鳥!連続写真!掲載中!

近くの多摩川に飛来する野鳥の連続写真を中心に、日頃感じた出来事を気ままな随想でご紹介し、読者双方との情報を共有したい。

レジネス(2回シリーズその1)

2014年05月09日 00時00分01秒 | 提言

   準備する意味のレディ(Ready)の名詞形、Readiness である。用意、準備が出来ていること、~が整っていること、喜んで(進んで)すること、快諾の意味である。教育現場や教育心理学では、よく使われる言葉で、学習が成り立つための必要な条件で、学習者が教える内容を理解し、習得するには、心身共にその段階にないと消化不良を起こすし、次の段階へスムーズに進むことが出来なくなる。つまり、学習者の素地が出来上がっていること、教育活動で学ぶ準備状態、レジネスがあるという意味で使われる。レジネスがない段階では教育は無理であるということである。レジネスは米国の心理学者ソーンダイク氏が唱えた説である。

  いきなり難しい言葉や内容を提示しても、誰しも理解できるわけでは無く、話しについて行けないとか、その話しは興味がないなどと拒否されてしまう。学校教育を終え、新人が入社して、丁度3ヶ月を迎える頃に、仕事に興味を失い、辞めてしまう者がいることは残念でならない。

  新入社員がベテランについて学習出来る場が形成されると、新入社員の習得状況に応じて教育できるが、就職した先では、全ての企業で教育する環境が整っているとはいえない。むしろ、最近の傾向は、新人教育を行わない、または、教育する側の指導者の不足が揚げられる。教育はあっても新人教育の期間が短期間となり、いきなり現場に投入され、それこそレジネスがない新入社員にとっては、モチベーションを低下させ、仕事への興味すら失わせてしまうことになる。

  常々思うことであるが、大学を卒業し、入社試験もクリアしたが、企業のことは何も知らないし、外から判ることは企業が公表した一部の資料等で全体を理解することは難しい。

  むしろ企業に入って初めて判ることの方が多い。例えば、企業文化、意志決定の方法、上司との関係、同僚との関係、企業組合、対外関係等。就職を希望する側も、賃金や労働条件、名声などを重視し、就業の具体性をイメージできていない。(次回へ続きます)


TWI(監督者訓練)2回シリーズその2

2014年05月08日 00時00分01秒 | 紹介

 更に、問題解決の前提である問題の性格を二分して分類整理する方法がある。

第一は原因指向型の問題解決プロセス

 1.原因を明確にする。

 2.原因を探求する。

 3.原因に立脚して、対策を立てる。

 4.対策を実施する。

 5.成果を検討する。

 これで成果が得られなければ最初に戻り目的と実績との差異を問題として取り上げ、ステップを繰り返す。

第二は目標指向型の問題解決プロセスである。

1.目標の設定

  現状の明確化

 2.前提条件と制限条件の明確化

  障害条件の解決と排除

  促進要因の解決と利用

 3.前二項に関する対策の選択、決定

 4.対策の実施

 5.成果の検討・評価

  TWI方式は公共職業能力開発の現場で定着していて、企業ではここから派生した独自の訓練方式が散見される。指導員がTWI方式で学んでいたために、能力開発を受講する受講生もこの方式で学んできている。複雑に絡んでいる問題の多くは、その糸口を探ることから始めるが、問題が気づかずに放置されると異なる様相を示すことがあり、順調に進んでいると見えても内在する問題を見失うことなく、問題は発生すると考えていた方がよい。また、早期の問題解決がその後の事業等の展開に優位となるであろう。(このシリーズ最終回です)


TWI(監督者訓練)2回シリーズその1

2014年05月07日 00時00分01秒 | 紹介

 監督者のことを英語ではスーパーバイザーといい、訓練はトレーニングである。監督者訓練はスーパーバイザートレーニングである。現在我が国のベースとなっているのは戦後、米国から我が国に導入されたTWI方式による訓練方式である。TWIとは(Training with Industry)の頭文字をとっていて、工場・事業所現場等における職長、組長、役職等の第一線監督者に対し、その監督能力を発揮させるため、特別に研究計画された定型化された訓練の内容と方式の略称である。

 戦後、GHQからの紹介によって、昭和24年労働省の前身である内務省が決定し、翌25年から各都道府県に監督者訓練指導員を置くことにした。TWIは、導入以来めざましい発展を遂げた。監督者となるべき指導方法は、6分野に及び、管理監督者コースを担当する職業訓練指導員は特別な訓練を受けた者であることになっている。仕事の教え方(JI)10時間、改善の仕方(JR)10時間、人の扱い方(JM)10時間、安全作業のやり方12時間、についてはTWI方式で行い、訓練計画の進め方40時間、については、PDI(訓練計画の進め方訓練)方式で、問題解決の仕方40時間についてはPST(問題解決の仕方訓練)方式で教えることになっている。

  PSTはTWIのやり方を適用したフォローアップコースとして作られたもので、JI・JR・JMのコースを全て修了した者を対象としている。問題解決は日常生活の中でも遭遇することであるが、PST方式のステップを踏めば、大方、解決の糸口を見つけることが出来る。今回は問題解決について取り上げる。

第1段階 問題を決める。(問題と証拠、原因と結果)

第2段階 解決の準備をする。(物の問題は分析し、細目ごとに自問する。人の問題は事実を掴む)

第3段階 解決する。

第4段階 結果を検討する。

(次回へ続きます)


光触媒(3回シリーズその3)

2014年05月06日 00時00分01秒 | 紹介

 ウキペディアでの記述では、天然には金紅石、鋭錘石、板チタン石の主成分として産出する、無色固体で、光電効果を持つ金属酸化物。と紹介されている。ということは白色ではないようで、製造の過程で外観が白色となっているだけで、本来は無色であるから透明なのであろうか、疑問が残る。ダイヤモンドは無色透明であり、炭素の結晶体である。炭素は墨であるから黒色の外観を持つ。ガラスは透明でも粉砕すると白色に見えるので同じ現象なのであろうか。

  ウキペディアでは用途として、顔料・着色剤の他、光触媒の記述もある。更に化学的性質として、アナターゼ形のバンドギャップは3.2eV であり、387nm (ナノメートル・ミリミクロン)より短波長の光を吸収すると価電子帯(二酸化チタン表面)の電子が伝導帯(表面から離れた界面)に励起され、自由電子と正孔を生成する。通常は直ちに再結合し、熱に変わる。と記述されている。

 ここに記述されたことは理解できるであろうか、バンドギャップは電位差のことで、発電量である。チタン粒子が並んだ表面で、空気と接触する界面で起こる現象をいっているが、光のエネルギーは波長によって決まり、エネルギー量をeV、電子ボルトで表す。これはプランクの定数に光の速度を掛け合わせ波長で除した値であり、1240/波長(nm)である。通常波長が400nm以下は紫外線領域なので、光触媒は紫外線領域で発生する。

  因みに可視光線の光エネルギーは1.6~3.1eVである。では、紫外線によって二酸化チタンが励起しエネルギーとして3.2eVとなるところまでは納得したが、二酸化チタンの電子が光エネルギーを吸収し、殆どは熱に変わる。そのごく一部が化学反応して、酸化作用を起こすようである。これが二酸化チタンの光触媒といわれる現象である。果たしてどれ程の酸化力があり、産業化できるのかの吟味は別稿に譲りたい。(このシリーズ最終回です)


光触媒(3回シリーズその2)

2014年05月05日 00時00分01秒 | 紹介

 二酸化チタンはルチル形、アナタース形の何れも化学的には安定で、無毒であり、耐熱性、耐酸性、耐アルカリ性に優れている。比重はルチル形4.2、アナタース形3.9で屈折率が高く、隠蔽力も白色顔料中最大で、亜鉛華の2~3倍である。顔料の隠蔽力は、顔料粒子の大きさが等しいときには、その屈折率に比例する。酸化チタンが白色顔料中最も高い屈折率を有することは、隠蔽力が大であることを示す。チタニューム元素は両性元素であり、従って、酸化チタンは中性顔料である。展色剤(ビヒクル)と反応して塗料のちょう度(コンシステンシー)に変化を与えることが少ない。商品化する塗料は硫酸バリウムを混合してある。

  塗料用物性については以上であるが、光触媒としての二酸化チタンは様相を異にしているように思える。光触媒の解説書を見ると、塗膜としての二酸化チタンが、光触媒として酸化力が強く、バインダーである展色剤を酸化させて、ぼろぼろにする。確かに、チョーキングといって屋外で長期間日光に曝された塗膜は指でこすれば粉が落ちるようになる。このことは40年前から判っていたそうであるが、その原因が二酸化チタンの酸化力であり、活性酸素を作ることまでは知らなかった。自分の経験からすると、チョーキングを起こす原因は他にもあるようで、バインダーとなる樹脂は有機物である高分子化合物であり、経時変化として空気中の酸素を吸収して劣化するので、チョーキングへの寄与の仕方は二酸化チタンの酸化作用だけに特化することは出来ないと思っている。塗料業界では、逆に耐候性の良い二酸化チタン顔料の開発の方へ品質改良されていったようである。(次回へ続きます)


光触媒(3回シリーズその1)

2014年05月04日 00時00分01秒 | 紹介

  先日の川崎市民アカデェミー2回目で講座のテーマであったチタンアパタイトの誕生秘話と技術移転で登場した光触媒チタンアパタイトについて、その後、気になっていたので、頭の整理のためにと思い、話題として取り上げてみた。結論めいたところまではご呈示できないが、今後の研究開発で、光触媒の利用範囲が広まり、環境問題の解決に一石を投じられることを願っている。

  触媒は化学実験で使った方も多くいると思うが、水の電気分解の時に使う二酸化マンガンがあるが、水槽に正と負の電極を入れ、加電すると酸素と水素が発生する。この二酸化マンガンは触媒といわれるものである。つまり、触媒とは、自分は少しも化学的変化を蒙らず、単に化学反応の促進に影響を及ぼす物質のことである。光触媒とは身近なところでは植物の光合成がある。緑色の植物に含まれる葉緑素(クロロフィル;マグネシウムの錯体)に太陽光がある環境で、二酸化炭素(炭酸ガス)と水から炭水化物と酸素を光合成で作っている。

 この葉緑素の働きのお陰で生物は食物を食し、酸素を吸うことで生きていける。大変重要な働きをしているわけである。この葉緑素は将に光触媒で、光合成が出来る人工的な触媒は未だ人類は作り得ていない。現在有機色素ではない光触媒は二酸化チタン(TiO2)だけである。

  二酸化チタンはチタン白ともいい、塗料用白色顔料として最も広く用いられている。大別してルチル形とアナタース形に分けられる。ルチル形は耐候性、耐白亜化性が優れているので、屋外用塗料に、アアナタース形は色が白く、顔料分散が優れているので、室内用や、下塗り用に使用されてきたが、現在ではルチル形が改良されて色が比較的白く、顔料分散性も良くなったので、屋内外用、上塗りした塗りに関係なく塗料用として使用量が圧倒的に多い。(次回へ続きます)


技術流出問題

2014年05月03日 00時00分01秒 | 紹介

  グローバル社会の到来で、技術の流出問題は、国内だけの問題ではではなく、国という境界を越えて、全世界的な問題となっているが、国際競争力低下や企業のリスク管理の重要性が改めて浮上してきている。この問題の根底には、嘗ての我が国がそうであったように、技術格差を無くし、競争社会で優位性を保つためには、競争相手の持つ製品の技術的内容を分析し、物、人、金の全てについて改善し、よりよいものを産んでいくというベクトルを経験してきた。幸い、世界のトップの地位を獲得できた技術分野も多い。原則、新技術等は特許が付いているため、同じ物を作るわけにはいかず、国同士の熾烈な激レースが展開する。

  国や会社組織に対抗できる能力があれば、自らの力で、挑戦も可能であるが、高度な専門性は、短期間に達成できるものではなく、そう簡単ではないことも確かで、様々な選択肢を使い、企業買収、産業スパイ、専門家の引き抜き、コピー商品等の法規制ギリギリか、法規制を越えての活動が生まれることになる。

  技術流出に関して、企業においてのリスク管理としては、従業員との秘密保持契約や、退職後の競業避止契約等を行って歯止めをかけてはいるが、引き抜きなどには有効な手段とはなっていない。特に技術情報は、その気になれば遠隔操作や電子媒体を使えば、簡単に持ち出すことが可能である。企業側が極端に管理を強めれば、その反動としての信頼関係を悪化させ、企業に対する忠誠心(ロイヤリティ)を低下させてしまう。青色発光ダイオードの発見でも問題になったところであるが、研究成果の評価についても重要で、適切な評価と報償等は考慮しておかなければならない。

  通商産業省で平成18年12月に発表された技術流出問題に関する実態調査があるが、製造業関係企業625社へアンケートを送付して纏めた報告書である。インターネットで検索することも可能である。詳しくは報告書で確認して欲しい。

  技術流出問題は、先端技術を獲得すればするほど、キャッチアップする対抗者が現れる。技術の進歩には必ずついて回る宿命のようなもので、公的な世界の技術支援などでも技術流出が公然と行われ、相手国からの特定分野の支援と称し、専門家の名指しの招聘などグレーゾーンが存在することも確かである。深く入れば入るほど悩ましい話であるが、止まることがない技術流出問題を今後も注視していきたい。


アカデェミー出席二回目(2回シリーズその2)

2014年05月02日 00時00分01秒 | 日記

 自分の大学在学当時の卒業研究は、電着塗装の多層塗布可能性の研究であった。電着塗装の原理は、水溶性塗料の溶液中で、被塗物を陽極、塗料タンクを陰極として、直流電圧をかけることによって、塗料を電気的に塗着させる方法である。一種の電気メッキと同様考えても良い。乗用車の塗装の下塗りに利用されている。しかし、ある程度の塗膜厚を必要とするためには二回塗り・三回塗りが必要となるが、乾燥塗膜が絶縁性持つことで不可能であった。そこで、多層塗りの塗料を開発する基礎研究に従事し、酸化チタンを使った電気泳動による流動電位を測定する研究を東大生産研究所の実験室をお借りして行っていたことがある。

  酸化チタンは安定性が良いため、利用したのであるが、当時光触媒として現在のような脚光を浴びていたのではなく、むしろ、チョーキングといって、白色塗膜が劣化し易いという欠点ばかりが強調されていた。  その原因が酸化チタンの光触媒としての機能が原因していたとは考えも及ばなかった。現在は光触媒として環境汚染物質を吸着させ、分解するという光化学の最先端の材料として、用いられていて、大変興味深い講義であった。

  チタンアパタイトを塗料製品化し、抗菌塗料「SNP-α」として世に出した末吉ネームプレート製作所社長沼上氏の講義は製品化にあたっての苦労話であったが、開発時から販路に載せ、ATMなど銀行でタッチパネルのカバー等の特許取得まで多くの挫折があり、それを克服した成功談には感銘を受けた。チタンアパタイトがバインダーと一緒になった塗膜はチタンアパタイトが表面に配置されないと防汚や除菌効果が薄れるため、顔料安定化に苦労があり、また、顔料自体は不透明であるため、透明膜にするための改善があったと考えられるが、透明性が悪いために逆に他者から見えにくく、スキミング防止にも役に立っているとの波及効果があったそうである。

  質問の時間が取られ、先に講義した富士通の若村氏との話に食い違いがあるとした光触媒の効果についてであるが、光触媒のチタンが機能するのは紫外線下であり、製品化したフィルムの使用が紫外線下ではなければ光触媒を使って効果が出るというのに矛盾があるとの質問であった。講師の返答によると、抗菌塗料には銀イオン、銅イオンなども含まれていて、チタンアパタイト単独ではないとのことであった。ちょっと苦しい返答であったが、本論とは離れるため質問者もこれ以上のやりとりはなかった。(このシリーズ最終回です)