川越芋太郎の世界(Bar”夢”)

川越芋太郎の世界へようこそ!
一言メッセージ・「美」の探訪ブログです。短編小説などもあります。

美の巨人たち:葛飾北斎  「月見る虎図

2010-04-25 17:32:34 | 美の番組紹介
美の巨人たち:葛飾北斎  「月見る虎図」


本日の葛飾北斎は違うぞ。
違うって、なにがかい。
天才北斎の賛美の番組ではないから。


実は、北斎といえば、「富嶽三十六景」に代表される浮世絵師。
ステレオタイプの現代人はここまでしか知らない。
その先の北斎をご紹介いただける番組でした。


まず、結論からご紹介。
北斎は、約90歳まで長生きをし、筆をとっていた。
命の続く限り生きたい。
もって絵が書きたい。


あの富嶽三十六景は北斎が75歳の時の作品であるという。
ではその後の北斎の描いた晩年の作品は?
意外と知られていなかった。
本日の作品「月見る虎図」は、実は北斎85歳の作品である。


北斎は、晩年の称号として、「○十○老卍」という雅号を記載した。
○に年齢が入る。


さて、この月見る虎図をよくよく見ていただきたいと番組では語る。
北斎の時代、恐らく、彼は虎を見たことがないはず。
書物や語りで得た知識で虎を描いた。
しかも、単なる虎ではない。
月を見上げる虎。
その表情はなんともいえない安らぎの顔。
獰猛さは微塵もない。


筆の見事さは、別の解説に委ねるとして、番組ではその精神性を
語る。
この虎ことが、北斎であるという。
北斎は妙見寺妙見菩薩を深く信仰していたという。
北極星と北斗七星を奉る宗教である。
北斎の「北」もここから来ている。


この「月見る虎図」は、月を見上げる北斎が、宇宙と交信し、
宇宙から見られている小さな自分を意識することで、
一生懸命生きることを意識している。
宇宙から生かされている自分を感じ、感謝している。
そこには、飄々と生きる姿がある。


こう締めくくると、哲人北斎を感じると思う。
しかし、実は北斎はもっと人間臭い側面があった。
興味のある方は、北斎の人生を紐解いてみるといいかもしれない。


なんだ、オレと同じじゃないかと思う人がいるはずです。
そう、多少絵画の才能がありましたが、
葛飾北斎は、実は私達と同じ人間的な魅力のある先達です。


物語絵 (北斎美術館)
永田 生慈,葛飾 北斎
集英社

このアイテムの詳細を見る


最新の画像もっと見る