北のとうさんの鉄道旅・アマチュア無線JA8HBO

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維持困難区間の公表を受けて・・・国鉄分割民営化スキームの見直しを

2016年11月18日 | JR北海道 JR北
国鉄分割民営化は、当時の国鉄の状況と政治状況からすれば選ばれる一つの手段であったことは明らかで、間違いだったとは思えない。

JRになってから接客やサービスなど利用者からすれば本当に良くなったと感じている。頻繁に行われた労使紛争によるストライキも消えてしまい、果たして労働組合はあるのだろうかと疑うほどに静かになった。
それでも労働組合と経営陣の対立は一部では続いているので、それを見て、労働組合なんて不必要だなどと考えている若い世代がいるのが滑稽にさえ思える。
JR北の問題は労働組合だなどと主張するのは的外れだろう。
私の学生時代の労使対立から見たら、実に穏やかなものだし、この程度の活動は労働組合としては当然だろうと感じている。

私のサラリーマン転職生活では労働組合のある会社と無い会社があったが、やはり一労働者としては労働組合の必要性は強く感じる。
ブラック企業として名を馳せてしまった電通や和民には労組はあるのだろうか。無ければ納得できるし、あるならば、労組としては失格と言わざるを得ない。
(間もなく廃線となる留萌線の増毛駅)

さて、JR北が「独自では維持できない路線」なるものを発表し、北海道の自治体、ひいては利用者たる北海道民、観光客に反旗(白旗)を翻した?。
いや、喧嘩を売ったといっても良いかもしれない(*^。^*)
本来であれば、営業面での利用客増加で売り上げと利益増加を狙うのが営利会社としては当然のことなのに、減便・減速で逆に利用者が減少するような施策を打ち出してきた。

古今東西、このような手法で再建できた企業はどれほどあったのであろうか。少なくとも、復活して発展したなどという話は稀だろう。
札幌にある老舗の菓子舗が、このような手法で昔からの顧客だけをターゲットとして根強い人気で経営を続けているが、公共交通と違って店舗数を縮小しても他店の商品で代替えが効く物を販売している点で大きく異なる。
公共交通は、ある意味、代替えの効かない商品、サービスを提供しているから営業の縮小は、社会的な影響は比較にもならないほど大きい。

この「縮小再生産・均衡」の中、「貧すれば鈍す」で営業面でのアイデアなどは枯渇してしまい、結局は会社自体が破たんしてしまうのではないかと心配になる方向へ驀進している。

 話を戻すが、国鉄分割民営化から30年、JR6社には、子供でも分かるほどの明らかな格差が生じている。「兆円」単位の投資で新しい高速列車を走らせようとする会社がある一方で、JR四国と北海道は、まったく未来を見通せないでいる。比較的安定していたかに見えていたJR四国も、先日の社長会見で、近い将来の路線見直しの可能性を明らかにした。
JR四国はJR北海道の今後を固唾を飲んで見守っていくことだろう。

このように分割された各社に格差が出たのは、言うまでもなく新幹線の存在だったのは論を待たない。
ただ、国は30年前に四国、九州、北海道の今日の状況を想定して経営安定基金なるものを「3島会社」に付与し、その運用益で営業損失を補てんするようなスキームを編み出した。
北海道は、特に厳しい状況を想定して約8000億円もの基金を積み立てた。しかし、予想外の低金利時代が到来し、近年さらに2000億円を積み増して総額1兆円超という金額になってしまった。
 1兆円から生み出される運用益(実際には国の特殊法人からの補てんだが)は昨年度は約420億円だが営業損失はさらに大きいので、埋めることができないでいる。
今年度は台風被害の復旧費用などもありさらに営業損失等が嵩み経常損失は200億円以上を見込むという有様だ。
その上、次年度以後も約180億円の損失を出し続ける見込まれる。
今後も低金利が長く続くと思われる今、この基金の運用益で損失を補てんするスキームは破綻し、今や現実的ではないと思われる。
現段階では新たなスキームでJR四国とJR北海道の経営を維持すべき時ではないかと思う。
責任逃れと、過去の分割民営化の修正をしたくない政府・国土交通省が盛んに喧伝しているといわれる上下分離も一つの方法だが、同省の意を受けて、JR北海道が盛んに主張する沿線自治体が地上部分を所有する形は、果たして現実的なのかと考えるとき、各自治体にそのような財政負担に耐える力がないことは明らかで非現実的と言わざるを得ない。
大げさに言えば荒唐無稽ということだろう。

欧米の鉄道は国が介在する上下分離が主流であるが、もし再建の手段が上下分離しかないのであるならば、わが国でも地上部分は国または特殊法人が保有する形が妥当ではないかと考える。

 地方自治体が出資するにしても国が主体となり、北海道と沿線自治体、さらにJR貨物が出資する「特殊法人」に地上部分を保有させ、JR北海道は運行と営業に専念するのが現実的かと考える。
さらに言えば、列車運行会社には北海道の商工界も出資してもらい、経営に参画してもらうのが良いと思う。
現状、JR北海道には営業力は無いといってもよいほどだ。2020年に国が目指す外国人観光客4000万人を実現させたいなら指すならなおさらでう。
ただ、北海道の商工界とJR北の関係が必ずしも良好ではないのがネックになるかもしれない。

 11月18日のJR北の提案はまるで最後通牒のようにも感じる。
 しかし、北海道民はここでは冷静に捉えて、上下分離などの手段を講じてでも残す路線と、鉄道は廃止してバス・乗合タクシーなどに転換する路線とに仕分けすることを、まず行うべきかと思う。
そして、民意をくみ取りながら一定の時間をかけて綿密に検討してほしいものだ。
JR北海道は3年などと一方的に期限を区切ったが、それにとらわれることはないと思う。

今後は、夕張支線線や日高線の一部で動きがみられるような、むやみに廃止に持っていくことだけは避けなければならない。代替え交通機関とされるバスでさえ、今後は確保できるのか不透明でもあるのだから。

以上述べてきたように私の考え方は国に支援を求めることなのだが、そのこと自体を嫌う方々が多いことに驚く。
たとえ辺境の地であろうとも人が住み暮らすための手段を国は守らなければならない義務がある。
富の再分配の一つの形なのだが、それは国のなすべき大きな役割である。

今日、正式にJR北が発表した維持困難路線の説明には冬期間の除雪の困難さが幾度となく文面に出てくる。
ただ、それは自動車道路とて同じなのだ、安易にバス転換しても除雪の困難さは変わらない。

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