ムラサキに(?)が付いている訳とは!? ~「センブリの種」入れ替わり事件の謎~
おや、おや、なんとも珍妙なタイトルであることよ(いろいろな意味を込めて)。
ムラサキ(?)センブリは、リンドウ科センブリ属の二年生草本である。
同属のセンブリ(リンドウ科センブリ属に分類される二年草の一種)とは異なり、その名の通り、紫色の花を付ける。
二年生の草本だからして、なにも「実生二年目にして・・・」などと断る必要もなかろうに、と言う訳である。
ちょっとお待ち頂きたい。あえて断ったのには訳がある。このセンブリを播種したのは、2021年2月頃のことだった。
そう、だから、今年、2022年に咲いて何らおかしなことはないのだが、実は、おかしなことが2021年に起こったのである。
播種した中から、何を思ったか5本ほどがにょきにょきと伸び出して直立し、側枝を出してつぼみを付け、その年の11月1日 (クリックするとKite.comの「そだレポ:ムラサキセンブリとのひととせ」のページが別ウィンドウで表示されます)に花開いたのである。
そう、そう、なかにはおちょこちょいがいてその年のうちに咲き出す奴がいるとは聞いていた。
だが、猫の額でそれを目撃することができるなんて、ついぞ思わなかった。ラッキーだったね。
と言う訳で、この子たちがまっとうな(?)実生二年生草本のムラサキ(?)センブリと言う訳なのである。
と、ここまで書いてきて、画像をもう一度見直している。なんとなく、違和感を感じるのだ。
花の色が、昨年開花したムラサキセンブリとは大きく異なる。。。
種は、大阪の山野草の師匠から頂戴した。確か、二回に分けて・・・。
📷2022年10月21日:確かに、内花被(花弁)の基部に2個の蜜腺溝がある。
ここで、いつもの松江の花図鑑さんのセンブリ項目の記述を思い出した。
「基部に2個の蜜腺溝があり、長毛がある。」
記述の通り、画像には2個の蜜腺溝と長毛が認められた。おい、おい、いまのいままでムラサキセンブリだと思って書いてきたが、これは、まさかのセンブリじゃないか!
去年はムラサキセンブリが咲き、今年はセンブリが咲いた。一年経つとムラサキセンブリがセンブリに化けるのか? そんなはずはない。あるいは、2つの種を仕込んだ大阪の師匠のギミックだったとか? すっかりムラサキセンブリだと思っていたので、いま、大慌てて改稿している 笑
📷2022年10月20日:実は、昨日(10/20)開花を確認した。本株ではなく、丈の短い側枝が先に咲き出した。
📷2022年10月21日:今日(21日)ほころんだこの子も、草丈の短い側枝の方。
📷2022年10月21日:同時刻に撮った本枝の頭頂部の花たち。
直立した苗の、上部に付いている数個のつぼみばかり見ていた。当然、上の方が先に咲くものと思って。
ところが、地面に張り付くように伸びていた丈の短い側枝(?)のつぼみが先に開いたのである。それが、10月20日のこと。
「意表を突く」という言葉がある。デジタル大辞泉には、「相手の予期しないことをする。」とある。
「去年ムラサキセンブリが咲いたから、今年も・・・」、「きっと、この頭頂部から咲くよね。」、なんて予断を持ってしまうと、ヒト属の思考はムラサキセンブリという名にとらわれ、その視線は頭頂部ばかりに集中してしまう傾向がある。物の全体像が見えなくなってしまう訳だ。
これって、ある種のアンコンシャス・バイアス(unconscious bias)ってことかもしれないね。無意識を意味するUnconsciousと、バイアス・偏見・先入観などを意味するBiasを組み合わせた造語とされ、自分では気づかずに、ついついやってしまう偏ったものの見方のことを指すのだとか。
結局、モノを見えなくさせているのは、自分自身の裡に潜む思い込みや偏見ってことなのかもしれないね。
📷2022年10月21日:三本のセンブリが暮らす坪庭。
坪庭の中央には石燈籠が据えてある。その裾に、三本のセンブリが息づいている。
左端、ナチアワモリショウマの前に1本、ヒメノコンギクの株が中央で途絶えるがその辺りに1本、そして、その右側に1本といった具合だ。
右端のムラサキセンブリの裾には、やはり二年草のリンドウ科センブリ属アケボノソウの1年苗が時が至るのをひたすら待っている。こちらは、昨年苗を通販し、花を鑑賞したのち種を採取し、その後播種したものだ。
来年はセンブリの花にはお目にかかれないことだろう。その代わり、猫の額のあちこちに蒔いたアケボノソウが一斉に開花すると思って楽しみにしている。上手く年を越してくれるといいのだが。
📷2022年10月21日:蔓延るよね、このカナムグラも。
鉢植えのヒメノコンギクが咲き出している。もう少し濃い紫だと思っていたが、かなり薄めだ。
この子が咲き進むうちには、シロバナホトトギスやキバナホトトギスなども咲くことだろう。秋の花は、まだまだこれからが見ごろだ。
しかし、センブリに関しては、もやもや感が残るなぁ~。。。