1月31日(5名)
小口泰與
寒風に木木の鳴りけり山の沼★★★
人の世のああ儚きやはかなきや★★★
冬木立つ沼へ夕日の当たりたる★★★
多田有花
お出かけの計画話し春を待つ★★★
眩しさや枯れの極まる野の光★★★★
湯たんぽに布団に残る夜の温み★★★
廣田洋一
春を待つ夕星高く光りおり★★★★
手を上げて渡る園児や春近し★★★★
裸木のすっくと伸びる青き空★★★★
桑本栄太郎
塵出しの霙まじりの小雨かな★★★
干しものの風に躍りぬ一月尽★★★
底冷えや寝床の背ナのつめたきに★★★
弓削和人
冬将軍比叡おろしに襟の盾★★★
鳶鳴けり大杉跨ぎの鳶も鳴き★★★★
鳰潜る波の揺れなき冬湖畔★★★
1月30日(5名)
小口泰與
吹き募る赤城颪や厩橋★★★
森の朝鴛鴦盛装の娚(めおと)かな★★★
山の沼冬翡翠に偶然に★★★
多田有花
ボールペン不意にインクの尽きて寒★★★
強風に寒の茜の色冴える★★★
寒風や面をあげて歩きけり★★★
廣田洋一
熱燗もワインも飲みてクラス会★★★
更地の測量終えて春近し(原句)
字足らずが気になりました。(髙橋正子)
測量を終えし更地や春近し(正子添削例)
青空に縄飛唄のにぎにぎし★★★
「青空に縄跳唄」はとてもいいです。(髙橋正子)
桑本栄太郎
白きもの思い出すかに風花す★★★
凍雲のはるか嶺の端白きかな★★★
こきこきと竹林揺るる寒の風★★★
上島祥子
虎落笛一人になればさらに鳴き★★★★
小雪舞う命日の花自転車に★★★★
配達夫寒さを問えば雪と答う★★★★
1月29日(6名)
多田有花
春隣る大樹は空を友として★★★
寄せ植えに小さき葉牡丹のありぬ★★★
午後の日はすでに翳りて花八手★★★
小口泰與
浮子の影くいっと散りし冬の沼★★★
空っ風吹き荒る用意怠らず★★★
鴛鴦の二羽にて日の出伝えけり★★★
廣田洋一
早梅や紅き光を放ちおり★★★
早梅の白きを供う慰霊碑かな★★★
蕊光り日を返したる寒椿★★★
土橋みよ
藤本観音山古墳にて
冬日差す古墳に足止め風を聞く★★★★
春の風古墳の食器時を超え★★★
桑本栄太郎
夜もすがら虎落笛聞き目覚めけり★★★
山容のくつきり見ゆや寒の風★★★
冬ぬくし背ナに日差しの厨かな★★★
弓削和人
寒椿落ちゆくならば淡海★★★★
冬銀河鳰の湖へと流れけり★★★★
鳰の湖浪の音を背に寒桜★★★
景色はとてもいいですので、もう少しまとまるといいです。(髙橋正子)
1月28日(6名)
小口泰與
枝垂れ木に群れて糞する寒雀★★★
一羽発ち次は瞬時や寒雀★★★
吹きよどむ赤城颪の治まりし★★★
廣田洋一
冬温し手をつなぎ行く老夫婦★★★
時々は口を開けたり寒の鯉★★★
街角の花屋をのぞく春隣★★★
多田有花
布の干支小さきストーブの上に★★★
春近しシフォンケーキにクリームを★★★
蝋梅に寄れば雀のぱっと発ち★★★
桑本栄太郎
枝先の日を受け艶に冬木の芽(原句)
枝先に日を受け艶に冬木の芽(正子添削)
寒風や鴉の声の嗄れいたる★★★
ふるさとの野山を想う寒波かな★★★
土橋みよ
矢場川神明宮にて
短日や寒さに耐える守り神(原句)
「短日」と「寒さ」が二つがテーマになっています。「短日の寒さ」にし、テーマは一つにします。(髙橋正子)
短日の寒さに耐える守り神(正子添削)
春を待つ鯉に乗る仙人(ひと)夢馳せる★★★
山茶花の小径を歩く雀かな ★★★
上島祥子
主治医との面談コート着たままに★★★★
寒犬の揺れる尻尾や散歩の子★★★
「寒犬の揺れる尻尾」と「散歩の子」の関係をはっきりさせるとよいと思います。(髙橋正子)
欲しくとも買えぬ訳有り桜草★★★
1月27日(5名)
小口泰與
冬の日や幼き竹に小さき葉★★★
山風の吹き治まりて冬の雷★★★
冴ゆる日の噴煙我に降り注ぎ★★★★
多田有花
裸木の大樹骨格の新た★★★
紅白の山茶花咲かせ巡礼道★★★
水彩画版画を並べ春を待つ★★★
廣田洋一
電気行火強火にしたる夜明け前★★★
諫暁の朝刊配る靴の音★★★
子供らのボール蹴り合う大枯野★★★
桑本栄太郎
太陽のにじみ真上やしぐれ雲★★★
ふるさとを想い歩むや枯野行★★★
海鳴りの頻りに聞こゆ懸大根★★★
弓削和人
夜の更けて気になる仕事に湯ざめかな★★★
咳をする人を数えり深夜バス★★★★
バスを待つわずかなりしも日向ぼこ★★★★
1月26日(4名)
小口泰與
雄心をすくし寒風摩擦かな★★★
男盛りをとうに過ぎたり枯薄★★★
吹きよどむ赤城颪も治まりし★★★
廣田洋一
白き枝ぴんと伸びたる冬の空★★★
寒晴れや透かし見えたる川の底★★★
青空に富士山白き春隣★★★
多田有花
待春の巡礼道を辿りけり★★★★
寒中の青空映す池の面★★★
開運の干支一月の神社かな★★★
桑本栄太郎
凍雲の疾く走り居り朝歩き★★★
雲奔り日差しまぶしき春隣★★★
枯蔓の金網塀にすがりけり★★★
1月25日(4名)
小口泰與
籠り居の赤城颪を肌に聞く★★★
井の底に冬満月の煌煌と★★★
枯木山日影小暗き山の端★★★
多田有花
寒中に汗光らせて長距離走★★★
城までの道まっすぐに寒霞★★★
寒ぬくしロードサービスを呼びぬ★★★
桑本栄太郎
覆うもの皆うらがえり風凍つる★★★
雲出でて日射し遮る寒波かな★★★
明暗の頻りに替わる障子越し★★★
弓削和人
新春や天満宮の祈願絵馬★★★
猿曳の猿励まされ空を舞い★★★
間道の社のたもと探梅行★★★★
1月24日(4名)
多田有花
寒卵ゆでる間に散歩する★★★
寒中の森の奥より鳥の声★★★
夕空に茜残りぬ日脚伸ぶ(原句)
「残りぬ」、「日脚伸ぶ」はどちらの言い切って切れが生まれています。どちらを中心にしますか。(髙橋正子)
夕空に茜残りぬ日脚伸び(正子添削)
小口泰與
マスクして目は笑い居る人なりし★★★
しとしとと続く冬雨詫住い★★★
天を割り冬雷の顔を出す★★★
廣田洋一
プールより空を見上げて日脚伸ぶ★★★
母子にてボール蹴り合い日脚伸ぶ★★★
夕星を一つ浮かべて寒茜★★★
桑本栄太郎
人はみな何かに縋る霜夜かな★★★
太陽のにじみ明るき冬ぬくし★★★
徐州へとすすむ軍馬や蘆平忌★★★
1月23日(5名)
小口泰與
登り来る若き炎帝太氷柱★★★
ゆうらりと雲湧く度に雪浅間★★★
風よりも僅かに軽き枯葉かな★★★
廣田洋一
神主が先頭に立ち初笑い★★★
冬薔薇の小さく咲きて青き空★★★
竹藪まで届く日差しや梅早し★★★★
多田有花
反故紙へ書きつけいろいろ冬の夜★★★
階段を上り下りして春を待つ★★★
寒中の日差し背に受け歩きけり★★★
桑本栄太郎
山膚のうす紫よ冬がすみ★★★
溝川の音のやわらぎ春隣る★★★★
ろうばいの葉の見当たらぬ花の色★★★
土橋みよ
柿の実を食べ尽くされて誰が為★★★
食育のカレンダー手に冬の味★★★
冬の幸添え書き綴る手止まらず★★★
1月22日(5名)
小口泰與
別れては一人一人の冬芽かな★★★
友人のさらばと別る冬の駅★★★
刻限をわきまう赤城颪かな★★★
廣田洋一
天気予報三寒四温そのままに★★★
河原の石広くせり出し冬の川★★★
門前の日溜り占めて冬薔薇★★★
多田有花
蝋梅の香りの中に踏み入りぬ★★★
瀬戸内よ冬青空の眩しき地★★★
大根を豚ばら肉と煮て夕餉★★★
桑本栄太郎
寒晴といえど冷たきもの頬に★★★
晴れいても枯葉まといぬ櫟かな★★★
寒菊の傾ぎて尚も濃むらさき★★★
弓削和人
冬空の園児の列はまっすぐに(原句)
「冬空の園児の列」の「の」の使い方に注意です。(髙橋正子)
冬空に園児の列はまっすぐに(正子添削)
冬の鳩餌を求めつつ足の元★★★
冬の店たこ焼をつく女学生★★★
1月21日(5名)
小口泰與
たまに浮きあとは水底冬の鯉★★★
冬の日や日向日陰を木木分かつ★★★
雪原の若やぐ朝や鳥の声★★★★
廣田洋一
冬薔薇赤くとんがる蕾かな★★★
句の主の名乗りを聞きて初笑★★★
早梅の一樹を囲む女学生★★★
多田有花
鳥の影窓を横切る寒の午後★★★
熟睡の山を見上げて伸びをする★★★
浮かびくることのいろいろ反故紙へ
季語を入れたほうがいいです。(髙橋正子)
桑本栄太郎
久女忌のあおぞらに添い田道行く★★★
グランドのおらび声聞く春隣★★★
枝上に我を見下ろす寒がらす★★★
上島祥子
寒晴や病院までの遠き道★★★
お下がりの兎のマフラー母見舞う★★★
茜さす紫の雲春隣★★★