[1月1日~5日]
▼1/5
古田 敬二
凍て土へ備中振り込み採る野菜★★★
竹杯にお神酒あふれる初もうで★★★
初旅や海の白波寄りやまず★★★
●桑本 栄太郎
脈々と空に枝張り寒に入る★★★
小寒の硬き陽射しの光りけり★★★
小寒の窓に羽ばたくすずめどち★★★
●小西 宏
丘の畑日差しよければお正月★★★
兄が揚げ妹が追う走り凧★★★
凍ての夜の暗き木立に星の濃し★★★
●川名ますみ
窓外の富士を気にして初化粧★★★
乗初の窓すこし開け清らかさ★★★
初笑おかげさまでと医師の前★★★
●河野 啓一
デイ初日年賀はことに念入りに★★★
雪舞いて想うや記紀の八咫鴉★★★
鏡割り堅さに孫を呼びに行く★★★
●多田 有花
新しきことを始める寒の入★★★
小寒の空の青さを仰ぎおり★★★★
境内に五日の焚火燃え続け★★★
●下地 鉄
寒風に飛沫の舞いて淑気かな★★★
冠雪の富士を枕に初夢かな★★★
浴槽の睡魔に悩む3ヵ日★★★
●小口 泰與
笹鳴きや長き裾野の赤城山★★★★
もう、笹鳴きが聞こえたと思うと嬉しくなる。ゆったりと裾を引く赤城の山に、小さく笹鳴く鶯の声がほほえましく思える。(高橋正子)
朝霜の赤城の空の青きかな★★★
空風や茶の子とり合う子供達★★★
●迫田 和代
水仙を青磁に活ける香と共に★★★★
朝寝して起きてびっくり氷柱かな★★★
曇天の雲の流れの低く低く★★★
▼1/4
●高橋 秀之
家族連れ横目に見つつ初仕事★★★
四日の朝寝ぼけ眼の妻の顔★★
朝食にご飯の香り四日かな★★★
●河野 啓一
薄雪に励まされゆく車椅子★★★
寒林に舞いきて積もる雪の花★★★
冬野駆け入り日追うかなモノレール★★★
●桑本 栄太郎
破魔矢持つ客の数多や珈琲館★★★
青空の中に十字架初礼拝★★★★
うらがえり乾さる重箱四日かな★★★
●多田 有花
ラーメンをすする四日の昼餉かな★★★
干支の絵馬おさめし正月の鞄★★★
門松の本堂初雪に開く★★★
●佃 康水
風花や狭庭へ子らの弾み出る★★★
親子して座敷に選りし吉書かな★★★
佳き知らせ友より受ける初電話★★★
●古田 敬二
児が打てば音色やさしき除夜の鐘★★★★
鐘は撞く人によって音色が変わる。幼い児なら、力も弱くやさしい音色になる。人それぞれが、それぞれの音色で鐘を撞き除夜を行かす。(高橋正子)
子の悩み除けと除夜の鐘を打つ★★★
除夜の鐘突けばシリウス震えおり★★★
●小口 泰與
茶の花や赤城は靄の中におり★★★
渓流の岩を彩る散紅葉★★★
ビル谷間木の葉時雨や雲迅し★★★
▼1/3
★枯原を高さ自由に熱気球/小西 宏
広い枯原の上に熱気球が、さまざまに浮いている。「高さ自由に」はのどかな景色で、夢がある。(高橋正子)
★除夜の鐘一戸一戸へ響きゆく/川名ますみ
街に鳴り響く除夜の鐘であるが、一戸一戸、どの家にも、残らず、除夜を確かに知らせて響いている。「一戸一戸」を思いやる心がよい。(高橋正子)
▼1/1
★元日や神樹に守られ遊ぶ子ら/祝恵子
元旦の境内であろうか。周りを森の樹に囲まれ、守られて、子どもたちが楽しそうに、遊んでいる。注連飾りや御幣のある境内なので、「神樹」を余計意識したのであろう。(高橋正子)