ながい梅雨空に飽き、
満月がしおたれ やって来て
ソファーいっぱいに
凭れた
毎晩しおたれ 凭れていると
とうとう 痩せはて
三日月になった
夜毎の闇夜つゞきに
呆れはて
話を耳にした
短気な友人が
風の吹き荒れる晩、
やってきて
(お前は月を盗んだのか
という
(勝手に来たのさ
(では 手伝おう
友人は
さっと
ぐるぐる巻きのロープをみせると
頷いた
(なに/凧の原理さ
その時
月がこちらを向いたので、
ふたりでとりおさえ
三日月の尖った顎に
ロープを巻きつけ
とっとと
月を
外へとつれだし
たったっと
ふたりで走った
強風にのり 月はふわりとあがる
強風にのり 月はぐんぐんあがる
(なんだ あがったじゃないか
(あがろうと しなかっただけさ
月は上空でもがくと
ロープをおとしてみせた
「また 訪問してもいいかね ?」
月の声がした
(ときどきならばね
と応えようとすると
(梅雨明けをしたまへ
断固として友人が応えてしまった
ああ
それからだ
熟したように
夏が来たのは、
H15.7.30
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