1月20日(3名)
小口泰與
水澄むや日にけに浅間変わりける★★★★
笹薮に隠れし鷺や鯉の鰭★★★
蜻蛉の急に消えけり今朝の沼★★★
多田有花
あけびひとつ蔓よりもいで食べにけり★★★
雨あがり強風となる夜寒かな★★★
強風のなかに響くや鹿の声★★★
桑本栄太郎
<京都四条大橋より>
見晴るかす遥か比叡や秋気澄む★★★
秋水の石の河原や鴨川に★★★★
外つ人の橋を行き交う秋日かな ★★★
1月19日(3名)
小口泰與
落ち来たる甘柿ひとつ駐車場★★★
独り居てひとり飲む酒温め酒★★★
色鳥や日向くさしのかけ布団(原句)
色鳥や日向の匂うかけ布団(正子添削)
多田有花
金木犀香りのベールを町にかけ★★★
月に暈ありお天気は下り坂★★★
晩秋の雨の週末ゆっくりと★★★
桑本栄太郎
樋落つる滴に目覚む秋の雨★★★
早々と終いとなりぬ運動会★★★
雨降れど柿の色づく在所かな★★★
1月18日(4名)
多田有花
秋天を真一文字の飛行機雲★★★
薄雲が満月淡く覆いけり★★★
すがる虫夜の散歩の道すがら★★★
小口泰與
草野球秋はひときわ打球音★★★
雨降りてひとえに冷える濁り酒★★★
団らんのひともし頃の秋の宿★★★
廣田洋一
ふと匂う薬局前の金木犀★★★
爽やかな音たて湧きし法の池★★★
新堂の屋根の光れる初時雨★★★★
桑本栄太郎
パリパリと新藁青く乾きけり★★★
ひよどりの赤き実零す奇声かな★★★
お茶漬けの昼餉終りぬ秋湿り★★★
10月17日(4名)
多田有花
柿の実に今朝は目白が来ているよ★★★
うろこ雲流れてここに幾星霜★★★
鋏音高く秋園の花を切る★★★★
廣田洋一
デザートの葡萄一粒かみしめて★★★
高々と鉄柱吊り上げ秋の空★★★★
神職の白衣映えたる秋社★★★
桑本栄太郎
天辺の早やももみづる桜かな★★★
嶺の端のうすく棚引く秋かすみ★★★
新藁の青き匂いや日の香とも★★★★
弓削和人
池面(いけおも)に蓮の実垂れて動かざる★★★
烏瓜朱し/実のこして/蔓昇る
この切れかたでいいですか。(髙橋正子)
秋の山障子をうつす廊下かな
「秋の山」「障子をうつす廊下」が切れすぎています。この関係は付かず、離れず。
10月16日(3名)
小口泰與
一筋の田の径長し星月夜★★★★
星月夜空の深さよ偉大さよ★★★
釣りあがる秋鮎同じ大きさぞ★★★
多田有花
ぶらんこに座り見上げる後の月★★★
雲多き空となりたり栗名月★★★
十三夜明けて静かな雨となる★★★
桑本栄太郎
おとといの月は無月に後の月★★★
吟行の御所の庭なり十三夜★★★
桑の葉の少し濡れ居り秋蚕飼う★★★★
10月15日(2名)
多田有花
よく晴れて今日は一家で藷掘りを★★★
アベマキの木の実ゆっくり育ちけり★★★
見上げれば桜紅葉に触れる雲★★★★
桑本栄太郎
降りそうで降らぬ朝や秋曇★★★
もみじ葉の真紅ひときわアメリカ楓★★★
黄落となりし舗道やかつらの葉(原句)
黄落となりし舗道やかつらの樹(正子添削)
10月14日(3名)
小口泰與
秋深むひと日ひと日の句作かな★★★★
大利根の水のひとひら秋日かな★★★
濁り酒ひとえに句作つかれかな★★★
多田有花
コスモスや風の動きに忠実に★★★
長き夜にボールペンを使い切る★★★
きんもくせい香る街路を歩く夜★★★
桑本栄太郎
秋水の渇れて清らか沈下橋★★★
あおぞらの村の梢や鵙の声★★★★
丹波なる実の大きさや栗ご飯★★★
10月13日(4名)
多田有花
晴れし朝残る燕の舞いにけり★★★
秋うららかぼちゃの種が芽を伸ばす★★★
鶏頭が見ゆ馬車道の修築碑★★★
小口泰與
舟波の穂へほんろうの黄鶺鴒★★★
樋からの一すじ溢る秋の雨★★★
利酒や立ち振る舞いの為人★★★
廣田洋一
スーパーの売場空きおり今年米★★★
我町の今年米炊く夕餉かな★★★
七五三の子に手を振る外国人★★★
弓削和人
やや寒く網戸に寄せる小虫かな★★★
湖の紅葉ちらほら紺一望★★★
引越の荷をほどかざる冬仕度★★★
10月12日(2名)
多田有花
祭太鼓の練習続く夜長★★★
半月にバッティングセンターの音響く★★★
長き夜を走り去り行く終列車★★★
小口泰與
鈴の音のひときは高き秋の猫★★★★
秋薔薇の終えて狭庭の静かなり(原句)
「秋薔薇」の(が)「終えて」は文法的につながりが不自然です。(髙橋正子)
秋薔薇の咲き終え狭庭静かなり(正子添削)
落し水夕餉の酒の二三杯★★★
10月11日(3名)
小口泰與
蜻蛉のつんつん水面翔けにけり★★★
ひだるしの園児の競技秋の空★★★
人波のよれる如きや紅葉谷★★★
多田有花
流れ星ひとつ未明の南天に★★★★
秋夕焼鴉続々ねぐらへと★★★
えのころや売りますとあり家の窓★★★
桑本栄太郎
あさがおの紫紺の色に君想う★★★
迫り出して垣根明るき泡立草★★★
枝ごとに遅速ありたり初紅葉★★★