サッカー狂映画監督 中村和彦のブログ

電動車椅子サッカーのドキュメンタリー映画「蹴る」が6年半の撮影期間を経て完成。現在、全国で公開中。

電動車椅子の入場制限~乗換の大変さ

2013年04月23日 | 電動車椅子サッカー

広島で19日から開催中の全国菓子大博覧会への電動車椅子の入場が当初拒否され、その後、条件付きで認められたらしい。

経緯がよくわかなかったので、毎日新聞大阪版、博覧会のHPなどを参照して自分なりに整理してみた。
 
博覧会開催前に、自らの授産施設がブースを出展している電動車椅子のスタッフが会場を下見。実行委から「電動車椅子は暴走すると危ない」という理由で入場できないと注意される。授産施設側が抗議、電動車椅子のスタッフの入場は許可されることになったものの一般の電動車椅子使用者にはさまざま条件がついた。例えば平日限定、予約のうえ手動の車椅子に乗り換える。
授産施設側は「電動車椅子は1人で動くためのもの。普通の車椅子では押す人がおらず動けない」などと抗議、その他からもかなりの抗議が寄せられたようで最終的には、介護スタッフも常駐させ、全日受け入れOKになったようだ。

全国菓子大博覧会のサイトhttp://www.kashihaku2013.jp/によると、会場が混雑した場合や車いすの機種によっては、危機管理上の観点から電動車いすから手動の車いすに乗り換えてもらう場合があるそうだ。乗換が困難は人の場合は、事前予約をすれば使用している電動車いすの仕様に応じたサービスも行うそうだ。

 一応全てのケースに実行委員会が対応した形に落ち着いたようだ。

 しかし疑問点も残る。

 そもそも電動車椅子は危ないのか?
暴走すると危ないというのは全く理解できない。車だって暴走すれば危ない。でも普通暴走なんかしないし。
このところ電動車椅子と同じ空間にいることが多いが、危ないと思ったことは一度もない。基本的に電動車椅子サッカーをやっている人たちなので操作が他の人よりうまいということもあるかもしれないが。
危ないのはむしろ健常者側の不注意だ。電動車椅子は健常者よりかなり目線が低いので、そこにいることに気がつかない場合がある。例えば子供がいることに気が付かないで子供にぶつかりそうになることがあるが、その状況と似ている。つまり危ないのは電動車椅子ではなく健常者の方だ。で子供の場合は子供が怪我をするわけですが、電動車椅子の場合は電動車椅子が頑丈なものだから健常者側が怪我をする確率が高くなる。しかし手動の車椅子に乗り換えるということは健常者が怪我をする確率は低くなるが車椅子に乗っている側が怪我をする確率は高まる。


では何故乗り換えなくてはならないのか?
すいている時は乗り換えなくてもいいようだから、混雑した時の状況を考えてみる。
電動車椅子の走行自体は問題ないとしても、混雑すると視界が完全に遮られてしまう可能性は高く、何らかの手助けは確かに必要であろう。

実行委員会側は以下の形を選択した。
手動の車椅子に乗り換えて実行委員会が用意した介助スタッフに車椅子を押してもらう。サイトによると介助スタッフは有資格者ではなくボランティアスタッフのようだ。たまたま資格を持っている人もいるかもしれないが車椅子を押すことに慣れていない方である場合も考えられる。それで良いのかという問題もある。
他の選択肢としては、電動車椅子を手動に切り替え手動で押す。ただ慣れていないと手動の車椅子よりは取扱いが大変だという可能性もある。あるいは電動車椅子で動き、ガイド役を付ける。
その状況に合わせて選択出来るということが良いのかもしれない。

 
実行委員会側は新たに乗換を介助する介護福祉士等を常駐させるようにしたようだ。一連の経緯を見ていると乗換がそんなに大変なことだとは、実行委員会側は思っていなかったような印象を受ける。私自身もちょっと前まではそうだった。
乗り換えも大変だが、その後も大変だ。電動車椅子はその人に合わせて製作されている場合も多く、仮に乗り換えられたとしても快適に座ることが出来ない。というか自分の車椅子にしか座れない人も多いのだ。おそらくそのような抗議もあり、乗換困難な人は乗り換えをしない形の対応になったようだ。
 

電動車椅子の人もどうしても乗り換えなくてはならないような局面がある。例えば、飛行機に乗る時などである。以前電動車椅子サッカー日本代選手団の成田空港出発の模様を撮影した。
手動の車椅子に乗り換えねばならないのは仕方がないが、リクライニングシートの手動の車椅子の数が不足していて一部の選手たちはとてもつらい思いをすることになった。

成田空港は日本の空の玄関口、是非とも早急に導入してほしい。
もうすでに導入されていたとすれば嬉しいことですが。


あくまで毎日新聞大阪版、博覧会のHPなどを参照して書き込んだものであり、事実関係とは異なる点があるかもしれません。
また私自身も電動車椅子のことに関して無知な部分もまだまだ多く、不備な点などありましたらご指摘ください。


(追記)
「人ごみの中で、不意にすれ違った人の荷物がジョイスティックに当たりそうになりヒヤッとした経験がある」という書き込みがフェイスブックにありました。同行者の方の書き込みです。周りの方もしくは荷物などが触れて急加速し、けが人が出ることいことは可能性としてはあり得るわけですね。
電動車椅子は手動の車椅子に比べて重量も重く、ごついですから。
「そういったこともあり得るので乗換えてください」「乗換が困難な方には別途対応します」というふうに説明されれば、納得できるしわかりやすいですね。