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奥村土牛:桜の中に何を見ようとしたのか?

2012-04-22 18:03:04 | 美の番組紹介
奥村土牛:桜の中に何を見ようとしたのか?


醍醐寺の桜を描いた奥村土牛の「醍醐」が本日
の美の巨人たちのテーマです。

奥村土牛 (ちいさな美術館)
クリエーター情報なし
青幻舎



奥村土牛は、小林古径を兄弟弟子に持ち、強く
この小林を慕う。
小林古径から言われた一言を実直に守り、実践
したという。
「苦心の後が見えては駄目。さらりと見えなけ
れば駄目だ。」


では、土牛の作品のどのように生かされている
のだろうか。
番組では「醍醐」を切り口に紹介してくれる。


醍醐寺はあの豊臣秀吉が慶長3年に催した宴、
1500名の高貴な人々を集めて盛大に行われた
花見で有名である。
三宝院の枝垂桜、
土牛はこの枝垂桜にめぐり合い、何日も通い、
写生し、熟成させて生み出した。
その作品が「醍醐」である。


しかし、あの枝垂桜の面影は、一瞥ではあい。
通常のカットであれば、大きく枝を広げた枝垂
桜を描くであろう。
土牛の描いた桜は別の形をしている。
さて、なぜだろうか?


「醍醐」をよく観察してみよう。
まず、あでやかな桜
古木の大きな幹
画面をはみ出るような桜一色
桜が主役で、桜が脇役?
これが天下一の桜の名画である。
(山種美術館)


実は、この「醍醐」には、観る者が不可欠であ
ると私は思う。
醍醐の桜は、桜の美しさを表現するだけではな
い。
画面をはみ出した桜の生命力、それを裏付ける
古木の幹の力強さが感じられる。
画面はほんの一部を切り取ったような印象を観
るものに与える。


観る者に、桜の古木の生命力を感じさせる。
それがこの絵の真骨頂である。
美しいだけではない。
力強さと生き生きとした生命力を感じさせる。


では、それを可能にした土牛の技法を番組から
学んでみよう。


1、切り取りの妙

写生を重視した土牛は、現場百篇ではないが、
その場所でないとかけないところを探し出し、
感動をそのまま、切り出した。
風景から感動を切り出した。

2、削ぎ落としの妙

画面の外に余白を作り出す。
感動を描き出すに、余計なものは全て切り落と
す。
余計というと語弊があるが、画面の枠外にその
存在を移す。


3、重ね塗りの妙

桜の色は、淡く、透明な薄紅色をしている。
これは、満開の桜を一つ一つ描くではなく、
感動と印象を見る人の心に映しこむ技法を
演出した。
それが、重ね塗りである。
線臙脂と胡粉を混ぜて、桜色をつくる。
さらに、それを何十回も百回とも言われるくら
いに、重ね塗りをする。
そして生み出されたのが、「醍醐」の桜です。


自ら凡才と称してつけた土牛という名前、
世間のことは一切興味なく、絵画の世界に
没頭して、ついに、彼が到達した世界。
荒地を耕す牛の如し、美の境地を耕した。


耕し続けた土牛は、いまや私たちに感動を届
ける日本の牛となった。
ぜひ、一度、本物を見に足を運ぼう。


参考:https://www.tv-tokyo.co.jp/kyojin/


平成24年4月22日 川越芋太郎

芋太郎のtwitter

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