久しぶりになでしこリーグを観に行った。
浦和レッズレディースとASエルフェン埼玉の一戦。
昨年からASエルフェン埼玉の試合、伊藤香菜子選手のプレーを観たいと思っていて、埼玉の駒場スタジアムに行ってきた。
開幕のINAC戦でスーパーゴールを2点決めた、今の猶本光選手を見ておきたいという気持ちもあった。
浦和レッズレディースの先発はGK池田咲紀子、DF右から堂園彩乃、乗松瑠華、高畑志帆、臼井理恵。ボランチには藤田のぞみ、猶本光、2列目は右に栗島朱里、左に加藤千佳、トップ下に柴田華絵、1トップに大滝麻未の4・2・3・1。
エルフェン埼玉も、GK山郷のぞみ、DF右から薊理恵、武田ありさ、斉藤夏美、奈良美沙季、ボランチに萩原愛海、中野里乃、2列目右に鈴木薫子、左に斎藤有里、トップ下に伊藤香菜子、1トップ荒川恵理子の4・2・3・1。
立ち上がりは一進一退の攻防が続いていたが徐々にレッズレディースペースへ。
16分、レッズレディースは大滝が右サイドでキープ、栗原の上りを待ってパスを出す、栗原がグラウンダーで折り返し、柴田がスルー、フリーの加藤が落ち着いてゴールに流し込みレッズレディースが先制。4人が連動した美しいゴールだった。
レッズレディースは、ボランチの藤田、猶本が前線の選手たちとエルフェンの選手を挟み込みボールを奪うと、中央から、サイドからエルフェンゴールに迫る。左サイドの臼井は再々駆け上がりクロスを入れ、猶本も積極的に前線に絡む。レッズレディースは中盤の選手たちの距離感がいい。
エルフェンはバイタルエリアのケアのためかサイドをえぐられたからか、萩原が右SBに、右SBの薊がアンカーの位置に入り、4・1・4・1のような布陣になる。
しかし35分には柴田のスルーパスに大滝が抜け出して2点目。
エルフェンも伊藤がシュートを放つがレッズレディースゴールを脅かすまでにはいたらない。
2対0とレッズレディースがリードし前半を折り返した。
後半、エルフェンはサイドの選手が高いポジションをとり3トップのような布陣に、点を狙いにいく。
しかし後半5分、レッズレディースは右サイドからのアーリークロスを受けた大滝がゴールを決め3ー0と突き放す。
後半31分には猶本がボール奪取しスルーパス、交代出場の清家がゴールを決め4-0。
アディショナルタイムには、こぼれ球を蹴り込んだ交代出場の岸川のゴールで5ー0。
結果的には大量得点差がついた試合となった。
エルフェンもなんとか得点を奪おうとレッズレディース陣内に攻め込むがなかなかシュートまでいけなかった。
レッズレディースは多くの選手が得点にからみ、今後もさらに期待がもてそう。
ボランチの藤田選手の気の利いたポジショニングも素晴らしかったし、大滝選手も1トップの仕事を全う、柴田選手との縦の関係もよかった。連動した守備、攻撃、攻守の切り替えの速さなど、観ていてとても面白いサッカーだった。
また猶本選手のフィジカル能力の進化は素晴らしかった。猶本選手を生で観るのは、一昨年のU20の世界大会以来。なす術もなく敗れたドイツ戦とはまるで別人のようだった。体幹なども相当鍛えたのだろう。遠目から見ても下半身の安定度があり、荒川選手にもまったく当たり負けすることなしにボールを奪い取っていたし、縦への推進力もあった。
ASエルフェン埼玉は、伊藤香菜子選手が孤軍奮闘している印象もあった。
ボランチのポジションまで下がり、パスを散らして上がっていきスルーパスを出し、時にはシュートを放つ。
後方でゲームを組み立てる、あるいは前線でゴールに絡む、そのどちらかに専念できればよかったのかもしれないが、伊藤選手とうまく絡める選手がいないというか、伊藤選手に頼らざるをえない印象もあった。
チャレンジリーグから昇格してきたばかりのASエルフェン埼玉は、首位を走る浦和レッズレディースには力の差を見せつけられる試合となったが、つなごうという姿勢、そして攻撃の意志は感じ取られ、今後がこちらも楽しみ。
目の前でやられてしまった薊選手は試合終了後、涙を見せていたがこれを糧に是非成長してほしい。
試合終了後、場内インタビューを受ける選手以外はドレッシングルームに引き上げるなか、1人居残り、勝者インタビューをしっかりと見据える伊藤香菜子選手の眼差しがとても印象的だった。