◆自由な投句箱/花冠発行所◆

主宰:高橋正子・管理:高橋句美子・西村友宏

●添削1月②●

2013-01-08 05:44:28 | Weblog

[1月6日~12日]

▼1/12

●小西 宏
散り残る枯葉の高き空であり★★★
俊敏の百舌鳴き去りて枯林★★★
枝高く欅の紅し冬日和★★★

●川名ますみ
寒晴へクレーン昇り枝を伐る★★★
枝を伐るゴンドラ広き寒晴へ★★★
クレーンの伸び寒晴の深き青★★★

●多田 有花
島影の淡さや春の遠からじ★★★
寒ぬくし相生湾より船の音★★★
日脚伸ぶ海を間近に露天の湯★★★

●桑本 栄太郎
南天の葉の色たたえ冬日和★★★

耳よぎる風に音なき枯野かな★★★★
風はものに当たって音を立てる。広い枯野に立てば、風は耳元をよぎるだけで、音は聞こえない。枯野の広さ、さびしさが
自然と一体となって詠まれている。(高橋正子)

山風にしきりに傾ぎ芒枯る★★★


●河野 啓一
よせ鍋の湯気に笑顔のデイの午後★★★
冬旱切り株の水呑み去れる小鳥かな★★★
水仙の花芽おずおず伸び出でし★★★

●古田 敬二
新築の槌音遠くに寒の入り★★★
黒土を強くつかめり冬の草★★★★
冬の草除けば優しき土となる★★★

●迫田 和代
遠くより水仙の香や風と共に★★★
寒の内たたけば響くような空★★★
暮れていく冬空仰ぎ星数を★★★

●小口 泰與
葉牡丹へえくぼの日差し差しにけり★★★
大廂ぎいと揺れけり虎落笛★★★
白菜をうず高く積み山隠す★★★

▼1/11

●古田 敬二
白き根が土こぼしけり葱を抜く★★★★
冬耕す土へ真昼の陽の眩し★★★
冬耕の鍬を休んで句を記す★★★

●佃 康水
陽射し背に牧への坂の梅探る★★★ 
冬晴れや一直線の飛行雲★★★ (広島魚市場) 
潮の香の溢るる露地へ風花す★★★

●小西 宏
枯れて立つメタセコイアの広い空★★★★
枯れ枝に富士透け見える西明かり★★★
湯豆腐の湯気のぼり行く灯りまで★★★

●桑本 栄太郎
たたずみて峰を退かざり冬がすみ★★★
樋つたう水の音冴ゆる山田かな★★★
吹きぬける風の一途や冬田晴れ★★★

●多田 有花
寒の川静かに夜明けを映しおり★★★
寒禽の次々に来る柿の枝★★★
並ぶ雲明るく照らし日脚伸ぶ★★★

●河野 啓一
雨戸繰る冬日の歓が窓いっぱい★★★
待春の並木車窓に眺め行く★★★
凍蝶のそろりそろりと日溜まりに★★★

●小口 泰與
朝日受けみどり艶増す冬菜かな★★★
赤蕪を抜きて浅間を仰ぎけり★★★
麦の芽や日の良く当る幼稚園★★★★
対象の把握が大きく、「麦の芽」も「日のよく当たる」「幼稚園」に、優しい心情が読みとれる。(高橋正子)

▼1/10

●高橋 秀之
さくさくと踏みしむ雪は異国の地★★★ 
吐く息の全てが白き旅の朝★★★ 
展望棟街の明かりと冬の星★★★

●小西 宏
風邪熱に骨から寒し夜の目覚め★★★
枯れ果てて白き芒の日向かな★★★
煙突の煙冬日にゆるり伸ぶ★★★

●河野 啓一
霜柱踏みてバリバリ子の駆ける★★★★
霜柱をばりばりと踏んで、寒さもなんのその、駆けてゆく子が頼もしい。子どもが活発で、健康で明るいのは見ていてもよいものだ。それを言葉を飾ることなく率直に詠んだところがよい。(高橋正子)

寒中と云えど雑木の薄き色★★★
蝋梅を求めさすらう苑の中★★★

●黒谷 光子
謡初め白髪の佳き人と和す★★★
観劇のついで参りの初恵比寿★★★
福笹を持つ人四条の雑踏に★★★

●桑本 栄太郎
歩むほど身体緩むや寒日和★★★
人住まぬごとく鎮もり冬の村★★★
如才なくつぼみ群れおり寒つばき★★★

●多田 有花
寒中の日ごと明るき山路かな★★★
枯れきって播州平野に雲の影★★★
寒落暉夕餉の支度の窓に差す★★★

●祝 恵子
寒の朝まな板の音よく響く★★★★
七草の白き肌持ち皮をむく★★★
丁寧に七草の根を切ってゆく★★★

●藤田 裕子
一月の空は声なく晴れ渡り★★★★
あおあおと七草菜占め店先を★★★
松過ぎの花器へたっぷり水注ぐ★★★

●小口 泰與
雲割れて日をこぼしけり冬の薔薇★★★
葉牡丹へ淡き午後の日急ぎけり★★★
手袋を通す痛さや朝ぼらけ★★★

▼1/9

●下地 鉄
裏白の縮みて白く盆にある★★★                          
寒空に刈られて並ぶ木トポロチ★★★
衰えて絵の現れてくる独楽回し★★★

●桑本 栄太郎
北側の蔽いてありぬ冬菜畑★★★
青空に身を晒しおり枯芙蓉★★★
寒菊の葉の衰えど色褪せず★★★

●古田 敬二
花枇杷の香りよ遠き故郷よ★★★★
来る時も帰る時にも枇杷の花★★★
花枇杷の香に癒されて森をゆく★★★

●多田 有花
初打ちのゲームに勝ちて心地よし★★★
寒の陽がよちよち歩きの子に優し★★★
日のあたる寒の坂道下りゆく★★★

●河野 啓一
枯れ落葉掃き清めあり教会の門★★★
実南天ほどよく剪って松に添え★★★
火事伝う記事痛ましく飛ばし読む★★★

●小口 泰與
夕づくと何時もの事ぞ虎落笛★★★
霜枯れて咲くに咲かずや冬の薔薇★★★
浅間へとこぞりて向ける冬芽かな★★★

●迫田 和代
瀬戸内の海を区切るか牡蠣筏(原句)
瀬戸海を区切りて冬の牡蠣筏(正子添削)★★★★
穏やかな瀬戸内海ではあるが、冬は寒々として黒く浮かぶ牡蠣筏が力強く印象的である。その様子が、瀬戸海を「区切りて」となる。もとの句は、「区切るか」と疑問の「か」を用いているが、俳句では、率直に自分の気持ちを述べるのがよい。(高橋正子)

風を受け大空高く凧揚げや★★★
寒い道行き着く先の幸せを★★★

●小川 和子
航跡や正月の富士近付けり★★★
寒茜濃くなり港に灯の滲む★★★
柔かき寒の湯に四肢とき放つ★★★

▼1/8

●古田 敬二
うれしきは今年も輝く龍の玉★★★
薮柑子低きに赤き実を隠す★★★
寒禽の樹間飛ぶとき翅光る★★★

●下地 鉄
あらたまの娘と祝うバースデイ★★★ 
ストーブの今日の訃報のうす灯り★★★  
侘助のかすかな揺れや妻の顔★★★

●桑本 栄太郎
竹林の黒く影為し寒夕焼け★★★★
寒夕焼けは、しばしの間、竹林を影として黒く浮き立たせた。そしてたちまちに消えるのである。寒夕焼けの本質を力強く捉えている。(高橋正子)

橋の灯の眼下につづく寒ともし★★★
暗闇の空に真白き冬木かな★★★

●多田 有花
霜踏んで通学の子らが通りけり★★★
晩冬やきっちりたたむダンボール★★★
一月を逃さぬように心して★★★

●河野 啓一
万象の凍てつく朝の白い息★★★
空晴れて今日は初出の診察日★★★
枯れ枝に鵯来り日向ぼこ★★★

●小川 和子
新春の竹林に瀬の音絶えず★★★
寒桜空へ花芽のほの紅く★★★
七草粥芹のみどりの香りけり★★★

●小口 泰與
しののめの尖る妙義や霜柱★★★★
寒暁の尖る妙義と尖る波★★
あけぼのの手足冷たき散歩かな★★★

▼1/7

●小西 宏
枝細く小さき紅の梅蕾★★★
枯野駆け犬振り返る夕日影★★★
狼星の地に在る凍てに大望す★★★

●桑本 栄太郎
凍晴やうす雲遠き嶺の奥★★★
遠嶺の更に遠のき冬がすみ★★★
七日早や電気ドリルの工事音★★★

●下地 鉄
遠海の礁に光る初日の出★★★  
朝湯して初詣するやまおかな★★★
大音響の初湯に揃うなじみ顔★★★

●多田 有花
温室にカトレアいっぱい咲く新春★★★
寒晴れに木々の伸びやか枝広げ★★★
人日のくまなく晴れて暖かし★★★

●古田 敬二
子に持たす野菜掘りけり霜の畝★★★
鉛筆と句帳をつかむ懐手★★★
霜の道森へまっすぐ伸び光る★★★★

●藤田 洋子
初みくじ結ぶ小枝に風そよぐ★★★★
初詣で引いたおみくじは、なんと出たのであろうか。そっと見て折りたたんで小枝に結ぶ。境内には風がそよぎ、穏やかないいお正月である。(高橋正子)

川浅く水の寒さの透けている★★★
雨溜めて葉牡丹の渦幾重にも★★★

●佃 康水
袴着で真芯に放つ弓始め★★★  
寒梅の紅差す蕾みな空へ★★★ 
陽を浴びて中洲へ鴨の同じ向き★★★

●河野 啓一
冬麗ら碁仇迎え打初める★★★
湯気ほのか七草粥の朝食(あさげ)かな★★★
自家製の七草粥や香り佳し★★★

●小口 泰與
またひとり母家の縁へ日向ぼこ★★★
中腹の寒燈消ゆる露天の湯★★★
あけぼのの赤城颪ぞ何物ぞ★★★

▼1/6

●桑本 栄太郎
きらきらと日差し眩しく寒に入る★★★
山茶花の公園通りや朝の路地★★★
ストーブの蒸気噴上げ句を推敲★★★

●多田 有花
護摩焚きの太鼓の音や松の内★★★★
火を清浄なもとのして護摩が焚かれる。煩悩が火と共に天へと昇華され、また願いなどが叶うことを祈るようであるが、太鼓の音に火の勢いが増し、まして、松の内なので、めでたい。(高橋正子)

山歩き六日の日差し楽しめり★★★
買初にひとつ手に取る福袋★★★

●小西 宏
集い来て手水に遊ぶ寒雀★★★
寒入の芝生を駆けて凧を引く★★★
白帯の縁まだ硬き初稽古★★★

●河野 啓一
初旅や京の都の雪の空★★★
焼蟹の身の白さ愛で宴かな★★★
大吉の御籤うれしき鄙社★★★

●藤田裕子
あかあかと万年青の実燃え子ら発てり★★★★
冬星座きりりと光り施錠の時★★★
数の子を噛む母笑顔多くなり★★★

●小口 泰與
政変わるや否や虎落笛★★★
空っ風日の射しこみし茶の間かな★★★
犬の毛も掃かるる朝の暖炉かな★★★

コメント (13)
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