またまた佐村河内氏の一件です。
佐村河内氏の謝罪文が公表されました。
全文を読みましたが「実は最近になって、前よりは、少し耳が聞こえるようになっています。三年前くらいから、耳元で、はっきり、ゆっくりしゃべってもらうと、こもってゆがむ感じはありますが言葉が聞き取れる時もあるまでに回復していました。」のくだりは、いくらなんでもこれはあり得ないだろうと即座に思いました。
そのあたりのことは耳鼻科医の見解なども出されたり、また障害者手帳についても今後調査が始まるようで真実が徐々に明らかになっていくでしょう。
佐村河内氏が「実は聞こええている」というエピソードや映像などもいろんな媒体で紹介されていましたが、なかには「聞こえている理由にはなっていないのでは?」というものがありました。
要するに「聞こえない、聞こえにくいということが全く理解されないまま報道されているのではないか」ということなんですが。
例えば、佐村河内氏と関係者の打ち合わせ中、事故があり、その衝撃音に佐村河内氏が反応し驚がくの表情を見せたというエピソードがあります。
両耳全聾(つまり両耳が100デシベル以上)の聴覚障害者が補聴器装用していた場合、そういった衝撃音がとてもうるさく不快な音として耳に入ってくることは、特に珍しいことでもないと思います。そのうるささがいやで、補聴器を外す人も多いようです。仮に補聴器を外していたとしても、何も聞こえていない状況のなかで衝撃音だけが聞こえてくることになります。仮に100デシベルの人が補聴器を外し(裸耳状態)、120dBの衝撃音がすれば、当然音が耳に飛び込んできます。しかもその音以外はほとんど聞こえないわけですから、とても驚くということは、充分あり得ることです。
以前、ろう者サッカーの合宿に参加した祭、「足音がうるさい」という選手の声(手話)が印象に残っています。「耳が聞こえないのにうるさいってなんだよ!」と思ったのですが、無音に近い状態のなかで足音の低音だけがドスドス響き、うるさく感じたそうです。
ちなみに聴者である私の耳には、足音はもちろん、歩きながら話す声なども同時に聞こえてきます。
言葉としては耳に入ってこなくても、音として、不快な音だけが耳に入ってくることは、聴覚障害者にとってはよくあることです。
このあたりのことを理解することなしに報道されていることが本当に多いように感じます。
また同じデシベルでも、高低、高い音が聞こえにくいが、低い音は比較的聞き取れるなどもあります。
人の聞こえは千差万別です。
そこに補聴器が加わるとさらに千差万別です。
その他、インターホンにいち早く佐村河内氏が気付いたというエピソードがあるようです。
聞こえていたのだとは思いますが、インターホンの音を、聞こえる音量、周波数に設定していたという可能性もあります。
具体的にそういったインターホンがあるかどうかはわかりません。
通常聴覚障害者は、インターホンが押されるとランプが光り回転する装置を使っている例が多いです。
稲垣吾郎氏が話しかけ、反応したという映像も見ましたが、これはさすがに聞こえていたのだと思います
個人的には佐村河内氏は、ある程度の難聴があり、少なくとも過去には耳鳴りに苦しんだ経験があるのではないかと思っています。
本当に、聞こえる、聞こえにくい、聞こえないというものは、千差万別です。