◆自由な投句箱/花冠発行所◆

主宰:高橋正子・管理:高橋句美子・西村友宏

自由な投句箱/5月21日~31日

2017-05-22 22:45:33 | Weblog

※当季雑詠3句(夏の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※好きな句の選とコメントを<コメント欄>にお書き込みください。
※お礼などの伝言も<コメント欄>にお書きください。
※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。(例:唐辛子など)
主宰:高橋正子・管理:高橋信之

◆俳句添削教室◆
http://www.21style.jp/bbs/kakan02
◆俳句日記/高橋正子◆
http://blog.goo.ne.jp/kakan02
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今日の秀句/5月21日~31日

2017-05-22 22:45:21 | Weblog

5月31日(3句)

★松葉菊天へ花びら燦々と/谷口博望 (満天星)
松葉菊は、松葉牡丹よりも、花びらに光沢があって、沢山の花が咲くと日を照り返す様子が眩しい。「天へ花びら燦々と」は的確。可憐さと強さと併せ持つ松葉菊だ。(高橋正子)

★けぶり立つ浅間や佐久の青りんご/小口泰與
「浅間」と「佐久」との取り合わせがいい。「けぶり立つ」風景と「青りんご」との取り合わせがいい。季題の「青りんご」が効いた。(高橋信之)

★山路ゆく初ほととぎす聞きながら/多田有花
「山路」と「初ほととぎす」は、私にも同じ体験がある。四国山脈の高知から愛媛へと越える幹線道路を外れた「山路」の下り道であった。「初ほととぎす」を、身近で、全身で聞いた。(高橋信之)

5月30日(3句)

★頂に夏鶯の鳴きつづく/多田有花
夏鶯は、奥山にゆくほど、頂にゆくほど盛んに鳴いている。ろうたけた夏鶯の声に聞きほれる。(高橋正子)

★葭簀掛け雲の動きの際立てり/廣田洋一
葭簀を掛け、本格的な夏への設えができた。葭簀に似合うものの一つに雲。雲の動きがいつもに増して目に入る。詩情のある秀句だ。(高橋正子)

★仰ぎ見る葉上にありぬ山法師/桑本栄太郎
山法師は「葉上にありぬ」を納得させる花の咲き方だ。遠目に山法師とわかる白い花だが、近くを歩くと、見上げて山法師の花に気づくことが多い。葉上の花として。(高橋正子)

5月29日(3句)

★見上げれば雲は流れて花樗/谷口博望(満天星)
樗の花と、流れる雲の響き合いがやさしい。樗の花は、淋しくもやさしさのある薄紫の花で、花の頃の葉は柔らかく、風に揺れやすい。見上げれば流れる夏雲。(高橋正子)

★緑陰に座り観戦草野球/多田有花
草野球をやっている。ちょうど緑蔭があって、ちょっと観戦していこうかと、座る。草野球を見るのも、緑蔭の涼しさを受け取るのも両方の楽しみだ。(高橋正子)

★金魚藻や買ふ子の多き祭り後/廣田洋一
金魚藻を買ってゆく子が気づいた。祭りのあとなのだ。子供たちは祭りで金魚を掬ったようだ。金魚を水槽に入れ、(今は金魚鉢もほとんど見なくなって)、金魚藻(松藻)を入れる。金魚藻を入れると金魚も生き生きと、涼しげに見える。(高橋正子)

5月28日

★街道の草の匂いや麦の秋/桑本栄太郎
「街道」は、中央と地方、また町と町とを結ぶ、行政上、交通上の主要な道路。頻繁な車の行き来もあるあろうが、歩けば草の匂いが立ち、麦が熟れる季節だ。大きな句だ。(高橋正子)

5月27日

★傍らに本を積み上げ籐の椅子/廣田洋一
籐椅子を風の通るところに置いて、そばに読みたい本を積んで、読書のたのしいひと時が用意されている。籐椅子に座っての読書は、夏の至福の時間であろう。(高橋正子)

5月26日(2句)

★漁火を眼下に五月の夜間飛行/多田有花
夜間飛行というのは、言葉はわくわくするが、実際、機内灯が殺風景にキャビンを照らして、少し窮屈。窓から眼下に漁火が見えたりすると、夢の中を飛んでいるような気持になる。(高橋正子)

★葉桜の枝吹き上ぐる川の風/桑本栄太郎
葉桜のゆたかさが目に見えるようだ。川風は、薫風とも、青嵐ともなるが、風もゆたかである。(高橋正子)

5月25日(2句)

★枇杷の実の色づき初めて鐘の鳴る/谷口博望 (満天星)
夕日のような黄色の枇杷の実は、郷愁を誘うような雰囲気がある。「ゆりかごの歌」の童謡にも枇杷の実が出てき、日本の古くからの果実。「鐘の鳴る」も、やはり、戦後の昭和を思い出させる。(高橋正子)

★青空の光を包む朴の花/廣田洋一
朴の花は白く大きな花で、木の高くに咲き、青空からの直接光りを受ける。大きな花びらが青空の光を両手でゆるやかに包むようだ。(高橋正子)

5月24日(3句)

★葉桜の丘のうねりを窓外に/川名ますみ
自然の移り変わりの楽しみを、またその喜びを誰もが受け取る。人それぞれの違いはあっても、差別といったものはない。有り難いことだ。(高橋信之)

★ヤッホーと言つてみるなり夏薊/谷口博望(満天星)
「夏薊」の存在が大きい。ヤッホーと言つてみれば、である。(高橋信之)

★教会の祈りの日々や親燕/廣田洋一
「祈り」と「親燕」があって、いい句だ。嬉しい句だ。(高橋信之)

5月23日(3句)

★沢山の水を飲みけり草むしり/小口泰與
「沢山の水」がいい。「草むしり」の働きを詠んで的確な表現だ。(高橋信之)

★風薫る田中に列の登校生/桑本栄太郎
心地よい風景だ。上五に置いた季語「風薫る」の働きがいい。「登校生」が嬉しい。(高橋信之)

★祭りには売り手買い手も子供らで/祝恵子
優しさがある句だ。そして楽しい句だ。「子供ら」の交わりに、それを見守る母親たちの眼差しに、「優しさ」と「楽しさ」があって、嬉しい。(高橋信之)

5月22日(3句)

★本支流温度差あるや山女釣/小口泰與
渓流釣の醍醐味は山女釣だと素人には思えるが、渓流の景色が思い浮かんで涼しそうだ。本流を支流は水に温度差があると感じ取った。微妙な温度差なのだろうが釣りの経験の深さか。(高橋正子)

★はつ夏の葉擦れの音を聞き歩く/多田有花
「はつ夏」の季節感いっぱいの句。青葉若葉の葉擦れの耳に聞こえる快い音。歩きゆくところ葉擦れの音。(高橋正子)

★父の日や椅子を一脚予約せり/廣田洋一
椅子というのは、自分の確かな居場所となる。父の日へのプレゼントかもしれないが、「父の日」と称して、自分で自分用の座り心地のよい椅子を予約するというのもいい。(高橋正子)

5月21日(3句)

★八方の風の通過やハンモック/小口泰與
ハンモックに上手に寝転べなかった子供のころを思い出がしたが、八方からの風が、背中から、足元から、顔を撫でてゆく。風の中の宙に寝転ぶ快さ。(高橋正子)

★葬儀終えバスの帰りや花大根/桑本栄太郎
葬儀のあとは、緊張がほぐれて疲れ気味だが、窓から見る花大根の薄紫が、故人を優しくしのばせてくれる。(高橋正子)

★溝浚え知らせる朝の町内放送/多田有花
溝浚えは、田植えや梅雨の出水や、蚊の発生を抑えるために町内総出で行われる。溝浚えのあとは、さっぱりとして水が流れる。溝浚えには、祭りめいたにぎやかさがあった。(高橋正子)
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5月21日~31日

2017-05-22 22:44:50 | Weblog

5月31日(5名)

●谷口博望 (満天星)
松葉菊天へ花びら燦々と★★★★
松葉菊は、松葉牡丹よりも、花びらに光沢があって、沢山の花が咲くと日を照り返す様子が眩しい。「天へ花びら燦々と」は的確。可憐さと強さと併せ持つ松葉菊だ。(高橋正子)

うろうろと親を離れぬ巣立鷺★★★
バラ園の乳母車押す二家族★★★

●小口泰與
けぶり立つ浅間や佐久の青りんご★★★★
「浅間」と「佐久」との取り合わせがいい。「けぶり立つ」風景と「青りんご」との取り合わせがいい。季題の「青りんご」が効いた。(高橋信之)

夕立や湖の水面の険しけれ★★★
ぬか雨に鳥語さかんや夏の暁★★★

●多田有花
山路ゆく初ほととぎす聞きながら★★★★
「山路」と「初ほととぎす」は、私にも同じ体験がある。四国山脈の高知から愛媛へと越える幹線道路を外れた「山路」の下り道であった。「初ほととぎす」を、身近で、全身で聞いた。(高橋信之)

散り敷けるえごの花踏む山路かな★★★
冷房に切り替え運転午後の車★★★

●廣田洋一
とりあえず玉葱刻み朝餉とす★★★
玉ねぎの一皮むけて白光り★★★★
玉ねぎを刻む度泣く妻逝きし★★★

●桑本栄太郎
風煽る白き葉裏や五月尽★★★★
代搔きの牛走り去る畦の道★★★
山の端の入日茜や麦の秋★★★

5月30日(5名)

●多田有花
夏の朝散歩を終えし人帰る★★★
つぎつぎと紋黄揚羽の通る道★★★★
頂に夏鶯の鳴きつづく★★★

●満天星
腹返す森青蛙池の中★★★
森の道柄長の群れと遭遇す★★★★
巣立まで寄り添ふ鷺の親心★★★

●小口泰與
野いばらや山家の宿の漆箸★★★★
「野いばら」と「漆箸」との取り合わせがいい。「野いばら」の季節に生かした「漆箸」がいいのだ。(高橋信之)

雨音の余韻や薔薇のはらはらと★★★
時鳥牧草ロール点てんと★★★

●廣田洋一
葭簀掛け雲の動きの際立てり★★★★
出来のいい句だ。季節をしっかり捉えた句だ。(高橋信之)

白波の届かぬ先に葭簀茶屋★★★
葭簀張風渡り行く座敷かな★★★

●桑本栄太郎
仰ぎ見る葉上にありぬ山法師★★★★
十字に開いた四枚の花弁を思い出す。確かに「葉上に」あった。山路に見た懐かしい風景だ。(高橋信之)

足もとの舗道染め居り桜の実★★★
サングラス取れば児を抱くパパの顔★★★

5月29日(5名)

●多田有花
夏の朝散歩を終えし人帰る★★★
つぎつぎと紋黄揚羽の通る道★★★
頂に夏鶯の鳴きつづく★★★★
夏鶯は、奥山にゆくほど、頂にゆくほど盛んに鳴いている。ろうたけた夏鶯の声に聞きほれる。(高橋正子)

●谷口博望(満天星)
腹返す森青蛙池の中★★★
森の道柄長の群れと遭遇す★★★★
巣立まで寄り添ふ鷺の親心★★★

●小口泰與
野いばらや山家の宿の漆箸★★★
雨音の余韻や薔薇のはらはらと★★★
時鳥牧草ロール点てんと★★★★

●廣田洋一
葭簀掛け雲の動きの際立てり★★★★
葭簀を掛け、本格的な夏への設えができた。葭簀に似合うものの一つに雲。雲の動きがいつもに増して目に入る。詩情のある秀句だ。(高橋正子)

白波の届かぬ先に葭簀茶屋★★★
葭簀張風渡り行く座敷かな★★★

●桑本栄太郎
仰ぎ見る葉上にありぬ山法師★★★★
山法師は「葉上にありぬ」を納得させる花の咲き方だ。遠目に山法師とわかる白い花だが、近くを歩くと、見上げて山法師の花に気づくことが多い。葉上の花として。(高橋正子)

足もとの舗道染め居り桜の実★★★
サングラス取れば児を抱くパパの顔★★★

5月29日(5名)

●谷口博望(満天星)
紅白の箱根空木を匂ひけり★★★
見上げれば雲は流れて花樗★★★★
樗の花と、流れる雲の響き合いがやさしい。樗の花は、淋しくもやさしさのある薄紫の花で、花の頃の葉は柔らかく、風に揺れやすい。見上げれば流れる夏雲。(高橋正子)

引き潮の川に泥船翡翠来★★★

●多田有花
夏の蝶ひらひらひらと飛び来る★★★
輝かしき五月快晴の朝★★★
緑陰に座り観戦草野球★★★★
草野球をやっている。ちょうど緑蔭があって、ちょっと観戦していこうかと、座る。草野球を見るのも、緑蔭の涼しさを受け取るのも両方の楽しみだ。(高橋正子)

●小口泰與
次ぎつぎに雨の野いばら今朝も咲く★★★★
恍惚と盆栽の松単衣もの★★★
けざやかに口あく緋鯉ゆったりと★★★

●廣田洋一
女の子良い子良い子と金魚なで★★★
水替へて息吹き返す金魚かな★★★
金魚藻や買ふ子の多き祭り後★★★★
金魚藻を買ってゆく子が気づいた。祭りのあとなのだ。子供たちは祭りで金魚を掬ったようだ。金魚を水槽に入れ、(今は金魚鉢もほとんど見なくなって)、金魚藻(松藻)を入れる。金魚藻を入れると金魚も生き生きと、涼しげに見える。(高橋正子)

●桑本栄太郎
蜘蛛の子に千の風吹く未来かな★★★
わらわらと白き葉裏や新樹冷ゆ★★★★
山法師一大事とぞ咲きにけり★★★

5月28日(5名)

●谷口博望(満天星)
翡翠や潮の引きたる被爆川★★★
潮引いて岩の天辺翡翠来★★★★ 
翡翠や魚めがけて槍となる★★★

●多田有花
青空に卯の花の白浮かびおり★★★
谷川にかかる欄干花樗★★★★
玄関に門番のごとアマリリス★★★

●小口泰與
竹落葉はらりと鯉に落ちにけり★★★
葉桜やゴルフの素振り洋傘で★★★
老成の雲を育てし夏の山★★★★

●廣田洋一
ベランダで髪すく少女すらり立つ★★★
ワンピースレースで仕立て軽やかに★★★
造花避けひらひら泳ぐ金魚かな★★★★

●桑本栄太郎
好き嫌いあの娘占うマーガレット★★★
ゆりの木のゆりの花咲く甘き風★★★

街道の草の匂いや麦の秋★★★★
「街道」は、中央と地方、また町と町とを結ぶ、行政上、交通上の主要な道路。頻繁な車の行き来もあるあろうが、歩けば草の匂いが立ち、麦が熟れる季節だ。大きな句だ。(高橋正子)

5月27日(5名)

●満天星
マイカーの掃除をすれば薄暑かな★★★
青嵐百合の木の葉の舞ひにけり★★★
引き潮の川に自転車蟹よぎる★★★★

●多田有花
牛乳屋のトラック停まるえごの花★★★★
雲切れて陽の差し初めし噴水に★★★
体操に始まる日課明易し★★★

●小口泰與
甘酒や青垣なせる赤城山★★★
雨後の日の差すや薔薇の香馥郁と★★★★
古民家の廊下の土器や竹落葉★★★

●廣田洋一
籐椅子や父の座りてひもすがら★★★
傍らに本を積み上げ籐の椅子★★★★
籐椅子を風の通るところに置いて、そばに読みたい本を積んで、読書のたのしいひと時が用意されている。
籐椅子に座っての読書は、夏の至福の時間であろう。(高橋正子)

籐椅子に座して眺める湯の煙★★★

●桑本栄太郎
あやめ咲く風に色濃き朝かな★★★★
風そよぎ解け来たるや茅花の穂★★★
川べりの風のみどりや小判草★★★

5月26日(5名)

●多田有花
漁火を眼下に五月の夜間飛行★★★★
夜間飛行というのは、言葉はわくわくするが、実際、機内灯が殺風景にキャビンを照らして、少し窮屈。窓から眼下に漁火が見えたりすると、夢の中を飛んでいるような気持になる。(高橋正子)

雨やめばさまざま揚羽湧き出でぬ★★★
薄紅の薔薇を咲かせしコーヒーショップ★★★

●谷口博望 (満天星)
青梅や大きなゴミの逆流中★★★
花梯梧ビジネス街の昼休★★★★
立葵路面電車は海へ行く★★★

●小口泰與
燕の巣親子将棋の手が止まり★★★
老鶯や捨てかねている鯨尺★★★
ばらの香に咽びし初夏となりにけり★★★★

●廣田洋一
母の日や脂少なめ穴子鮨★★★
焼穴子香り漂う定食堂★★★
スカイツリー登りし後の穴子鮨(原句)
穴子鮨スカイツリーに登りし後★★★★(正子添削例)

●桑本栄太郎
川べりの木下闇行く朝日かな★★★
葉桜の枝吹き上ぐる川の風★★★★
葉桜のゆたかさが目に見えるようだ。川風は、薫風とも、青嵐ともなるが、風もゆたかである。(高橋正子)
雨上がる窓の彼方や西日さす★★★

5月25日(4名)

●谷口博望 (満天星)
オリーブの花散る道やプードル来★★★
枇杷の実の色づき初めて鐘の鳴る★★★★
夕日のような黄色の枇杷の実は、郷愁を誘うような雰囲気がある。「ゆりかごの歌」の童謡にも枇杷の実が出てき、日本の古くからの果実。「鐘の鳴る」も、やはり、戦後の昭和を思い出させる。(高橋正子)

夕映えの楓の翼果緑さす★★★

●多田有花
車前草の花は踏まれる場所が好き★★★
スライスの玉葱はさむサンドイッチ★★★
青嵐たちまち書類奪い去る★★★★

●廣田洋一
天空へ印を結べる朴の花★★★
青空の光を包む朴の花★★★★
朴の花は白く大きな花で、木の高くに咲き、青空からの直接光りを受ける。大きな花びらが青空の光を両手でゆるやかに包むようだ。(高橋正子)

合掌のゆるくほどけて朴の花★★★

●小口泰與
裸子や開け放されし農の家★★★★
足つぼの足湯に入るや雲の峰★★★
あの頃の淡し記憶や草矢打つ(原句)
あの頃の淡き記憶や草矢打つ★★★(正子添削)

5月24日(6名)

●川名ますみ
窓外に葉桜の丘うねりゆく(原句)
葉桜の丘のうねりを窓外に★★★★(正子添削)
自然の移り変わりの楽しみを、またその喜びを誰もが受け取る。人それぞれの違いはあっても、差別といったものはない。有り難いことだ。(高橋信之)

朝の陽に紫陽花の紅表るる★★★
紫陽花にひとすじの紅朝陽射す★★★

●谷口博望(満天星)
ヤッホーと言つてみるなり夏薊★★★★
「夏薊」の存在が大きい。ヤッホーと言つてみれば、である。(高橋信之)

蜻蛉や山道深く泳ぎ来る★★★
海の道仄かに匂ふ吸蔓★★★

●多田有花
はつ夏の海の青さへ向けて飛ぶ★★★
飛行機の窓から初夏の富士を見る★★★★
芍薬畑今年の販売終了す★★★

●小口泰與
置き竿や利根の河原に外寝して★★★★
草笛やボート漕ぐ手を休めおる★★★
夏山を清めし雨後の朝かな★★★

●廣田洋一
親燕小枝に止まり巣を見張る★★★
教会の祈りの日々や親燕★★★★
「祈り」と「親燕」があって、いい句だ。嬉しい句だ。(高橋信之)

電線の一羽の燕子か親か★★★

●桑本栄太郎
垣根なる巌飾りぬ松葉菊★★★
げんげ田や下校児童の黄の帽子★★★
こんもりと古墳の森や万緑に★★★★

5月23日(6名)

●多田有花
白き道影揺らめかせ揚羽飛ぶ★★★★
夏めきてオープンカーの走り初め★★★
バンダナで汗をおさえて山歩く★★★

●小口泰與
雨後の朝畷に出でし蚯蚓かな★★★
葉柳の風に吹き割れ二人かな★★★
沢山の水を飲みけり草むしり★★★★
「沢山の水」がいい。「草むしり」の働きを詠んで的確な表現だ。(高橋信之)

●谷口博望(満天星)
青嵐ハングライダー二つ三つ★★★ 
蝮蛇草頭もたげて岩の上★★★
藤棚や金剛力の幹捻じれ★★★★

●桑本栄太郎
風薫る田中に列の登校生★★★★
心地よい風景だ。上五に置いた季語「風薫る」の働きがいい。「登校生」が嬉しい。(高橋信之)

芦屋なる白きメゾンや夏の薔薇★★★
赤き穂のすいば並びぬ入日かな★★★

●祝恵子
祭りには売り手買い手も子供らで★★★★
優しさがある句だ。そして楽しい句だ。「子供ら」の交わりに、それを見守る母親たちの眼差しに、「優しさ」と「楽しさ」があって、嬉しい。(高橋信之)

噴水にザブザブ近づく児のありて★★★
自転車やペットも遊ぶバラの園★★★

●廣田洋一
一輪のさつきの紅のはかなげに★★★
マンションの表華やぐさつきかな★★★
点々と十字架かざす十薬かな★★★

5月22日(5名)

●谷口博望(満天星)
花槇や海辺のホテルギリシャめく★★★
眼下なるドローン基地や朴の花★★★
山間の棚田に下りし夏の鴨★★★★

●小口泰與
本支流温度差あるや山女釣★★★★
渓流釣の醍醐味は山女釣だと素人には思えるが、渓流の景色が思い浮かんで涼しそうだ。本流を支流は水に温度差があると感じ取った。微妙な温度差なのだろうが釣りの経験の深さか。(高橋正子)

噴水や山風に舞う鳶一羽★★★
緑陰にはしゃぐ幼児や祖母の顔★★★

●多田有花
青空を透かせ青条揚羽飛ぶ★★★
はつ夏の葉擦れの音を聞き歩く★★★★
「はつ夏」の季節感いっぱいの句。青葉若葉の葉擦れの耳に聞こえる快い音。歩きゆくところ葉擦れの音。(高橋正子)

朝の窓開けるも夏めくもののうち★★★

●廣田洋一
退院の許可下りたる夏の空★★★
お見舞ひの薔薇の香りや飛び果てぬ★★★

父の日や椅子を一脚予約せり★★★★
椅子というのは、自分の確かな居場所となる。父の日へのプレゼントかもしれないが、「父の日」と称して、自分で自分用の座り心地のよい椅子を予約するというのもいい。(高橋正子)

●桑本栄太郎
虎杖の葉の伸び来たる日射しかな★★★★
せせらぎの木下闇なり高瀬川★★★
外つ人の短パン闊歩や夏の京★★★

5月21日(5名)

●小口泰與
洗い鯉日は浅間山(あさま)へ落ちにけり★★★
下宿屋の三畳ひと間西日かな★★★
八方の風の通過やハンモック★★★★
ハンモックに上手に寝転べなかった子供のころを思い出がしたが、八方からの風が背中から、足元から、顔を撫でてゆく。風の中の宙に寝転ぶ快さ。(高橋正子)

●谷口博望(満天星)
壺に挿す麦の穂やをら古代めき★★★★
島越えて四羽の川鵜飛び行けり★★★
太古より立ちたる節理黒揚羽★★★

●廣田洋一
遠雷やいざ出陣の天守閣★★★★
遠雷や別れの時を知らせたり★★★
遠雷や接続確か避雷針★★★

●桑本栄太郎
<初夏のふるさと>
卯浪寄す海岸べりや発電塔★★★
葬儀終えバスの帰りや花大根★★★★
葬儀のあとは、緊張がほぐれて疲れ気味だが、窓から見る花大根の薄紫が、故人を優しくしのばせてくれる。(高橋正子)
麦秋の畑に日の落つ入日かな★★★

●多田有花
薄暑光母の誕生日を祝う★★★
溝浚え知らせる朝の町内放送★★★★
溝浚えは、田植えや梅雨の出水や、蚊の発生を抑えるために町内総出で行われる。溝浚えのあとは、さっぱりとして水が流れる。溝浚えには、祭りめいたにぎやかさがあった。(高橋正子)

小満や木の影の濃く芝生に落つ★★★
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