その人は 突然怒りだし
笑いだし
泣きだしました
(どんな 気持ちなのかしら
‥‥‥ 考えても分からない)
「終始一貫している!」
その人は だしぬけに叫びました
(元に戻ったわ 怒っている)
「だから、聞こえている!」
(考えていることが 聞こえるなんて
ありえないわ)
「ここは、〈アリエヌ国〉だ。」
その人は しかつめらしく応えました
「ほら、ぐうの音も出ないね」
その人は 得意そうに言いました
(これが、嘘のリアルさね)
「応えは、解答用紙に書き入れる前に
消えていく」
その人は 尤もらしく呟きました
(大丈夫 乗り越えられるわ)
「ミスを想定しろ!
ここは、〈アリエヌ国〉だ」
その人の 言葉は木霊し、
次第に遠のいていき、
その時 硬直していた体は ほぐれ
もう少しで、やわらかな言葉に
触れられるような 気がしたのです
「ここは、〈アリエヌ国〉だ。」
R3.6.29
(絵・田添公基)
追記
長い間、拙作を読んで頂きまして
ありがとうございました。
深く、心より御礼申し上げます。