1月10日(2名)
小口泰與
雪もよい洗濯物は三山あり★★★
行く方は常に同じや冬木の芽★★★
ゆくりなく森であいたる二羽の鴛鴦★★★
小口泰與
夕影の欄間へ伸びる冬日かな★★★
夕星や榛名に鳥の帰りける★★★
冬の沼夕映え長く映しける★★★
桑本栄太郎
冬晴れの水色天の被いけり(原句)
「天の」の「の」は「天が」となる主格の「の」です。天が何を被うのか、ということになります。(髙橋正子)
冬晴れの水色天を被いけり(正子添削)
降り居れど日差し明るく雪催い★★★
落葉松の枯木となりて青空に★★★
1月9日(5名)
小口泰與
大雪をやり過ごしたる峠かな★★★
冬の虹行き交う子等の顔硬き★★★
行きゆきて深雪の山の鳥にあう★★★★
桑本栄太郎
寒晴れや鉄塔三基嶺の端に★★★
寒風の嶺の端白くなりにけり★★★
あおぞらに伸びる梢の冬芽かな★★★★
廣田洋一
眠らざる黒熊出でし北の町★★★
晴れやかに笑顔を見せし初句会★★★
松過ぎのコーヒー喫す朝かな ★★★
川名ますみ
年越や棚の奥まで拭きあげる★★★
猫亡くて猫のくすしの賀状来ぬ★★★
白菜に刃が入る音のさっぱりと★★★★
弓削和人
賀客来てまだ来ぬ明日の話題かな★★★
食積や湖の碧さも詰めたなら★★★
たましいを潤し浸かる初湯かな★★★★
1月8日(6名)
小口泰與
冬の日の沼に差したる光かな★★★
オルガンの寒林の中より聞こゆ★★★
餌求め冬翡翠の行くやらん★★★
多田有花
銀杏落葉鼠小僧の墓に降る★★★
冬の夕あんかけ焼きそばを食す★★★
冬空に聳える櫓太鼓かな★★★
廣田洋一
結びたる俳縁深め去年今年★★★
寿ぎの気分を残し鳥総松★★★
寒餅や罅に覆われ水の中★★★
弓削和人
こぞの息吐ききり今年は新たなり★★★
淑気いま過ぎ去るなかれ朝の湖★★★
投函の賀状に添えし雪の粉(原句)
投函の賀状に添いぬ雪の粉(正子添削)
桑本栄太郎
寒風に骨の錆つき軋み居り★★★
落葉松の枯木となりて青き空★★★
寒晴れや鉄塔三基嶺の端に★★★
上島祥子
傘の花爪先冷えし初仕事
「傘の花」と「爪先冷えし初仕事」の関係がよくわかりません。
雪模様紅茶旨しと声になる★★★★
朱塗り椀箱に収めし四日の朝 ★★★
1月7日(6名)
小口泰與
らんらんと光る三國の雪の嶺★★★
降る雪に身を包まれし山の寺★★★
雪浅間のぞみて祈る朝かな★★★
土橋みよ
坂道を登りし先に大中寺(原句)
季語を入れるほうが、句に広がりがでますので、例えば「新年」の季語をいれました。(髙橋正子)
新年の坂を登れば大中寺(正子添削)
ツキ直しし餅ありがたや大中寺★★★
蝋梅の香に目をつむる大中寺★★★
廣田洋一
凍てし道きらきら光る朝かな★★★
新鮮な野菜を揃え七草粥★★★
ちりちりと破魔矢の鈴とすれ違い(原句)
「ちりちりと」は「すれ違い」に係って(修飾して)いますので、意味として不自然になっています。(髙橋正子)
ちりちり鳴る破魔矢の鈴とすれ違い(正子添削)
多田有花
吉良邸の跡に山茶花咲きにけり★★★
裸木の桜や海舟生誕地★★★
冬晴に粋な墓石回向院★★★
桑本栄太郎
人の日の待合込みて席もなし★★★
みずいろの空どこ迄も寒晴るる★★★
木枯や寄る辺なき世の厳しさに★★★
弓削和人
眠りから醒めてまどろむ去年今年★★★
元日に厚き手袋はめりけり★★★
初日さし湖の昏さを破りけり★★★★
1月6日(3名)
廣田洋一
小吉の籤をひきたる四日かな★★★
甥子らの畏まりたる御慶かな★★★
汚れたる台所拭く六日かな★★★
桑本栄太郎
すすき枯れ中洲占め居り桂川★★★
戸を開けてうそぶくように冬の雨★★★
すずめ等のふつくら並び寒に入る★★★★
多田有花
上空より新春の富士を寿ぎぬ★★★
初富士に続き眼下に南アルプス★★★
迎春の旅路を思う萩の月 ★★★
1月5日(4名)
小口泰與
鴛鴦の二羽にて発つや沼の夕★★★
寒菊へ耐へよと風の当たりけり★★★
雪催いまこと赤城は雲の中★★★
廣田洋一
友来たりこれ幸いと年酒酌む★★★
読初めや一日一句を開きたる★★★
小寒の日はうすうすと散歩道★★★★
多田有花
夜の風に少し傾いで注連飾り★★★★
元日の雪の鳴子を後にする★★★
初春の雪の山見ゆ滑走路★★★★
桑本栄太郎
<京都四条大橋界隈>
鴨川の河畔明るき淑気かな★★★
見渡せば遥か北山冬かすみ★★★
せせらぎに沿いて冬芽や高瀬川★★★★
1月4日(4名)
小口泰與
枝枝へ雪の帽子や朝まだき★★★
山風に落葉連れられ消え去りし★★★
水鳥や夕日沈みし山の端へ★★★★
多田有花
ロビーにもレストランにも鏡餅★★★
栗きんとん黒豆伊達巻ずんだ餅★★★
紅白のテーブルで供す節料理★★★
廣田洋一
年酒酌む母はお燗に大忙し★★★
初夢や大金運ぶ白き蛇★★★
オリオンを見上げる家路凍てつきぬ★★★
桑本栄太郎
駅伝と映画に過ぎる三が日★★★
あはあはと鴉の笑ふ御慶かな★★★
四日はやエンジン噴かす駐車場★★★
1月3日(4名)
小口泰與
風も無き群馬の山河三日かな★★★
三日はや孫は上京致しける★★★
上州の地より見ゆるぞ初富士よ★★★
多田有花
去年今年ともに湯にあり健やかに★★★
新年のあいさつ鳴子こけしにも★★★
朝の雪やみて初日がさしにけり★★★
桑本栄太郎
何となくきのうと違う初山河★★★★
ボール蹴る子等公園に初御空★★★
バス降りて家族そろいぬ正月会★★★
弓削和人
大雪は農村一過覆いけり★★★
菜園の灯籠雪におぼろかな★★★
見送りて雪の刹那に暮れにけり★★★
1月2日(4名)
多田有花
年の夜の料理を目にも楽しみぬ★★★
かき揚げを載せて鳴子の年越蕎麦★★★
降る雪が包む鳴子の年の夜★★★★
桑本栄太郎
<地元大原野神社へ初詣>
朱の鳥居拝礼したる初詣★★★
神獣の鹿と云うとや初参★★★
神苑の高き木立や淑気満つ★★★★
上島祥子
シリウスの光は確か去年今年★★★★
定年の挨拶手書きで年男★★★
謹賀新年深夜に送るスマートフォン★★★
弓削和人
すき焼きや箸を短くしてつつき★★★
霜やけや風呂をあたため血は巡り★★★
1月1日(3名)
小口泰與
年かわる時やひと風呂阿鼻にける★★★
連弾の聞こゆる露地や年はじめ★★★★
「露地」は茶庭、あるいは露地栽培と言う場合に使います。「路地」は庭の通路、家と家の狭い路に使います。句意は「路地」に読み取れますが、どちらでしょうか。(髙橋正子)
早きかなああお正月お正月★★★
廣田洋一
ビルの窓燦と光りて初日の出★★★★
白き富士凛然として淑気満つ★★★
老いたれば一つで良しと雑煮餅★★★
多田有花
大晦日北の国への列車に乗る★★★
大歳の駅に降り立てば硫黄の香★★★
除夜に降る雪眺めつつ露天の湯★★★★