5月23日、バイデン大統領が日本を初めて訪れた。その前日には韓国を訪れている。
バイデン大統領はこの訪問中に予想された対ロシア「拡大戦力」の提唱のほかに、驚くべき二つのことを提示した。
一つは新しい経済枠組みである「IPEF」(アイペフ=インド太平洋経済枠組み)であり、もう一つは「日本を国連安全保障理事会の常任理事国に推挙する」というものだ。
まずIPEFだが、これはもともとアメリカが言い出したのに自らは離脱してしまったTPP(環太平洋連携協定)の代わりに今度提唱して来た多国間経済協定で、中国の封じ込めを狙っており、まずはASEANの7か国と日米韓の3か国の合計10か国で始めようというものである。
それだったらTPPを離脱しないでもよさそうなものだが、このIPEFは関税等の貿易上のルール作りを目指したTPPとは違い、知的財産権等の保障が中心になるという。中国の知的財産権の侵害に業を煮やしての提唱なのだろう。
その一方で、関税等の貿易に関する取り決めでは、アメリカは貿易相手国と個別に二国間で交渉するという前トランプ政権のやり方をそのまま踏襲するようだ。アメリカの「ナショナルインタレスト第一主義」国らしい手口だ。
もう一つの提示が「日本の安全保障理事会の常任理事国推挙」だが、これは単なるリップサービスだろう。
何しろ日本はドイツ同様の「旧枢軸国」であり、国際連合設立の意義「枢軸国に戦勝した連合国同士が束になり、これからの世界の戦後秩序を維持して行こう」という理念からはつまはじきされいるのだ(国連憲章第53条)。
旧枢軸国は雲散霧消したのは明らかであり、国連憲章53条は削除するか、大幅に改正するかしない限り、日本やドイツがいかに国連に対して忠誠を誓い、国連分担金も遺漏なく支払ってきたとしても、日本やドイツの常任理事国就任は有り得ない話になる。
第一に、日本が常任理事国に推挙されたとしても、まずロシアと中国が拒否権を発動して没になるに決まっている。
それに日本はアメリカとの間に日米安全保障条約という強固過ぎる二国間軍事同盟を結んでいる。もし常任理事国になったとしても、日米安保がある限り、日本はアメリカのイエスマンになるだけだ。
そういう日本を他の国々はどう思うだろうか? 「主体性のない国だ」と嘲笑われるのがオチではないか。
国連憲章の精神も、本来は二国間軍事同盟を禁じ、国家間の紛争は多国(連合国)間で平和的解決を目指そうというものである。したがって二国間軍事同盟である日米安全保障条約は国連憲章上は違憲(違反)ということになる。
バイデン大統領が日本の安保常任理事国入りを提示したのは、そこを熟慮してみると日米安保は解消してもいいというシグナルともとれる。
そんなバカげたことを、と返されるに決まっていようが、前大統領のトランプも「日米同盟はアメリカが一方的に日本を守るだけの同盟じゃないか、おかしくないか」と吼えている。つまり無くしたって構わない――と言っていたのだ。
バイデンの本意は「ロシアなんかに代わって日本が常任理事国になった方がよほどいい」ということであり、実はロシアに対するけん制あるいは揶揄の類なのだろうが・・・。(※果たしてバイデンは日米同盟の解消まで示唆したのか、今後の言動を注視しよう。)
たしかに、今のロシアに安全保障理事会常任理事国の資格は全くない。
そもそもこの地位は旧ソ連時代に対ナチス戦争に多大の犠牲を払ったスターリンへの御褒美である。また対日戦争を早く終わらせようとしていた英米首脳のチャーチルとルーズベルトのスターリンへのリップサービス「日ソ中立条約などどうでもよいから、北から日本を攻めてくれ。そうしたら北方領土くらいはやるよ」も特別報奨であったのだ。
この機会にこの報奨も反故にすべく、元来の日本領土である北方4島へのロシア人不法占拠者を自衛隊が排除しても、国際法上は何の問題もないのだが、防衛省はそこまではやらんだろう。
そこまではやらないにしても、日本の外務省と防衛省ははっきりと釘を刺す声明は出すべきではないかと考える。
バイデン大統領はこの訪問中に予想された対ロシア「拡大戦力」の提唱のほかに、驚くべき二つのことを提示した。
一つは新しい経済枠組みである「IPEF」(アイペフ=インド太平洋経済枠組み)であり、もう一つは「日本を国連安全保障理事会の常任理事国に推挙する」というものだ。
まずIPEFだが、これはもともとアメリカが言い出したのに自らは離脱してしまったTPP(環太平洋連携協定)の代わりに今度提唱して来た多国間経済協定で、中国の封じ込めを狙っており、まずはASEANの7か国と日米韓の3か国の合計10か国で始めようというものである。
それだったらTPPを離脱しないでもよさそうなものだが、このIPEFは関税等の貿易上のルール作りを目指したTPPとは違い、知的財産権等の保障が中心になるという。中国の知的財産権の侵害に業を煮やしての提唱なのだろう。
その一方で、関税等の貿易に関する取り決めでは、アメリカは貿易相手国と個別に二国間で交渉するという前トランプ政権のやり方をそのまま踏襲するようだ。アメリカの「ナショナルインタレスト第一主義」国らしい手口だ。
もう一つの提示が「日本の安全保障理事会の常任理事国推挙」だが、これは単なるリップサービスだろう。
何しろ日本はドイツ同様の「旧枢軸国」であり、国際連合設立の意義「枢軸国に戦勝した連合国同士が束になり、これからの世界の戦後秩序を維持して行こう」という理念からはつまはじきされいるのだ(国連憲章第53条)。
旧枢軸国は雲散霧消したのは明らかであり、国連憲章53条は削除するか、大幅に改正するかしない限り、日本やドイツがいかに国連に対して忠誠を誓い、国連分担金も遺漏なく支払ってきたとしても、日本やドイツの常任理事国就任は有り得ない話になる。
第一に、日本が常任理事国に推挙されたとしても、まずロシアと中国が拒否権を発動して没になるに決まっている。
それに日本はアメリカとの間に日米安全保障条約という強固過ぎる二国間軍事同盟を結んでいる。もし常任理事国になったとしても、日米安保がある限り、日本はアメリカのイエスマンになるだけだ。
そういう日本を他の国々はどう思うだろうか? 「主体性のない国だ」と嘲笑われるのがオチではないか。
国連憲章の精神も、本来は二国間軍事同盟を禁じ、国家間の紛争は多国(連合国)間で平和的解決を目指そうというものである。したがって二国間軍事同盟である日米安全保障条約は国連憲章上は違憲(違反)ということになる。
バイデン大統領が日本の安保常任理事国入りを提示したのは、そこを熟慮してみると日米安保は解消してもいいというシグナルともとれる。
そんなバカげたことを、と返されるに決まっていようが、前大統領のトランプも「日米同盟はアメリカが一方的に日本を守るだけの同盟じゃないか、おかしくないか」と吼えている。つまり無くしたって構わない――と言っていたのだ。
バイデンの本意は「ロシアなんかに代わって日本が常任理事国になった方がよほどいい」ということであり、実はロシアに対するけん制あるいは揶揄の類なのだろうが・・・。(※果たしてバイデンは日米同盟の解消まで示唆したのか、今後の言動を注視しよう。)
たしかに、今のロシアに安全保障理事会常任理事国の資格は全くない。
そもそもこの地位は旧ソ連時代に対ナチス戦争に多大の犠牲を払ったスターリンへの御褒美である。また対日戦争を早く終わらせようとしていた英米首脳のチャーチルとルーズベルトのスターリンへのリップサービス「日ソ中立条約などどうでもよいから、北から日本を攻めてくれ。そうしたら北方領土くらいはやるよ」も特別報奨であったのだ。
この機会にこの報奨も反故にすべく、元来の日本領土である北方4島へのロシア人不法占拠者を自衛隊が排除しても、国際法上は何の問題もないのだが、防衛省はそこまではやらんだろう。
そこまではやらないにしても、日本の外務省と防衛省ははっきりと釘を刺す声明は出すべきではないかと考える。