再び原点回帰なり!

未熟なビジネスマンの心のつぶやき

FESCO十年の歩みを振返って(8)

2007-07-15 06:55:39 | 連載・FESCO十年

アウトソーシング戦略はどのように機能したか?                             

FESCO創業時の第三の基本戦略は、「アウトソーシング戦略」であった。

私はFESCOという実際の事業会社の設立を通して、「究極のアウトソーシング」を追求したいと考えた。

1997年当時のわが国産業界には、バブル経済の崩壊体験をなんとか潜り抜ける中で長年の「自前主義」からの脱却が試みられ、相当程度アウトソーシングという経営手法が浸透してきたところでもあった。

とはいうものの、現在から振返れば、特に雇用形態などの多様性については、まだまだ萌芽期であった。

FESCOのアウトソーシングには、「内的」と「外的」の二つの側面からアプローチした。

「内的アウトソーシング」とは、まさに人事戦略において、できるだけ自由な雇用形態を許容するというもの。バーチャル組織に相応しい人材のネットワークづくりに注力した。

ESCO事業は「知恵のビジネス」であるというのが、私の信念であり、そのためにも知恵を持った人材をいかに確保できるかが、直截的に事業の成否を決める。

では省エネの深い知恵を持った人はどういう人達か?やはり、ほんものの知恵は、現場でのエネルギー管理との悪戦苦闘を通じてしか得られるものではない。書籍や論文から得た理論だけでは、実際の現場では役に立たない。

また、技術者の特徴として、それぞれの得意技術分野が限定されていることが通常であり、すべての技術に長けたスーパーエンジニアはほとんど居ない。

したがって、ある技術領域のプロとの付き合い方は、個別プロジェクト毎に異なることにならざるを得ない。企業経営的な命題として、こうした技術者の活用とビジネスとして利益を確保することとは、ある種の二律背反的な課題であり経費効率化との闘いになる。

そこで考案したのが、PPNという制度である。PPNとは、Performance Partner Networkの略。つまり、個人と会社が対等の契約によって、個人の能力を必要な時に合意した条件で活用できるようにすること。

FESCOの社員として雇用という形を採るのではなく、FESCOの人材ネットワークに入ってもらう。例えば、一度企業を引退したシニア層などは、真っ先にPPNの対象になる。また、別の企業に雇用されていても、プロジェクトベースでFESCOのために活動できるように、その企業と交渉する。

団塊の世代の引退が始まった今日こそ、PPN制度の本格的活用の時期が来たのかもしれない。

創業後10年が経過して、さまざまな技術者とのネットワークができた。これはFESCOの大きな財産である。問題は、PPN制度の運用であり、人と人との結び付きは、単なる契約で縛れるものではなく、最後は個人と個人の心意気である。

私自身としては、会社の拡大と共に、そうした木目の細かい個別技術者とのお付き合いが疎かになってきたと反省している。

省エネ機運が高まってきた今日にこそ、過去の反省を踏まえつつ、再度、新PPN制度を立ち上げたいものだと考えている。

「外的アウトソーシング」については、次回に詳述する。