死に物狂いで 絵を描いたことはなかったが
狂ったように 描いた頃はあった
一階で 筆洗いのバケツに水をくみ
二階の 自室へ駆けのぼろうとしたら
母が(狂ったようだ) といった
心急き
ガンガンと 音楽を鳴らし
集中したが
水彩の重ね塗りは 色がにごった
パネルの前にうずくまり
後ろに下がり なんども見直した
結婚し 子どもが生まれると
おぶって描いた
するすると やわらかな絵を
描けたのは
十年で 三回だけだった
描き止めた時も 覚えている
自分には
画才がないと 知ったからだ
どんなに アイディアを持っていても
それを現す
画力がなかった
熟れることが できなかった
今頃 あれらの記憶はどうしているのだろう
できるなら
聞いてほしい
絵よ、
童話よ
わたしは こうして 詩を書いている
R3.5.3
H8.11.16制作
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