拝啓、世界の路上から

ギター片手に世界を旅するミュージシャン&映画監督のブログ(現在の訪問国:104ヶ国)

ドイツで広がる卵・豚肉のダイオキシン汚染問題

2011-01-22 | 旅人のひとりごと


昨年12月からドイツ全土で、基準許容値の2倍以上を超えるダイオキシンに汚染された卵や豚肉が次々と見つかり、食に対する不安が広がっています。


今年1月上旬までに、検査の為に4000以上の農家が封鎖され、そのうちの約12%の農家でダイオキシン汚染が確認され、酷いものでは基準値の78倍のダイオキシンが検出されたケースもあるのだとか。


今回のケースはドイツでも一定のシェアを誇る家畜飼料メーカーH社(ドイツ最北端の州に本拠地を置く)の飼料に、ダイオキシンが混ざった工業用油脂が混入したことが原因です。

しかも驚くことに、同社は2010年3月には本問題を知っていたにもかかわらず、9ヶ月以上通知せず飼料が売られ続け、発がん性物質であるダイオキシンに感染した食物が半年以上にわたって流通し、消費者の口に入っていたのだとか。
(その多くはスーパーマーケットを通して流通済みで、既に調査不可能らしいです。仕事がらドイツ国内出張等が多い自分は、ホテルの朝食等でよく卵やハムを食べているので、知らないうちに摂取済みの可能性があります。汗)


この背景には、卵や食肉の生産者が、極限まで価格を下げさせられているという、ドイツ食料品業界の激しい価格競争の問題があり、生産者がコストを極限まで抑えるために、かなり無茶なこともやっているという背景があるようです。



この問題は、昨年のインフレ率約1.2%であるドイツでさえそうなのですから、デフレ不況で「コストダウン」という言葉が日常に染み付いた日本でも他人事ではないと思います。


価格にかなりシビア(悪く言えばすごいケチ)なことで有名なドイツ人ですが、この問題が起きてから、皆こぞって一般卵の1.5~2倍はするBIO(オーガニック自然放牧農法製品)の卵を買い求めているそうです。



その理由は、今回ダイオキシンが見つかった混合飼料等を使うと、BIOの基準に合格しないからだそうで、これを気に自分もこれまでスーパーで10個1EUR以下の一般卵から、10個2EUR弱のBIOの卵に変えました。



もしドイツで外食する機会があれば、卵や豚肉を食べる前に「BIOの卵や豚肉を使っている?」と聞いてみるのも一案かもしれません。


たぶんドイツ人も普通に聞いてそうな気がするので、これだけ問題が大きくなっている今では、そんなに嫌な顔もされないのではないかと。


来週もドイツ国内で出張予定なので、ホテルでの朝食時にさっそく試してみたいと思います。



P.S.
余談ですが、ドイツで卵や豚肉のダイオキシン感染が大問題になっているという話を、アジア某国在住の知人にメールした際、「中国では食品汚染の問題は日常的で、野菜も洗剤を使って洗うし、ダイオキシンぐらいじゃニュースにすらならない」という返信が返ってきました。(汗)


今回ドイツでダイオキシン問題が発見された際にも、ドイツの専門家が問題となった原材料は中国からの輸入品だとコメントしたことに対して中国政府が反発し、ドイツからの卵・豚肉の輸入を停止したようです。
(中国政府は、中国ではダイオキシン問題は無いと主張しているのだとか)





※写真:ドイツのスーパーで売られているBIOの卵。卵のほかにも様々な食品でBIOのものがあり、BIO製品専門ショップもあちこちにある程、ドイツでは一種のブランド食品として一般的です。