伊達だより 再会した2人が第二の故郷伊達に移住して 第二の人生を歩む

田舎暮らしの日々とガーデニング 時々ニャンコと

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ジャコシカ97

2019-02-12 20:05:44 | ジャコシカ・・・小説
資料によると彼女は今年郷里の高校を卒業、今はこの街の一人暮らしで、簿記の専門学校に

通っているアルバイターだ。

 家は日用雑貨の卸問屋をやっていて、親の希望で経理の仕事を期待されている。

 初デイトの相手の情報としては充分過ぎるくらいだ。

 そのせいか当日は約束の場所で、雪の降る大通り公園を背景に近付く彼女を、ガラス越しに余裕

を持って眺めていた。

 固めのボックスに丁寧に裏返しに畳んだコートを置いた後もまだ彼女は、雪による濡れがないか

気にした。

 ようやく落ち着いた今日の美奈子は薄化粧をしていた。仕事中はいつも束ねて上げている髪を解

いているせいか、情報を得てはいるのだが、やはり年上に見える。

 化粧のせいなのだろう、細面がほっこりと膨らみ、目付にも丸味がでている。

 「親の仕事を手伝うとはいえ、美奈ちゃんと経理の仕事はどうも結び付かない。店員よりは合う

かも知れないが、でもやはりちょっと驚きだ」

 「私には無理だと思っているのでしょう」

 「能力的にどうかと言っているのではなく、雰囲気がね。大分ちぐはぐなんだ、僕の印象として

は」

 「どんな仕事ならピッタリだと言うの」

 「分からないけれど、多分経理という仕事が僕にとっては、手に負えない歯の立たない代物に思

えるからだろう」

 「簿記や会計学を勉強している女の子なんて、近付きたくもないと思っていたりして」

 「そうじゃないけれど、とにかく恐れ入ってるのかも知れない」
コメント
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