12月31日(3名)
●古田敬二
土深く根伸ばす冬草引き抜けり★★★
山茶花へ朝陽明るし今日が来る★★★★
山茶花の花へ朝日が射すと、今日が明るく、溌剌とやって来たと思う。山茶花の花の明るさがよい。(高橋正子)
長靴の底から冷える鍬を振る★★★
●小口泰與
行く年や星を小出しに赤城山★★★★
晦日蕎麦犬の遠吠え聞こえける★★★
校庭に雀群れおり年の暮★★★
●高橋秀之
大晦日は妻に連れられ商店街★★★
年越しのそばを食べつつ裏番組★★★
仏前の供花を新たに大晦日★★★★
12月30日(3名)
●小口泰與
注連かざる江戸よりつづく太柱★★★★
代々続く家の太柱に注連が飾られ、風格のある注連飾りとなった。新年のめでたさも一層である。(高橋正子)
冬休み鴨居隠しをこゆる孫★★★
初暦公民館の正面に★★★
●桑本栄太郎
た耕や白き稲株見え隠れ★★★★
ワイパーのとき折り振るるしぐれバス★★★
玄関戸磨き拭き上げ注連飾る★★★
●小西 宏
晩歳の届かぬ汚れそのままに★★★
年の瀬の空あたたかや親子凧★★★★
若き二人アルミのドアの松飾★★★
12月29日(7名)
●小口泰與
鍋割山(なべわり)も榛名山(はるな)も雪を賜りし★★★★
よみがえる空の蒼さやよべの雪★★★
手袋の指じんじんと暁の道★★★
●福田ひろし
冬麗の光纏いて書を開く★★★★
数え日をあえて数えず一人旅★★★
ヒタヒタと老犬歩む冬の夜★★★
●内山富佐子
年の瀬や仏具を磨く母の背★★★★
雪晴れやシャキッと白き雲一つ★★★
手袋は主の指の形かな★★★
●祝 恵子
寒柝や高き子の声まぎれ居り★★★★
凍てつく寒い夜に打ち鳴らされる寒柝の音は、もの寂しさを感じさせる。その拍子木の音に、子どもの高い声で「火の用心」と元気に叫んでいるのがまぎれている。微笑ましく、ほっと心和むのだ。(高橋正子)
聞けばバイト大きくなりて冬休み★★★
大根の青菜生きいきしだれたる★★★
●桑本栄太郎
<四条大橋~建仁寺>
鴨川の風に平らやゆりかもめ★★★
冬椿松にかこまれ建仁寺★★★
せせらぎにさくら冬芽や高瀬川★★★★
●小西 宏
冬日透く雑木の丘に遠い船★★★★
冬の芽にきらめき残し雨あがる★★★
とりたてて残すものなし年の暮★★★
●川名ますみ
祖母葬儀
冬灯ろうそくの火の直立す★★★★
手をふりて笑うて別れ冬の雨★★★
いろ紙を折る子と隣り年の暮★★★
12月28日(5名)
●小口泰與
あかあかと朝日昇るや畑は霜★★★★
冬の月父の齢を越えにけり★★★
酔うことを知らぬや今宵虎落笛★★★
●多田有花
松積んで軽トラがゆく年の暮★★★★
歳晩の風景としてめでたい。軽トラックに乗るほどの松の枝。常盤の緑がいきいきとして弾んでいるようだ。(高橋正子)
降り積もる落葉踏み分け下りけり★★★
上る道下る道あり年惜しむ★★★
●桑本栄太郎
理髪終え寒風に出す頬と耳★★★
木枯や家路の空の青きこと★★★★
何処より吹かれ積もるや落葉松散る★★★
●小西 宏
固く暗く尖る冬芽の空青し★★★★
野良猫の餌待つ崖に青木の実★★★
ジムの窓に歳末の灯を見て息す★★★
●高橋秀之
山茶花が咲く庭を見て立ち止まる★★★
会館に歳末警戒の提灯並ぶ★★★
ネクタイのごとくマフラーを強く締め★★★★
12月27日(4名)
●小口泰與
貝独楽の揺らぎや夕日あかあかと★★★★
屋根を葺く木槌の音や冬木の芽★★★
生きるとは史記をよすがや虎落笛★★★
●桑本栄太郎
借換えの図書館行きも年用意★★★★
数へ日の分担残る掃除かな★★★
年の瀬や段取り考えひと眠り★★★
●多田有花
クリスマス赤き三日月山の端に★★★
数え日の朝日が山を照らしおり★★★
雪山を間近く仰ぐ頂に★★★★
山に登り頂に立つと、雪山は、頂よりもさらに高く聳え間近に見える。山に登りさらなる雪山が身近に迫り、すばらしい。(高橋正子)
●小西 宏
年の瀬の空青々と窓磨く★★★★
青空に部屋開け放つ煤払い★★★
園庭に子供背丈の冬もみじ★★★
12月26日(4名)
●小口泰與
冬山の襞ひと所へ夕日差す★★★★
凛とした冬山の襞のひと所を浮かびあがらせ、今日の日を終える夕日が力強い。(高橋正子)
水仙のほのと夕影ふくみける★★★
夕影の梢にふくら雀かな★★★
●桑本栄太郎
もくれんの曰くありそな冬芽かな★★★
一言のお詫びも添えて賀状書く★★★
煤逃げや図書館人のあふれ居り★★★★
●小西 宏
オーバーのポケットに手をつなぐ岸辺★★★★
木の葉少し残れる欅大通り★★★
犬抱いて寄せ鍋つつく妻の酔い★★★
●高橋正子
牡蠣洗う水のついには凍ててきし★★★★
牡蠣焼けば火の色赤く目に刺さる★★★
洗わられて地御前牡蠣のミルク色★★★
12月25日(7名)
●小口泰與
露天湯へ枯葉舞い込む刹那かな★★★★
山風の行く手や岸辺枯柳★★★
ゆくりなく時雨や畦の猫車★★★
●迫田和代
山に向き末枯れた野菊道端に★★★★
枯草のそれでも芽吹く力見る★★★
橋近く牡蠣舟いずれか去るらしい★★★
●小川和子
キャンドルサービス
戦禍にある子等へと祈る降誕祭★★★★
はらからと燭火に讃美する聖夜★★★
聖誕の星空想うクリスマス★★★
●多田有花
母と墓参り万両の実の紅し★★★★
真っ赤な夕陽のクリスマスイブ★★★
リフォームのベスト仕上がるクリスマス★★★
●桑本栄太郎
落葉松の散り積もりたるベンチかな★★★
山茱萸の朱き実空へ冬ざるる★★★
一人づつキャンドル胸に降誕祭★★★★
●河野啓一
菜を刻むその音すらも歳の暮★★★★
冬至を過ぎ、ほんのわずかに日は長くなってきているが、暮れ方はやはり歳晩の感じが強まる。夕餉の仕度の菜を刻む音にも「年の暮」が感じ取れる。(高橋正子)
白菜の巨きを割りて塩で漬け★★★
空暗く遠き山の辺雪模様★★★
●小西 宏
園児らの畑駆けゆくクリスマス★★★
枝に明るき蜜柑をカラス咥え去る★★★
冬の陽に赤く丘の家照り昏れる★★★★
12月24日(7名)
●福田ひろし
掘りたての人参や陽を集めおり★★★★
長期予報裏切る今日の寒さかな★★★
寒波来る川面の鳥の高き声★★★
●古田敬二
さんざめく冬のオリオン家路行く★★★★
しっかりと歩く家路へ冬の大三角形★★★
大股に家路を冬の大三角形★★★
●小口泰與
青空や目路に溢れし雪浅間山(あさま)★★★★
利根の水行く末定か室の花★★★
行きずりの山あいの宿枯尾花★★★
●河野啓一
クリスマスイブとて子ら笑顔★★★
枯落葉集めて妻の思案顔★★★
蔓バラのアーチきらきら冬至の朝★★★★
●桑本栄太郎
極月の忙中閑や遊歩道★★★
立枯れのようなまんさく冬の葉に★★★
枯蘆の穂絮なびくや吾を迎え★★★★
●小西 宏
木の葉閉じ池に氷の大広間★★★
泥靴の深さも楽し霜柱★★★★
葉牡丹を植えて公園完成す★★★
●川名ますみ
今着きしカードも飾るクリスマス★★★★
クリスマスの楽しさは、クリスマスに纏わるいろいろなものを飾る楽しみにもある。クリスマスに合わせて届いたカードも早速飾ると、楽しさがまた加わる。(高橋正子)
りんごジャム炊き純白のヨーグルト★★★
窓際に置いた林檎の朝匂う★★★
12月23日(8名)
●古田敬二
木枯らしにあいつもこいつも先に逝き★★★
木枯らしや友の訃報のメール鳴る★★★★
木枯らしが吹き、寒さが募る日、携帯電話のメール着信音が鳴る。予期せぬ着信音に何か予感を感じてメールを開けたのでは。着信音は、自然の深くから鳴って来たように思われる。(高橋正子)
ミシミシと冬の園舎を象歩く★★★
●小口泰與
冬ばらの開かんとして朝日受く★★★★
冬の湖電飾映す波の上★★★
短冊の文字ととのわず師走かな★★★
●小川和子
括られし白菜畑の畝真直ぐ★★★★
白菜がしっかりと玉を巻いた畝がまっすぐに続く。冬の清潔さを思わせる風景だ。(高橋正子)
下校児らに冬至の日差し実にやさし★★★
母の炊く冬至南瓜よ遠き日よ★★★
●下地鉄
行く歳の水脈引く如く過ぎ去りて★★★
ポインセチア神父の愛に染められて★★★
吹かれれば八つ手の花のこぼれ散り★★★★
●佃 康水
今日冬至根菜入れて南瓜汁★★★
風花や子ら帰る日の近付きて★★★★
曲がりゆく列車の煽る枯尾花★★★
●桑本栄太郎
括られてなお凜と起つ冬の菊★★★★
橡の木の冬芽ぬめりの尖りけり★★★
天皇誕生日大御心の天地に★★★
●小西 宏
枯芝に犬と睦みて胡坐かく★★★
二つ三つ昏々と星冬の街★★★
冬至の夜静かに止まる山手線★★★★
●高橋秀之
富士山と青き冬空だけがある★★★★
冬の夜の寒さはどこへ初ライブ★★★
冬林檎居間からシャリシャリ齧る音★★★
12月22日(6名)
●小口泰與
木の葉雨高層ビルヘ朝日かな★★★
一色の銀杏落葉や子等の顔★★★
ひと筋の枯木の影の移りけり★★★★
●河野啓一
旬日を残すのみかな年用意★★★
鳥声も一陽来復快晴に★★★★
水草の掃除や湖の年の暮れ★★★
●多田有花
トンネルを抜ければ雪の積む町に★★★
おだやかによく晴れ今朝の冬至かな★★★
冬至真昼海の輝きの極む★★★★
一年で一番昼が短い冬至だが、真昼に海を見れば、海は力強く輝いている。太陽はその力を真昼に集中させている。冬至を詠んだ句では珍しい。(高橋正子)
●桑本栄太郎
花八手食器の触れあう厨窓★★★★
八手は、厨の窓の下あたりによく植えられている。厨の窓からは、食器の触れ合う音が聞こえる。食器の音から湧くイメージは白い磁器だが、花八つ手の白い花と静かに響きあっている。(高橋正子)
いつまでも冬至の入日見て居りぬ★★★
掻き分けて湯舟に浸かる柚子湯かな★★★
●小西 宏
学び舎の遠き空なる冬木立★★★★
冬ざれの小楢の山や空の澄む★★★
冬薔薇のハート膨らむ蕾かな★★★
●下地鉄
障子貼る夕陽の映える仏間かな★★★
里山の灯し暮れいく年の暮れ★★★
孫育ち背丈の同じ冬至かな★★★★
12月21日(5名)
●小口泰與
暮れ方の山ふところの霜畳★★★★
冬の虹やおら流るる利根支流★★★
霜畳青菜に朝日差しにける★★★
●福田ひろし
乗り換えの国ざかい駅雪深し★★★★
乗り換えで立ち降りた駅は国ざかい。思わぬ雪の深さに、国を境に、こんなにも雪の降りようが違うものかと感慨も深む。(高橋正子)
山茶花や雅さ漂う京の道★★★
鈍色の近江の冬野北へ行く★★★
●河野啓一
冬帝や柿の実ついに全て落ち★★★
実万両今年も鳥の恵みにて★★★★
餌なくて地面ついばむ冬鴉★★★
●桑本栄太郎
部活子の寒風ついてランニング★★★
初雪の三日経つても嶺に筋★★★
雨に起つ辛夷冬芽の光りけり★★★★
●小西 宏
きりきりと雪輝かせ朝の富士★★★
コンクリの坂に冬樹の影を踏む★★★★
コンクリートの坂道は冬の日にからりとして、木の影がくっきりと映っている。ありありとした木の影を踏み上る坂道がなにか面白い。(高橋正子)
鳩集い日向の落葉突いており★★★
●古田敬二
土深く根伸ばす冬草引き抜けり★★★
山茶花へ朝陽明るし今日が来る★★★★
山茶花の花へ朝日が射すと、今日が明るく、溌剌とやって来たと思う。山茶花の花の明るさがよい。(高橋正子)
長靴の底から冷える鍬を振る★★★
●小口泰與
行く年や星を小出しに赤城山★★★★
晦日蕎麦犬の遠吠え聞こえける★★★
校庭に雀群れおり年の暮★★★
●高橋秀之
大晦日は妻に連れられ商店街★★★
年越しのそばを食べつつ裏番組★★★
仏前の供花を新たに大晦日★★★★
12月30日(3名)
●小口泰與
注連かざる江戸よりつづく太柱★★★★
代々続く家の太柱に注連が飾られ、風格のある注連飾りとなった。新年のめでたさも一層である。(高橋正子)
冬休み鴨居隠しをこゆる孫★★★
初暦公民館の正面に★★★
●桑本栄太郎
た耕や白き稲株見え隠れ★★★★
ワイパーのとき折り振るるしぐれバス★★★
玄関戸磨き拭き上げ注連飾る★★★
●小西 宏
晩歳の届かぬ汚れそのままに★★★
年の瀬の空あたたかや親子凧★★★★
若き二人アルミのドアの松飾★★★
12月29日(7名)
●小口泰與
鍋割山(なべわり)も榛名山(はるな)も雪を賜りし★★★★
よみがえる空の蒼さやよべの雪★★★
手袋の指じんじんと暁の道★★★
●福田ひろし
冬麗の光纏いて書を開く★★★★
数え日をあえて数えず一人旅★★★
ヒタヒタと老犬歩む冬の夜★★★
●内山富佐子
年の瀬や仏具を磨く母の背★★★★
雪晴れやシャキッと白き雲一つ★★★
手袋は主の指の形かな★★★
●祝 恵子
寒柝や高き子の声まぎれ居り★★★★
凍てつく寒い夜に打ち鳴らされる寒柝の音は、もの寂しさを感じさせる。その拍子木の音に、子どもの高い声で「火の用心」と元気に叫んでいるのがまぎれている。微笑ましく、ほっと心和むのだ。(高橋正子)
聞けばバイト大きくなりて冬休み★★★
大根の青菜生きいきしだれたる★★★
●桑本栄太郎
<四条大橋~建仁寺>
鴨川の風に平らやゆりかもめ★★★
冬椿松にかこまれ建仁寺★★★
せせらぎにさくら冬芽や高瀬川★★★★
●小西 宏
冬日透く雑木の丘に遠い船★★★★
冬の芽にきらめき残し雨あがる★★★
とりたてて残すものなし年の暮★★★
●川名ますみ
祖母葬儀
冬灯ろうそくの火の直立す★★★★
手をふりて笑うて別れ冬の雨★★★
いろ紙を折る子と隣り年の暮★★★
12月28日(5名)
●小口泰與
あかあかと朝日昇るや畑は霜★★★★
冬の月父の齢を越えにけり★★★
酔うことを知らぬや今宵虎落笛★★★
●多田有花
松積んで軽トラがゆく年の暮★★★★
歳晩の風景としてめでたい。軽トラックに乗るほどの松の枝。常盤の緑がいきいきとして弾んでいるようだ。(高橋正子)
降り積もる落葉踏み分け下りけり★★★
上る道下る道あり年惜しむ★★★
●桑本栄太郎
理髪終え寒風に出す頬と耳★★★
木枯や家路の空の青きこと★★★★
何処より吹かれ積もるや落葉松散る★★★
●小西 宏
固く暗く尖る冬芽の空青し★★★★
野良猫の餌待つ崖に青木の実★★★
ジムの窓に歳末の灯を見て息す★★★
●高橋秀之
山茶花が咲く庭を見て立ち止まる★★★
会館に歳末警戒の提灯並ぶ★★★
ネクタイのごとくマフラーを強く締め★★★★
12月27日(4名)
●小口泰與
貝独楽の揺らぎや夕日あかあかと★★★★
屋根を葺く木槌の音や冬木の芽★★★
生きるとは史記をよすがや虎落笛★★★
●桑本栄太郎
借換えの図書館行きも年用意★★★★
数へ日の分担残る掃除かな★★★
年の瀬や段取り考えひと眠り★★★
●多田有花
クリスマス赤き三日月山の端に★★★
数え日の朝日が山を照らしおり★★★
雪山を間近く仰ぐ頂に★★★★
山に登り頂に立つと、雪山は、頂よりもさらに高く聳え間近に見える。山に登りさらなる雪山が身近に迫り、すばらしい。(高橋正子)
●小西 宏
年の瀬の空青々と窓磨く★★★★
青空に部屋開け放つ煤払い★★★
園庭に子供背丈の冬もみじ★★★
12月26日(4名)
●小口泰與
冬山の襞ひと所へ夕日差す★★★★
凛とした冬山の襞のひと所を浮かびあがらせ、今日の日を終える夕日が力強い。(高橋正子)
水仙のほのと夕影ふくみける★★★
夕影の梢にふくら雀かな★★★
●桑本栄太郎
もくれんの曰くありそな冬芽かな★★★
一言のお詫びも添えて賀状書く★★★
煤逃げや図書館人のあふれ居り★★★★
●小西 宏
オーバーのポケットに手をつなぐ岸辺★★★★
木の葉少し残れる欅大通り★★★
犬抱いて寄せ鍋つつく妻の酔い★★★
●高橋正子
牡蠣洗う水のついには凍ててきし★★★★
牡蠣焼けば火の色赤く目に刺さる★★★
洗わられて地御前牡蠣のミルク色★★★
12月25日(7名)
●小口泰與
露天湯へ枯葉舞い込む刹那かな★★★★
山風の行く手や岸辺枯柳★★★
ゆくりなく時雨や畦の猫車★★★
●迫田和代
山に向き末枯れた野菊道端に★★★★
枯草のそれでも芽吹く力見る★★★
橋近く牡蠣舟いずれか去るらしい★★★
●小川和子
キャンドルサービス
戦禍にある子等へと祈る降誕祭★★★★
はらからと燭火に讃美する聖夜★★★
聖誕の星空想うクリスマス★★★
●多田有花
母と墓参り万両の実の紅し★★★★
真っ赤な夕陽のクリスマスイブ★★★
リフォームのベスト仕上がるクリスマス★★★
●桑本栄太郎
落葉松の散り積もりたるベンチかな★★★
山茱萸の朱き実空へ冬ざるる★★★
一人づつキャンドル胸に降誕祭★★★★
●河野啓一
菜を刻むその音すらも歳の暮★★★★
冬至を過ぎ、ほんのわずかに日は長くなってきているが、暮れ方はやはり歳晩の感じが強まる。夕餉の仕度の菜を刻む音にも「年の暮」が感じ取れる。(高橋正子)
白菜の巨きを割りて塩で漬け★★★
空暗く遠き山の辺雪模様★★★
●小西 宏
園児らの畑駆けゆくクリスマス★★★
枝に明るき蜜柑をカラス咥え去る★★★
冬の陽に赤く丘の家照り昏れる★★★★
12月24日(7名)
●福田ひろし
掘りたての人参や陽を集めおり★★★★
長期予報裏切る今日の寒さかな★★★
寒波来る川面の鳥の高き声★★★
●古田敬二
さんざめく冬のオリオン家路行く★★★★
しっかりと歩く家路へ冬の大三角形★★★
大股に家路を冬の大三角形★★★
●小口泰與
青空や目路に溢れし雪浅間山(あさま)★★★★
利根の水行く末定か室の花★★★
行きずりの山あいの宿枯尾花★★★
●河野啓一
クリスマスイブとて子ら笑顔★★★
枯落葉集めて妻の思案顔★★★
蔓バラのアーチきらきら冬至の朝★★★★
●桑本栄太郎
極月の忙中閑や遊歩道★★★
立枯れのようなまんさく冬の葉に★★★
枯蘆の穂絮なびくや吾を迎え★★★★
●小西 宏
木の葉閉じ池に氷の大広間★★★
泥靴の深さも楽し霜柱★★★★
葉牡丹を植えて公園完成す★★★
●川名ますみ
今着きしカードも飾るクリスマス★★★★
クリスマスの楽しさは、クリスマスに纏わるいろいろなものを飾る楽しみにもある。クリスマスに合わせて届いたカードも早速飾ると、楽しさがまた加わる。(高橋正子)
りんごジャム炊き純白のヨーグルト★★★
窓際に置いた林檎の朝匂う★★★
12月23日(8名)
●古田敬二
木枯らしにあいつもこいつも先に逝き★★★
木枯らしや友の訃報のメール鳴る★★★★
木枯らしが吹き、寒さが募る日、携帯電話のメール着信音が鳴る。予期せぬ着信音に何か予感を感じてメールを開けたのでは。着信音は、自然の深くから鳴って来たように思われる。(高橋正子)
ミシミシと冬の園舎を象歩く★★★
●小口泰與
冬ばらの開かんとして朝日受く★★★★
冬の湖電飾映す波の上★★★
短冊の文字ととのわず師走かな★★★
●小川和子
括られし白菜畑の畝真直ぐ★★★★
白菜がしっかりと玉を巻いた畝がまっすぐに続く。冬の清潔さを思わせる風景だ。(高橋正子)
下校児らに冬至の日差し実にやさし★★★
母の炊く冬至南瓜よ遠き日よ★★★
●下地鉄
行く歳の水脈引く如く過ぎ去りて★★★
ポインセチア神父の愛に染められて★★★
吹かれれば八つ手の花のこぼれ散り★★★★
●佃 康水
今日冬至根菜入れて南瓜汁★★★
風花や子ら帰る日の近付きて★★★★
曲がりゆく列車の煽る枯尾花★★★
●桑本栄太郎
括られてなお凜と起つ冬の菊★★★★
橡の木の冬芽ぬめりの尖りけり★★★
天皇誕生日大御心の天地に★★★
●小西 宏
枯芝に犬と睦みて胡坐かく★★★
二つ三つ昏々と星冬の街★★★
冬至の夜静かに止まる山手線★★★★
●高橋秀之
富士山と青き冬空だけがある★★★★
冬の夜の寒さはどこへ初ライブ★★★
冬林檎居間からシャリシャリ齧る音★★★
12月22日(6名)
●小口泰與
木の葉雨高層ビルヘ朝日かな★★★
一色の銀杏落葉や子等の顔★★★
ひと筋の枯木の影の移りけり★★★★
●河野啓一
旬日を残すのみかな年用意★★★
鳥声も一陽来復快晴に★★★★
水草の掃除や湖の年の暮れ★★★
●多田有花
トンネルを抜ければ雪の積む町に★★★
おだやかによく晴れ今朝の冬至かな★★★
冬至真昼海の輝きの極む★★★★
一年で一番昼が短い冬至だが、真昼に海を見れば、海は力強く輝いている。太陽はその力を真昼に集中させている。冬至を詠んだ句では珍しい。(高橋正子)
●桑本栄太郎
花八手食器の触れあう厨窓★★★★
八手は、厨の窓の下あたりによく植えられている。厨の窓からは、食器の触れ合う音が聞こえる。食器の音から湧くイメージは白い磁器だが、花八つ手の白い花と静かに響きあっている。(高橋正子)
いつまでも冬至の入日見て居りぬ★★★
掻き分けて湯舟に浸かる柚子湯かな★★★
●小西 宏
学び舎の遠き空なる冬木立★★★★
冬ざれの小楢の山や空の澄む★★★
冬薔薇のハート膨らむ蕾かな★★★
●下地鉄
障子貼る夕陽の映える仏間かな★★★
里山の灯し暮れいく年の暮れ★★★
孫育ち背丈の同じ冬至かな★★★★
12月21日(5名)
●小口泰與
暮れ方の山ふところの霜畳★★★★
冬の虹やおら流るる利根支流★★★
霜畳青菜に朝日差しにける★★★
●福田ひろし
乗り換えの国ざかい駅雪深し★★★★
乗り換えで立ち降りた駅は国ざかい。思わぬ雪の深さに、国を境に、こんなにも雪の降りようが違うものかと感慨も深む。(高橋正子)
山茶花や雅さ漂う京の道★★★
鈍色の近江の冬野北へ行く★★★
●河野啓一
冬帝や柿の実ついに全て落ち★★★
実万両今年も鳥の恵みにて★★★★
餌なくて地面ついばむ冬鴉★★★
●桑本栄太郎
部活子の寒風ついてランニング★★★
初雪の三日経つても嶺に筋★★★
雨に起つ辛夷冬芽の光りけり★★★★
●小西 宏
きりきりと雪輝かせ朝の富士★★★
コンクリの坂に冬樹の影を踏む★★★★
コンクリートの坂道は冬の日にからりとして、木の影がくっきりと映っている。ありありとした木の影を踏み上る坂道がなにか面白い。(高橋正子)
鳩集い日向の落葉突いており★★★