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JR北海道・維持困難13区間を事実上公表

2016年11月15日 | JR北海道 JR北

「このままでは北海道から鉄道が消えていく日は近い」
本日は11月15日の北海道新聞をなぞりながらブログを作成した。
 JR北海道の島田修社長が14日、東京都内で道内選出の与党国会議員らの会合(非公開の自民、公明両党の「北海道総合振興に関する勉強会」)において「JR単独では維持が困難な路線」について、10路線13区間となることを表明。社長が公の場で具体的に維持困難路線に言及したのは初めて。18日にも記者会見で正式発表する。今後、路線廃止を伴うバス転換などを軸に、沿線自治体との協議に入る。

JRは早急に沿線自治体と協議に入る方針だが、13線区の関係自治体は56市町村に上り、協議は難航も予想される。維持困難路線は、現在の道内の鉄路の約半分に当たる計1237・2キロ。輸送密度のほか、区間ごとの赤字額、その区間に設置されているトンネルや橋などの設備の老朽化の状況などを踏まえ、路線を選定した。
具体的には
1.留萌線 深川―留萌間、
2.札沼線(学園都市線)北海道医療大学―新十津川間、
3.根室線富良野―新得間
(計179・4キロ)は、早期にバス転換を提案する。同様の状況にある石勝線新夕張―夕張間(16・1キロ)はすでに廃止が決まっている。

4.日高線の苫小牧―鵡川間
5.同.鵡川―様似間(現在は不通)、
6.宗谷線名寄―稚内間、
7.根室線の釧路―根室間(花咲線)
8.同・滝川―富良野間、
9.室蘭線沼ノ端―岩見沢間、
10. 釧網線 東釧路―網走間、
11.石北線新旭川―網走間、
12.富良野線富良野―旭川間
以上計7路線9区間(計1041・7キロ)については、「上下分離方式」で沿線自治体と協議を進める方針。
さらに
13.根室線帯広―釧路間
14.宗谷線旭川―名寄間
(計204・5キロ)についても、将来的に地元などへの負担増を求める方針を示した。
両区間は、列車の高速化事業などを行う 第三セクター の北海道高速鉄道開発(札幌)が線路の一部などを保有しており、JRは自治体による維持管理費などの積み増しを求めるとみられる。

今後、12月初めには留萌線留萌―増毛間が廃止され、 さらに北海道新幹線 の延伸後は函館線函館―小樽間(287・8キロ)が経営分離される。
さらに現在は函館・札幌間の大動脈として特急が一日12往復通過運行されている室蘭本線の長万部・苫小牧間約130キロも大幅に利用客が減少して、経営形態の変更が必須と見込まれるので、廃止も無いとは言えない。
この区間をあわせると道新幹線札幌延伸後は2000キロ近い区間が何らかの形で経営形態が変更されるか、廃止となり、15年後にJR北海道単独での運行を確信できる在来線区間は500キロ足らずとなる。
これは、最も悲観的に見た場合に北海道に残る在来線の距離ということになるし、北海道の自治体の財政状況を見る限りは、あながち大袈裟とはいえない。

JR北海道が行う、以上の合理化は単に沿線自治体の財政を圧迫するのみならず、現在7000人とされるJR北社員の大幅減員も伴うことになり、北海道の雇用情勢、ひいては経済情勢にも大きな影響を与えることとなる。
観光路線である富良野線や釧網線の廃止ということになれば、両線を利用する多くのインバウンド観光客に対する影響も看過できないものとなり、農業と並ぶ北海道の基幹産業である観光にも影を落とす。
単に、一鉄道会社の経営問題にとどまらず、北海道全体に与える影響の大きさを十分に自覚した上で的確な結論を出して欲しいものだが、とても楽観的に考えることはできない。

 国交省によると、全国的には上下分離方式でJRが運行を担う事例はないとされる。果たして上下分離しか方策はないのであろうか。
おそらくは、国土交通省の官僚が画策したものであろう。四国と北海道では、明らかに分割民営化は失敗した。その失敗を検証することもなく、新たな「上下分離」なる奇策をJR北海道の経営陣に押し付けたのであろう。
上下分離は、欧米において国単位で行われている。しかし、我が国では市町村単位で試行してみようというのか。国の政策を鵜呑みにしてレジャーランドを経営し、結局は破たんに至った夕張市を想起させる。

上下分離が実際に行われた際は、JR北で余剰とされてしまう社員の受け皿として第三セクター の設置を含め様々な方策を検討し、模索しなければならない。
国には何も期待できないであろうことは、相変わらず首都圏・都会偏重の現政権を見れば分かるが、国(機構)が株式を保有する形の独立行政法人などによる線路設備の保有を期待したい。
また、北海道によるさらなる出資、支援への期待もしたいところだ。高橋知事は赤字の解消を路線縮小だけで解決しようとする姿勢を批判しており、現状では期待できない。

知事は人件費の削減に言及したことがあるが、JR北の社員の賃金はけして高くはないので、できる範囲での見直しを要求したものだろう。
労働条件も悪くはない。以前、中堅の社員の方が言っていたが、昔勤めた会社から見たら天国のような環境だと笑っていた。
しかし、労働条件を低下させろとはいえないし。労働基準法の絡みもあるので、おかしなことは言えないが、会社の危急存亡のときに平常どおりに休暇が取れ、同じように給与が支払われているだろうことに、私は疑問を持たないわけでもない。

PS
JR日高線 を巡り、新ひだか町の住民有志が同区間の廃線は避けられないとし、バス転換による新たな交通体系構築に向け活動する市民団体「日高の公共交通を考える有志の会」を立ち上げた。管内の町長らでつくる日高総合開発期成会や日高町村会に年内にも陳情する予定とのことだ。
これまでのJR北海道と沿線自治体との協議を踏まえ、「JRには復旧の意思が感じられない。存続にこだわっていては話が進まない」と地域から声を上げはじめている。
日高線は廃線に向けて一定の方向性が出てきたものと思われる。
正直なところ、首長は決断できずに「存続」を唱えるばかりだが、住民は現実的な判断を望んでいるということだし、実態に即して正しい判断だと感じる。

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