え間なく政府に要望し実行させてきました。(国税分・基本税率 1985年43.3%⇒2012年28.05%)その一方で、年間平均給与が最高額(1997年)から約60万円も減少(2012年)しました。 こうした結果、何が増えたのでしょうか。 大企業(資本金10億円以上、金融・保険を除く。財務省「法人企業統計」から)の内部留保は1985年には約60兆円程度でしたが、2012年には272兆円を超えるまでに増大しました。 

 この金額は、2012年の名目GDPのイギリス(247兆円)、フランス(261兆円)(いずれも、1ドル=100円換算)を上回る巨額なものです。

 内部留保については、財務省の関連統計でも明らかになっています。 

 「朝日」4日付は、「攻防 2014春闘」の記事で、「財務相によると、内部留保は、2013年3月末で過去最大の304兆円(金融・保険業をのぞく)。1990年代初頭の2.5倍近くに膨らんだ」と紹介しています。(このなかには中小企業の内部留保も含まれていると思います)

 佐々木議員は、「大企業が利益をあげれたら、下請けや労働者にもおこばれがあるだろうという、上から目線の『トリクルダウン』という発想はすでに破たんしている」と批判しました。

 そして、政府が力を入れるべき政策は、①低賃金で不安定な非正規雇用を増やしてきた労働法制の改正 ②中小企業への直接支援を行い、最低賃金を底上げすることを提案しました。

 4月消費増税は、中止しかありません。 財源は大企業や大金持ちの応分の負担でまずまかなうべきでではないでしょうか。

 


 最富裕層85人の資産額が35億人分に相当、日本も例外ではない。内需主導の産業政策へ転換を

2014年01月28日 | 経済・財政

 「”貿易赤字 最大の11.4兆円” 13年 円安で輸入額膨らむ」(「しんぶん赤旗」28日付)、今朝の新聞各紙は”貿易赤字拡大”を大きく取り上げていました。 しばらく前までは、日本の貿易黒字が大問題になっていましたが、東日本大震災があった11年から3年連続の赤字に陥りました。 主な要因は、火力発電用の液化天然ガス(LNG)などの燃料の需要贈と円安による輸入額の膨張などが指摘されています。

 消費者にとっては収入が減り続けるなかで、4月からは輸入品価格にも消費税が8%に増税されることにより、輸入品価格が値上がりし、更に負担が増えることになります。 アベノミクスの大きな弊害が避けられない事態が迫っています。

 昨日の「しんぶん赤旗」経済欄の金子豊弘記者の「経済アングル」の記事に注目させられました。 同記事は「格差拡大は世界の汚点」の見出しで、次のように述べています。

 「世界的に貧富の格差が拡大したとする国際援助団体のオックスファム発表の報告書が注目を集めています。 報告書によると、世界の最富裕層85人の総資産額は、世界人口の半分である35億人分に相当します。 人口の1%を占める最富裕層の富は110㌦に達しており、企業利益や経営者たちの報酬は日々その記録を塗り替え、勢いが減速する兆しはないとしています。 しかも世界の富裕層はタックスヘイブン(租税回避地)に富を隠し、租税を回避しています」

 「世界銀行のキム総裁は自身のブログで、『とてつもなく大きな所得の不平等は、われわれ全員の良心の汚点である』と憂いています。 日本も格差拡大の例外ではありません。 2010年、最富裕層1%の人々の所得は、全所得の9.51%を占めるに至っています」

 「オックスファムは、格差是正のために大企業経営者らに対し、次のように求めています。 ①累進的な課税を推進し、租税回避を行わない、②自分の富を政治的には利用しない、 ③自らが実質的所有者となっている会社や信託への投資はすべて公表する、 ④自国政府に対し、税収を保健医療、教育、市民の社会保障へ使うよう働きかける、 ⑤自ら所有または支配している会社に対し、生活賃金を払うよう要求する、 ⑥経済界の他の有力者に対し、これらの誓約を宣言し、守るように働きかける」

 日本共産党第26回大会決議は、「大企業が、『国際競争力の強化』の掛け声で、人件費の削減や納入単価の引き下げ、『コスト削減競争』に走り、内需を犠牲にして、外需でもうけをあげるといういびつな経済をつくりあげてきたことが、今日の『デフレ不況』の悪循環をもたらしている。 ここを根本から見直し、内需主導の健全な成長をもたらす産業政策に転換することを求めてたたかう」

 「この転換は、大企業の横暴から労働者や中小企業を守るという意味だけでなく、大企業の内部留保を、労働者、中小企業、地域経済に適切に還元・還流することを通じて、日本経済全体の健全な成長・発展の道を開くという重要な意味をもつ」と述べています。

 明日の志位委員長の衆院の代表質問、30日の参院の山下書記局長の代表質問を期待しています。

 

 

 

 

 


経団連の野望ー24年度に法人税25%に減税、25年度には消費税19%へ増税。未来が見えますか

2014年01月26日 | 経済・財政

 安倍首相は、24日の施政方針演説で、今国会を「好循環実現国会」と打ち上げました。 安倍演説では、「賃上げ」にもふれていますが、本音は、次のところにあるように思います。「設備減税や研究開発減税も拡充し、新たな市場に踏み出す企業を応援する。 復興財源を確保した上で、来年度から復興特別法人税を廃止し法人税を2・4%引き下げる」 大企業が世界一、活動しやすい国づくりですの具体化です。 

 安倍首相の施政方針演説の経済、財政政策の下敷きになっているものは、何でしょうか。 考えられるのは、今月20日に、日本経団連が発表した、「日本経済の発展の道筋を確立する」(以下、「提言」)の内容の基本的考え方や各項目分野政策でも重なり合っていることです。 例えば、「財政健全化ー消費税増税」「社会保障」「女性の雇用問題」「インフラ輸出」「イノベーション国家」等々です。

 「提言」は、「成長を牽引する『6つのエンジン』」を提唱していますが、その中の「立地競争力を磨く」のなかで、「復興特別法人税を1年前倒しで廃止するとされたことを高く評価している。 経団連としても、賃金の引き上げなどを通じて、一刻も早い経済の『好循環』が実現するように貢献していく」と述べながら、次のように強調しています。

 「だだし、復興特別法人税の廃止後も、法人実効税率が国際的に高い水準にあることは変わりはない。 世界各国は、立地競争力の強化に向けて、法人実効税率の引き下げ競争を展開している。 グローバルな競争が企業規模の大小を問わず激化する中で、日本だけが現状を放置し続ければ、企業の生産拠点の海外シフトや、対内直接投資の減少といった不利益が生じ、経済活力の低下や雇用機会の減少など、国民生活にも多大な影響が及ぶことになる」と国民を脅し、法人実効税率の引き下げに執念を見せ、賃上げに冷たい態度を露骨にしています。

 こうした論点は、経団連がいつも持ち出すものです。 日本共産党は法人税率の国際的引き下げ競争について、各国が共同した取り決めが必要になっていることを指摘し国際協調を提案していますが、同時に、日本の大企業の異常に低い法人税の実態を明らかにしています。

 「提言」は、「2030年度に向けた展望」の試算を提示しています。 2030年度に名目GDPを約850兆円に拡大し、長期債務残高を対GDP比で160%(1355兆円)に縮小するものですが、その「前提条件」はどんな内容になっているのでしょうか。

 その一つが、「法人実効税率は2015年度から毎年1%ずつ引き下げ、24年度に25%程度と置く」、また、「消費税率は2015年10月に10%まで引き上げ、その後もさらなる歳入改革を進める(計算上では、消費税率を2017年度から2025年度にかけて1%ずつ引き上げ、最終的に19%とする。 なを、複数税率の導入は考慮に入れていない)」

 さらに、「2013年度から2015年度の政府支出(実質ベース)を横ばいに設定。 その後も推計期間中、政府支出(社会保障関係費の自然増を含む)を毎年2000億円抑制」となっています。

 日本には大企業を中心は、270兆円を超える内部留保が蓄えられています。 この規模はフランスやイギリスのGDPを上回るものです。  経団連は、まさに「利潤の拡大第1の日本社会」を描いているようですが、その下での国民にはどのようなくらしがまっているのでしょうか。

 経団連はなぜ、巨額の規模に膨れ上がっている「内部留保」、これは、労働者や国民が生み出した富ではありませんか。 これを賃上げや雇用の改善、中小企業との公正な取り引き等有効に生かそうとしなのでしょうか。 

 経団連の「野望」と安倍政権の「暴走政治」が一体となって、国民に襲いかかってきています。 あらゆる分野での国民的共同が強く求めらていると思います。