ちわきの俳句の部屋

メカ音痴おばさんの一念発起のブログです。
人生の後半を俳句にどっぷりと浸かって、…今がある。

〝ら〟抜きことばは?

2020年06月27日 | 俳句

 今日は予報通りに雨が降ったり止んだり…あるときは集中的にひどくなって大雨注意報も出たりと、忙しい一日でした。今夜も雨や雷雨となるらしいのですが、明日の日中は天気が回復して、お日様マークも出ていましたよ。でもまだ梅雨明けは先なんでしょう。

 ところで、今年度からフォーユー馬酔木の句稿を主人が作ることになって、その準備の時の話。この句会には10人参加で、1人5句投句。それにいつも選句眼を養うため、兼題に近い季語で詠まれた名人の句を3句、私の2句と合わせて投句しますので、しめて55句になります。

 その時私が選んだ句に飯田蛇笏の〈月いでて見えわたりたる梅雨入かな〉がありました。

 主人がこの句を見て、〝うん、まあまあの句じゃの~。でも下五の字余りはもたもたしてあまりようないが…〟と。〝そんなことはないでしょ!〟とみてみると、〈梅雨入〉を「つゆいり」と読んだようです。そこで私が〝あら、こう書いて「ついり」と読むのよ。知らなかった?〟と言うと、〝それは俳人だけに通じる便利な言い方なんじゃろ〟というので、〝違うわよ。れっきとした古語での読み方なんですからね〟と、古語辞典を引いて見せました。主人は今始めたばかりの初心者でもないのですが…。聞くとそう読むのを知らなくて、ずっと「つゆいり」と読んでいたんですって。

 この時の兼題は「夕焼」でしたが、この季語も下五に来たときなど、例えば「大夕焼」を「おおゆやけ」とか「秋夕焼」を「あきゆやけ」とか、5音にして読んだりします。しかし、これは辞書には載っていませんから、俳人特有の読み方なんでしょう。

 他にも「大根」を「だいこ」と読んだり、逆に引き延ばして、「牡丹」を「ぼうたん」とか「蛍」を「ほうたる」とかも…。ちなみに、「だいこ」は広辞苑にありますし、「ぼうたん」は広辞苑と文語辞典にも、「ほうたる」はどちらにもなくて、歳時記のみでした。

 時々5音にするために、無理やりにそれを応用して何にでも当てはめて使う人がいますが、それはよくないでしょう。しかし、一昔「ら」抜き言葉が若者の間で流行して、社会でも学校でも問題視されていましたが、今ではもう当り前のように使われていて、あれこれ言う声も聞かなくなりました。私も現役の時はかなり抵抗して、生徒たちに指導したものですけどね。遠い昔のことになってしまいました。

 現在は俳句を間違った文法で詠まないように、また、文章を書くときも正しい表現をモットーにやっているつもりなんです。でもこのブログではあまり堅苦しくならないようにと、口語や略語、方言、隠語的な若者言葉(?)、絵文字なども使わせて貰っていますが、本来は〝美しい日本語〟を目指したいと思っているんですよ。

 しかし、言葉というものは昔から時代とともに変遷してきたものですから、新しい言葉や表現が現れるのも仕方のないことかも知れません。が、常に忘れてならないことは、時と場合を選んで使うということなんです。せめて俳句をする人は正しい文法を率先して使ってほしいし、また、決して言葉の乱れを引き起こすような言葉遣いはやめてほしいのです。皆さん、いろいろ勉強して、この表現でいいかどうかを判断し、よい句を詠んでくださいね。

 写真は、我が家のノウゼンカズラで、俳句では〝凌霄花〟として夏の季語。この木は、主人の実家が立ち退きになって壊される前、根を一株持ってきて鉢植えにしていたものです。芽は毎年出て枯れはしないものの大きくもならず、そこでやっと3年前地に下ろしてから初めてつけた花です。意外と色の濃い花でした。

  凌霄は妻恋ふ真昼のシャンデリヤ        中村草田男

コメント (4)
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