北のとうさんの鉄道旅・アマチュア無線JA8HBO

札幌に住むおやじが北海道を中心に鉄道旅の話題や無線の話題も織り交ぜてぼやきます。アマチュア無線のコールサインJA8HBO

需要が限られた新幹線の開通を憂う(改題)

2016年03月12日 | JR北海道 JR北
「やはり限られた需要しかなかったのか」
この3月26日には北海道の鉄道に大きな衝撃が走る。
ひとつは、北海道新幹線が北海道の「観光の入口」の函館まで開通。
かつて青函連絡船が北海道と「内地」の主たる交通手段(私が大学生の頃)だった時代は、まさに「玄関口」だったが主たる交通手段が航空機に変わり、玄関口の座は千歳空港に奪われた。
今回の新幹線開業でも、それが変わることはないだろうが、道南地域の経済界、特に観光業界にとっては期待が大きいことだろう。
 しかし、それに水を差すように新幹線の座席予約は、開通一番列車は即完売したものの、開業日の3月26日から9日間の提供座席数約20万席に対し、予約数が現在までに25%に当たる約5万席分にとどまっているとの報道があった。
25%という数字だけを見ると、やはり少なく感じる。JRはビジネス需要の少ない新青森―新函館北斗の想定乗車率を当初計画で26%程度と見込んでいる。たしかに、予約座席数は前年同期の在来線(津軽海峡線)の実績と比べると6.3倍にはなる。
とはいっても開通へのご祝儀需要を含んでの数字。かなり厳しいと言わざるを得ない。
島田社長自身、以前の記者会見で「6両編成程度」が望ましいとしていた。しかし、東日本との共同運航?の都合上10両にせざるを得なかったのだろう。
札幌延伸開業までは6両を中心にして、新青森での乗換えか連結でもできなかったのかと考える。
無駄に赤字を増やして、その穴埋めを在来線の無理矢理な合理化で影響を受ける北海道棄民のことなど、殿様商売の東日本のエリート気取り達は考えもしなかったのだろうか。
運行や車両が云々いろいろの問題はあるだろうが、一般人には関係のないことなのだ。それをクリアするのが、この企業の責任だし、この会社は公的負担で成り立っているのだからなおさらだ。
 とにかく、札幌延伸後も新幹線への需要はかなり限られたものになるだろうし、北陸新幹線とは比較対照にもならない。
JR北海道が、さらに重荷を背負ってしまったことは間違いない。
「安定した貨物輸送への懸念」
また、冬季試験走行中、貨物列車を走らせるための線路を切り替える三線分岐器(ポイント)が、凍結などで動かなくなる不具合が14件起きたと発表した。
次の冬までに早急な対策が必要となるであろうし、新幹線の標準軌で走行できる貨物列車の開発が急がれる。北海道の物流にとって、青函トンネルは重要であることは言うまでもなく、極端な話が新幹線で人が運べないことより物を運べないほうが重大なことなのだ。
「インバウンド頼りの不安さ」
 当面、いや永遠に、北海道新幹線の利用客は観光客がメインとなる。特に「シンカンセン」に興味を抱く外国人観光客はジャパンレールパスという日本中7日間乗り放題の3万円にも満たない格安のフリー切符を利用して乗ってくるだろう。この切符は今後、国内の主要3空港でも発売されるそうだから利用客は増加することは間違いない。
この切符は「損して得取れ」の考え方で、JRにとっては地方閑散路線を利用してくれる効果がある。
たとえば北海道なら富良野線や釧網線などだ。
利用する外国人が、地元に少なくない経済効果をもたらしてくれることが期待できる。
外国人観光客はバスはあまり利用しない。鉄道があれば当然に鉄道なのだ。理由は「バスは地元の人に便利なもの」だからだ。私たちも見知らぬ土地でバスに乗るのは相当に勇気が必要だし、とにかく所要時間の見当がつかないのが困る。
「都市間バスの巧妙さに負けた」 
さて、観光客がメインの乗客ということを考えてのことだろうが、函館始発や最終着の「はやぶさ」に接続するような札幌との夜行列車は設定されなかった。
現代の観光客が夜行列車を利用してまで移動するとは思えないし、老朽化して不足している車両を回すほどの利用が期待できなかったのが主な理由だろう。
鉄道ファンとしては「はまなす」の廃止と共に残念なことだ。
その代わりと言ってはなんだが、札幌と函館間に高速都市間バスを運行するバス会社各社は新幹線の始発と終着に合わせて深夜バスを新函館北斗駅に停車させるとの事だ。
今後、このバス便の利用客の様子を横目で見ながらJRとしても何らかの手を打ってくる可能性はある。札幌まで延伸されるのは14年後だから、その間に車両の更新が進めば十分にありえると考える。

「地方ローカル線の切捨てが進む」
 次に、新幹線の開通と共に、北海道内の在来線は地方閑散線区を中心に減便と廃駅さらに駅の無人化という大きな変化を迎える。

それには新幹線の開通に合わせて行うのが妥当かどうかと言う疑問が残る。新幹線への人・物・金の集中ということもあるだろうが、一連の安全運行に関わる問題の解決のために、国の指示によってJR東日本から支援のために中堅の社員が派遣され、その人たちの意思が強く働いているものと思われる。各自治体は急な合理化に強く反発したが、ほぼJRの計画通りに合理化は進んでいく。
これはJR東日本のやり方そのままだ。株主が国だけの特殊な形態のJR北海道というのは、営業損失を出してでも鉄道を運行させるためにあるのだ。しかし、東証一部上場のJR東と同じような手法で強引に合理化を進めることには大きな疑問を感じる。

経営安定基金を忘れてしまったかのような日高本線の営業損失補てん要求という姿勢が、その最たるものだ。
JR北海道は、線区別に合理化の説明を関係自治体に行っていくため、「地域交通改革部」なるものを設置するとの事だが、このまま公共交通としてのあり方を忘れたように振舞われるのを防ぐためにも、北海道の自治体はJR北海道に対して厳しい態度で臨むべきかと思う。


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