◆自由な投句箱/花冠発行所◆

主宰:高橋正子・管理:高橋句美子・西村友宏

今日の秀句/1月21日~1月31日

2025-01-22 00:19:38 | Weblog
1月31日(2句)

★眩しさや枯れの極まる野の光/多田有花
「枯れの極まる」とき、日差しは日々強くなっている。枯野の光は眩しいほど反射している。「枯れ」の「清潔さと明るさ」がよく詠まれている。(髙橋正子)

★春を待つ夕星高く光りおり/廣田洋一
夕星が高くつややかに光っている。そんな夕星を見るにつけ、春への思いが膨らむ。言葉の選び方が、素直なのがいい。(髙橋正子)

1月30日(1句)

★配達夫寒さを問えば雪と答う/上島祥子
品物を配達に来た人に「外は寒いですか」と聞くと、「雪ですよ」と答えてくれた、寒い日の日常の一こまが詠まれている。その日の寒さ、暮らしぶりがよくわかり、自分に置き換えて共感できる。「答う」は、「言う」と、定型に収めてよさそうなものだが、しっかり「答う」で終えられているところも汲みとるべき。(髙橋正子)

1月29日(2句)

  藤本観音山古墳にて
★冬日差す古墳に足止め風を聞く/土橋みよ
藤本観音山古墳は長さが100mほどもある大きな前方後円墳。栃木の五座にもなっているという。「風を聞く」が自然なのがいい。古の人々の声を聞くかのように足と止めている(髙橋正子)。

★寒椿落ちゆくならば淡海/弓削和人
寒椿は落ちてゆくなら、淡海に落ちてゆきたいものだと。また寒椿は淡海に落ちて子と相応ししと言う思いを詠んだ句。寒椿と淡海の取り合わせに妙がある。「淡海」は「おうみ」と読むのなら字足らず。出来るなら、定型にする方が、句に格調が生まれると思う。(髙橋正子)

1月28日(1句)

★主治医との面談コート着たままに/上島祥子
主治医と話すとき、コートを着たままは失礼になる場合もあり、違和感を感じているのが作者。感じた「違和感」を誠実に鋭く句に詠んでいる。重要な差し迫った話の内容だったのかもしれない。仕事から急いで駆け付けてコートを脱ぐ間もなく話さなければならなくなったのかもしれない、ことなどが事情。(髙橋正子)

1月27日(1句)

★咳をする人を数えり深夜バス/弓削和人
深夜バスは外の景色が見えない分、バスの車内に関心がいく。静かな車内で咳をする人があそこの席、こちらの席と数人はいるようだ。風邪が流行る時期の深夜バスの様子がよく詠まれている。(髙橋正子)

1月26日(1句)

★待春の巡礼道を辿りけり/多田有花
暖かい春がくると巡礼に出かける人が多い。春を待ちつつ、巡礼ではないが、巡礼の道を歩いてみた。巡礼をしている気持ちがするだろう。(髙橋正子)

1月25日(1句)

★間道の社のたもと探梅行/弓削和人
「間道」は主な通りを外れた道のこと。ひっそりと佇む社のたもとに梅の木がある。梅の花はまだかと、訪ねてみる。仰々しい探梅行ではなく、ひとり楽しむささやかな探梅行もまたいいものだ。(髙橋正子)

1月24日(1句)

★夕空に茜残りぬ日脚伸び/多田有花
私もこのような景色を、ここ2,3日の内に見ている。日が落ちてすぐに真っ暗になっていたのは、ついこの間まで。大寒と言う寒さにもかかわらず、夕空はきれいな茜色で、日は暮れず、日脚が伸びたことを実感する。(髙橋正子)

1月23日(1句)

★竹藪まで届く日差しや梅早し/廣田洋一
日脚が伸び、小暗い竹藪に日差しが差し込むようになった。早くも梅が咲き始め、春の訪れに心があかるくなる。「梅早し」が効いている。(髙橋正子)

1月22日(1句)

★冬空に園児の列はまっすぐに/弓削和人
この俳句は、寒い冬の空の下で、園児たちがまっすぐに整列している様子を描いています。弓削和人の詩情がよく表れた一節ですね。
一つのコメントですが、冬の空という背景が、清らかで澄んだ感じを与え、園児たちの純粋さや無邪気さをさらに引き立てているように感じます。冬の冷たさの中でも、園児たちの元気さや規律正しさが、心温まる印象を与えてくれますね。(AIによるコメント/引用責任髙橋正子)

1月21日(1句)

★雪原の若やぐ朝や鳥の声/小口泰與
雪原が若やいだ印象は読み手に任されるが、雪原に朝日が差し、雪原が明るく輝いて広々とした情景が想像できるだろう。そんな雪原に鳥の声が聞こえ、寒さのなかにも生き生きと、また溌溂とした世界が感じられる。(髙橋正子)
コメント (9)
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1月21日~1月31日

2025-01-22 00:15:37 | Weblog
1月31日(5名)

小口泰與
寒風に木木の鳴りけり山の沼★★★
人の世のああ儚きやはかなきや★★★
冬木立つ沼へ夕日の当たりたる★★★

多田有花
お出かけの計画話し春を待つ★★★
眩しさや枯れの極まる野の光★★★★
湯たんぽに布団に残る夜の温み★★★

廣田洋一
春を待つ夕星高く光りおり★★★★
手を上げて渡る園児や春近し★★★★
裸木のすっくと伸びる青き空★★★★

桑本栄太郎
塵出しの霙まじりの小雨かな★★★
干しものの風に躍りぬ一月尽★★★
底冷えや寝床の背ナのつめたきに★★★

弓削和人
冬将軍比叡おろしに襟の盾★★★
鳶鳴けり大杉跨ぎの鳶も鳴き★★★★
鳰潜る波の揺れなき冬湖畔★★★

1月30日(5名)

小口泰與
吹き募る赤城颪や厩橋★★★
森の朝鴛鴦盛装の娚(めおと)かな★★★
山の沼冬翡翠に偶然に★★★

多田有花
ボールペン不意にインクの尽きて寒★★★
強風に寒の茜の色冴える★★★
寒風や面をあげて歩きけり★★★

廣田洋一
熱燗もワインも飲みてクラス会★★★

更地の測量終えて春近し(原句)
字足らずが気になりました。(髙橋正子)
測量を終えし更地や春近し(正子添削例)

青空に縄飛唄のにぎにぎし★★★
「青空に縄跳唄」はとてもいいです。(髙橋正子)

桑本栄太郎
白きもの思い出すかに風花す★★★
凍雲のはるか嶺の端白きかな★★★
こきこきと竹林揺るる寒の風★★★

上島祥子
虎落笛一人になればさらに鳴き★★★★
小雪舞う命日の花自転車に★★★★
配達夫寒さを問えば雪と答う★★★★

1月29日(6名)

多田有花
春隣る大樹は空を友として★★★
寄せ植えに小さき葉牡丹のありぬ★★★
午後の日はすでに翳りて花八手★★★

小口泰與
浮子の影くいっと散りし冬の沼★★★
空っ風吹き荒る用意怠らず★★★
鴛鴦の二羽にて日の出伝えけり★★★

廣田洋一
早梅や紅き光を放ちおり★★★
早梅の白きを供う慰霊碑かな★★★
蕊光り日を返したる寒椿★★★

土橋みよ
  藤本観音山古墳にて
冬日差す古墳に足止め風を聞く★★★★
春の風古墳の食器時を超え★★★

桑本栄太郎
夜もすがら虎落笛聞き目覚めけり★★★
山容のくつきり見ゆや寒の風★★★
冬ぬくし背ナに日差しの厨かな★★★

弓削和人
寒椿落ちゆくならば淡海★★★★
冬銀河鳰の湖へと流れけり★★★★
鳰の湖浪の音を背に寒桜★★★
景色はとてもいいですので、もう少しまとまるといいです。(髙橋正子)


1月28日(6名)

小口泰與
枝垂れ木に群れて糞する寒雀★★★
一羽発ち次は瞬時や寒雀★★★
吹きよどむ赤城颪の治まりし★★★

廣田洋一
冬温し手をつなぎ行く老夫婦★★★
時々は口を開けたり寒の鯉★★★
街角の花屋をのぞく春隣★★★

多田有花
布の干支小さきストーブの上に★★★
春近しシフォンケーキにクリームを★★★
蝋梅に寄れば雀のぱっと発ち★★★

桑本栄太郎
枝先の日を受け艶に冬木の芽(原句)
枝先に日を受け艶に冬木の芽(正子添削)

寒風や鴉の声の嗄れいたる★★★
ふるさとの野山を想う寒波かな★★★

土橋みよ
     矢場川神明宮にて
短日や寒さに耐える守り神(原句)
「短日」と「寒さ」が二つがテーマになっています。「短日の寒さ」にし、テーマは一つにします。(髙橋正子)
短日の寒さに耐える守り神(正子添削)

春を待つ鯉に乗る仙人(ひと)夢馳せる★★★
山茶花の小径を歩く雀かな ★★★

上島祥子
主治医との面談コート着たままに★★★★
寒犬の揺れる尻尾や散歩の子★★★
寒犬の揺れる尻尾」と「散歩の子」の関係をはっきりさせるとよいと思います。(髙橋正子)
欲しくとも買えぬ訳有り桜草★★★

1月27日(5名)

小口泰與
冬の日や幼き竹に小さき葉★★★
山風の吹き治まりて冬の雷★★★
冴ゆる日の噴煙我に降り注ぎ★★★★

多田有花
裸木の大樹骨格の新た★★★
紅白の山茶花咲かせ巡礼道★★★
水彩画版画を並べ春を待つ★★★

廣田洋一
電気行火強火にしたる夜明け前★★★
諫暁の朝刊配る靴の音★★★
子供らのボール蹴り合う大枯野★★★

桑本栄太郎
太陽のにじみ真上やしぐれ雲★★★
ふるさとを想い歩むや枯野行★★★
海鳴りの頻りに聞こゆ懸大根★★★

弓削和人
夜の更けて気になる仕事に湯ざめかな★★★
咳をする人を数えり深夜バス★★★★
バスを待つわずかなりしも日向ぼこ★★★★


1月26日(4名)

小口泰與
雄心をすくし寒風摩擦かな★★★
男盛りをとうに過ぎたり枯薄★★★
吹きよどむ赤城颪も治まりし★★★

廣田洋一
白き枝ぴんと伸びたる冬の空★★★
寒晴れや透かし見えたる川の底★★★
青空に富士山白き春隣★★★

多田有花
待春の巡礼道を辿りけり★★★★
寒中の青空映す池の面★★★
開運の干支一月の神社かな★★★

桑本栄太郎
凍雲の疾く走り居り朝歩き★★★
雲奔り日差しまぶしき春隣★★★
枯蔓の金網塀にすがりけり★★★

1月25日(4名)

小口泰與
籠り居の赤城颪を肌に聞く★★★
井の底に冬満月の煌煌と★★★
枯木山日影小暗き山の端★★★

多田有花
寒中に汗光らせて長距離走★★★
城までの道まっすぐに寒霞★★★
寒ぬくしロードサービスを呼びぬ★★★

桑本栄太郎
覆うもの皆うらがえり風凍つる★★★
雲出でて日射し遮る寒波かな★★★
明暗の頻りに替わる障子越し★★★

弓削和人
新春や天満宮の祈願絵馬★★★
猿曳の猿励まされ空を舞い★★★
間道の社のたもと探梅行★★★★

1月24日(4名)

多田有花
寒卵ゆでる間に散歩する★★★
寒中の森の奥より鳥の声★★★
夕空に茜残りぬ日脚伸ぶ(原句)
「残りぬ」、「日脚伸ぶ」はどちらの言い切って切れが生まれています。どちらを中心にしますか。(髙橋正子)
夕空に茜残りぬ日脚伸び(正子添削)

小口泰與
マスクして目は笑い居る人なりし★★★
しとしとと続く冬雨詫住い★★★
天を割り冬雷の顔を出す★★★

廣田洋一
プールより空を見上げて日脚伸ぶ★★★
母子にてボール蹴り合い日脚伸ぶ★★★
夕星を一つ浮かべて寒茜★★★

桑本栄太郎
人はみな何かに縋る霜夜かな★★★
太陽のにじみ明るき冬ぬくし★★★
徐州へとすすむ軍馬や蘆平忌★★★

1月23日(5名)

小口泰與
登り来る若き炎帝太氷柱★★★
ゆうらりと雲湧く度に雪浅間★★★
風よりも僅かに軽き枯葉かな★★★

廣田洋一
神主が先頭に立ち初笑い★★★
冬薔薇の小さく咲きて青き空★★★
竹藪まで届く日差しや梅早し★★★★

多田有花
反故紙へ書きつけいろいろ冬の夜★★★
階段を上り下りして春を待つ★★★
寒中の日差し背に受け歩きけり★★★

桑本栄太郎
山膚のうす紫よ冬がすみ★★★
溝川の音のやわらぎ春隣る★★★★
ろうばいの葉の見当たらぬ花の色★★★

土橋みよ
柿の実を食べ尽くされて誰が為★★★
食育のカレンダー手に冬の味★★★
冬の幸添え書き綴る手止まらず★★★

1月22日(5名)

小口泰與
別れては一人一人の冬芽かな★★★
友人のさらばと別る冬の駅★★★
刻限をわきまう赤城颪かな★★★

廣田洋一
天気予報三寒四温そのままに★★★
河原の石広くせり出し冬の川★★★
門前の日溜り占めて冬薔薇★★★

多田有花
蝋梅の香りの中に踏み入りぬ★★★
瀬戸内よ冬青空の眩しき地★★★
大根を豚ばら肉と煮て夕餉★★★

桑本栄太郎
寒晴といえど冷たきもの頬に★★★
晴れいても枯葉まといぬ櫟かな★★★
寒菊の傾ぎて尚も濃むらさき★★★

弓削和人
冬空の園児の列はまっすぐに(原句)
「冬空の園児の列」の「の」の使い方に注意です。(髙橋正子)
冬空に園児の列はまっすぐに(正子添削)

冬の鳩餌を求めつつ足の元★★★
冬の店たこ焼をつく女学生★★★
 
1月21日(5名)

小口泰與
たまに浮きあとは水底冬の鯉★★★
冬の日や日向日陰を木木分かつ★★★
雪原の若やぐ朝や鳥の声★★★★

廣田洋一
冬薔薇赤くとんがる蕾かな★★★
句の主の名乗りを聞きて初笑★★★
早梅の一樹を囲む女学生★★★

多田有花
鳥の影窓を横切る寒の午後★★★
熟睡の山を見上げて伸びをする★★★
浮かびくることのいろいろ反故紙へ
季語を入れたほうがいいです。(髙橋正子)

桑本栄太郎
久女忌のあおぞらに添い田道行く★★★
グランドのおらび声聞く春隣★★★
枝上に我を見下ろす寒がらす★★★

上島祥子
寒晴や病院までの遠き道★★★
お下がりの兎のマフラー母見舞う★★★
茜さす紫の雲春隣★★★

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自由な投句箱/1月11日~11月20日

2025-01-12 01:05:43 | Weblog
※当季雑詠3句(新年・冬の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。(例:唐辛子など)
※★印の基準について。
「心が動いている」句を良い句として、★印を付けています。 
    
     🍊🍊🍊 🍊🍊🍊 🍊🍊🍊 🍊🍊🍊 🍊🍊🍊
      今日の俳句『現代俳句一日一句鑑賞』(髙橋正子著)より
   右端に🌸の印が付いている句は、(現)または(元)花冠会員の句
   名前の右端に🍁の印が付いている句は、花冠に縁の深い方の句

1月20日
★大寒や転びて諸手つく悲しさ     西東 三鬼(さいとう さんき)
1月19日
★火鉢にかざす手の中のわが指の骨   臼田 亜浪(うすだ あろう)🍁
1月18日
★土堤(どて)を外(そ)て枯野の犬となりゆけり 山口 誓子(やまぐち せいし)
1月17日
★風邪の母子抱きあふ形玻璃透る    西垣 脩(にしがき しゅう)🍁
1月16日
★雪山の風来るまでにちかづきぬ    篠原 梵(しのはら ぼん)🍁
1月15日
★群れ来たりまた大空へ寒すずめ    石井 信雄(いしい のぶお)🌸
1月14日
★畝伸びる彼方に雪の剣岳       能作 靖雄(のうさく やすお)🌸
1月13日
★限りなく降る雪何をもたらすや    西東 三鬼(さいとう さんき) 
1月12日
★鴨の中の一つの鴨を見てゐたり    高浜 虚子(たかはま きょし)
1月11日
★ふかぶかと枯野の果ての日の名残り  大山 涼(おおやま りょう)🌸
コメント (36)
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今日の秀句/1月11日~1月20日

2025-01-12 01:04:27 | Weblog
1月20日(2句)

★雪の熔岩黒き煙を吐きにけり/小口泰與
この句は、雪と熔岩という対照的なイメージを結びつけています。熔岩が雪の中で黒い煙を吐く様子は、自然の力強さと神秘を感じさせます。熔岩の熱さと雪の冷たさ、黒い煙と白い雪というコントラストが魅力的です。(AIのコメント/引用責任髙橋正子)

★ 水仙の廻りを掃きて日暮かな/廣田洋一
この句は、水仙の花を取り巻く日常の一コマを切り取ったものです。夕暮れ時に水仙の周りを掃除する様子は、静かな日常の美しさや穏やかな時間の流れを感じさせます。水仙の花がもたらす柔らかな明るさと夕暮れの静けさが、心に響く句です。(AIのコメント/引用責任髙橋正子)

1月19日(1句)

★山茶花の花は夕陽に彩を増し/上島祥子
山茶花の花は昼間は賑やかな印象で咲いているが、夕陽が差すころになると、一つ一つの花が葉むらから浮き上がって、陰影深く見える。夕陽に照らされ彩を増す。その細やかな変化をよく捉えている。(髙橋正子)

1月18日(1句)

★竹筒の灯かりに祈る阪神忌/桑本栄太郎
阪神・淡路大震災で亡くなった人々への、素直で素朴な祈りの姿が、あたたかく伝わってくる。(髙橋正子)

1月17日(1句)

★鐘鳴らししのぶ未明や阪神忌/桑本栄太郎
 阪神・淡路大震災から30年経った。1995年 (平成 7年) 1月17日 (火曜日)5時46分52秒に発生した 。その朝は私は信之先生と松山に居て揺れで目を覚まし、次第に死者が増えるニュースに釘付けだった。近所の娘さんも遺体となって帰ってきた。寒中の未明の地震にさまざまな記憶が蘇り、追悼の気持ちが深くなる。(髙橋正子)

1月16日’(1句)

★松納静かな雨が屋根濡らす/多田有花
地方によって違うが、現在では松の内は1月7日までとされている。正月の飾りを取り払うのが松納。その時期には寒に入り、冷たい雨が降ることもある。「屋根を濡らす」静かな雨になることもある。松納の静かな寂しさがしっとりと伝わる。(髙橋正子)

1月15日(1句)

★少しずつ膨らみきたり冬芽かな/廣田洋一
「少しずつ」に作者のやさしい気持ちがよく現れている。少しずつ膨らんでいる
冬芽への期待が感じられる明るい句。(髙橋正子)

1月14日(1句)

★日を浴びて葉牡丹の渦広がりぬ/廣田洋一
正月には葉牡丹の中心はしっかり巻いていた。日々、日を浴びて葉牡丹の渦はゆるみ広がってきた。葉牡丹の渦の弛みに、日が過ぎて行くことが思われる。(髙橋正子)

1月13日(1句)

★蘇るや雪の浅間へ朝日差し/小口泰與(正子添削)
蘇る雪の浅間へ朝日かな/小口泰與(原句)
「蘇る」のは、雪の浅間山が朝日を受けたからそのように感じたのではないだろうか。そこをはっきりさせるために添削した。雪の浅間が朝日をうけて神々しいまでに「蘇った」のがうれしいのだ。(髙橋正子)

1月12日(1句)

★寒餅や軒に吊るせし昭和の日/廣田洋一
正月の餅が寒中まで残ることは多い。黴ないようにいろいろ工夫されるが、寒い地方では藁でしばり軒に吊るしておく。私の育った瀬戸内は水に入れて保存する水餅にする人が多かった。水は毎日取り換えなければいけないが、こうすると柔らかさを保て、黴が防げた。それも昭和の日のこととなった。洋一さんは昭和の日、どこにお住まいだったのだろう。懐かしい光景。(髙橋正子)

1月11日(1句)

★一木のくぬぎ枯葉を纏うまま/桑本栄太郎
くぬぎは、落葉広葉樹。落葉といいながらも、紅葉後に完全な枯葉になっても、離層が形成されないため枝からなかなか落ちず、「枯葉を纏うまま」の状態になる。もしゃもしゃと枯葉が枝についているのをよく見かける。この句は当たり前の様子を述べただけで、欲のない表現がいい。(髙橋正子)
コメント (10)
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1月11日~1月20日

2025-01-12 01:02:08 | Weblog
1月20日(4名)

小口泰與
ラガー等の雨の中なる顔の艶★★★
短日の狼藉物の鴉なり★★★
雪の熔岩黒き煙を吐きにけり★★★★

廣田洋一
水仙の廻りを掃きて日暮かな★★★★
人気無く水仙だけが並びおり★★★
蠟梅や小雨を浴びて香を放つ★★★

多田有花
大寒や布団に残る身の形★★★
大寒の雀膨れるだけ膨れ★★★★
身の内もどこか伸びやか日脚伸ぶ★★★

桑本栄太郎
大寒といえど眩しき日差しかな★★★
降り止みて路面光りぬ朝しぐれ★★★
まんさくの枯葉を纏い備え居り ★★★


1月19日(名)

小口泰與
よろず枯る中に青竹冬空へ(原句)
「よろず枯る」があるので「冬空」の「冬」がない方が「枯れ」のイメージが強くなります。(髙橋正子)
よろず枯るる中の青竹空へ伸び(正子添削)

あけぼのの鷹の治めし美空かな★★★
凩や如何に世渡る孫二人★★★

多田有花
気が付けばいつも後半一月は★★★
寒の昼Web会議で同窓会★★★
日脚伸ぶともに若き日を語る★★★

廣田洋一
陽の当たる小枝に群れて寒雀★★★★
門前にすっくと立ちて冬薔薇★★★

いつも通る道に沿いたる寒椿(原句)
いつも通る道に沿い咲く寒椿(正子添削)
「沿いたる寒椿」(ただ沿っている寒椿)では、すこしイメージが弱いように思います。鮮やかに咲く花を強調すると句がいきいきするのではないでしょうか。(髙橋正子)

桑本栄太郎
あおぞらに喜びいさむ冬木の芽★★★
日差し浴び歩み伸び居り春隣★★★
くいくいと桜冬芽のあおぞらへ★★★

上島祥子
冬晴れに重ねる声やサッカー子(原句)
冬晴れにサッカーの子ら声重ね(正子添削)

山茶花の花は夕陽に彩を増し★★★★

川を越え山茶花満ちる家の前 
「川を越え」と「家の前」があるので、山茶花がどこにあるのか、位置がわかりにくいです。(髙橋正子)

1月18日(6名)

小口泰與
藁仕事戸の隙間より川の風★★★
枝垂れ木の枝に数多の寒雀★★★
一羽発ち続けて数羽冬木より★★★

弓削和人
雪だるまわが家を見ている小石の目★★★

レースよりわずか雪晴ありがたし
「レース」は、カーテンのレースなのですか。(髙橋正子)

血の通う朝の目覚めに霜の声
「霜の声」は霜の降りた夜の、冷たくさえてしんしんと更けゆく様子を言います。(髙橋正子)

土橋みよ
人来ねど庭は清めて大中寺(原句)
庭清し人来ぬ寒の大中寺(正子添削)
季語がないので、季語を入れました。(髙橋正子)

孫遠しピーナツ包む寒の朝(原句)
遠き孫へピーナツ包む寒の朝(正子添削)
「ピーナツ包む」がなんのために包むのかよくわかりませんので、添削しました。(髙橋正子)

廣田洋一
蠟梅の香り確かめ法の庭(原句)
蠟梅の香り確かに法の庭(正子添削)

左義長や火を掲げたる禰宜来たる★★★★
どんど焼き団子分け合う親子かな★★★

多田有花
湯上りの喉に麗し寒の水★★★
極楽や湯たんぽの待つ布団に入る★★★
歯をクリーニングして待春の夕べ★★★

桑本栄太郎
竹筒の灯かりに祈る阪神忌★★★★
風のなく日差しまぶしく春近し★★★
遠峰のうすく連なる冬かすみ★★★

1月17日(3名)

小口泰與
山風の強き朝や太氷柱★★★
ほうとうを賜わる宿や枯木山★★★
売出しの目玉は鮪十日市★★★

多田有花
松過の日ごと明るくなる光★★★
寒波来る外の蛇口にタオルを巻く★★★
寒波ゆるむほっと一息つく心地★★★★

桑本栄太郎
鐘鳴らししのぶ未明や阪神忌★★★★
山膚を雲影走り春近し★★★
みぞれ止み遥か遠嶺の白きかな★★★

1月16日(4名)

小口泰與
山風の強き朝や太氷柱★★★

ほうとうの賜わる宿や枯木山(原句)
「ほうとうの賜る」の「の」の使い方について。長く俳句を作っていると「の」をつい使ってしまう方が結構おられます。気を付けて使ってください。この句の場合は意味がとれません。(髙橋正子)
ほうとうを賜わる宿や枯木山(正子添削)

売出しの目玉は鮪十日市★★★

多田有花
松納静かな雨が屋根濡らす★★★★
北の山は雲に隠れて寒波急★★★
湯たんぽのぬくもりに触れ眠りおり★★★★

桑本栄太郎
あおぞらの驚くばかり寒晴るる★★★★
雲の間の日差しまぶしく春隣る★★★
黄をきわめ狭庭明るき柚子橙★★★

上島祥子
夜を越して無事を喜ぶ雪だるま★★★★
互選終え大きく息吐く初句会★★★
寒水に浸して榊生き生きと★★★★

1月15日(3名)

小口泰與
早朝の冬山雀の声高き★★★
赤赤と冬日すなおや利根川原★★★★
雪催い赤城ははやも雲の中★★★

廣田洋一
少しずつ膨らみきたり冬芽かな★★★★
桜冬芽赤み増したり並木道★★★
星一つ上に控えて寒の月★★★★

桑本栄太郎
太陽の明るく滲み時雨止む★★★★
いそいそと妻の出掛けやどんど焼き★★★
しぐれ止む遠嶺の白くあらわるる(原句)
俳句の基本としては「切れ」は一か所にします。(髙橋正子)
しぐれ止み遠嶺の白くあらわるる(正子添削①)
しぐれ止む遠嶺の白くあらわれて(正子添削②)

1月14日(3名)

小口泰與
電線に並ぶ雀や冬ざるる★★★
木を叩くコゲラの嘴や森の朝★★★

風花の舞うや鳥声短きや(原句)
風花の舞うや短き鳥の声(正子添削)

廣田洋一
日を浴びて葉牡丹の渦広がりぬ★★★★
日を浴びて白々光る枯野かな★★★
大枯野ランナーたちの駆け抜けて★★★

桑本栄太郎
風なくば日差し明るく冬ぬくし★★★
葉牡丹の渦のむらさき更に濃く★★★
山茶花の紅白混じる垣根かな★★★

1月13日(3名)

小口泰與
しとしとと寒の雨かや朝まだき★★★

蘇る雪の浅間へ朝日かな(原句)
蘇るや雪の浅間へ朝日差し(正子添削)

上州は四方山充つ空っ風 ★★★

廣田洋一
松過ぎて庭の草々刈取りぬ★★★
初夢や巳年の主は現れず★★★
成人の日ミッキーマウスも祝いけり★★★

桑本栄太郎
連休の静寂なりぬ成人日★★★
季(とき)を待つ桜冬芽の並木かな★★★★
風花やみずいろ空の雲の間に★★★

1月12日(1名)

廣田洋一
人日の赤き実たわわ古き家★★★
通行人松の名問いて鳥総松★★★
寒餅や軒に吊るせし昭和の日★★★★

1月11日(3名)

小口泰與
赤城より風騒ぎたつ冬の雷★★★
湖へ竿出す老や冬の凪★★★ 
揺ぎ無き母と居りけり受験の子★★★★

桑本栄太郎
雲の間のみずいろ空や寒晴るる★★★
一木のくぬぎ枯葉を纏うまま★★★★
寒菊のうす紫の小菊かな★★★

弓削和人
白鳥の今年も降りぬ年新た★★★
足跡のうえを踏むなり雪の原★★★
夕暮や氷柱を降りて買い出しに
「氷柱を降りて」の情景がわかりにくいです。(髙橋正子)
コメント (7)
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自由な投句箱/1月1日~1月10日/2025年

2025-01-01 18:34:01 | Weblog
※当季雑詠3句(新年・冬の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。(例:唐辛子など)
※★印の基準について。
「心が動いている」句を良い句として、★印を付けています。 
    
     🍊🍊🍊 🍊🍊🍊 🍊🍊🍊 🍊🍊🍊 🍊🍊🍊
      今日の俳句『現代俳句一日一句鑑賞』(髙橋正子著)より
 右端に🌸の印が付いている句は、(現)または(元)花冠会員の句
     名前の右端に🍁の印が付いている句は、花冠に縁の深い方の句

1月10日
★乗鞍の雪嶺青くオリオン座       堀  幹夫(ほり みきお)
1月9日
★雪明かり牛まっくろに立ち止まる    志賀 たいじ(しが たいじ)
1月8日
★歌かるた読みつぎてゆく減らしゆく   橋本 多佳子(はしもと たかこ)
1月7日
★雪すべて降らせて戻る空の青      戸原 琴(とはら こと)🌸
1月6日
★林泉(しま)明るくところどころに石抱く雪 川本 征矢(かわもと せいし)🌸
1月5日
★獅子舞や蜑(あま)が門辺に笛吹ける   水原 秋櫻子(みずはら しゅうおうし)
1月4日
★ねんごろな伝言とどき初句会     中村 汀女(なかむら ていじょ)
1月3日
★誕生日正月三日の眉月に       髙橋 正子(たかはし まさこ)🌸
1月2日
★初明かりしたまひて慈母観音像    川本 臥風(かわもと がふう) 🍁
1月1日
★去年今年貫く棒の如きもの      高浜 虚子(たかはま きょし)

コメント (43)
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今日の秀句/1月1日~1月10日/2025年

2025-01-01 18:32:53 | Weblog
1月10日

※該当句無し

1月9日(2句)

★行きゆきて深雪の山の鳥にあう/小口泰與
雪の山を奥深く進んでゆくと、雪の中の鳥に出会った。雪の中の別世界の鳥に出会った感嘆の気持ち読み取れる。(髙橋正子)

★白菜に刃が入る音のさっぱりと/川名ますみ
白菜のもつ清冽な印象が、さっぱりした音として捉えられている。冬野菜の代表の一つの白菜が野菜としてだけでなく、冬と言う季節のもつ清潔感ともつながっている。(髙橋正子)

1月8日(2句)
★投函の賀状に添いぬ雪の粉/弓削和人
牡丹雪でなくさらさらした粉雪も雪国の雪を想像させる。賀状を投函しようとすると、その間も粉雪が降り込んでくる。投函の様子が生き生きと伝わる。(髙橋正子)

★雪模様紅茶旨しと声になる/上島祥子
雪がいまにも降りそうな寒々とした天気。熱い紅茶を淹れると自分で淹れて自分で思わず「おいしい」と声に出してしまった。寒い時の紅茶のうまさがリアルに伝わってくる。(髙橋正子)

1月7日(1句)

★初日さし湖の昏さを破りけり/弓削和人
初日が射すまでの湖の昏さは、それが北の国であればあるほど、その対比が明らかだと思える。湖の昏さを明るさに変える初日の力強さが「破りけり」に読み取れる。(髙橋正子)

1月6日(1句)

★すずめ等のふつくら並び寒に入る/桑本栄太郎
すずめ等も寒いのだろう。丸く羽を膨らませ、身を寄せ合って並んでいる。寒中にもかかわらず、かわいらしい姿を見せてくれる。(髙橋正子)

1月5日(1句)

★初春の雪の山見ゆ滑走路/多田有花
滑走路は3000mから4000mの距離が必要とされる。そのため広大な土地に設置されているので、見通しはよい。雪山も新年ならば、すがすがしい「初春」の趣である。(髙橋正子)


1月4日(1句)

★水鳥や夕日沈みし山の端へ/小口泰與
この俳句は非常に美しい情景を描いています。夕日が沈みつつある山の端へと、水鳥が飛んでいく様子を詠んでいます。ここで、夕日と山の間に広がる静寂な自然の風景が目に浮かびます。水鳥は自由に飛び回り、その一方で夕日の沈む様子は一日の終わりを象徴しています。詩的で静かな美しさが感じられる作品ですね。(生成AIによるコメント/記事引用髙橋正子)

1月3日(1句)

★何となくきのうと違う初山河/桑本栄太郎
新年が明けてみれば、山河が昨日と違って見える。晴れやかに横たわる山河に、「きのうと違う」ものを感じた。それも言葉で言えない「何となく」なのだ。(髙橋正子)

1月2日(2句)

★降る雪が包む鳴子の年の夜/多田有花
年末から正月にかけて鳴子温泉に宿泊されたようだ。おりしも年の夜、降る雪にすっぽりと包まれた鳴子の情緒が偲ばれる。(髙橋正子)

  地元大原野神社
★神苑の高き木立や淑気満つ/桑本栄太郎
神苑の木立の高さには緊張感があり、それが淑気と感じられる。新年の清々しい気持ちがよく伝わる。(髙橋正子)

1月1日(1句)

★連弾の聞こゆる路地や年はじめ/小口泰與
年のはじめに路地に、連弾のピアノの音が聞こえる。仲むつまじい連弾の音色に心温まる新年となった。(髙橋正子)
コメント (9)
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1月1日~1月10日/2025年

2025-01-01 18:30:26 | Weblog
1月10日(2名)

小口泰與
雪もよい洗濯物は三山あり★★★
行く方は常に同じや冬木の芽★★★
ゆくりなく森であいたる二羽の鴛鴦★★★

小口泰與
夕影の欄間へ伸びる冬日かな★★★
夕星や榛名に鳥の帰りける★★★
冬の沼夕映え長く映しける★★★

桑本栄太郎
冬晴れの水色天の被いけり(原句)
「天の」の「の」は「天が」となる主格の「の」です。天が何を被うのか、ということになります。(髙橋正子)
冬晴れの水色天被いけり(正子添削)

降り居れど日差し明るく雪催い★★★
落葉松の枯木となりて青空に★★★

1月9日(5名)

小口泰與
大雪をやり過ごしたる峠かな★★★
冬の虹行き交う子等の顔硬き★★★
行きゆきて深雪の山の鳥にあう★★★★

桑本栄太郎
寒晴れや鉄塔三基嶺の端に★★★
寒風の嶺の端白くなりにけり★★★
あおぞらに伸びる梢の冬芽かな★★★★

廣田洋一
眠らざる黒熊出でし北の町★★★ 
晴れやかに笑顔を見せし初句会★★★
松過ぎのコーヒー喫す朝かな ★★★

川名ますみ
年越や棚の奥まで拭きあげる★★★
猫亡くて猫のくすしの賀状来ぬ★★★
白菜に刃が入る音のさっぱりと★★★★

弓削和人
賀客来てまだ来ぬ明日の話題かな★★★
食積や湖の碧さも詰めたなら★★★
たましいを潤し浸かる初湯かな★★★★

1月8日(6名)
小口泰與
冬の日の沼に差したる光かな★★★
オルガンの寒林の中より聞こゆ★★★
餌求め冬翡翠の行くやらん★★★

多田有花
銀杏落葉鼠小僧の墓に降る★★★
冬の夕あんかけ焼きそばを食す★★★
冬空に聳える櫓太鼓かな★★★

廣田洋一
結びたる俳縁深め去年今年★★★
寿ぎの気分を残し鳥総松★★★
寒餅や罅に覆われ水の中★★★

弓削和人
こぞの息吐ききり今年は新たなり★★★
淑気いま過ぎ去るなかれ朝の湖★★★
投函の賀状に添えし雪の粉(原句)
投函の賀状に添いぬ雪の粉(正子添削)

桑本栄太郎
寒風に骨の錆つき軋み居り★★★
落葉松の枯木となりて青き空★★★
寒晴れや鉄塔三基嶺の端に★★★

上島祥子
傘の花爪先冷えし初仕事
「傘の花」と「爪先冷えし初仕事」の関係がよくわかりません。

雪模様紅茶旨しと声になる★★★★
朱塗り椀箱に収めし四日の朝 ★★★

1月7日(6名)

小口泰與
らんらんと光る三國の雪の嶺★★★
降る雪に身を包まれし山の寺★★★
雪浅間のぞみて祈る朝かな★★★

土橋みよ
坂道を登りし先に大中寺(原句)
季語を入れるほうが、句に広がりがでますので、例えば「新年」の季語をいれました。(髙橋正子)
新年の坂を登れば大中寺(正子添削)

ツキ直しし餅ありがたや大中寺★★★
蝋梅の香に目をつむる大中寺★★★

廣田洋一
凍てし道きらきら光る朝かな★★★
新鮮な野菜を揃え七草粥★★★
ちりちりと破魔矢の鈴とすれ違い(原句)
「ちりちりと」は「すれ違い」に係って(修飾して)いますので、意味として不自然になっています。(髙橋正子)
ちりちり鳴る破魔矢の鈴とすれ違い(正子添削)

多田有花
吉良邸の跡に山茶花咲きにけり★★★
裸木の桜や海舟生誕地★★★
冬晴に粋な墓石回向院★★★

桑本栄太郎
人の日の待合込みて席もなし★★★
みずいろの空どこ迄も寒晴るる★★★
木枯や寄る辺なき世の厳しさに★★★

弓削和人
眠りから醒めてまどろむ去年今年★★★
元日に厚き手袋はめりけり★★★
初日さし湖の昏さを破りけり★★★★

1月6日(3名)

廣田洋一
小吉の籤をひきたる四日かな★★★
甥子らの畏まりたる御慶かな★★★
汚れたる台所拭く六日かな★★★

桑本栄太郎
すすき枯れ中洲占め居り桂川★★★
戸を開けてうそぶくように冬の雨★★★
すずめ等のふつくら並び寒に入る★★★★

多田有花
上空より新春の富士を寿ぎぬ★★★
初富士に続き眼下に南アルプス★★★
迎春の旅路を思う萩の月 ★★★

1月5日(4名)

小口泰與
鴛鴦の二羽にて発つや沼の夕★★★
寒菊へ耐へよと風の当たりけり★★★
雪催いまこと赤城は雲の中★★★

廣田洋一
友来たりこれ幸いと年酒酌む★★★
読初めや一日一句を開きたる★★★
小寒の日はうすうすと散歩道★★★★

多田有花
夜の風に少し傾いで注連飾り★★★★
元日の雪の鳴子を後にする★★★
初春の雪の山見ゆ滑走路★★★★

桑本栄太郎
<京都四条大橋界隈>
鴨川の河畔明るき淑気かな★★★
見渡せば遥か北山冬かすみ★★★
せせらぎに沿いて冬芽や高瀬川★★★★

1月4日(4名)

小口泰與
枝枝へ雪の帽子や朝まだき★★★
山風に落葉連れられ消え去りし★★★
水鳥や夕日沈みし山の端へ★★★★

多田有花
ロビーにもレストランにも鏡餅★★★
栗きんとん黒豆伊達巻ずんだ餅★★★
紅白のテーブルで供す節料理★★★

廣田洋一
年酒酌む母はお燗に大忙し★★★
初夢や大金運ぶ白き蛇★★★
オリオンを見上げる家路凍てつきぬ★★★

桑本栄太郎
駅伝と映画に過ぎる三が日★★★
あはあはと鴉の笑ふ御慶かな★★★
四日はやエンジン噴かす駐車場★★★
 
1月3日(4名)

小口泰與
風も無き群馬の山河三日かな★★★
三日はや孫は上京致しける★★★
上州の地より見ゆるぞ初富士よ★★★

多田有花
去年今年ともに湯にあり健やかに★★★
新年のあいさつ鳴子こけしにも★★★
朝の雪やみて初日がさしにけり★★★

桑本栄太郎
何となくきのうと違う初山河★★★★
ボール蹴る子等公園に初御空★★★
バス降りて家族そろいぬ正月会★★★

弓削和人
大雪は農村一過覆いけり★★★
菜園の灯籠雪におぼろかな★★★
見送りて雪の刹那に暮れにけり★★★

1月2日(4名)
多田有花
年の夜の料理を目にも楽しみぬ★★★
かき揚げを載せて鳴子の年越蕎麦★★★
降る雪が包む鳴子の年の夜★★★★

桑本栄太郎
<地元大原野神社へ初詣>
朱の鳥居拝礼したる初詣★★★
神獣の鹿と云うとや初参★★★
神苑の高き木立や淑気満つ★★★★

上島祥子
シリウスの光は確か去年今年★★★★
定年の挨拶手書きで年男★★★
謹賀新年深夜に送るスマートフォン★★★

弓削和人
すき焼きや箸を短くしてつつき★★★
霜やけや風呂をあたため血は巡り★★★

1月1日(3名)

小口泰與
年かわる時やひと風呂阿鼻にける★★★
連弾の聞こゆる露地や年はじめ★★★★
「露地」は茶庭、あるいは露地栽培と言う場合に使います。「路地」は庭の通路、家と家の狭い路に使います。句意は「路地」に読み取れますが、どちらでしょうか。(髙橋正子)
早きかなああお正月お正月★★★

廣田洋一
ビルの窓燦と光りて初日の出★★★★
白き富士凛然として淑気満つ★★★
老いたれば一つで良しと雑煮餅★★★

多田有花
大晦日北の国への列車に乗る★★★
大歳の駅に降り立てば硫黄の香★★★
除夜に降る雪眺めつつ露天の湯★★★★
コメント (3)
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自由な投句箱/12月21日~12月31日

2024-12-21 19:33:28 | Weblog
※当季雑詠3句(冬の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。(例:唐辛子など)
※★印の基準について。
「心が動いている」句を良い句として、★印を付けています。 

       🎄🎄🎄🎄🎄🎄🎄🎄🎄🎄🎄🎄🎄🎄🎄🎄
      今日の俳句『現代俳句一日一句鑑賞』(髙橋正子著)より
  名前の右端に🌸の印が付いている句は、(現)または(元)花冠会員の句
     名前の右端に🍁の印が付いている句は、花冠に縁の深い方の句

12月31日
★冬の虹隠岐の海より立ち上がる     加納 淑子(かのう としこ)🌸
12月30日
★許したちしづかに静かに白息吐く    橋本 多佳子(はしもと たかこ)
12月29日
★冬霧やしづかに移る朝の刻       谷野 予志(たにの よし)
12月28日
足袋つぐやノラともならず教師妻     杉田 久女(すぎた ひさじょ)
12月27日
★こきこきと海鼠を食めば海の底     守屋 光雅(もりや みつまさ)🌸
12月26日
★冬の海越す硫酸の壺並ぶ        谷野 予志(たにの よし)
12月25日
★書を読むや冷たき鍵を文鎮に      中村 草田男(なかむら くさたお)
12月24日
★堪へてゐる冷え歯痛とひとつになる  川本 臥風(かわもと がふう)🍁
12月23日
★くらがりに傾きて立つ炭俵      谷野 予志(たにの よし)
12月22日
★誰か咳きわがゆく闇の奥をゆく      篠原 梵(しのはら ぼん)🍁
12月21日
★広告塔かけのぼる冬至の夜空      川本 臥風(かわもと がふう)🍁
コメント (53)
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今日の秀句/12月21日~12月31日

2024-12-21 19:32:13 | Weblog
12月31日(1句)

★猟犬の山懐を駆けにけり/小口泰與
「狩」「猟犬」は冬の季語。自然ゆたかな山懐を駆けまわる猟犬の躍動感ある姿が目に見えるように詠まれている。(髙橋正子)

12月30日(1句)

★着衣ごと皆洗濯に煤おさめ/桑本栄太郎
年末の大掃除は、かなり徹底して、身支度もそれなりにして、徹底して掃除をする家庭も多い。掃除が終わると、着ているもの一切合切を洗濯する。さっぱりと汚れを落として新年を迎えたい。その心持。(髙橋正子)

12月29日(1句)

★あけぼのの沼にやすらう真鴨かな/小口泰與
餌を食べに出かける前の曙の刻。沼にはしずかに安らう真鴨の姿が見られる。
曙の沼の静けさ、安息の水鳥の姿に、眺める者の心が安らぐ。(髙橋正子)

12月28日(1句)

★安けくて雪の浅間を拝みける/小口泰與
「安けくて」の気持ちがあれば、自然に「拝みける」になるのが人の心だと思う。静かにもどっしりと聳える雪の浅間山の美しさに畏敬の念さえ湧く。(髙橋正子)

12月27日(1句)

★稚けなきいろはもみじの落葉踏む/桑本栄太郎
「稚けなき」と言いたい気持ちになるのが、いろはもみじの葉の姿。降り積もる落葉はやむを得ず踏んでいくが、稚いものをふんでいるような罪悪感も湧く。赤ん坊の手を「もみじのような手」と呼んだ大正世代の女性たちがいた。(髙橋正子)

12月26日(1句)

★冬空を隠す大樹や城址跡/上島祥子
城跡には冬空を隠すほとの大樹が残っている。城はなくなっているが、大樹の樹齢はどれくらいだろうか。堂々たる姿。この句の良さは、詠み手が対象に向き合う姿勢の良さである。まっすぐである。(髙橋正子) 

12月25日(1句)

★冬の野に水青々と遊水池/廣田洋一
冬の野に遊水池があるのが、うれしい。冬の野に水が「青々と」している。この煌めくような青さに人は魅了される。(髙橋正子)

12月24日(1句)

★俳句一句慎ましく添え賀状書く/廣田洋一
賀状には、一言自分の近況を書き添えたりするが、端に一句を「慎ましく」そえたりする。大きく書かないのである。このあたりに心遣いが偲ばれる賀状である。(髙橋正子)

12月23日(2句)

★冬晴れや鳶は十迄数えたり/上島祥子
「鳶は十迄数えたり」は、鳶がピーヒョロと十回鳴く意味。「十」は実際「十」でなくても、そのくらいの数を言葉の彩で「十」と言うことがある。冬晴れの青空に鳶が鳴きながらゆったりと舞う姿が詠まれている。(髙橋正子)

★新宿見ゆ冬空澄める謙信平/土橋みよ
謙信平は栃木市にあって、そこからは関東が一望できると言う。名前の由来は下の※に示したことによるのであるが、「冬空澄める」に作者の気持ちの晴れやかさが読めて気持ちがいい。(髙橋正子)

※謙信平:戦国時代の頃、関東平定を競い対立した越後の上杉謙信と、小田原の北条氏康は、当時の大中寺住職虎溪和尚(こけいおしょう)の斡旋により、永祿11年(1568)9月、大中寺において和議を結んだ。
そのあと、上杉謙信は太平山に登り、兵馬の訓練を行い太平山上から南の関東平野を見渡し、あまりの広さに目を見張ったという故事から謙信平の地名が生まれたといわれる。 (栃木市観光協会ホームページより)

12月22日(1句)

★雲低く但馬は雪と思う午後/多田有花
兵庫県でも有花さんが住んでいる瀬戸内側と北部の但馬は1000m級の山を境に気候がちがってくる。瀬戸内側に雲が低く垂れると北部の但馬は雪だろうと思う午後である。情緒ある但馬の景色が目に浮かぶ。(髙橋正子)

12月21日(1句)

★霜夜なり玄関の戸を開け放ち/弓削和人
霜夜は霜が降るほどに寒い夜のこと。風もなく静かで空気が澄んでいる。日本には霜夜に玄関を開ける風習がある。いまでは、住宅環境の変化でこのような風習を知らない人も多いだろう。これは、霜除けのため。霜が玄関の扉に付着するのを防ぐため、また換気のため、また、静かで美しい霜夜の景色や雰囲気を楽しむためである。
この句はこれをそのまま詠んだ句だが、美しい霜夜の自然との一体感が感じられる。(髙橋正子)

コメント (11)
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