川越芋太郎の世界(Bar”夢”)

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敷島のやまと心を人問わば朝日ににほふ山桜花

2012-09-14 21:40:29 | 「美」発見
敷島のやまと心を人問はば
朝日ににほふ山桜花


この詩を知らない人は少ない。
どこかで耳にしている方は多い。
実は、本居宣長の代表作である。


有名であること=内容がよく
理解されているとは限らない。

知れ渡る原因が先の軍国主義を
連想させる為に、正確には、利
用されたが為に、先入観をもっ
て観られている。

朝日があたりほのかに桜が香る
山桜、黄金色と桜の調和する大
自然の姿を私は連想する。
そこには、軍国主義は微塵もな
い。

桜=散る、潔い散り方
をもってして、武士の心得を謳
うと解釈される。
さらに、それは、戦前のお国の
為に「散る」ことを潔しとする
考え方を賛美した。

だが、本居宣長の頃には、お国
のためなどという発想は微塵も
ない。
江戸時代は藩が主体であり、幕
府と藩の両輪体制。
百姓もそれなりの自由があった
とされる。
貧しい時代である故に、誤解は
多いが、世界の状況から比較す
れば、江戸時代のそれは、遥か
に優れた文化と社会基盤が存在
した。
下水道施設もその一例である。

さて、詩に戻れば、大自然を愛
し、自然と調和する心を大事と
したことは明白である。
このような詩を読めること、
それは優れた感性と知性が同居
していた。

同時に、日本の自然がそれ程に
美しいことを語る。

当時の西欧社会の汚い道路や
汚物まみれの社会基盤と比較し
たら、大自然を愛でる心がある
日本文化を優れたものと考える
は自然である。

それゆえに、維新後のパリ万博
で西欧の賞賛を得たのが日本の
芸術であったことは偶然ではな
い。

西欧の教養人からすれば、世界
で一番すぐれた文化と当時映っ
たはずです。
浮世絵、彫金しかり。
そのモチーフが語る日本社会。
ジャホネスク
印象派などと妙な訳名を与えた
が故に、彼等の本音が消えてし
まった。
一言で言えば、「驚異の日本」
であった。

さて、私たちもそろそろ、宣長
の本当の心を取り戻す頃合では
なかろうか。
大自然が少なくなり、乱開発が
なされた日本の国土、さらに、
化学汚染が日常的となり、原発
汚染まで重なり始めたといわれ
る。

今一度、自分達の生活から見直
し、何が必要で、何が不要かを
考える時期に来たと思う。

エネルギーが足らないから原発
ではあるまい。
エネルギー消費を減少させるこ
とが、限られた資源世界となっ
た地球の新たな生き方であるの
だから。
こういうと、白黒を得意とする
人々から批判される。
重要なことは「調和ある発展」
である。

爆発する人口と発展途上国の社
会発展はさらなる資源食料不足
をもたらす。
同時に、エネルギー不足ももた
らす。

存否は別にしても、世界闇政府
ならば、人口を10億に減少さ
せる方法を考えるのだろうが、
私たちは、共存を是としたい。

ならば、大自然と共存する社会
を目指したい。

その第一歩が、本居宣長の詩。

自然を愛でる精神の復活が大切
ではなかろうか。
イディオロギー重視の西洋観か
ら感性の日本観へ転換したい。


平成24年9月14日 川越芋太郎