おはようございます昌栄薬品の宮原 規美雄です
黄帝内経素問 刺腰痛篇 第四十一
第一節
足太陽脈、令人腰痛。引項脊、尻背如重状。刺其郄中太陽正經出血。春無見血。
少陽令人腰痛。如以鍼刺其皮中。循循然不可以俛仰。不可以顧。刺少陽成骨之端出血。成骨在膝外廉之骨獨起者。夏無見血。
陽明令人腰痛。不可以顧。顧如有見者。善悲。刺陽明於胻前三痏。上下和之出血。秋無見血。
足少陰、令人腰痛。痛引脊内廉。刺少陰於内踝上二痏。春無見血。出血太多不可復也。
厥陰之脈、令人腰痛。腰中如張弓弩弦。刺厥陰之脈、在腨踵魚腹之外。循之累累然、乃刺之。其病令人善言、黙黙然不慧。刺之三痏。
訳
足太陽膀胱経の腰痛は、項や背に及び(鍼灸医学体系の訳は、・・・腰痛は、項や脊を引かれるようであり。東洋学術出版社素問の訳は、痛みは項脊から臀部にかけて引っぱられるようで。)、尻と背は重く感じるようである。このようなときは足太陽膀胱経の委中(図の66)を刺し血を出します。春においては出血させてはいけません。
足少陽胆経の腰痛は、皮中を刺すような痛みで、順序次第がよく行くように次ぎ次ぎとつたわり上向くことも前屈みも出来ず、振り向くことも出来ない、このようなときには成骨の端を刺し出血させます。成骨は膝の外廉の骨の独起(図の45?)です。夏においては出血させてはいけません。
足陽明胃経の腰痛は、振り向くことも出来ず、振り向けば実際には無い物を見るようになり、よく悲しみます。このようなときには足陽明胃経の胻(すね)の前(図の46?)の三ヶ所を刺します(三回さします)。足三里の上下をもみほぐし出血させます。秋においては出血させてはいけません。
足少陰腎経(1湧泉、2然谷、3太谿、4大鍾、5水泉、6照会、7復溜、8交信・・・)の腰痛は、痛みが背中の内側にまで及びます。このようなときには少陰腎經の内踝の上(7復溜)を二痏します。春においては出血させてはいけません。出血がすぎる場合回復は望めません。
足厥陰肝経(1太敦、2行間、3大衝、4中封、5蠡溝(れいこう)、6中都、7膝関、・・・)の腰痛は、腰の中が弓の弦が張るように感じます。このようなときには厥陰肝経の経脈、ふくらはぎとかかとの所にある魚腹の外、
循之累累然、乃刺之。
5蠡溝穴附近さがし、血絡の累累然たる所を刺すこと三痏するのである。 (下線部、鍼灸医学体系(語句の解))、
東洋学術出版社素問の訳
手でなでると珠を貫ねたように触れる部分〔蠡溝穴〕を鍼で刺せ。
病人がよくしゃべったり黙りこくり爽快でない場合は、之を刺すこと三痏。
引=いん。
①牽引すること。例えば、一箇所の疼痛が牽引して、その他の部位におよぶ。
<素問挙痛論>「或は心背と相い引いて痛む者、或は胸脇少腹と相い引いて痛む者、或は腹痛陰股に引く者。」
②吸引すること。例えば、一般に寒証は拘急・攣縮・屈伸不利をあらわす。
<素問・至真要大論>「諸々の寒は吸引す。」
③引き出すこと。例えば「針を引く」とは針を完全に刺しおわってから、針を引き出すことである。<素問・八正神明論>参照。
④導くこと。引経の意。⇒引薬(いんやく)。
⑤驚風八候の一つ。<古今医鑑>「引く者は臂を開弓するがごとし。」漢方用語大辞典
鍼灸医学体系、東洋学術出版社素問
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