[1月13日~19日]
▼1/19
●古田 敬二
穏やかに花の香溜めて枇杷畑★★★
青空へ花の香放つ枇杷畑★★★
西の風枯れ葦原のまっ平ら★★★
●小西 宏
亀島の松雪こぼす鳥の声★★★
雪道に雀降り来て餌のあるや★★★
鶺鴒の黒駆け抜ける池氷★★★
この句に詠まれたのは背黒鶺鴒で留鳥である。薄く氷の張った池を背黒鶺鴒がつつつつっと走り抜けた。池の氷と鶺鴒の走り方に、「薄く、軽やかな」感覚を感じる。(高橋正子)
●桑本 栄太郎
やわらかく信貴や生駒嶺冬がすみ★★★
十字架の峰に白きや山眠る★★★
ハイウェイの朝や日差しの寒ともし★★★
●河野 啓一
六甲の雪道はるか神戸港★★★
名湯へ辿りゆく道霜の道★★★
枯れ葎林を囲み風に揺れ★★★
●小口 泰與
十州に囲まる国や桜鍋★★★
ふたまわり靴も大きく冬休★★★★
丑三つに起きるや霜夜覚ゆなり★★★
●迫田 和代
霜焼けの手をこすりつつ走る人★★★
土手道の木々の冬芽に動きあり★★★
雲も無く冬の夕焼遠山や★★★
●多田 有花
たなごころ天に向けたり六花★★★★
雪の舞う頂に立てば光る海★★★
寄鍋をつつけば学生時代なり★★★
▼1/18
●藤田 洋子
寒禽の丘高々と広々と★★★★
高々と、また広々としているのは、寒禽の丘。寒禽がよく鳴き、自由に飛ぶ丘が想像できる。鳥たちの自由な世界は、作者ののびやかな心の証と言える。
枯芝の丘踏みしめて日の匂い★★★
丘晴れて桜冬芽の枝の張り★★★
●佃 康水
掬い揚ぐ鋤簾へ光る寒蜆★★★
寒風に吹かれて傾ぐ蜆舟★★★
日の光り抱き咲き満つ寒桜★★★
●桑本 栄太郎
雲上がる嶺はうつすら雪の山★★★
トンネルを出でて京菜の冬の畑★★★
降り止みてよりの茜や寒夕焼け★★★
●河野 啓一
風寒し風花は地を転びゆく★★★
雪花の舞えば箕面の山暗し★★★
寒苺ハウスでぬくぬく育てられ★★
●小口 泰與
金星を支えし日の出霜柱★★
我が里へ風花放つ遠嶺かな★★★★
朽舟の風に揺れけり綿氷★★★
●多田 有花
ケータイ変更待春の街に出る★★★
室咲きは名札をつけて並びおり★★★
(阪神淡路大震災忌日)
灯火を集めて祈る厳寒に★★★
▼1/17
●祝 恵子
裂けし樹に見事に咲いて冬ざくら★★★
山茶花やおみくじ白くしろく結い★★★
なで牛の黒ぐろと坐しどんどの火★★★
●桑本 栄太郎
寒晴れの車窓広がり睡魔来る★★★
青々と家並みに近し葱畑★★★
高階の寒拆遠き夜更かな★★★
●黒谷 光子
店先に選る花春を先駆けて★★★
街に出て雪の伊吹の真正面★★★★
伊吹山はがっしりとした男性的な山で、日本百名山の一つに挙げられる霊峰。世界一の積雪を記録した豪雪地帯とも聞く。街に出ると、真正面に伊吹山が捉えられる。深く雪を冠った霊峰に真向かったとき、心に大きくわき立つものがある。(高橋正子)
留守うちのポストに句集冬ぬくし★★★
●河野 啓一
歌会の声朗々と小正月★★★
寒林を映し野の池鳥集う★★★★
冬灯し昆陽池(こやいけ)巡る震災忌★★★
●古田 敬二
冬耕す草は深きへ根を伸ばす★★★★
霜解けて畑に光りうまれけり★★★★
向かい風赤き尖りの薔薇冬芽★★★
●小口 泰與
寒暁の空いっぱいを紅に染め★★★
ラガー等の影の長きや利根河原★★★★
ラガー等の広場狭しと長き影★★★
▼1/16
●小西 宏
池凍り小鷺寄せ合う丸い肩★★★
白菜の鉢巻ならぶ雪の畑★★★
雪原に深深と影桜木々★★★
●佃 康水
手造りを惜しみ放りぬ飾り焚き★★★
青竹の爆ぜて傾げりとんど焚き★★★★
青竹が組まれて立っていたのが、燃えて爆ぜ、節の力をなくして傾ぐ。つやつやとした青竹さえも崩れる淋しさ。正月もすっかり終わり、歳月は新しく進む。(高橋正子)
牛の背に止まりて啼きぬ寒鴉★★★
●桑本 栄太郎
追い越して枯野過ぎ行く新幹線★★★
くだら野や三川集い淀川に★★★
まだ蒼き空に尖りし寒の月★★★
●河野 啓一
黄昏の小道を二人日脚伸ぶ★★★
冬空を見やる明るく白きかな★★★
寒椿照り葉の陰に蕾見ゆ★★★
●古田 敬二
靴底へごつごつ当たる霜の土★★★
手袋の指先攻め来る霜の土★★★
凍て土をつかんで雑草緑濃し★★★
●多田 有花
寒月がテニスコートにかかりけり★★★
午後八時寒気一段強くなり★★★
熱々のシリアルを食ぶ寒暁に★★★
●藤田裕子
紅茶の香やさしき夜の寒の雨★★★
朝の空気山茶花の白を色濃くし★★★
小正月午後は美容院の人の和に★★★
●小口 泰與
熱燗や山風荒き松林★★★
青空へ入日の紅や寒紅梅★★★
湯豆腐や山風荒き里に住み★★★
▼1/15
●古田 敬二
黒々と優しき土よ冬耕す★★★
冬眠のミミズを起こす畝作り★★★
白き根が土掴みいる葱を抜く★★★★
●川名ますみ
次々と花芽は雪を弾きけり★★★★
寒さのなか、花をつけるものはしっかりと花芽をつけている。降る雪を花芽は弾いて、花芽に積もることはない。花芽の尖り、花芽の力を思う。(高橋正子)
初雪を光らせ黒し梅の枝★★★
初雪を載せし花芽のまるまると★★★
●河野 啓一
奥丹波山また山の雪なれば★★★
水音の低く箕面の山眠る★★★
どんど焼き鄙の社の賑わいに★★★
●桑本 栄太郎
ハウス戸を開けて寒肥畑の昼★★★
鉄柱を叩く金具や冬の風★★★
塊まつて緋を誇りけりピラカンサ★★
●多田 有花
トルコより届きし絨毯やわらかく★★★
この冬はストーブひとつで過ぎにけり★★★
雲晴れて遠嶺は雪の化粧かな★★
●小西 宏
夜となれば雪想うだけ窓明り★★★
雪掻きの手のほこほこと温みくる★★★
光るもの鈍(にび)なるものもみな冬芽★★★★
光の当たる冬芽はよく光っている。一方光りの当らない冬芽は鈍い光を放っている。それらは、どちらも冬芽で、日向にも、日陰にも、冬芽が「今」をしっかりと育っている。(高橋正子)
●迫田 和代
古戦場無縁仏に冬日さし★★★
窓近くつぎつぎ咲ける春の花★★★
何処までも広くて澄んだ冬の空★★★
●小口 泰與
雲ひとつ無き空に聳ゆる雪浅間(原句)
雪浅間聳ゆ雲一つ無き空に★★★★(信之添削)
白鳥の羽根いっぱいに入日かな★★★
白鳥の荒れ起つ波へ夕日射す★★★
▼1/14
●古田 敬二
眼の隈の見える近さに冬目白★★★
豊かなる胸の丸さや冬目白★★★
寒禽の寄りくる心静まれば★★★★
「心静まれば」がよい。静かなところ、穏やかなところに、鳥たちは安心して寄ってくる。厳しい寒さの中を生きていれば、なおさらのことと思う。(高橋正子)
●高橋 秀之
ネットから成人の日の晴れ姿★★★
冬木立向こうは大空薄日差す★★★
膨らんで餅を片手に持ちきれず★★★
●多田 有花
瀬戸内の冬山霞をまといけり★★★
ステンレスマグの温か寒の雨★★★
画材買い寒夕焼けを見て帰る★★★
●小西 宏
軽やかに雲つぎつぎと寒椿★★★★
里山の薄墨影や雪の薙ぐ★★★
雪載せて屋根黄昏に沈みゆく★★★
●桑本 栄太郎
寒晴や早も花菜の無人店(だな)★★★
ゆさゆさと風に起さる枇杷の花★★★
枯草の刈られし畦の風のまま★★★
●河野 啓一
枯れ枝のしとどに濡れて春を待つ★★★
雨止むや柿の古木に鳥の影★★★
一輪の小さきバラの開き初め★★★
●小口 泰與
枯芝に影を伸ばせし大廂★★★
郷住みは風を友とす冬菫★★★
冬麗や赤城の松の深みどり★★★
●藤田 洋子
葉牡丹の雨後のきらめき朝始まる★★★
水仙の揺れるがままに香りくる★★★
一月におろす俎板木の香り★★★★
▼1/13
●桑本 栄太郎
剪定の瘤跡白き冬の庭★★★
南天の黄色もありぬ冬館★★★
溜まりいる水のさざ波冬田晴れ★★★
●川名ますみ
俎板に林檎さりさり切られけり★★★★
「さりさり」が林檎の本質をよく表している。俎板に薄く切られた林檎は、色も香も爽やかである。(高橋正子)
林檎煮てバニラエッセンスの甘さ★★★
とろとろと杓文字に混ざる林檎ジャム★★★
●多田 有花
頂に車座餅入りラーメンを★★★
殻つきの牡蠣なら三日は大丈夫★★★
寒入日ヨットハーバー照らしおり★★★
●河野 啓一
窓開けて飛びこむ朝日春隣★★★
日脚伸ぶ古木の幹も肌色に★★★
冬ぬくし餅焼く網の光りいて★★★
●小口 泰與
葱畑の畝の深さや猫の道★★★
寒暁の三日月紅の帯に浮く★★
湖の風低きを流れ年流る★★★
▼1/19
●古田 敬二
穏やかに花の香溜めて枇杷畑★★★
青空へ花の香放つ枇杷畑★★★
西の風枯れ葦原のまっ平ら★★★
●小西 宏
亀島の松雪こぼす鳥の声★★★
雪道に雀降り来て餌のあるや★★★
鶺鴒の黒駆け抜ける池氷★★★
この句に詠まれたのは背黒鶺鴒で留鳥である。薄く氷の張った池を背黒鶺鴒がつつつつっと走り抜けた。池の氷と鶺鴒の走り方に、「薄く、軽やかな」感覚を感じる。(高橋正子)
●桑本 栄太郎
やわらかく信貴や生駒嶺冬がすみ★★★
十字架の峰に白きや山眠る★★★
ハイウェイの朝や日差しの寒ともし★★★
●河野 啓一
六甲の雪道はるか神戸港★★★
名湯へ辿りゆく道霜の道★★★
枯れ葎林を囲み風に揺れ★★★
●小口 泰與
十州に囲まる国や桜鍋★★★
ふたまわり靴も大きく冬休★★★★
丑三つに起きるや霜夜覚ゆなり★★★
●迫田 和代
霜焼けの手をこすりつつ走る人★★★
土手道の木々の冬芽に動きあり★★★
雲も無く冬の夕焼遠山や★★★
●多田 有花
たなごころ天に向けたり六花★★★★
雪の舞う頂に立てば光る海★★★
寄鍋をつつけば学生時代なり★★★
▼1/18
●藤田 洋子
寒禽の丘高々と広々と★★★★
高々と、また広々としているのは、寒禽の丘。寒禽がよく鳴き、自由に飛ぶ丘が想像できる。鳥たちの自由な世界は、作者ののびやかな心の証と言える。
枯芝の丘踏みしめて日の匂い★★★
丘晴れて桜冬芽の枝の張り★★★
●佃 康水
掬い揚ぐ鋤簾へ光る寒蜆★★★
寒風に吹かれて傾ぐ蜆舟★★★
日の光り抱き咲き満つ寒桜★★★
●桑本 栄太郎
雲上がる嶺はうつすら雪の山★★★
トンネルを出でて京菜の冬の畑★★★
降り止みてよりの茜や寒夕焼け★★★
●河野 啓一
風寒し風花は地を転びゆく★★★
雪花の舞えば箕面の山暗し★★★
寒苺ハウスでぬくぬく育てられ★★
●小口 泰與
金星を支えし日の出霜柱★★
我が里へ風花放つ遠嶺かな★★★★
朽舟の風に揺れけり綿氷★★★
●多田 有花
ケータイ変更待春の街に出る★★★
室咲きは名札をつけて並びおり★★★
(阪神淡路大震災忌日)
灯火を集めて祈る厳寒に★★★
▼1/17
●祝 恵子
裂けし樹に見事に咲いて冬ざくら★★★
山茶花やおみくじ白くしろく結い★★★
なで牛の黒ぐろと坐しどんどの火★★★
●桑本 栄太郎
寒晴れの車窓広がり睡魔来る★★★
青々と家並みに近し葱畑★★★
高階の寒拆遠き夜更かな★★★
●黒谷 光子
店先に選る花春を先駆けて★★★
街に出て雪の伊吹の真正面★★★★
伊吹山はがっしりとした男性的な山で、日本百名山の一つに挙げられる霊峰。世界一の積雪を記録した豪雪地帯とも聞く。街に出ると、真正面に伊吹山が捉えられる。深く雪を冠った霊峰に真向かったとき、心に大きくわき立つものがある。(高橋正子)
留守うちのポストに句集冬ぬくし★★★
●河野 啓一
歌会の声朗々と小正月★★★
寒林を映し野の池鳥集う★★★★
冬灯し昆陽池(こやいけ)巡る震災忌★★★
●古田 敬二
冬耕す草は深きへ根を伸ばす★★★★
霜解けて畑に光りうまれけり★★★★
向かい風赤き尖りの薔薇冬芽★★★
●小口 泰與
寒暁の空いっぱいを紅に染め★★★
ラガー等の影の長きや利根河原★★★★
ラガー等の広場狭しと長き影★★★
▼1/16
●小西 宏
池凍り小鷺寄せ合う丸い肩★★★
白菜の鉢巻ならぶ雪の畑★★★
雪原に深深と影桜木々★★★
●佃 康水
手造りを惜しみ放りぬ飾り焚き★★★
青竹の爆ぜて傾げりとんど焚き★★★★
青竹が組まれて立っていたのが、燃えて爆ぜ、節の力をなくして傾ぐ。つやつやとした青竹さえも崩れる淋しさ。正月もすっかり終わり、歳月は新しく進む。(高橋正子)
牛の背に止まりて啼きぬ寒鴉★★★
●桑本 栄太郎
追い越して枯野過ぎ行く新幹線★★★
くだら野や三川集い淀川に★★★
まだ蒼き空に尖りし寒の月★★★
●河野 啓一
黄昏の小道を二人日脚伸ぶ★★★
冬空を見やる明るく白きかな★★★
寒椿照り葉の陰に蕾見ゆ★★★
●古田 敬二
靴底へごつごつ当たる霜の土★★★
手袋の指先攻め来る霜の土★★★
凍て土をつかんで雑草緑濃し★★★
●多田 有花
寒月がテニスコートにかかりけり★★★
午後八時寒気一段強くなり★★★
熱々のシリアルを食ぶ寒暁に★★★
●藤田裕子
紅茶の香やさしき夜の寒の雨★★★
朝の空気山茶花の白を色濃くし★★★
小正月午後は美容院の人の和に★★★
●小口 泰與
熱燗や山風荒き松林★★★
青空へ入日の紅や寒紅梅★★★
湯豆腐や山風荒き里に住み★★★
▼1/15
●古田 敬二
黒々と優しき土よ冬耕す★★★
冬眠のミミズを起こす畝作り★★★
白き根が土掴みいる葱を抜く★★★★
●川名ますみ
次々と花芽は雪を弾きけり★★★★
寒さのなか、花をつけるものはしっかりと花芽をつけている。降る雪を花芽は弾いて、花芽に積もることはない。花芽の尖り、花芽の力を思う。(高橋正子)
初雪を光らせ黒し梅の枝★★★
初雪を載せし花芽のまるまると★★★
●河野 啓一
奥丹波山また山の雪なれば★★★
水音の低く箕面の山眠る★★★
どんど焼き鄙の社の賑わいに★★★
●桑本 栄太郎
ハウス戸を開けて寒肥畑の昼★★★
鉄柱を叩く金具や冬の風★★★
塊まつて緋を誇りけりピラカンサ★★
●多田 有花
トルコより届きし絨毯やわらかく★★★
この冬はストーブひとつで過ぎにけり★★★
雲晴れて遠嶺は雪の化粧かな★★
●小西 宏
夜となれば雪想うだけ窓明り★★★
雪掻きの手のほこほこと温みくる★★★
光るもの鈍(にび)なるものもみな冬芽★★★★
光の当たる冬芽はよく光っている。一方光りの当らない冬芽は鈍い光を放っている。それらは、どちらも冬芽で、日向にも、日陰にも、冬芽が「今」をしっかりと育っている。(高橋正子)
●迫田 和代
古戦場無縁仏に冬日さし★★★
窓近くつぎつぎ咲ける春の花★★★
何処までも広くて澄んだ冬の空★★★
●小口 泰與
雲ひとつ無き空に聳ゆる雪浅間(原句)
雪浅間聳ゆ雲一つ無き空に★★★★(信之添削)
白鳥の羽根いっぱいに入日かな★★★
白鳥の荒れ起つ波へ夕日射す★★★
▼1/14
●古田 敬二
眼の隈の見える近さに冬目白★★★
豊かなる胸の丸さや冬目白★★★
寒禽の寄りくる心静まれば★★★★
「心静まれば」がよい。静かなところ、穏やかなところに、鳥たちは安心して寄ってくる。厳しい寒さの中を生きていれば、なおさらのことと思う。(高橋正子)
●高橋 秀之
ネットから成人の日の晴れ姿★★★
冬木立向こうは大空薄日差す★★★
膨らんで餅を片手に持ちきれず★★★
●多田 有花
瀬戸内の冬山霞をまといけり★★★
ステンレスマグの温か寒の雨★★★
画材買い寒夕焼けを見て帰る★★★
●小西 宏
軽やかに雲つぎつぎと寒椿★★★★
里山の薄墨影や雪の薙ぐ★★★
雪載せて屋根黄昏に沈みゆく★★★
●桑本 栄太郎
寒晴や早も花菜の無人店(だな)★★★
ゆさゆさと風に起さる枇杷の花★★★
枯草の刈られし畦の風のまま★★★
●河野 啓一
枯れ枝のしとどに濡れて春を待つ★★★
雨止むや柿の古木に鳥の影★★★
一輪の小さきバラの開き初め★★★
●小口 泰與
枯芝に影を伸ばせし大廂★★★
郷住みは風を友とす冬菫★★★
冬麗や赤城の松の深みどり★★★
●藤田 洋子
葉牡丹の雨後のきらめき朝始まる★★★
水仙の揺れるがままに香りくる★★★
一月におろす俎板木の香り★★★★
▼1/13
●桑本 栄太郎
剪定の瘤跡白き冬の庭★★★
南天の黄色もありぬ冬館★★★
溜まりいる水のさざ波冬田晴れ★★★
●川名ますみ
俎板に林檎さりさり切られけり★★★★
「さりさり」が林檎の本質をよく表している。俎板に薄く切られた林檎は、色も香も爽やかである。(高橋正子)
林檎煮てバニラエッセンスの甘さ★★★
とろとろと杓文字に混ざる林檎ジャム★★★
●多田 有花
頂に車座餅入りラーメンを★★★
殻つきの牡蠣なら三日は大丈夫★★★
寒入日ヨットハーバー照らしおり★★★
●河野 啓一
窓開けて飛びこむ朝日春隣★★★
日脚伸ぶ古木の幹も肌色に★★★
冬ぬくし餅焼く網の光りいて★★★
●小口 泰與
葱畑の畝の深さや猫の道★★★
寒暁の三日月紅の帯に浮く★★
湖の風低きを流れ年流る★★★