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「美の壺:滝」 NHK
今日の題材は、「滝」
滝といえば、夏。
涼しげな滝は、日本の夏の風物詩。
富士山の雪解け水が流れ出してできた「白糸の滝」。伏流水が、岩盤から噴き出し、
神秘的な景観を作りだしています。
同時に、「滝」は修験者が、滝に打たれる光景があるように、
滝にある種の神々しさを感じてきました。
激しい滝の水に打たれ、心身共にリフレッシュしようとする女性が増えています。
古より、日本では、森羅万象に神が宿ると考えてきました。
水は、いのちの源。
そのため、滝を神聖な場所としてあがめてきました。
山や森に恵まれた日本、落差が5メートル以上ある滝は、全国に、およそ2500ある
といいます。その形はさまざま。それぞれに個性的な美しさがあります。
美の世界でも、古くから滝を題材にたくさんの美術作品が生み出されてきました。
一直線に流れ落ちる滝を描いた国宝那智滝図。
威厳をたたえる滝を通して神の存在を描き出した宗教画です。
神秘的で生命力あふれる滝には信仰心や美への探究心をかき立てる、
とてつもないエネルギーが溢れているのです。
<美の壺1: 『滝格』 ある姿に注目>
その「流れる形」に注目です。
平成2年、国が選定した「日本の滝100選」。
兵庫県一の大きさを誇る「天滝」。落差98メートル。
その名のごとく、天から一気に水が降ってくるような滝です。
ここを訪れた弘法大師が、天に昇る白い竜に例えたことから、
この名が付いたと言われています。
「いい滝というのは、人に人格があるように、滝にも『滝格』というものがある」
とさえ言われる。
自然の造形物である滝に、品格を見る。
なんとも、日本的な視線です。
1、滝格を決める条件としては、「落口(おちくち)」に注目します。
「落口は、滝がどこから落ちてくるかわからない。滝の後ろ側に理想郷・天の存在を想像させます。
2、流身、すなわち水が落ちていく姿です。
落口から宙に放たれた水は、ただ一直線に落ちるのではなく、途中で岩盤に当たり、岩肌を滑り落ち
て、様々に変化します。それが、より魅力的な姿を作るのです。
この2つのポイントを押さえた滝こそが、「滝格」を備えた名瀑となるのです。
「名瀑とは、やはり神々しさですね。
和歌山県熊野にある那智の滝。落差133メートル。那智大社の別院である飛瀧神社の御神体として祭られています。
落口は那智の原生林に囲われ、注連縄(しめなわ)が張られています。
水が3本の筋となって落下するのが特徴。
<美の壺:一瞬の表情を切り取る>
複雑な水の表情に注目。
江戸の浮世絵師・葛飾北斎は晩年、8枚の滝の絵を残す。「諸国滝廻り」。
水の表情を自由自在に描き出す北斎。
落ち口の向こう側には、小さな宇宙。
剣のような険しさで表現された水の動き。
線の強弱で、巧みに描く。
水を観察し尽くした北斎ならではの描写です。
現代の写真で滝を撮るコツを一言。
写真家の加藤庸二さん。
一瞬を捕らえなければ絵にも写真にもできない。
滝の前に立って、五感を働かせて、滝の水の粒とか、帯のように流れる岩盤をはむ水の流れ
そういうものをじっくりと観察してから描く。
栃木県日光にある霧降(きりふり)の滝。
複雑にうねりながら岩盤を這う水の流れが特徴です。
「諸国滝廻り」の中でも傑作と呼ばれている作品です。
本物の滝が持つ、水のうねりをみごとに表現。
カメラを使って、シャッタースピードを遅くすることで、水の流れを帯状の強い線でとらえる。
水が落ち、飛沫(しぶき)となる瞬間。北斎は、滝つぼからはね上がる細かな粒をいくつもの
点で描いています。
われわれも、北斎という天才絵師の視点で心のシャッターを押せば、水の表情をとらえた
滝を撮ることができるかもしれない。
<美の壺3: 自然を越えた自然を味わう>
文京区小石川後楽園は、水戸徳川家の上屋敷に作られた日本を代表する大名庭園です。
池を中心に設計されたこの庭の滝は富士山麓の白糸の滝を模したものです。
日本庭園に滝は欠かせないと言います。
「あくまで『自然をベースにしながら自然を越えた自然を作る』。
盆栽同様の世界。
日本庭園では、滝が一番メイン。
音と動きに注目です。
名古屋市にある徳川園。龍門瀧が再現されています。
これは中国の登竜門伝説になぞらえて造られたもの。
「急流を登りきった鯉は龍になる」という、立身出世の故事。
これから滝を上ろうとする鯉に見立てた石が置かれています。
対照的なのが枯れ山水の庭(大仙寺)。
枯れ山水とは、石や砂だけで山水の風景を表現した日本独特の庭園。
仙人が住む山には、三段の滝があり、やがて川となって流れ出します。
実は人の一生を表している。
ゴツゴツした滝の石組みを伝い、流れ出た水は、白砂に浮かぶたくさんの石、
数々の困難にぶつかり、いつしか、何の障害物もない大海に出て、おだやかに人生を
まっとうするのです。
水のない滝に水の流れを見、その音に耳を澄ます。
人の心に滝が流れているからなのです。
さて、日本には、四季があります。
同じ滝でも、四季を通して観る事により、違う感激を得ることができます。
番組では、哲学的に側面に説明がなされましたが、
1つの滝を4つのシーズンに分けて、観ることをお勧めします。
芋太郎流「滝」鑑賞の壺。
本日の3つの壺と落ち口・流身の2つの点に、ぜひ、四季の景色を加えてください。
ご照会:滝に関する写真集です。
今日の題材は、「滝」
滝といえば、夏。
涼しげな滝は、日本の夏の風物詩。
富士山の雪解け水が流れ出してできた「白糸の滝」。伏流水が、岩盤から噴き出し、
神秘的な景観を作りだしています。
同時に、「滝」は修験者が、滝に打たれる光景があるように、
滝にある種の神々しさを感じてきました。
激しい滝の水に打たれ、心身共にリフレッシュしようとする女性が増えています。
古より、日本では、森羅万象に神が宿ると考えてきました。
水は、いのちの源。
そのため、滝を神聖な場所としてあがめてきました。
山や森に恵まれた日本、落差が5メートル以上ある滝は、全国に、およそ2500ある
といいます。その形はさまざま。それぞれに個性的な美しさがあります。
美の世界でも、古くから滝を題材にたくさんの美術作品が生み出されてきました。
一直線に流れ落ちる滝を描いた国宝那智滝図。
威厳をたたえる滝を通して神の存在を描き出した宗教画です。
神秘的で生命力あふれる滝には信仰心や美への探究心をかき立てる、
とてつもないエネルギーが溢れているのです。
<美の壺1: 『滝格』 ある姿に注目>
その「流れる形」に注目です。
平成2年、国が選定した「日本の滝100選」。
兵庫県一の大きさを誇る「天滝」。落差98メートル。
その名のごとく、天から一気に水が降ってくるような滝です。
ここを訪れた弘法大師が、天に昇る白い竜に例えたことから、
この名が付いたと言われています。
「いい滝というのは、人に人格があるように、滝にも『滝格』というものがある」
とさえ言われる。
自然の造形物である滝に、品格を見る。
なんとも、日本的な視線です。
1、滝格を決める条件としては、「落口(おちくち)」に注目します。
「落口は、滝がどこから落ちてくるかわからない。滝の後ろ側に理想郷・天の存在を想像させます。
2、流身、すなわち水が落ちていく姿です。
落口から宙に放たれた水は、ただ一直線に落ちるのではなく、途中で岩盤に当たり、岩肌を滑り落ち
て、様々に変化します。それが、より魅力的な姿を作るのです。
この2つのポイントを押さえた滝こそが、「滝格」を備えた名瀑となるのです。
「名瀑とは、やはり神々しさですね。
和歌山県熊野にある那智の滝。落差133メートル。那智大社の別院である飛瀧神社の御神体として祭られています。
落口は那智の原生林に囲われ、注連縄(しめなわ)が張られています。
水が3本の筋となって落下するのが特徴。
<美の壺:一瞬の表情を切り取る>
複雑な水の表情に注目。
江戸の浮世絵師・葛飾北斎は晩年、8枚の滝の絵を残す。「諸国滝廻り」。
水の表情を自由自在に描き出す北斎。
落ち口の向こう側には、小さな宇宙。
剣のような険しさで表現された水の動き。
線の強弱で、巧みに描く。
水を観察し尽くした北斎ならではの描写です。
現代の写真で滝を撮るコツを一言。
写真家の加藤庸二さん。
一瞬を捕らえなければ絵にも写真にもできない。
滝の前に立って、五感を働かせて、滝の水の粒とか、帯のように流れる岩盤をはむ水の流れ
そういうものをじっくりと観察してから描く。
栃木県日光にある霧降(きりふり)の滝。
複雑にうねりながら岩盤を這う水の流れが特徴です。
「諸国滝廻り」の中でも傑作と呼ばれている作品です。
本物の滝が持つ、水のうねりをみごとに表現。
カメラを使って、シャッタースピードを遅くすることで、水の流れを帯状の強い線でとらえる。
水が落ち、飛沫(しぶき)となる瞬間。北斎は、滝つぼからはね上がる細かな粒をいくつもの
点で描いています。
われわれも、北斎という天才絵師の視点で心のシャッターを押せば、水の表情をとらえた
滝を撮ることができるかもしれない。
<美の壺3: 自然を越えた自然を味わう>
文京区小石川後楽園は、水戸徳川家の上屋敷に作られた日本を代表する大名庭園です。
池を中心に設計されたこの庭の滝は富士山麓の白糸の滝を模したものです。
日本庭園に滝は欠かせないと言います。
「あくまで『自然をベースにしながら自然を越えた自然を作る』。
盆栽同様の世界。
日本庭園では、滝が一番メイン。
音と動きに注目です。
名古屋市にある徳川園。龍門瀧が再現されています。
これは中国の登竜門伝説になぞらえて造られたもの。
「急流を登りきった鯉は龍になる」という、立身出世の故事。
これから滝を上ろうとする鯉に見立てた石が置かれています。
対照的なのが枯れ山水の庭(大仙寺)。
枯れ山水とは、石や砂だけで山水の風景を表現した日本独特の庭園。
仙人が住む山には、三段の滝があり、やがて川となって流れ出します。
実は人の一生を表している。
ゴツゴツした滝の石組みを伝い、流れ出た水は、白砂に浮かぶたくさんの石、
数々の困難にぶつかり、いつしか、何の障害物もない大海に出て、おだやかに人生を
まっとうするのです。
水のない滝に水の流れを見、その音に耳を澄ます。
人の心に滝が流れているからなのです。
さて、日本には、四季があります。
同じ滝でも、四季を通して観る事により、違う感激を得ることができます。
番組では、哲学的に側面に説明がなされましたが、
1つの滝を4つのシーズンに分けて、観ることをお勧めします。
芋太郎流「滝」鑑賞の壺。
本日の3つの壺と落ち口・流身の2つの点に、ぜひ、四季の景色を加えてください。
ご照会:滝に関する写真集です。
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ブログも作っているので、もしよかったら、
一度遊びにきて下さい!どうぞ宜しく!