ちわきの俳句の部屋

メカ音痴おばさんの一念発起のブログです。
人生の後半を俳句にどっぷりと浸かって、…今がある。

夏の風にもいろいろ…

2022年05月08日 | 俳句

 今日は昨日より少し気温が下がって、朝の内はヒンヤリとしましたが、それもまた心地よし!です。しかし、気温の差というのは身体には堪えますね。特にお婆ちゃんの歳では…。そのせいか義母の体調が今一つ、熱はないのですが鼻水ばかりが出てと、困っています。そんな風だから連休は私たちもどこへも出掛けずに、庭などの手入れや家事で終ってしまいました。

 でも、この間毎日いい天気でしたので、どこの観光地もかなりの人出があったようですね。これでコロナの感染者がまた増加しなければいいがと…心配していました。すると案の定、昨日の新規感染者が山口県でも277人と。せっかく100人台に下がって少し安心していましたのに…ニュースをみれば全国軒並みに増えていました。このGWに遊んだ人々のツケがどんどん回って来るのでしょうか。ああ、イヤだ!もういい加減にコロナから解放してもらいたいものですね。 

 さて、今日も快適な日和でしたが、昨日も26度はあったというのに、湿度が低いからかサラリとして風がとっても気持ちイイ!この初夏の感じが〝風薫る五月〟といって、人々に好まれる季語「薫風」なんだと、俳句をする前の私は思っていました。

 ところが、俳句を始めてから知ったのですが、この季語は三夏に使えるものだと。ということは、立夏(5月5日)から立秋(8月7日)前日まで3ヶ月間OKなんです。しかし、どう考えても梅雨時のジメジメした風は似合わないし、梅雨が明け太陽がギラギラ照りつける所ではもっと相応しい季語がありそうだし…。

 そこで、この「薫風」を使った句を調べてみると…使いやすい季語なのでたくさんありました。確かに、初心者俳句教室の兼題でも毎年これを出していますもの。皆さん初めてだというのにそれなりに作句してきて、まあまあの句が詠めていました。ということはこの季語が、説明しなくてもその本意を体で実感していたということなのでしょう。

 ちなみに歳時記の解説では、「薫風」とは木々の緑の香りを運ぶ心地よい風のこと。和歌では、花や草の香りを運ぶ春風の意であったが、連歌で、初夏の風として意識されはじめたとあるんです。なのになぜ三夏なのでしょう。掲載されているどの句を見てもやはり初夏の瑞々しい新緑を感じさせる風として使ってあるんですね。しかし、盛夏や晩夏の青葉茂れる頃の風に使ったとしても間違いとはいえないのだと。要は「薫風」の本意さえ取り違えないようにすればいいということかも。次の句のように…これは海も山も見えるような所に立った時の、まさに実感でしょうね。

  海からの風山からの風薫る   鷹羽狩行

 ところで日本には、季節を問わず風の言い方がいろいろあります。参考までに夏の季語となっている「薫風」以外の風を見てみましょうか。

 「南風」…南から吹く風。読み方は、みなみかぜ・なんぷう・はえ。

 「まじ」…太平洋岸の南または南西の風。西日本ではまぜともいう。

 「くだり」…日本海沿岸の南系統の風。北陸などでいう。

 「ひかた」…日のある方、未申の南西方から吹く夏の季節風。しかたともいう。

 「あいの風」…日本海側で吹くそよ風で東または北東風、北上して北または北西風。

 「だし」…海岸から沖に向って吹き出す風。新潟を中心に日本海一帯に使われる。

 「ながし」…九州で梅雨の頃に吹く西南風。ながせともいう。

 「やませ」…5、6月頃山越えに日本海沿岸、東北地方に吹く寒い北東風。冷害の原因として恐れられる。

 「いなさ」…梅雨前後海上から吹くなま暖かい南東強風。たつみ風ともいい、関東地方で多く用いられる。

 他に「黒南風(くろはえ)」「白南風(しろはえ)」「茅花流し」「筍流し」「麦嵐」「黄雀風(こうじゃくふう)」「土用あい」「御祭風(ごさいかぜ)」「青東風(あおごち)」「青嵐」「熱風」「涼風」など。

 私は俳句を始めてから、随分風の勉強をしましたよ。どちらから吹く風かということだけでなく、その強弱や場所や風土性など。更にはその風を頼りにして、または恐れて暮らしている人々のことなど、また実際に船に乗っている人に聞いたりもして、あれこれとたくさん学ぶことがありました。その結果昔の交通が発達していなかった時代の日本列島の東西南北で、人々が風とともに生きてきた証しがこの様々な風の呼び方に残っているのだということが分りました。

 私は俳句をするまでは、一般的なありきたりの風しか知りませんでしたし、それで困ることもなかったんです。それは当然のことでしょうし、また知らないからといって責められることではありませんからね。しかし、今や皆さんの句を鑑賞するようになって、どんなことでも知らないでは済まなくなりました。また、他所へ出掛けて詠むときなど、地域性のある風を詠み込むと、それだけである程度は分って貰えることもありましたからね。

 ただ気を付けないといけないことがあります。それは、いくら辞書や歳時記にあるからといって、その解説だけで分ったつもりになって使ったりしないこと。季語というものはそんなに甘いものではないのですから。ある程度基本が出来て、少し俳句らしく詠めるようになったとしても、この季語の選択を誤ると、見かけだけは俳句らしくても何の感興もない…要するに〝俳句モドキ〟の句が出来てしまうということです。だから俳句を詠む人は必ず季語の本意を理解する必要がありますね。それでは皆さん勉強しましょう!その季語の本意が分った上で作句することですよ。

 これは〝鳥〟や〝花〟などでも同じ事が言えます。その鳥の鳴き声や姿など全く知らなければ使えるはずがありません。ところが時々音数や響き具合から使ったのでは?というような句に出会います。そこで作者に聞いてみます。〝この鳥(花)見たことあるの?〟と。そうすると、全く違うものをそれだと思っていたり、酷い時には全く知らないけれど、何となく〝よさそう〟だったから使ったという答えもあったりして、ビックリですよ。

 ほらよくあるでしょう。例えば、「五月雨(さみだれ)」が梅雨の頃の雨だとは知っていても、「五月晴(さつきばれ)」は陽暦五月の良く晴れた空だと思い込んで使っている人が!これは〝さつき〟という言い方が陰暦の五月のことで、陽暦は〝ごがつ〟としか言わないということをしっかり理解してさえいればあり得ないことなんですけどね。

 いかがですか。この際何気なく使っている自分の言葉を見直してみては。俳句をするしないにかかわらず、日本人なら日本の美しい言葉遣いを守り、先人から引継いできた日本の素晴らしい伝統を後世に繋いでゆくことが私たち大人の務めでしょう。ですから皆さん、どうかご協力を…お願いしますね!

 写真の植物の名前は…? グーグルレンズで調べたら、ユーフォルビア・フェンスルビーと出ましたが、PCで検索してみると、何となくこれも??? とにかくこの若緑色がとても美しくて…きっと薫風も色で表せばこんな色だと思うんですけどね!

 

 


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4 コメント

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Unknown (晴陽)
2022-05-10 10:53:16
ちわきさんこんにちは。風爽やかな過ごしやすい季節になりましたね。気候はよいのですが、私も結構鼻水が出ます。私の場合は花粉症だと思いますけれども。
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Unknown (ちわき)
2022-05-11 01:48:02
晴陽さん、コメントありがとうございます。
こんなにいい季節なのに…お見舞い申し上げます。
実は義母がひっきりなしに鼻水が出て見てるのもカワイソウ…それでもしかしたら花粉症かもと私が言ったばかりなんですよ。そうしたら、お婆ちゃん納得したみたい!
だって風邪などの時は直ぐに葛根湯を飲むと治るのに、今回は飲んでもいつまでも治らないから。
でも101歳にもなって今更…なんてね。
晴陽さんもお大事に!
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東京は梅雨の走りか・・・・? (縄文人)
2022-05-13 08:03:19
昨夜半から雨後降っています。
昨夜、天気予報を見ていたら、日本全国すべてが傘マークいよいよ梅雨ですね!

≫≫≫ 私は俳句を始めてから、随分風の勉強をしましたよ。
「風」は、便利で付けることによって、形が整います。
わしも風に、チョイト力を入れて勉強してみよう。
又ついでに梅雨の季節「雨も」一緒に!!
  
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Unknown (ちわき)
2022-05-13 21:05:38
縄文人さん、こんばんは!
こちらは毎日雨が続いています。やはりこれは…〝走り梅雨〟でしょうか。
それともこのままズルズルと…
〝風薫る五月〟が連休の間だけでその後こんなに雨が降るのは今まで無かったことでは?
この最近の気象…予想を出してもこんなに狂ってくれば先の見通しが立たないでしょうね。いくら気象庁でも……
俳句には主役を引き立てる小道具として〝風と雨〟がよく使われますから、是非いろいろ勉強してみて下さい。句に奥行きが出て来ますよ。頑張って!
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