川越芋太郎の世界(Bar”夢”)

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美の巨人たち:藤田喬平のガラス箱シリーズ

2009-07-09 21:56:22 | 美の番組紹介
「美の巨人たち:藤田喬平のガラス箱シリーズ」


まず、最初に画像を眺めてください。下記のアドレスから
:http://www.ichinobo.com/museum/kazaribako.html


藤田喬平は、ガラス工芸を現代アートへ導き、芸術にまで昇華させた。
世界を驚愕させたガラスをご覧いただきたい。


代表作として、
「菖蒲」・・・蓋には銀箔の装飾を施した花、側面には葉を描く。
「しだれ桜」・・・金とプラチナ箔を用いて色ガラスを散りばめた
さくらの花びら。
「紅白梅」・・・伝統図案のみやびと繊細を表現する。
まさに、ガラスという新しい素材で伝統に挑戦した。


残念ながら評価されたのは、はやり海外から。
コペンハーゲンで東洋の美・神秘の美として驚愕をもって絶賛された。
「何をいれる箱か」と問われて、「夢」を入れよと答えたという。
まさに、所有者の「夢」の大きさを測られる箱でもある。


藤田喬平の足取りをたどれば、一朝で完成したわけではない事が判る。
試行錯誤の連続である。
芸大の彫金部を卒業するも、日々、工芸ガラスの職人でしかなかった。

画家や彫刻家のレベルまでガラス工芸を高めたい。
その思いが独立を促し、明日の力となる。
現実は、生活の糧を得る為の作品作りに追われた。


そして、開花したのがコペンハーゲンでの展覧会であった。
一人の東洋人が持ち込んだ「美の箱」!


藤田は長年、琳派にあこがれていた。
ガラスをアートとして見せられる方法を琳派の中に見た。
実用品を感動による意匠で芸術に昇華させた琳派!
琳派をガラスの中に閉じ込めた。
いや、日本の伝統をガラスの中に閉じ込めのかも知れない。


現在、宮城県の松島の美術館でその作品を鑑賞することができる。


ここで忘れてはならないことは、ガラスアートの宿命である。
作家が直接手を下せない世界=製作工程がある。
職人の腕が作家の思いを形にする。
生かすも殺すも彼等の腕による。


藤田が行ったのは、製作現場に居ながら絶え間ない創造を行った事である。
ひらめきを職人の技を信じ、自分の美を託し、追求した。
そこから、独自の色と世界が開けた。


それは、日本やイタリアの職人との合作でもある。
そして、感動をガラスに吸い取った。
ここに、藤田喬平の琳派が花開いた。
それは、男の夢でもあった。


さて、貴方ならこの「夢の箱」に何を入れる?

番組を見られなかった方は下記からネットで眺めてみてください。

藤田喬平ガラス美術館
:http://www.ichinobo.com/museum/kazaribako.html


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