◆自由な投句箱/花冠発行所◆

主宰:高橋正子・管理:高橋句美子・西村友宏

1月11日~20日

2022-01-11 20:57:27 | Weblog
1月20日(4名)

廣田洋一
風花やリフトを待つ乳母車(原句)
風花やリフトを待てる乳母車(正子添削①)
風花にリフトを待って乳母車(正子添削⓶)
風花が舞うのに乳母車に子を載せてリフトを待っている、アウトドアの好きな親子と見受ける。東京の高尾山には、ベンチのような親子で乗れるリフトがあるが、そんなリフトが思い浮かぶ。(髙橋正子)

風花や牡蠣殻積みし小料理屋★★★
日に向かひ背伸びしたるや仏の座★★★

小口泰與
山並みの雪の濃淡上州路★★★
山道に洩れる朝日の枯木かな(原句)
山道に洩れる朝日や枯木立★★★★(正子添削)

大利根の白波擡ぐ虎落笛★★★

多田有花
今朝はどのマフラー巻いて出かけよう★★★
善哉や小さき餅を焼いて入れ★★★
冬陽さす働く人のうしろから★★★

桑本栄太郎
地吹雪の嶺より里へ在所かな★★★
湧き上がるように舞い居り風花す★★★
すずめ等の輪になり翔びぬ今日大寒★★★

1月19日(4名)

小口泰與
寒鯉や峠越ゆると佐久平(原句)
寒鯉の情景がわからないので、添削しました。(髙橋正子)
寒鯉釣り峠越ゆると佐久平★★★★(正子添削)

また一人寒鯉釣りに加わりぬ★★★
あけぼのの霜の玻璃戸のがりがりと★★★

廣田 洋一
明星と向き合ひ上る冬満月★★★
冬の月白く照らせる舗道かな★★★
庭先の風にうごめく冬木の芽★★★★

多田有花)
陽を受けて輝く雪の遠き嶺★★★
寒月の夜明けを待たず沈みけり★★★
万年筆の青き筆跡日脚伸ぶ★★★

桑本栄太郎
凍晴れや児童集まり登校に★★★★
凍てつくような朝もよく晴れて、家々から児童が集まって、集まったところで登校する。よく見かける光景だが、凍晴れの空の下の子供たちへのまなざしの優しさがいい。(髙橋正子)

天晴れて夢のようなり風花す★★★
いつまでも子等遊びを居り日脚伸ぶ★★★

1月18日(5名)

小口泰與
雀らに見はられ居りぬ霰餅★★★★
亀甲の結城紬や春近し★★★★
結城紬の温かみのある織、亀甲の目出度い結城紬特有の織柄に、それを身に着けている、おそらく奥さんなのでしょうが、はっと思わせた「春近し」の感じ。しっとりした華やぎがいい。(髙橋正子)

隠り沼の霊気や風の霜柱★★★

廣田 洋一
冬の月尖れる夜の更けゆきぬ★★★
長年の仕事終わりて冬の月★★★
お疲れさまでした。(髙橋正子)
麦の芽に大山の風吹き渡り★★★★

多田有花
古ジャケットの袖はレッグウォーマーに★★★
金銀のピアス冷たき耳にして★★★★
寒暁や決意新たに床を出る★★★

桑本栄太郎
目覚めても途切れやらずよ冬の夢★★★
嶺の端の白くけぶりぬ雪しまく★★★★
雪しまきふるさと遠く想いけり★★★

友田修
冬満月低く畑を照らしおり★★★★
「低く」がいい。冬満月が昇ったばかりのところ。大きな満月が低くから畑を照らす光は、厳しい寒さに研ぎ澄まされている。(髙橋正子)

冬の月黒々と畑を照らす(原句)
冬の月畑(はた)を黒々照らしける★★★★(正子添削)
下五は、「照らしけり」としてよいのですが、「照らしける」と連体形で止めて、余韻をもたせました。(髙橋正子)

寒晴れに空の高さを仰ぎ見る★★★

1月17日(4名)

小口泰與
近道の路地や朝日の霜柱★★★
探梅や二両車両の無人駅★★★★
蝋梅や川沿いにある古戦場★★★

廣田洋一
風花や牡蠣殻積みし五重塔★★★

風花や舞行く先の白き波(原句)
風花や白き波へと舞い行けり★★★★(正子添削)
原句は、風花と白き波のイメージが強いので、動きが止まった印象です。風花の動きが出るように添削しました。(髙橋正子)

湘南の麦の芽育つ伊勢ケ原★★★

多田有花
講義しておれば窓の外に雪★★★
大根と柚子を醤油で浅漬けに★★★
寒荒にクリームこまめに塗りにけり★★★

桑本栄太郎
くいくいと上向く枝の冬芽かな★★★★
よく見れば、冬芽は、懸命に、くいくいと上へと向かう勢いがある。自信満々に見える幼子に重なる冬芽の姿。(髙橋正子)

鬼夜叉のやうな貌なり枯芙蓉★★★
うつすらとピンク乗りたる冬木の芽★★★

1月16日(5名)

小口泰與
村道の雪の轍の古びけり★★★
喚きたる二羽の鴉や日向ぼこ★★★
夕映えのいっときの色浮寝鳥★★★★

友田修
年賀状きたねといってスマホ見る★★★
雪天に枝広げたる欅かな★★★
淡々と雪に消えゆく景色かな★★★★

多田有花
初えびす熊手抱えて戻る人★★★★
北の山終日雪の雲の下★★★
ベランダの蛇口にタオル巻く寒夜★★★

廣田 洋一
寒晴れや白富士の峯神々し(原句)
「白富士の峰」を上五に置いて、印象を強くしました。
白富士の峰神々し寒の晴★★★★(正子添削)

雪の富士マグマを秘めてすまし顔★★★
並木道ぽつぽつ紅き冬芽かな★★★

桑本栄太郎
凍晴の今朝の山肌縮むかに★★★★
「凍晴」は、凍りつくような寒さの中の快晴。凍てつく寒さに、山肌が身を縮めるかのような厳しい姿を見せている。見る者の気持ちが重なっているのはもちろんだろう。(髙橋正子)

青々と畝のつづくよ葱畑★★★
金柑の空にかざすや塀の中★★★

1月15日(4名)

廣田 洋一
亡き妻に善哉供ふ小正月★★★
小正月外出控へる友ばかり★★★

いつもの電車いつもの橋や日脚伸ぶ★★★★
1月も鏡開きのころになると、日脚がのびて、景色が明るくなってくる。生活も日常にもどり、いつもの電車に乗り、いつもの橋を渡って、仕事や買い物に出かける。日常の落ち着きやのどかさが明るく詠まれている。(髙橋正子)

小口泰與
霜柱踏む子犬の果てな顔★★★
ひと筋の紅蓮の没日冬の沼★★★
竹林や雪の間渉る風の音★★★★

多田有花
寒風やゆっくり珈琲を入れる★★★
窓を打つ寒波今宵はひとり鍋★★★
マフラーに首を埋めて出勤す★★★

桑本栄太郎
凍晴れや山膚白くそのままに★★★
スキップの子等の田道や寒晴るる★★★★
妻ひとり神社へ参る女正月★★★

1月14日(4名)

小口泰與
餅雪や石碑の文字古戦場★★★
滝氷柱怒髪の岩の不動なる★★★
葱の香の三和土にみつる山家かな★★★★
冬の葱は甘味がまして、特有の葱の匂いが鼻につんと来る。畑から抜いてきた葱を三和土に持ち込むと、夕餉のお菜になるのだろう、三和土は葱の匂いでいっぱいになる。山家の暮らしが見える句。(髙橋正子)

多田有花
正月の弘天詣智慧を受く★★★
置物の干支飾りおり松の内★★★
寒風に吹かれて鳩の舞い上がる★★★★

桑本栄太郎
カーテンを開けて結露や雪化粧★★★
音もなく眼下に降りぬ雪景色★★★
天よりの欠片のように雪が降る★★★★

廣田 洋一
公園の一画灯す水仙花★★★★
白水仙雌蕊は凛と黄金色(原句)
白水仙雌蕊の凛と黄金色★★★★(正子添削)
水仙の咲けども止まぬ丈くらべ★★★

1月13日(4名)

廣田 洋一
白々と煌めく海や寒日和★★★
鳰一羽餌を漁りたる寒の川★★★
寒稽古終へるを待ちて汁粉鍋★★★

小口泰與
自転車の補助輪外す吾子の冬★★★★
霜柱墨絵の如き妙義山★★★
上州の虎落笛こそ浴びに来よ★★★

多田有花
厄神に詣でて後の水仙花★★★
昼半月桜冬芽の上にあり★★★★
白い昼の半月。桜はまだ冬芽。この二つは、やがて輝く満月に、満開の桜になる。そんなイメージを秘めて、今も十分美しい。(髙橋正子)

坂を下れば正月の海見えてくる★★★★

桑本栄太郎
寒風の頬へ耳へといたぶりぬ★★★
水禽の番い水脈曳く何処までも★★★★
池の辺や風を見送る枯尾花★★★

1月12日(4名)

小口泰與
枯蔓引くや鳥声高き山上湖★★★
あけぼのの鋭声の鳥や木守柿★★★
冬草や畑に置き去るねこ車★★★

多田有花
滑り来て鴨は水輪の中心に★★★★
寒中の空を浮かべる山の池★★★
厄神に初詣して厄落し★★★

桑本栄太郎
カーテンを開けて結露や雪の朝★★★
晴れ居ても天より舞いぬ雪見かな★★★
シャンソンのアダモ聴き居り雪が降る★★★

廣田 洋一
足元より冷気上り来寒の朝★★★
寒の海きらきらはねる水平線★★★★
水平線は一線がまっすぐ引かれているのが普通だが、寒の海の水平線は、きらきらひかって、光がはねている。画に描いたような、きらきらと、また、ぴちぴちと跳ねる面白い、生きもののような水平線だ。寒中の光は意外にも強い。(髙橋正子)

仰ぎ見る寒の白富士凛として★★★

1月11日(4名)

小口泰與
渓流の流れ嫋嫋息白し★★★
枯桑や無人駅より小学生★★★★
山の井の寂寂として寒鴉★★★

廣田洋一
水仙や並木の根方取り囲み★★★
銀世界水仙色を濃くしたり★★★★
一面の雪の世界。水仙の葉の色も濃く、花も凛立っている。雪の中の水仙が清らかでいて、力強い。(髙橋正子)

寒晴や白き機影の煌めきぬ★★★

多田有花
浮かび来しアイデアメモしている寒夜★★★
非常灯寒夜の足元を照らす★★★
街角に晴着輝く新成人★★★★

桑本栄太郎
幾度も戸外眺むる寒の雨★★★
包丁を押しあて開く鏡割★★★
雨あがり冬の茜や嶺の空★★★
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1月月例ネット句会入賞発表

2022-01-10 12:21:07 | Weblog
1月月例ネット句会の入賞発表を下記アドレスのブログにしました。ご確認ください。入賞の皆さまおめでとうございます。
月例ネット句会ブログ:

2022年1月10日
主宰 髙橋正子
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自由な投句箱/2022年1月1日~10日

2022-01-02 11:28:29 | Weblog
※当季雑詠3句(新年・冬の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※好きな句の選とコメントを<コメント欄>にお書き込みください。
※お礼などの伝言も<コメント欄>にお書きください。
※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。
代表:高橋正子・管理:高橋信之
コメント (42)
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今日の秀句/2022年1月1日~10日

2022-01-02 11:27:39 | Weblog
1月10日(1句)

★山眠るうえに蒼空あるばかり/多田有花
おおらかでシンプルな光景。「蒼空あるばかり」の「あるばかり」がこの句を詩として成り立たせている。蒼空の存在感を改めて知る。(髙橋正子)

1月9日(2句)

★市立つや小振りの達磨贖えり/小口泰與
達磨市が立って達磨を買い求めに大勢が集まる。大きいものではなく、小振りなものを買った。小振りな達磨を買おうと思う心持に頷ける。(髙橋正子)

★早梅の白さをみたり花舗の前/廣田 洋一
花舗の前を通り過ぎるとはやくも梅の枝が差してある。その梅の花の白さにはみずみずしく驚くほどだ。(髙橋正子)

1月8日(1句)

★早梅に湘南の日矢柔らかし/廣田 洋一
湘南の日差しのやわらかさを実感するのは、ちらほら梅が咲き出してからのことであろう。「日矢柔らかし」と梅の配置がいい。(髙橋正子)

1月7日(1句)

★あけぼのの風の氷柱の奏でける/小口泰與
あけぼのの風が氷柱を研ぎ、通り過ぎるとき氷柱が鳴る。きびしい自然のなかにも美しさがある。(髙橋正子)

1月6日(2句)

★枯蓮の池の水面や空の青/桑本栄太郎
枯蓮の池にはあちこち小さな水面が見られる。水面は平らで動かず、空を映している。鏡のような水面は、青空を美しく反射する。枯蓮と空の青の対比美しい。(髙橋正子)

★葉の陰の実もつややかに藪柑子/川名ますみ
藪柑子は丈が低くて、葉の陰にも赤くてつややかな実がついている。葉陰にも拘わらず、そのつややかさ、可愛さは魅力。それを見つけた。(髙橋正子)

1月5日(1句)

★ひと筋の没日の映ゆる冬の沼/小口泰與
荒涼とした冬の沼に、ひと筋没日が差し込むと、沼は静かな華やぎに満ちた。
没日が差し込むほんの一時をしっかりと受け止めて句となった。(髙橋正子)

1月4日(1句)

★青空に真白き富士よ初暦/多田有花
富士山の写真は、カレンダーに実によく使われる。富士山のいろいろな姿は、日本一と思わせる魅力がある。今年もめでたく、真白い雪をかぶった富士山の暦から始まった。当たり前ながらの、すがすがしさ。(髙橋正子)

1月3日(2句)

★水落ちる隙間残して滝氷柱/廣田洋一
滝に水が流れるままのような氷柱が下がっている。すっかり凍ってしまったのかと思うが、水が落ちる隙間が残って、水が落ちている。それを発見したとき、滝が生きているように思えたのだろう。(髙橋正子)

★破魔矢持つ人と出会いぬ田道かな/桑本栄太郎
田道を歩くと、すでに初詣を済ませ、破魔矢を手にした人と出会った。行きずりの人の破魔矢に年があらたまったことを実感した。(髙橋正子)

1月2日(1句)

★流れゆく川が映せる初御空/多田有花
元日の空は特別でふり仰ぐと淑気に満ちた感じがする。流れる川はと言えば、元日の空が映り、川の流れと共に流れて行くようだ。すがすがしい空である。(髙橋正子)

1月1日(4句)

★駈け寄りて胡坐にふわり春着の子/小口泰與(上州)
★瀬戸内の雪の元朝珍しや/多田有花(瀬戸内)
★早梅や産土神の参道に/廣田 洋一(湘南)
★湯に浸かり遥か遠くに除夜の鐘/桑本栄太郎(京都)

それぞれの句にお住いの土地に対する感覚があるのだと、感じました。
本年もよろしくお願いします。(髙橋正子)

コメント (12)
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2022年1月1日~10日

2022-01-02 11:20:59 | Weblog
1月10日(4名)

小口泰與
一月の山は多弁や川は黙★★★
独り居の友へ寒紅届けける★★★
奥利根の宿の女将や雪眼鏡★★★

廣田 洋一
宝船重ね枕の良き眠り★★★
煮凝りをそのまま乗せる熱き飯★★★
氷柱溶け雪を穿てる軒の下★★★★

桑本栄太郎
寒晴や鉄塔連なる嶺の空★★★
一天の雲の無き日や寒の晴れ★★★
逃げもせず啄み居たる寒すずめ★★★

多田有花
腰かけて日向ぼっこのふたりかな★★★
山眠るうえに蒼空あるばかり★★★★
おおらかでシンプルな光景。「蒼空あるばかり」の「あるばかり」がこの句を詩として成り立たせている。蒼空の存在感を改めて知る。(髙橋正子)

起きぬけと寝る前に飲み寒の水★★★

1月9日(5名)

川名ますみ
初写真大きな富士を真ん中に★★★★
しらじらと初富士のより高きこと★★★
初鏡白髪も顔になじみけり★★★

小口泰與
市立つや小振りの達磨贖えり★★★★
達磨市が立って達磨を買い求めに大勢が集まる。大きいものではなく、小振りなものを買った。小振りな達磨を買おうと思う心持に頷ける。(髙橋正子)

穏やかな仏の目鼻冬うらら★★★
一人住む閨秀作家寒牡丹★★★

廣田 洋一
ぽたぽたとうるさき氷柱折られけり★★★
一滴づつ光零して氷柱痩せ★★★
早梅の白さをみたり花舗の前★★★★
花舗の前を通り過ぎるとはやくも梅の枝が差してある。その梅の花の白さにはみずみずしく驚くほどだ。(髙橋正子)

多田有花
これ以上なきほど晴れて寒四郎★★★
ふとん温し夢の余韻のなかにいる★★★
湯たんぽのほのかな温み足に触れ★★★

桑本栄太郎
溝川の丘の流れや冬うらら★★★
連棟のハウスまぶしき寒晴るる(原句)
連棟のハウスまぶしく寒晴るる★★★★(正子添削)
冬耕の土塊白き田道かな★★★

1月8日(3名)

廣田 洋一
煮凝りや独り住まいの台所★★★
早梅や芝にくつろぐ家族有り★★★

早梅に湘南の日矢柔らかし★★★★
湘南の日差しのやわらかさを実感するのは、ちらほら梅が咲き出してからのことであろう。「日矢柔らかし」と梅の配置がいい。(髙橋正子)

小口泰與
火灰埃舞いて大根畑かな★★★★
奥利根の風垣囃す山の風★★★
強面の猿の仕草や冬ぬくし★★★

多田有花
静かなるジャズを流して七日かな★★★★
もぐさの香部屋いっぱいに初やいと★★★
街角に句材を探す松の内★★★
 
1月7日(4名)

小口泰與
湖凪ぐや七草粥を大盛に★★★
贈られし諏訪の真澄や御神渡★★★
あけぼのの風の氷柱の奏でける★★★★
あけぼのの風が氷柱を研ぎ、通り過ぎるとき氷柱が鳴る。きびしい自然のなかにも美しさがある。(髙橋正子)

多田有花
通勤の車列再び人日に★★★
人日やいずれのペンで書くべきか★★★
ペン立てにペンのいろいろ七日かな★★★

廣田 洋一
皿一つ取り残されて煮凝れり★★★
配達の足跡二つ雪の朝★★★
新雪の一足ごとに音立ちぬ★★★★

桑本栄太郎
お代わりの二杯食べ居り七日粥★★★
風無くば茫然たりぬ枯尾花★★★
岸離れ番い集いて浮寝かな★★★★

1月6日(5名)

小口泰與
山峡の没日の沼や小白鳥★★★
残光の森の枯木へ山の風★★★
ゆったりと鰭の動作や冬の鯉★★★

廣田洋一
煮凝や取り残されし夜の卓★★★
福寿草咲き溢れたる黄金色★★★
日の差せる松の根方や福寿草★★★★

多田有花
アヴェマリア電子ピアノの弾初に★★★
夕刻のはっきり遅し寒の入★★★
買初は四割引のワークシューズ★★★

桑本栄太郎
晴れ居ても忽ち雪の在所かな★★★
枯蓮の池の水面や青き空(原句)
枯蓮の池の水面や空の青★★★★(正子添削)
枯蓮の池にはあちこち小さな水面が見られる。水面は平らで動かず、空を映している。鏡のような水面は、青空を美しく反射する。枯蓮と空の青の対比美しい。(髙橋正子)

朽野やにぶき太陽田の面に★★★

川名ますみ
葉の陰の実もつややかに藪柑子★★★★
藪柑子は丈が低くて、葉の陰にも赤くてつややかな実がついている。葉陰にも拘わらず、そのつややかさ、可愛さは魅力。それを見つけた。(髙橋正子)
初雪に濡れてヘルパー挨拶す★★★
アイラインかるく跳ねさす初鏡★★★

1月5日(4名)
小口泰與
どっぷりと硯の海へ筆始★★★
ひと筋の没日の映ゆる冬の沼★★★★
荒涼とした冬の沼に、ひと筋没日が差し込むと、沼は静かな華やぎに満ちた。
没日が差し込むほんの一時をしっかりと受け止めて句となった。(髙橋正子)

冬薔薇の重く固まり風の中★★★

廣田 洋一
煮凝りやぷるんぷるんと海の音★★★
煮凝りのほどけ広がる青き皿★★★
御慶交す人に会ひけり喫茶店★★★★

多田有花
四日はや青空に向け干し物を★★★
小寒や犬に連れられ散歩する★★★★
買初にスマホ画面をクリックす★★★

桑本栄太郎
まんさくの枯葉のままに蕾かな★★★
こつ然と風起こり来るしぐれ雲★★★
白き実を青空に添え冬木立★★★★

1月4日(4名)

小口泰與
年酒の余りにあまる四日かな★★★
妻と酌む四日の酒や置炬燵★★★
棚探し二人にあまる鍋の物★★★

廣田洋一
故郷の土産と共に御慶かな★★★★
その度に立ち上がりたる御慶かな★★★
煮凝りの手羽肉覆ふ琥珀色★★★

多田有花
青空に真白き富士よ初暦★★★★
富士山の写真は、カレンダーに実によく使われる。富士山のいろいろな姿は、日本一と思わせる魅力がある。今年もめでたく、真白い雪をかぶった富士山の暦から始まった。当たり前ながらの、すがすがしさ。(髙橋正子)

穏やかな晴れ賜りぬ三が日★★★
集まって鍋を囲みし三日かな★★★

桑本栄太郎
エンジンの朝の駆動の四日かな★★★★
風無くばあっけんからんと枯尾花★★★
午後よりのきらきら降りぬしぐれ雲★★★

1月3日(4名)

廣田 洋一
水仙の二輪並びて咲きにけり★★★
門燈の如く立ちをる水仙花★★★

水落ちる隙間残して滝氷柱★★★★
滝に水が流れるままのような氷柱が下がっている。すっかり凍ってしまったのかと思うが、水が落ちる隙間が残って、水が落ちている。それを発見したとき、滝が生きているように思えたのだろう。(髙橋正子)

小口泰與
三日もう年始の客の無かりけり★★★
三日はや足裏(あうら)のつぼを押しにける★★★
あながちに年酒余る三日かな★★★

多田有花
年迎う雪照らしゆく陽とともに★★★★
初日影山肌を降り街へ向かう★★★
年新たどこかでボッとガスが点く★★★

桑本栄太郎
破魔矢持つ人と出会いぬ田道かな★★★★
田道を歩くと、すでに初詣を済ませ、破魔矢を手にした人と出会った。行きずりの人の破魔矢に年があらたまったことを実感した。(髙橋正子)

初買のセブンイレブンドーナッツ★★★
三日はや鍋の夕餉となりにけり★★★

1月2日(4名)

小口泰與
朝日差す巍巍の浅間や初景色★★★
初浅間噴煙柔く垂直に★★★★
家長より賜わるならい柳箸★★★

廣田 洋一
嫁きたる子電話で済ます御慶かな★★★
ジムの友かけより交す御慶かな★★★
煮凝りを茶匙で掬ひ白き飯★★★

多田有花
身近な山雪化粧して大旦★★★
流れゆく川が映せる初御空★★★★
元日の空は特別でふり仰ぐと淑気に満ちた感じがする。流れる川はと言えば、元日の空が映り、川の流れと共に流れて行くようだ。すがすがしい空である。(髙橋正子)
初景色初雪となるめでたさよ★★★

桑本栄太郎
ふるさとの訛り懐かし初電話★★★
嶺の端の間に雪の淑気かな★★★★
二日早やうどんの昼餉摂りにけり★★★

1月1日(4名)

小口泰與
初浅間紫紺の雲を産みにける★★★
あけぼのの産土神へ初日かな★★★

駈け寄りて胡坐にふわり晴着の子(原句)
「晴れ着」は季語になりません。「春着」としてください。(髙橋正子)
駈け寄りて胡坐にふわり春着の子★★★★(正子添削)

多田有花
除夜の鐘聞くことも無く眠りけり★★★
昨日とは変わらぬ今日も年新た★★★
瀬戸内の雪の元朝珍しや★★★★

廣田 洋一
限りなく青澄み渡る初御空★★★
初富士の白き山頂仰ぎけり★★★
早梅や産土神の参道に★★★★

桑本栄太郎
湯に浸かり遥か遠くに除夜の鐘★★★★
京都ならではですね。
東雲のうすき明かりや淑気満つ★★★
雪しまく元朝なりぬ今朝の窓★★★
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