函館観光の名所は函館山を中心に、そこへつながる旧市街である。函館山から見る夜景は、東洋一ともいわれ、一度は見学しておきたい場所である。十字街を中心とする旧函館中心地は、レトロな雰囲気を感じることができる。定番といわれる、旧函館公会堂、旧北海道庁函館支庁舎は元町公園にあり、隣接するハリストス正教会、聖パウロ修道院、聖ヨハネ教会等の教会群がある。立待岬側へ少し足を延ばすと石川啄木の歌碑、市営墓地には啄木一族の墓がある。途中、函館八幡宮から旧幕府軍の墓である碧血碑を見るのもよい。
反対側には函館ドック側であるが、山腹に多くの社寺があり、外人墓地へと続く。舟見町には称名寺や高竜寺があり、水商売で亡くなった多くの無名墓もある。外人墓地には中国人をともらった墓もあり、この地にいかに多くの外国人が居住していたかを偲ぶことができる。
函館と本土とを結ぶのは青函トンネルがなかったころは連絡船しかなかったが、津軽海峡はしけも多く、洞爺丸が沈没し、多くの乗客がなくなったと聞く。全国でもそうであるが、連絡船があるところでは、海上気象により、宿泊を余儀なくされることであろう。旅館やホテルが立ち並び、天候が安定されるまでは足止めされる。そこで宿泊客をもてなす花柳界が形作られ、大門もその名残で、赤線があった。赤線が廃止された後も函館駅前の若松町から松風町にかけては通称大門通といわれている。棒二森屋(ぼうに)デパートがあり、メーンストレートである。
函館は市電を持っている。駅前から市電通りに交差する多くの通りがあり、柳小路、高砂通、京極通、祇園通りなどで、横丁には郷土料理をはじめとし、飲食店が軒を連ねている。お薦めは、北海道ならではの海産物を提供するすし屋や居酒屋である。駅前の朝市市場にも海産物が多く売られ、場内の食堂でもいくら丼や、カニ、ホタテ、北寄貝等を使った海鮮丼は旅の味覚の一つであろう。
函館市内には多くの自由市場があり、中島廉売といわれ、五稜郭までの道筋に何か所もある。市民の生活を豊かにしてくれるマーケットである。旧市街は既に機能を終えていて、土地の価格が高いため、若い人の居住地にはなりえない。いうなれば、都市も年を重ねると衰退する。若い人が去った町は、どこか活気がなくなり、多くの店舗はシャッターが閉まる。すでに函館は湯の川や日吉の方へ住宅地が移ってしまっている。