埼玉県深谷市にある
吉祥寺の住職のブログ
イチョウの下のよもやま話
一生の計は毎日にあり (その2)
ある年の正月、
徳川三代将軍家光の下へ 朝鮮から虎が献上されました。
家光は 剣術指南役・柳生宗矩(やぎゅう むねのり)に
「そちは その檻の中に入れるか。」
と言いました。
言われた宗矩は 入らざるを得ません。
意を決して刀を構え、ジリッ ジリッ と 虎に近づきます。
虎は 今にも襲いかからんばかりに
目を怒らせ うなり声を上げます。
長い睨み合いが続きましたが、
やがて虎は 目を伏せました。
人々は 喝采します。
すいると、それを見ていた隠元禅師が、
「拙僧も」
と 人々が
止める間もなく 檻の中へ入って行きました。
いくら高僧でも 虎を説法する事は無理な話と
虎に引き裂かれる隠元禅師を想像した人々は 目を覆いました。
ところが、すたすたと虎のそばに寄って行った隠元禅師は
にこにこと笑いながら その頭をなでてやり、
虎も気持ちよさそうに目を細めていたということです。
柳生宗矩は 虎を猛獣と見、
隠元禅師は
衆生(生きとし生けるもののひとつ、人間の仲間)と見たのです。
続きは次回に!
今日はここまで!
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