(【艶色美女ちぎり 八犬女宝珠乱れ咲き】鳴海丈 著)
予想通り、同著者の【乱華八犬伝】と同じ内容でした。
ただ、表紙が毎回異なる美麗イラストなのでそれだけでも価値ありです。
この本につきましては、以前にも同内容の本について書いているのでそちらを。
→ エロティック ~【乱華八犬伝】 天の巻・地の巻~
著者の鳴海丈氏。
どこか頭に引っかかる名前だと思っていたら、【妖刀伝】の原案・脚本を買いてらした方でした。
当時は中学生のいわゆる中二病真っ只中。
OVAだった上、当時はビデオレンタルも高料金の時代。
それでも【妖刀伝】は3部作完結までリアルタイムで借りて観てました。
物語は魑魅魍魎が蘇った戦国時代。「妖刀」の持ち主となった三人の青年のお話。
人間を襲う魑魅魍魎に対抗できるのは三つ振りの「妖刀」のみ。
物語的には、【赤い光弾ジリオン】の日本舞台のシリアス伝記ものみたいな。
正体不明の敵に対抗できるのは、同じく正体不明の三つの銃のみという設定とか。
違うのは、主人公が陽気な男の子で、タツノコプロの【ウラシマン】の流れにあったこと。
主人公は村を滅ぼされてひとり生き残り男装美少女となった綾之介(綾女)。
衣装は第一部の方が忍びっぽくて好きかも。
二部からの中国服っぽいのは割りと胸が出ていて、何故周りは「女」と気づかなかったんだろうと
疑問符。今思えば、逆に「男」と言い張る綾之介を周囲はそれとなく見守っていたのかも。
”男装美少女”というのは不思議な魅力を持った存在で。
当時は、なんというか「BL」という言葉が無い時代。「百合モノ」なんて存在自体が珍しく。
女性が読む男同士のそれっぽいのは「JUNE」でひと括り。雑誌も本屋の隅っこにこそっと置いて
あって隠れキリシタンのようにこっそり買うもので。
なので、”少女のような美少年”の方がまだ市民権持ってそうな感じで。
そんな時代だったので、”男装美少女”っていうのは強烈な印象でした。
時期が少しかぶっていたNHKの【アニメ三銃士】のアラミスも、同じようにワケありの”男装美少女”。
でも、アラミスの場合は設定資料知らずに、初期の入浴シーンも無かったら最後まで男で通せそうな。
(事実、パイロット版は男設定なので逆に”実は女”と言われた本編が違和感でしたし)
今だったら、両名共に”女のような美少年”でも普通に物語が進むだろうし、仮に男同士の恋愛と
なっても驚く人はそんなにいないような気が。
話戻して、当時はお小遣い貯めて、OVA全部観て、アニメージュ?でも漫画連載も楽しみにして
いたらキャラと妖刀の名前だけ同じで、別物のお話になっていて。
がっかりしたまま離れてしまった思い出があるのです。
いきなり、”女であることを捨てます”って髪ばっさり。それも綾之介にとっては最重要キャラの
左近の前で。
綾之介はあのいい意味での忍びらしいポニーテール+忍者+妖刀=ワケありの男装美少女で
信じられるのは自分だけ、というストイックさが魅力だったのにそれも無くなってて。
あの髪ばっさりが、綾之介というキャラの魅力を半分以上削ぎとってしまった感じで。
その頃人気のあった美少女キャラ・レイナみたいな「か弱そうだけど戦う美少女」な人物になって
しまったのは当時の流行みたいなものだったのかな、と今なら思えるのですが。
芋づる式に思い出すと、確か漫画連載の前にも「設定は多少変わる」とどこかに記載されていて。
確か、物語の始まりは「青年の左近が、戦場で幼女の綾女&妖刀を拾うところから」とあって、
それはそれで楽しみにしていたのに、いざ始まったら全然違っていたので熱が冷めたのかも。
アニメ【妖刀伝】はとても救いの無い終わり方でもやもや感が残りまくりだったけど。
でも「綾之介」というキャラが残したあの強烈な印象は、
オスカル様 → 綾之介、アラミス →戦う変身美少女たち
に繋がっているんじゃないか、と思うのです。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます