鴨着く島

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MQー9の鹿屋基地配備

2022-06-05 21:32:57 | 日本の時事風景
今日の午後、この7月から海上自衛隊鹿屋航空隊基地に配備されるというMQー9という米軍の無人飛行機部隊についての説明会があった。

主催は防衛省(九州管区)であり、配備に適しているとして鹿屋市に交渉に来たのだが、市民に対して説明責任を果たすべく、5か所で住民対象の説明会が開かれたので聞きに行って来た。

今日が最終日で、鹿屋市の野里町集落センターで午後2時から開催された。

集落センターにはおよそ50名くらいの住民が集まり、防衛省から配布された2種類の冊子を見ながら約30分、途中、このMQ―9のプロジェクター映像も上映された。

説明の趣旨は「東アジアの不安定化の要因である中国の日本周辺での海軍および海警船の動きを察知し、中国の進出に対して抑止力を増大させるために配備が必要であり、期限は一年とする」というものであった。

違和感を感じたのは「配備」という用語は使われず、「一時展開」だったことだ。常識的には「一時」というのは数週間か数か月だろうが、それを「一時展開」では一年間を想定しているという。

そこで質問したが、「一年で中国に対する抑止の効果が出ればよいが、出なかった場合、米軍は引き続き駐留するのか、それとも海上自衛隊鹿屋航空基地に属する自衛官が米軍の無人機取り扱いを習い、その後は鹿屋航空隊が無人機を保有して運用に当たるのか――」、であった。

防衛省の答えは、自衛隊の防衛能力のランクアップに結び付けたいという方向性は持っている。現在、鹿屋基地ではPー1対潜哨戒機の運用を日常業務としているが、それを大幅に補完する意味でも無人偵察機は重要だ、ということだった。

今日初めて知ったのだが、中国も無人偵察機は所有しており、しばしば南西諸島近くに飛ばしているそうだ。中国のアメリカに対抗しての国防への注力にはすさまじいものがあり、無人偵察による活動もその一環だ。

もう一つの質問は、「米軍の要員は150~200人規模になり、鹿屋基地内では宿泊せず、民間のホテルなどを借りるそうだが、米軍人の居住地から鹿屋基地までの通勤や退勤は公務になるのか。その途上で交通事故を起こした場合に、もし当て逃げやひき逃げをして鹿屋基地内に逃げ込んだ場合、日本の警察の捜査権はどうなるのか――」である。

防衛省の答えは、「基地内に逃げ込んでも、米軍所属の憲兵が拘束し、日本側と連絡を取り合い、必要とあらば警察に引き渡すようになるだろう」ということで、若干曖昧な言い方であった。

その他、参集の住民からは10くらいの質問が出たが、「日米地位協定を廃止してもらいたい」という反対派から「国防に協力したいので多少の騒音等は我慢できる」という賛成派まで、様様な意見が述べられた。

騒音問題や米兵の規律問題のほかにやはり多かったのが、18年前の沖縄国際大学への米軍ヘリコプター墜落事件だった。あのような事故が起き、日本の警察の捜査権が無視された事案のようなことがありはしないか――という危惧である。

結局あの事案は、ヘリコプターが墜落したのは公務中であったから、その直接の原因引き起こしたであろう乗員に対する捜査も裁きも日本の管轄ではない――という日米安保に付随する日米地位協定によって葬り去られた。

軍事は法律を凌駕する。「本当は怖い日米地位協定」なのだ。